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憎しみの果てに  作者:
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やることが多い

家のドアを開けて、思わず「ただいま」と言いそうになってしまったが、

思いとどまって無言で中に入った。

誰もいないのにな。これは癖なのかもしれない。

そんなことを思いながら、鏡の前で足を止める。

そんなにうまくはないが、そこそこ自然な感じにメイクができている。

さらに女性の髪型、ネイル。

そして履いているスカートも自然に見える。

見た目だけなら女としてやっていけそうだ。

少し自信が持てたところで着替えることにした。

昨日一緒に買ったルームウェアを着てリビングへ移動する。

ああ、もう夕方か…ご飯作るか。

前ならラーメンとかにしたが、食生活も考えるように聖菜に言われていたため、

ちゃんと作ることにした。

別に料理が得意なわけではないが、作ろうと思えば大抵のものは作れる。

野菜を中心にした料理を作り、テレビを見ながら黙々と食べた。

物足りない気もするけど、これくらいの量がいいんだろうな。

片付けてから有紗にとって大事な時間が始まる。

ネットを開き、「美容」という言葉を検索していろいろな知識を高めていく。

つまりは勉強だ。

美容などは男性よりも女性のほうが詳しいが、

女性だって最初から知っているわけではない。

みんなキレイになりたくて調べたりしてるんだ。

だったら自分もそうすればいい。

今日は入浴の仕方を調べよう。

えーと…入浴剤は必ず入れる。

入浴剤はあったな。

入浴前は水を飲む、なるほど。

このような感じで調べていき、とりあえず実践してみることにした。

ボディクリームを持っていったほうがいいんだよな。

昨日買ったものの中から漁ってみると、ローズの香りのするボディクリームを発見した。

それを持って浴室の前に行って裸になる。

もう自分の裸には慣れたが、髪型とネイルをしているせいか、いつもと違う感じがした。

うわー…女子だな。

入浴剤を入れてから軽くシャワーで身体を流してから、

まずはクレンジングでメイクを落とす。

顔がサッパリしたところで、次に洗顔だ。

泡だて器を使い、モコモコになった泡を顔に乗せていく。

ゴシゴシ擦ると肌に負担がかかるうえ、

必要以上に落としてしまって乾燥や肌荒れにつながるらしい。

その泡を洗い流し、湯船に浸かる。

「ふー…」

手で身体を摩りながら5分ほど浸かって一度上がり、再びシャワーを浴びる。

頭を洗ってからトリートメントをして、しっかりとすすぎ落す。

身体は手洗いでいいって書いてあったな。

手にボディソープを付け、身体中を洗っていく。

なんでも最初に湯船に浸かるだけで汚れはある程度落ちるので、

手洗いでいいということだった。

それに手で洗うほうが肌への負担も減るらしい。

身体も洗い終わって、また湯船に浸かり、身体を温める。

15分ほどで出るのが理想で、

長く浸かりすぎると汗で身体の水分が抜けて乾燥しやすくなるらしい。

「で、この間も浸かってるだけじゃなくてマッサージをするといいんだっけ。なんか真子の入浴が長かった理由がわかるな…」

真子へは怒りしかないが、このように思い出してしまうこともよくある。

それは有紗にとって一番身近だった女性だから。

マッサージなどをしながらゆっくり浸かり、そろそろ15分が経過するので

湯船から出て、ボディクリームを塗って軽く抑えるように引き取ってから浴室を出た。

ボディクリームのおかげか、全身からローズのいい香りが漂ってくる。

そういえば下着を買うときに相原がナイト用のブラをしないとダメだって言ってたっけ。

裸のままタンスまで行き、買ったナイト用のブラを付けてみる。

うーん…デザイン以外の違いがよくわからない。

というかブラしないほうが楽なんだよなぁ…

でもこれをしないと形が崩れるとか言ってたな。

崩れても構わないとも思うが、後々のことを考えるとキレイな形をキープしたい。

再びルームウェアに着替えてから今度はスキンケアを始める。

化粧水、美容液、乳液、クリームを塗り、終了。

これを毎日やらないといけないんだよな…

そしてヘアオイルをつけてからドライヤーを使い、10分ほどでやっと乾かし終わった。

「お風呂からここまでで1時間半近くかかったな。やっぱり女って大変だ。みんなここまでやってるのか知らないけど」

喉か湧いたな…でもビールはダメなんだろうな。

仕方なく麦茶を飲んで喉を潤す。

時計を見ると10時前、寝るにはまだ早いかな。

一瞬テレビを見るか迷ったが、もう少し女性の勉強をすることにした。

またネットでいろいろ調べ、気が付くと12時近くになってしまった。

「あっそろそろ寝ないとな」

ベッドに入るとすぐに眠気が襲ってきた。

ゆっくり湯船に浸かったからかな?

そんなことを思っているうちに有紗は眠りについた。

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