表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
行方知れずを望んだ王子と、その結末 〜王子、なぜ溺愛をするのですか!?〜  作者: 長岡更紗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/39

最終話 結末を迎えた王子様

 イライジャ様が王位に就き、私たちは結婚をした。

 それはもう盛大な式だったので、疲れ果てたけれど……

 イライジャ様はもちろん、お元気でした。ええ、朝から晩まで、それはそれはとても。


 突然の前王失脚による事後処理、そして新組織の設立と、あり得ないくらいに忙しい日々を過ごしていたけれど。

 ようやくイライジャ様の望む議会の形態で国政が運営され、うまく機能している。

 老年官僚は全員免職となり、総入れ替えとなったことも大きいだろう。

 おかげで弊習はすべて廃され、双子は普通の兄弟として平等に扱われることに決まった。

 まだまだ古き慣習を重んじる者が多いため、これからさらなる改善が必要ではある。けれどイライジャ様なら、きっと誰もが住みやすい国を造ってくださるに違いない。

 もちろん私も、そんなイライジャ様を支えていくつもりだ。


「どうした、クラリス」


 変装をしているイライジャ様が、荷馬車の手綱を握っている私を覗いている。

 私も変装用の眼鏡を装着済みだ。


「いいえ。こうして二人を訪ねてあの家に行くのは、イライジャ様が行方知れずになると言い出して日以来だと思いまして」


 ふふっと笑って見せると、イライジャ様は生来の明るさで「はははっ! そうだったな!」と笑っている。


 そう、こんな風に出掛けるのは、本当に久々のこと。

 さすがに二人でだけは行かせられないと、騎士団長のチェスター様が護衛として馬車の隣を並走し、ダーシー様も来てくださっているけれど。

 荷台には、たくさん祝いの品を載せてある。

 喜んでくれるだろうかと想像しながら、イライジャ様と一緒に選んだものだ。

 ジョージ様から手紙をもらい、急遽行くことになったため、じっくり選んだわけではないけれど。

 それでも二人にとっては、かけがえのない一日になるのだから。

 大仰にしたくないとのことで、イライジャ様は公務外でひっそりとお祝いに行くことに決められた。ジョージ様とエミリィにとっても、その方がいいだろう。

 荒地だった場所に、小屋が……いや、小屋ではなく、ちゃんとした家が見えてきた。

 井戸もあるし、畑も立派なものになっていた。馬も牛もいて、移動も畑を耕すのも楽になったことだろう。

 支援を受けたことで二人は自立でき、王家にすべてお世話になるわけにはいかないと、自分たちで暮らせる地盤を整えた。

 今では採れた野菜を売って、収入を得るまでになっている。資金さえあれば、それくらいやってのける能力を二人は持っていたのだ。

 馬車の音が聞こえたのか、ジョージ様が畑仕事を中断して笑顔を見せる。


「兄さん! 来てくれたのか! 義姉さんも!」


 嬉しそうにジョージ様が迎えてくれて、私は変装用の眼鏡を外した。エミリィも気づいて足取り軽くやってくる。


「わぁ、お久しぶりです! わざわざ来てくださるなんて……ありがとうございます!」

「当たり前だ。二人が今日、結婚すると言うんだからな」

「ありがとう、兄さん。忙しくて無理だろうと思ってたから、嬉しいよ!」

「大事な弟の結婚式に、来ぬわけがないだろう!」


 ジョージ様の明るい笑顔に、イライジャ様も嬉しそうに笑顔で応えられた。

 以前は痩せ細っていたとは思えないくらい、健康的な身体を手に入れたジョージ様。

 こうして二人で並んで笑っているお姿を見ていると、本当によく似ていらっしゃる。

 思わずほっこりと笑みが漏れた。こんな日が来て……本当に良かった。


「せっかくの結婚式だ。正装しろ、ジョージ。もちろん、エミリィもな」

「私が、正装!?」

「え、僕も?」


 驚きの声をあげる二人に、私は大きく頷いてみせる。

 ジョージ様の手紙に書かれてあったのだ。エミリィに、ウェディングドレスを着させてあげたいと。

 この数ヶ月で稼いだという、いくらかのお金を添えて。ジョージ様はエミリィのことばかりで、ご自分の服など考えていなかったのだろう。

 荷台から荷物を下ろすと、チェスター様とダーシー様には外で待っていてもらった。

 案内してもらった家は、当時の家を改築……というかほぼ新築し、しっかりした造りの建物になっている。新しい木の良い香り。欲張らない二人は、結局小さな家を建てたのだけれど。

 エミリィは『広い家になって嬉しい!』と喜んでいたという。


 私たちは男女で別々の部屋に入ると、早速ウェディングドレスをガーメントバッグから取り出した。

 するとエミリィは目を見張り、一度喉を詰まらせてから声を上げる。


「そんな高そうなもの……! ありがとうございますっ」


 感激するエミリィに、私は首を振って答えた。


「これを借りたのは私たちではないのです。いえ、借りてきたのは私たちだけれど、お金はジョージ様が稼がれたもの。エミリィにウェディングドレスを着てもらおうと、コツコツ貯められたのでしょう」

「……! ジョージが……」


 純白のウェディングドレス。これは町のレンタルショップで値切りに値切って、店主が泣くまで値切り倒して借りてきたものだ。

 イライジャ様は物を値切るのは香水以来だと、あの時に実践済みだから俺に任せろと言って、楽しそうだったが真剣に値切っていた。

 ジョージ様の稼いだお金だけで、なんとか借りてあげたかったのだろう。その代わり、ジョージ様の方のタキシードの方は、イライジャ様のポケットマネーから十分な額を出して借りていらっしゃったけれど。店主はきっと、わけがわからなかったに違いない。

 私はエミリィに化粧をすべく、持ってきたメイクボックスを取り出した。


「こっちのメイクボックスは、私からのお祝いの品です」

「……私が、お化粧を……? でもやったこともないし……」

「もちろんあとでちゃんと教えます。今は、私が」


 舞踏会で私がゾイにしてもらった時のように、今度は私がエミリィを着替えさせて化粧を施していく。

 あの時は鏡がなくて確認できなかったけれど、すべてが終わってから自分の姿を見て、ひっくり返るかと思った。

 女という生き物は、あんなに綺麗になれるのだと。好きな人のためであれば、なおさらに。


 私は渾身の限りを尽くしてエミリィを仕上げる。

 この七ヶ月で肉付きの良くなったエミリィは、本当に美しくなった。


「とっても綺麗だわ……エミリィ」

「ありがとう、クラリスさん。今日は母の誕生日で、この日に式を挙げようって、ジョージと決めていたんです。お母さん、喜んでくれるかな……」

「ええ、きっと。きっと喜んでくれているに決まっています」


 そう言った瞬間、私はたまらなくなり、エミリィを置いて外に出てしまった。

 二人の壮絶な人生が、ようやく実るのだと思うと、胸がいっぱいで、耐えられなくなって……。

 隣の部屋にいたイライジャ様が気配に気付いたようで、すぐに追いかけてきてくださった。


「どうした、クラリス」


 外には、当時は無かったサバンナの墓石が建てられていた。

 きっと今も、二人を見守ってくれているに違いない。


「いえ……なんだか胸がいっぱいになってしまって……」

「……そうだな。俺も、胸がいっぱいだ」


 イライジャ様のエメラルド色の瞳が、少し潤んだ。

 闇の子と認定された弟を、イライジャ様は決して見捨てることはしなかった。

 ジョージ様の幸せを、誰よりも望まれていたのは……イライジャ様なのだ。

 私はそっとイライジャ様の頬に手を置いた。すると少し笑みを見せてくださり、私はほっと息を吐く。


「ありがとう、クラリス。そなたのおかげだ」

「私はなにもしておりません。すべて、イライジャ様が成し遂げられたことでございます」

「……そなたは、自分の重要性をまだわかっていないのか」

「イライ……ッ」


 有無を言わせないんですから、もうっ!

 チェスター様とダーシー様がずっと待機してくれているのをお忘れですか!

 〝もう見慣れた〟という顔をされるのは、恥ずかしいものなのですよ!

 なのに、イライジャ様の優しいキスは降り止まず、私は抵抗を諦めた。

 柔らかいくちびるに塞がれ続けて、耳がどんどん熱くなる。

 私を必要だと思ってくださる心が、伝わってくる。誰よりも、熱い気持ちが。


 ほんの少しくちびるを離したイライジャ様と、視線が重なる。エメラルド色の瞳が、私を釘付けにする。


「クラリス……謙虚なそなたも好きだが、自分を過小評価するな。わかったな」


 そのお心は嬉しいですが、もしわからないと言えば、またキスをなさるんですよね?

 私にはわかっておりますよ!


「ありがとうございます。わかりました」

「わかってくれたなら良い。では褒美をやろう」

「んんっ!?」


 結局なさるのですか! キスを!!

 ああ、こんなところをあの二人に見られたら……と思った瞬間、ガチャリと家の扉が開いてしまったのですが!?


「あら……っ」

「ごめんよ、兄さん。まだ出てこない方が良かったかな?」

「大丈夫だ、今終わった」


 平然とおっしゃらないでくださいまし!

 やっとのことで解放された私は、二人へと体を向ける。

 幸せそうな新郎と新婦がゆっくりと歩いてきていた。


 ああ、今日はなんと良き日でしょうか。


 空は青く、優しい風が二人を包んでいる。

 凛々しいタキシード姿のジョージ様と、純白のウェディングドレスに身を包んだエミリィが、サバンナの墓石の前までやってきた。


 参列者は私とイライジャ様、チェスター様、ダーシー様。それに……サバンナだ。

 ジョージ様がその墓石に向かって語りかける。


「サバンナ……今日僕は、エミリィと結婚する。今まで通り、二人で仲良く生涯を共にすることを誓うよ。どうか空で見守っていてほしい」

「お母さん……私、ジョージと結婚することになったから……心配、しないでね……っ」


 サバンナに誓うジョージ様とエミリィは、本当に、本当に、清らかで美しくて。


「愛しているよ、エミリィ」

「私も愛してる……ジョージ」


 小鳥のようにキスを交わす二人。

 ああ、なぜか私の方が号泣してしまっているのですが……!!


「はははっ! クラリス、そなたが泣いてどうする」

「すびばぜん……もう……もう、良かったなと思うと胸が……っ」


 ああ、語彙がひどくてさらに泣きそうですが……!

 けれど、私にはわかっておりますよ。一番嬉しくて泣きそうなのは、イライジャ様だということを。

 二人はそんな私たちを見て、幸せそうに笑っている。


「結婚おめでとう、ジョージ! エミリィ!」

「おめでとうございます、ジョージ様、エミリィも!」


 ジョージ様とエミリィは、最高の笑顔でありがとうと応えてくれて。

 イライジャ様がガシッと弟君の肩へと手を回す。


「良かったな、ジョージ……! 今までの分も、幸せに、なってくれ……っ」

「ありがとう。兄さんのおかげだよ。もう、僕は本当に幸せなんだ」


 誰より大切な、血を分けた双子の弟の言葉に。イライジャ様の涙が、ついに決壊してしまわれた。

 ほら、やはり我慢をされていたのではありませんか。

 このクラリス、イライジャ様のことならすべてお見通しなのですからね。


 泣きながら喜んでいるイライジャ様と、兄を慰めるように背中を優しく叩いて笑っているジョージ様。

 エミリィはそんな二人を見て嬉しそうに口を開けて笑っている。

 私も輪に入り、イライジャ様へと笑みを向けた。

 イライジャ様のエメラルド色の瞳が、きらきらと光を反射している。


「皆……今までよく頑張ってくれた……ありがとう……っ」


 声を詰まらせるようにして紡がれた、イライジャ様のお言葉。

 弟の幸せを願ってやまなかったイライジャ様の思いが、今、成就されたのだ。


 私は、こんなにも優しいイライジャ様の妻であることを、本当に誇りに思う。


 優しい光と気持ちのいい風が、私たちを包んで。

 イライジャ様は皆に囲まれ、声を上げて笑っていた。

 まるで光り輝く、太陽のように。


 永遠に幸せが続くという確信が、皆の心に刻まれる。



 これこそが、行方知れずを望んだ王子が本当に望まれた、幸せな、結末──




◉完結時の記録◉

総合評価 562 pt

評価者数 38 人

ブックマーク 116 件


最後までお読みくださり、本当にありがとうございました!!

★★★★★評価をぜひよろしくお願いします♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ざまぁされたポンコツ王子は、真実の愛を見つけられるか。
サビーナ

▼ 代表作 ▼


異世界恋愛 日間3位作品


若破棄
イラスト/志茂塚 ゆりさん

若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。
この国の王が結婚した、その時には……
侯爵令嬢のユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。
政略ではあったが、二人はお互いを愛しみあって成長する。
しかし、ユリアーナの父親が謎の死を遂げ、横領の罪を着せられてしまった。
犯罪者の娘にされたユリアーナ。
王族に犯罪者の身内を迎え入れるわけにはいかず、ディートフリートは婚約破棄せねばならなくなったのだった。

王都を追放されたユリアーナは、『待っていてほしい』というディートフリートの言葉を胸に、国境沿いで働き続けるのだった。

キーワード: 身分差 婚約破棄 ラブラブ 全方位ハッピーエンド 純愛 一途 切ない 王子 長岡4月放出検索タグ ワケアリ不惑女の新恋 長岡更紗おすすめ作品


日間総合短編1位作品
▼ざまぁされた王子は反省します!▼

ポンコツ王子
イラスト/遥彼方さん
ざまぁされたポンコツ王子は、真実の愛を見つけられるか。
真実の愛だなんて、よく軽々しく言えたもんだ
エレシアに「真実の愛を見つけた」と、婚約破棄を言い渡した第一王子のクラッティ。
しかし父王の怒りを買ったクラッティは、紛争の前線へと平騎士として送り出され、愛したはずの女性にも逃げられてしまう。
戦場で元婚約者のエレシアに似た女性と知り合い、今までの自分の行いを後悔していくクラッティだが……
果たして彼は、本当の真実の愛を見つけることができるのか。
キーワード: R15 王子 聖女 騎士 ざまぁ/ざまあ 愛/友情/成長 婚約破棄 男主人公 真実の愛 ざまぁされた側 シリアス/反省 笑いあり涙あり ポンコツ王子 長岡お気に入り作品
この作品を読む


▼運命に抗え!▼

巻き戻り聖女
イラスト/堺むてっぽうさん
ロゴ/貴様 二太郎さん
巻き戻り聖女 〜命を削るタイムリープは誰がため〜
私だけ生き残っても、あなたたちがいないのならば……!
聖女ルナリーが結界を張る旅から戻ると、王都は魔女の瘴気が蔓延していた。

国を魔女から取り戻そうと奮闘するも、その途中で護衛騎士の二人が死んでしまう。
ルナリーは聖女の力を使って命を削り、時間を巻き戻すのだ。
二人の護衛騎士の命を助けるために、何度も、何度も。

「もう、時間を巻き戻さないでください」
「俺たちが死ぬたび、ルナリーの寿命が減っちまう……!」

気持ちを言葉をありがたく思いつつも、ルナリーは大切な二人のために時間を巻き戻し続け、どんどん命は削られていく。
その中でルナリーは、一人の騎士への恋心に気がついて──

最後に訪れるのは最高の幸せか、それとも……?!
キーワード:R15 残酷な描写あり 聖女 騎士 タイムリープ 魔女 騎士コンビと恋愛企画
この作品を読む


▼行方知れずになりたい王子との、イチャラブ物語!▼

行方知れず王子
イラスト/雨音AKIRAさん
行方知れずを望んだ王子とその結末
なぜキスをするのですか!
双子が不吉だと言われる国で、王家に双子が生まれた。 兄であるイライジャは〝光の子〟として不自由なく暮らし、弟であるジョージは〝闇の子〟として荒地で暮らしていた。
弟をどうにか助けたいと思ったイライジャ。

「俺は行方不明になろうと思う!」
「イライジャ様ッ?!!」

側仕えのクラリスを巻き込んで、王都から姿を消してしまったのだった!
キーワード: R15 身分差 双子 吉凶 因習 王子 駆け落ち(偽装) ハッピーエンド 両片思い じれじれ いちゃいちゃ ラブラブ いちゃらぶ
この作品を読む


異世界恋愛 日間4位作品
▼頑張る人にはご褒美があるものです▼

第五王子
イラスト/こたかんさん
婿に来るはずだった第五王子と婚約破棄します! その後にお見合いさせられた副騎士団長と結婚することになりましたが、溺愛されて幸せです。
うちは貧乏領地ですが、本気ですか?
私の婚約者で第五王子のブライアン様が、別の女と子どもをなしていたですって?
そんな方はこちらから願い下げです!
でも、やっぱり幼い頃からずっと結婚すると思っていた人に裏切られたのは、ショックだわ……。
急いで帰ろうとしていたら、馬車が壊れて踏んだり蹴ったり。
そんなとき、通りがかった騎士様が優しく助けてくださったの。なのに私ったらろくにお礼も言えず、お名前も聞けなかった。いつかお会いできればいいのだけれど。

婚約を破棄した私には、誰からも縁談が来なくなってしまったけれど、それも仕方ないわね。
それなのに、副騎士団長であるベネディクトさんからの縁談が舞い込んできたの。
王命でいやいやお見合いされているのかと思っていたら、ベネディクトさんたっての願いだったって、それ本当ですか?
どうして私のところに? うちは驚くほどの貧乏領地ですよ!

これは、そんな私がベネディクトさんに溺愛されて、幸せになるまでのお話。
キーワード:R15 残酷な描写あり 聖女 騎士 タイムリープ 魔女 騎士コンビと恋愛企画
この作品を読む


▼決して貴方を見捨てない!! ▼

たとえ
イラスト/遥彼方さん
たとえ貴方が地に落ちようと
大事な人との、約束だから……!
貴族の屋敷で働くサビーナは、兄の無茶振りによって人生が変わっていく。
当主の息子セヴェリは、誰にでも分け隔てなく優しいサビーナの主人であると同時に、どこか屈折した闇を抱えている男だった。
そんなセヴェリを放っておけないサビーナは、誠心誠意、彼に尽くす事を誓う。

志を同じくする者との、甘く切ない恋心を抱えて。

そしてサビーナは、全てを切り捨ててセヴェリを救うのだ。
己の使命のために。
あの人との約束を違えぬために。

「たとえ貴方が地に落ちようと、私は決して貴方を見捨てたりはいたしません!!」

誰より孤独で悲しい男を。
誰より自由で、幸せにするために。

サビーナは、自己犠牲愛を……彼に捧げる。
キーワード: R15 身分差 NTR要素あり 微エロ表現あり 貴族 騎士 切ない 甘酸っぱい 逃避行 すれ違い 長岡お気に入り作品
この作品を読む


▼あなたはまだ本当の切なさを知らない▼

神盾列伝
表紙/楠 結衣さん
あなたを忘れるべきかしら?
あなたを、待っていたかった──
 愛した者を、未だ忘れられぬ者を、新しい恋をすることで上書きはできるのか。

 騎士アリシアは、トレジャーハンターのロクロウを愛していた。
 しかし彼はひとつの所に留まれず、アリシアの元を去ってしまう。
 そのお腹に、ひとつの種を残したままで──。

 ロクロウがいなくなっても気丈に振る舞うアリシアに、一人の男性が惹かれて行く。
 彼は筆頭大将となったアリシアの直属の部下で、弟のような存在でもあった。
 アリシアはある日、己に向けられた彼の熱い想いに気づく。
 彼の視線は優しく、けれどどこか悲しそうに。

「あなたの心はロクロウにあることを知ってて……それでもなお、ずっとあなたを奪いたかった」

 抱き寄せられる体。高鳴る胸。
 けれどもアリシアは、ロクロウを待ちたい気持ちを捨てきれず、心は激しく揺れる。

 継承争いや国家間の問題が頻発する中で、二人を待ち受けるのは、幸せなのか?
 それとも──

 これは、一人の女性に惚れた二人の男と、アリシアの物語。

 何にも変えられぬ深い愛情と、底なしの切なさを求めるあなたに。
キーワード: R15 残酷な描写あり 魔法 日常 年の差 悲恋 騎士 じれじれ もだもだ 両思い 戦争 継承争い 熟女 生きる指針 メリーバッドエンド


▼恋する気持ちは、戦時中であろうとも▼

失い嫌われ
バナー/秋の桜子さん




新着順 人気小説

おすすめ お気に入り 



また来てね
サビーナセヴェリ
↑二人をタッチすると?!↑
― 新着の感想 ―
[良い点] 大団円〜!。゜(゜´Д`゜)゜。 ほんともう良い子たちばかりで、報われて良かった!! >店主が泣くまで値切り倒して借りてきたもの 市井で値切る王様(変装中)…(*´艸`*) >このクラ…
[良い点] 完結おめでとうございます! 王子の甘~い猛攻に、にまにましながら楽しく追わせて頂きました♪ クライマックスは2人ともカッコ良くて素敵でした。さすがイライジャ様、めっちゃ堂々としてましたね!…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ