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憎しみの果てに  作者:
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裏切り

啓介が会社に復帰して1か月が過ぎた。

仕事に関しては問題ない。

女の身体にも慣れてきた。

順調そうに見えるが、別の大きな問題を抱えていた。

それは真子とのことだ。

どことなく素っ気なかったのは気のせいではなかった。

近頃は帰りが遅くなることも多く、休みの日も友達と出かけてくるといって

啓介を置いて出かけることも増えていた。

前はほとんど夕飯を作らない日はなかったのに、最近は遅くなるからと言って

作らない日のほうが多い。

女になったせいで、夜の営みも一切なく、まるで同居人のような感じになっていた。

ひょっとして男ができた…?

嫌な予感がしたが、聞く勇気もなく更に1か月が過ぎた。

真子が夜の9時過ぎに帰宅し、お風呂に入っているときに

リビングに置いてあった真子の携帯に、メッセージが届いた。

夫婦間でも携帯は見ないという約束を決めていたが、啓介は見ずにいられなかった。

すると、そのメッセージはまさに男からだった。

(無事に着いたかな?今度はワインのおいしいお店に連れていくから楽しみにしててね)

名前は三ツ屋亮となっている。

「ちょっと、なんで勝手に見てんの!」

真子が出たことに気づかず、いつのまにか後ろにいて奪うように携帯をつかみ取った。

だが、怒っているのは啓介も同じだ。

「三ツ屋亮って誰だよ!不倫してたのかよ!?」

すると、真子は開き直ったように言ってきた。

「不倫じゃない、正式にお付き合いしてるの」

「は?俺と真子は夫婦だろ、不倫じゃねーかよ」

「だって啓介、もう夫じゃないじゃない。女同士の夫婦なんてわたしは無理。子供もできないしセックスもできないし、メリットがない」

気にしていることを平気で言ってくる。

真子が平然とこんなこと言うとは思ってもいなかった。

「だったらなんで俺は俺だ、なんて言ったんだよ、さっさと離婚するって言ってくれたほうがまだマシだった。それを隠れてコソコソと」

「啓介が啓介だっていうのは間違いないよ。けどそう言っただけで夫婦を続けるとは一言も言っていない。それに女になったばかりで離婚するのも可哀そうだと思ったから落ち着くまでは面倒見ようと思ったんだよ」

俺を憐れんでいたのか?

怒りと悔しさが押し寄せてきて、拳を握っていた。

そして啓介はキレた。

「今すぐ出ていけ!お前がそんな女だと思わなかった。離婚でもなんでもしてやるよ」

「言われなくてもそうさせてもらう。離婚届けはあとで郵送するから。あとここにはもう戻らない。今からまとめる荷物以外は処分していいから」

それだけ言って真子は自分の部屋に行って荷物をまとめ始めていた。

頭に血が上っている啓介は、それを止めようとは思わなかった。

この件で、完全に啓介は真子に未練がなくなった。

それは真子も同じで、荷物をまとめ終わると無言で家を出て行った。

あんなひどい女だとは思わなかった。

啓介の頭の中は真子への怒りしかなかった。


数日経っても真子への怒りは収まらない。

そんなとき、判を押された離婚届が郵送されてきた。

これを俺が提出しなければ真子は再婚できない…

あいつだけ簡単に幸せにさせてたまるか!

一瞬出すのをやめようかと思ったが、未練があると思われるのも癪だ。

他になにかいい手はないだろうか…

もはや啓介は真子の幸せをぶち壊すことしか考えていなかった。

そもそも三ツ屋亮って何者なんだ?

試しにネットで検索するとすぐにヒットした。

リアルコミュニケーションズ 代表取締役社長

リアルコミュニケーションズは最近業績が大幅にアップしているIT系の企業。

そこの社長だと…とんだ玉の輿じゃねーか。

また怒りがこみ上げてくる。

なにかいい方法はないだろうか…

考えに考えた末、啓介にはある復讐計画が浮かび上がった。

「俺が女になってしまった以上、この先再婚なんてないし、どうせ一生一人で生きていくなら…!」

その顔はもはやさっきまでの啓介ではく、復讐に燃える女の顔だった。



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