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なっちゃんさん、寝込む5

 何時間か後に様子を見になっちゃんさんの部屋に入った。電気がついていた。なっちゃんさんは眠っていた。額に手を当てると、熱が少し下がっていた。念のために冷えピタを交換しておいた。頭をそっと持ち上げて冷やし枕も入れておいた。

「君?」

 さすがに振動で起こしてしまったようで、なっちゃんさんは目を開けようとしたので、

「枕交換しただけです。電気消しますね」

「うん」

 ささやくように告げると、そのままなっちゃんさんはまた寝入った。もう明日には良くなるだろうと、ほっとした。電気を消す時、改めて女子の部屋に入っていたことを全く今さらながら自覚させられて、そそくさと出ようとしたのだが、あるスペースが目に入ってしまった。色々な銘柄のお酒が並ぶ棚。耐震用の突っ張り棒とかの対策に余念のない棚。ガラスの戸があり、各スペースにはやはり酒などが落ちないように滑り止めのシートが敷いてある棚。そこに一つのロックグラスがあった。何個かはなっちゃんさんがよく使っているグラスだ。台所に置いてあるのは頻繁に使っているもので、気分とかもあるのだろう、こうして部屋にあるグラスを持って来る。そのロックグラスは僕がなっちゃんさんの誕生日にプレゼントした物だった。なっちゃんさんは一〇〇均や、値があっても三〇〇円から四〇〇円くらいのグラスを使うと言っていた。僕は奮発をしたら、

「そんな高いもの、壊したら大変」

 と言って使ってくれなかった。てっきり箱にしまわれたままと思っていたのだが、こうして棚に収められているということはいつか使ってくれるのかもしれないし、部屋で飲んでいる時に使ってくれているのかもしれない。それはそれでうれしい。

 ――できれば、僕と

 なぜか、変なことを思おうとしたので、電気を消して、静かに部屋を出た。


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