第25話:新たなる脅威
フロントコードの本拠地で、それぞれの役割を再確認する中、次なる脅威が徐々に姿を現し始めていた。
深夜、イリスの部屋。彼女は人形「アリス」を抱きながら、モニターを見つめていた。モニターにはフロントコードの警戒システムに捉えられた異常なエネルギー反応が映し出されている。
「……また、ヴォイドハウル。」
イリスは静かに呟いた。
エネルギー反応は都市から離れた山岳地帯で発生しているが、範囲は急速に広がっている。まるで周囲の空間を侵食するようなその様子に、イリスは不安を覚える。
彼女は通信機を手に取り、セリカに連絡を入れた。
「セリカ、反応がある。来て....」
セリカがモニター室に到着すると、イリスは基本あまり喋らず単語だらけだが状況を説明した。
「ここ。エリアで異常なエネルギー。自然じゃない.....」
セリカは画面を見つめ、険しい表情を浮かべる。
「これは……ヴォイドハウルの仕業ね。しかも、かなり大規模な動きだわ。」
イリスが小さく頷く。
「何か組織的な動き。早く行った方がいい.....」
翌朝、アキトはセリカからの呼び出しを受ける。
「今度は何事かな?」
アキトが訝しげに問うと、ゼロが肩越しに軽く笑った。
「またお前の出番だろ。どうせ面倒ごとだ。」
セリカが作戦室で待っていた。彼女はモニターに映る地図を指しながら言う。
「アキト、次の任務よ。ヴォイドハウルが山岳地帯で大規模な行動を起こしているわ。」
アキトは地図を見つめながら眉をひそめた。
「……またアイツらか。どれくらいの規模なの?」
セリカは少し言葉を選ぶようにしてから答える。
「今回はこれまでの比じゃないわ。しかも指揮官がいる様な組織的な動きをしているわ。」
ゼロがアキトの肩で飛び跳ねるように動きながら、やや不満げに言う。
「おいおい、あの影ども、意思でもあるってのか?」
セリカは静かに頷いた。
「わからない。誰か操作しているのか、それとも意思があるのか、だからこそあなたたち全員で向かうの。アキト、レオ、ユウマ、レンジ、そして今回はイリスもよ。チームで協力しなさい。」
アキトはしばらく黙っていたが、やがて頷いた。
「わかった。やるしかないみたいだね。」
出発前のそれぞれの思い
作戦出発前、仲間たちは準備を進めながらそれぞれの思いを抱えていた。
ユウマは水の刃を試しながら、自分の能力の精度を確かめている。
「今回は俺だって足引っ張らないぞ……。」
レンジは愛用の刃物を手入れしながら、不敵に笑った。
「さて、俺たちの力を見せる時だな。」
一方、イリスは静かに人形を抱えたまま、自分の能力をどう活かすべきかを考えていた。彼女の心には、アキトへの小さな興味と不安が渦巻いていた。
(……私も、役にたつ。)
レオは壁に寄りかかりながらアキトを見つめていた。
(アキト、今回もお前の強さ、見せてもらおう。)
レオは心の中で呟いた。
そしてアキトは双竜を握りしめながら、深く息を吸い込んだ。
「行くぞ。今回は余裕で決める。」
新たなる戦場へ
全員が揃い、イリスのゲートで現場に向かう。皆、緊張感に包まれているが、誰も言葉を発しない。それぞれが戦闘に向けた覚悟を固めゲートを潜った。
山岳地帯に到着した彼らの目の前には、異様な光景が広がっていた。空間が歪み、黒い霧が辺りを覆っている。その中心では巨大な装置が動作しており、ヴォイドハウルの影たちが何かの儀式を進めている様な、そんな纏まった動きをしていた。
「……こんな動き今までなかった。」
アキトが双竜を抜きながら呟く。
「少し様子を見るぞ。」
レオが皆にそう告げた瞬間、装置の周りを動いていた影が装置に吸い込まれる様に消えた。その代わりに4人の人影が現れたのだ。
「なんだ?」
アキトは言った。だが皆は黙ったまま驚きを隠せないでいる。
「これはどうゆう事だ。明らかに黒幕がいる。ヴォイドハウルにこんな事はできない!」
レオは動揺しながらも自分に言い聞かせた。
アキトは武器を構え、奴らの方へ向かおうと立ち上がった。
「やめろ、一旦引くぞ。」
レオがすかさず止めたが、
「もう遅いよ。向こうもこっちに気づいてる。」
アキトは軽い笑みを浮かべながら、戦闘を楽しもうとしていた。




