第22話「咆哮する意志」
廃都市の静寂が、アキトたちの疲れた息遣いだけで満たされる。アルバの圧倒的な力が生々しく瓦礫の街を支配していた。
「……ここからが本番だ。」アキトが双竜を地面に突き刺し、刀から解き放つ。
2匹の龍はアキトの両腕を絡みつくように舞う。
レオがは構えたまま、後ろでレンジ、ユウマを守る用にアキト達を見ていた。
「アルバは、目的を達成するまで引かない男だ。」
「目的?」ユウマが水を操りながら問う。「あいつ、一体何が目的なんだよ?」
レオは短く息を吐いた後、語り始めた。
「アルバにとっての目的は、“最強”であること。それ以外の価値はない。敵でも仲間でも関係ない。強いやつを倒し、自分の力を証明する。それだけのために動いている。」
レンジが地面に座り込みながら苦笑する。
「ほんとどうしようもない奴だな。でも、やっぱりただの強さだけじゃねぇよ。あいつ、どっか壊れてんだ。」
「壊れているか……」レオは小さく呟いた。
アキトは視線を上げ、ゼロに目を向けた。ゼロは珍しく黙り込み、どこか考え込むようにうつむいている。
「ゼロ、一旦消えてろ。」
ゼロは少し驚いたように顔を上げたが、すぐに表情を引き締めた。
「いや、ここにいるよ。嫌な感じがするし。俺の力が必要だろ?」
「そうかもな。」アキトが腕を動かした。放たれた2匹の龍はアルバの方に向かう。「だがまだ必要ないよ。こっちの力であいつを止める。」
「待て、アキト。」レオが遮るように言った。「今のお前では無理だ。あいつの力を甘く見るな。」
「そうかな?まー見ててよ。」アキトの拳が震える。
その言葉に、ユウマとレンジが目を向けた。
「アキト……」ユウマが声を漏らす。
「お前、もう十分やってるだろ。」レンジが軽く笑みを浮かべる。「それでも足りないってか?」
「外野がうるさいな。今面白くなりそうなんだ。邪魔するなら排除するぞ。」
アルバが2人の方を睨んだ。
「2人の戦いは避けられそうもないな。」
レオがそう言うと、
「アキト、双竜を憑依方で戦う気か。それで通用するのか?」
ゼロが不安げに言い放つ。
「わかってる。でも、試したいんだ。」
レオが後からアキトを見据える。
「わかった。だが、その力で通用しなければ全員でかかる。」
「ああ。」アキトの顔は少し余裕のある表情だ。アルバと同じく戦いを楽しむように。
アルバの周りの地面が微かに揺れ始める。
「始まるぞ!」レオが身構える。
アルバ──その圧倒的な力が戦いの幕開けを予感させていた。




