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行方知れずを望んだ王子と、その結末 〜王子、なぜ溺愛をするのですか!?〜  作者: 長岡更紗


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19/39

19.十日目。言い訳がましい私

ブクマ107件、ありがとうございます!

「クラ……リス……?」


 驚いているイライジャ様のお顔。


 わ、私は今、一体なにを!?


 慌てて離れようとするも、イライジャ様に肩を抱き寄せられてしまった。


「イライジャ様……っ」

「そなたが、した」

「そうでございますが……っ」


 近い! 近こうございます!!

 逃げようとする私の首に、イライジャ様の息が当たっています!!

 なんとか押し返さなくては……っ

 イライジャ様の胸板に手を当て、なんとか距離を取ろうと必死に突っ張る私。

 なのになぜか、イライジャ様は笑っていて……


「そんなに揉むな。誘われているとしか思えぬぞ」

「なっ、ちが……っ」


 思わず手を緩めた瞬間、ぐんっと距離が近づいた。


「ンンッ!?」


 く、唇を塞がれてしまったのですが?!

 しかも長い、長すぎです、王子!!


 もう……


 どろどろに、溶かされてしまいそうなのですが……っ


 イライジャ様は右手で私の肩を抱き、左手は私の耳を撫でるように触っている。

 くすぐったい……もうどうにかなってしまいそうなほど、くらくらする。


「はぁ……クラリス……」


 そんなに熱い吐息を吹きかけないでくださいませ……頭がおかしくなりそうです!

 なのにイライジャ様は、また迫ってきているのですが?!


「これ以上はお許しくださいまし!」

「なぜだ?」

「なぜ?!」


 迫りくるイライジャ様のくちびるを、私はばふんと手で押さえた。

 不敬だとかなんだとか、そういうことは言ってられません!


「私程度の身分のものが、イライジャ様のくちびるに触れてしまったことは謝罪いたします! つい……イライジャ様が……」


 イライジャ様が私の手首を掴み、口から引き剥がしている。

 形のよくつやつやとしたくちびるが優しく動いた。


「俺が?」

「イライジャ様が、い……」


 愛おしくて、という言葉を私は飲み込んだ。

 私は今……なにを考えていたというのか。

 これはそう、同情心だ。愛おしいなどと、ただの側仕えが抱いていい感情ではない。

 だけれど、お可哀想でと告げるのも違う。なんとお伝えすれば良いのだろう。この気持ちを。


「なんだ? 言ってくれ、クラリス」


 言い淀む私に、またずいっと接近するイライジャ様。

 もう、ご勘弁を……!


「私は、イライジャ様のことを……」

「ああ」

「僭越ながら……」

「なんだ?」


 エメラルド色の瞳が嬉しそうにキラキラ輝いていて。

 私は、私は、イライジャ様のことを……


「我が子のように思っているのです!!」


 そう、我が子!

 僭越ながら、我が子のように思っているのです!

 思わずキスしてしまったのは! 子への愛情表現と同じなのです!


「我が……子……?」


 イライジャ様の手が緩んだ。私はその隙にさっと腕の中から脱出して距離をとる。


「そうでございます。側仕えとしてあるまじき感情ではありますが、僭越ながらイライジャ様のことを我が子のように思っておりまして」

「この国では、親子でくちびるへのキスはしないはずだが?」

「場所を間違えたのでございます」

「ははっ! 言い訳が過ぎるぞ、クラリス!」


 楽しそうに笑われてしまいました。

 そのお顔が眩し過ぎて……本当に困るのですが。


「クラリス、俺は伝えたはずだ。そなたを愛していると」


 ずずいと距離を縮め、私の手を握って目を細められるイライジャ様。

 もう、どうお答えして良いのか……


「そなたも同じではないのか?」

「私も……同じ……?」


 ゆっくりとイライジャ様が首肯される。

 揺れる金色の髪は、太陽の光を受けてより一層輝いていた。


 私が……イライジャ様を、愛していると?


 あり得ない。あり得ないことだというのに、勝手に耳まで熱くなる。


「その顔は、俺に恋しているようにしか見えぬ」


 そんな、まさか、ばかな!!

 私が、この私が! イライジャ様に恋をするなどということがあってはならないのだから!!


「気のせいでございます! 恋など、しておりません!!」

「ここでは二人きりだ。気持ちを隠す必要などない」


 イライジャ様の! 勘違いが! 加速しています!!

 昔から強引なところはありましたが、この勘違いだけはいただけません!

 否定を、否定をしなければ……


「大丈夫だ、クラリス。どうにかなる」

「そん……っ」


 ああ! 勘違いを正す前に、またキスをされているのですが!?

 イライジャ様、そんなに手が早いお方だったのですね!?


「ぷ、ぷはっ!」

「ははは! 可愛いな、クラリスは!」


 はぁはぁと息を往復させる私を見て、楽しそうに笑っているイライジャ様。

 仕方ないではないですか! こんなキス、したことがなかったのですから!!


「今晩が楽しみだ」


 今晩!? 何をしようというのか、この王子様は!


「なにも致しませんからね!?」

「大丈夫だ、優しくする」

「そういう問題ではありませんが!?」


 私が強く言うと、イライジャ様の眉尻は下がっていく。

 そ、そんな顔したって、ダメなものはダメなんですからね……っ


「わかった。ではそなたの心が決まるまで、キスだけで我慢しよう」


 いえ、キスでもダメですが!??


「建国祭までにクラリスを抱きたいということだけは、覚えておいてくれ」


 建国祭はたったの十一日後にまで迫っていますが!!


「今夜、“月下の踊り子”を俺に貸してほしい」

「どうなさるんですか?」

「俺がつけてみよう」

「なぜ、王子が……」

「そなたを誘惑するためだ」


 誘惑しないでくださいまし!!


「絶対に貸しません!」

「どうしてだ?」


 抗 え な く な る か ら で す ! !


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ざまぁされたポンコツ王子は、真実の愛を見つけられるか。
サビーナ

▼ 代表作 ▼


異世界恋愛 日間3位作品


若破棄
イラスト/志茂塚 ゆりさん

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この国の王が結婚した、その時には……
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政略ではあったが、二人はお互いを愛しみあって成長する。
しかし、ユリアーナの父親が謎の死を遂げ、横領の罪を着せられてしまった。
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王都を追放されたユリアーナは、『待っていてほしい』というディートフリートの言葉を胸に、国境沿いで働き続けるのだった。

キーワード: 身分差 婚約破棄 ラブラブ 全方位ハッピーエンド 純愛 一途 切ない 王子 長岡4月放出検索タグ ワケアリ不惑女の新恋 長岡更紗おすすめ作品


日間総合短編1位作品
▼ざまぁされた王子は反省します!▼

ポンコツ王子
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ざまぁされたポンコツ王子は、真実の愛を見つけられるか。
真実の愛だなんて、よく軽々しく言えたもんだ
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しかし父王の怒りを買ったクラッティは、紛争の前線へと平騎士として送り出され、愛したはずの女性にも逃げられてしまう。
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果たして彼は、本当の真実の愛を見つけることができるのか。
キーワード: R15 王子 聖女 騎士 ざまぁ/ざまあ 愛/友情/成長 婚約破棄 男主人公 真実の愛 ざまぁされた側 シリアス/反省 笑いあり涙あり ポンコツ王子 長岡お気に入り作品
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▼運命に抗え!▼

巻き戻り聖女
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ロゴ/貴様 二太郎さん
巻き戻り聖女 〜命を削るタイムリープは誰がため〜
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行方知れずを望んだ王子とその結末
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第五王子
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急いで帰ろうとしていたら、馬車が壊れて踏んだり蹴ったり。
そんなとき、通りがかった騎士様が優しく助けてくださったの。なのに私ったらろくにお礼も言えず、お名前も聞けなかった。いつかお会いできればいいのだけれど。

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王命でいやいやお見合いされているのかと思っていたら、ベネディクトさんたっての願いだったって、それ本当ですか?
どうして私のところに? うちは驚くほどの貧乏領地ですよ!

これは、そんな私がベネディクトさんに溺愛されて、幸せになるまでのお話。
キーワード:R15 残酷な描写あり 聖女 騎士 タイムリープ 魔女 騎士コンビと恋愛企画
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▼決して貴方を見捨てない!! ▼

たとえ
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志を同じくする者との、甘く切ない恋心を抱えて。

そしてサビーナは、全てを切り捨ててセヴェリを救うのだ。
己の使命のために。
あの人との約束を違えぬために。

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誰より自由で、幸せにするために。

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[良い点] 王子の余裕(*´艸`*)にひひ しかし、クラリス……頑張るな~(笑)
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