第24話「新た龍の影」
廃墟の戦場跡──
アルバとの戦いを終え、アキトはその場に座り込んでいた。全身に疲労が溜まり、双竜を持つ手も震えている。ゼロは肩に乗り、いつもの軽口を叩く代わりに静かにアキトを見下ろしていた。
「……強かったな。」
ゼロがややあきれたように口を開く。
「まぁ、相手が悪かったってのもある。アルバみたいな戦闘狂と真っ向からやり合うのは、ちょっと無謀だったかもな。」
アキトは苦笑する。
「ゼロ、 あのやり方では体の負担がかかりすぎる。またアイツに会ったときは......」
ゼロはしばらく沈黙し、やがて真剣な表情で言った。
「出し惜しみしてる場合か。」
「そうだな。だが少し練習が必要だ。もっと体にならさないとな。」
ゼロは呆れ顔でアキトを見つめる。
「なら、練習だなー。」
イリスの空間──
アキトはイリスに頼み真っ黒な無限の空間にいた。
どこからイリスの声がした。
「ここは私の空間。出たい時は言って」
「ああ、ありがとう。」
アキトは上を見つめイリスに言った。
「本当、便利な能力だ。」
イリスは場所と場所を繋ぐゲートと言う能力だが、入り口だけ出して出口を塞ぐとこうゆう空間に閉じ込める事ができるらしい。声は出せるが何者も入れず見る事もできない。秘密の訓練にはもってこいの場所だ。
アキトはまず双竜を纏った。
体の負担を減らすためだ。
「まずはこれで長時間戦える体にする。」
空間に黒い紋様が浮かび上がる。アキトの双竜がその紋様に反応して、微かに光を放ち始めた。
深呼吸をし、目を閉じ、自分の心を見つめる。
(楽しそうだから入ったフロントコート。でも守りたいものも見つけちゃったかな?)
アキトの心に浮かぶのは、フロントコードの仲間たちの顔だった。
(一人の方が楽だったから組織に入らずにいたはずなのにな)
アキトはかすかに笑いながら思う。だがただ強く、そして戦いたい。
この思いも変わってはいなかった。
(そこだけはアルバと一緒だな)
「よし、じゃあ始めるか。」
一方、フロントコード別室ー
それぞれが戦いの傷を癒しつつ、次の一手を模索していた。傷だらけの仲間たちが集まり、それぞれの思いが交錯する中、彼らの未来に向けた新たな方向性が見えてくる。
薄暗い医療室の中、ユウマは横たわりながら天井を見つめていた。彼の腕には包帯が巻かれ、肩にはまだ痛々しい傷跡が残っている。
「相変わらず無茶するよな、俺たち。」
彼が呟くと、近くのベッドに横たわるレンジが軽く笑った。
「お前こそ、もっと慎重にやれよ。水の壁作るの遅いんだよな。」
「お前はいつも突っ込むだけだろ。」
軽口を叩き合いながらも、その背後には戦いの重みが漂っている。
「それにしてもアキト....強かったな。」
「ああ、奴なしだったら死んでたよ。」
二人は安堵した表情で言った。
「ま、次にあのアルバってやつとやるときは、もっと派手にやってやるさ。」
また一方で作戦会議室
レオがセリカに状況の報告をしていた。
「レオ、危ないかったわね。」
「まーな」レオは軽く肩をすくめる。
「アルバとの戦いで、自分の限界を見たんじゃない?」
「そうだな。だがまだ俺には奥の手があった。しかしアルバはアキトの力に目をつけた。」
「そうね。これで少し時間が稼げるわ。アルバは強者にしか興味なから。」
「まさかこの状況を狙ったのか?」
セリカは何も答えずに微笑んだ。「ヴォイドハウルもアルバもナイトメアも、それぞれが異なる脅威。さらに国や警察の依頼と問題が多すぎよ。」
そこにイリスが入ってきた。
人形を抱え、いつもの無表情だが、どこか同様している様にも見える。
セリカはイリスの微かな変化に気づいた。
「おかえり、イリス。アキトはどんな感じかしら?」
イリスはそのまま空いてる椅子に座り、いつも通りの口調で言った。
「もう私の空間にはいない。さっき出てった。」
「そう、自主練は問題なさそうね。」
セリカはイリスの同様は勘違いかもと思い、レオとの会話に戻った。
イリスはそのまま人形と話し始めたが内心では
(なんなの?!アキトって奴。私の空間に傷つけて壊れそうだった。いったいどんな訓練してたの?)
初めての経験で間違いなく動揺していたが、人にはバレたくないので必死に隠していた。
傷つかないと思ってた自分の絶対領域に傷をつけられたのだ。
イリスはあまり人には興味がない。この人形、-アリス-が側にいれば寂しくもない。
だがここでまた初めての感情が生まれた。
(アキト.....)




