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今日も今日とて、隣のコイツが腹を空かせて。皆を困らせています!!   作者: 土竜交趾
過去編 ~素敵な世界に一時の終止符を~
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第百十話 弱り目に祟り目

お疲れ様です。


本日の投稿になります。




 いつもは馬鹿みたいに騒いでいるのに何故君はそうも大人しくしているのかい?? と。


 遥か西の地平線の彼方に沈み行く太陽が不思議そうな表情を浮かべて俺の顔を見つめている。


 満身創痍の果てに得た勝利を酒の肴にして仲間と共に夜通し馬鹿騒ぎをしたいけれども、体力という人間に等しく与えられた概念がそうさせてくれないのですよ。


 今は酒池肉林よりも安全安心な環境の中の寝床を所望します。


 顔を真っ赤に染めて大欠伸を放ちながら寝床へ向かって行く太陽に別れを告げてやると真正面に視線を移した。



 空は今日も良く晴れ渡り少しだけ逸った星達が早くも瞬きを始め、後方へと流れ行く地上の景色の中に浮かぶ文明の色がこれから訪れる闇に対抗する為に明かりを灯す。


 黄昏の刻の星空と地上に浮かぶ美しい明かり。


 俺達はその明かりに挟まれながら王都へ目指して飛翔を続けていた。



「ハンナ、もう少しで着くから頑張れよ」


 数時間振りに口を開いて沈黙を貫き飛翔している彼の後頭部へ向かって優しい声色で話す。


「あぁ、分かっている」


 彼は俺の言葉を受け取ると両の翼を大きく一度羽ばたかせて高度を上げた。



 正面から向かい来る風が頬を撫でて鼓膜に程良い刺激を与えてくれる。


 雨が降る事も無く強風が吹き荒れる事も無い好環境の中の飛翔は本当に気持ちが良く、気を抜いてしまえば眠ってしまいそうだ。



「……」


「すぅ……」


 人生で二度目の飛翔にも関わらずグレイオス隊長とトニア副長は疲れ切った顔で長い瞬きを始め、気が付けば互いの体を頼りにうたた寝をしていた。


 疲れているのは重々承知しているのだが俺達を運んでいる彼もまた疲弊しているのだ。


「ったく。相棒が残り僅かな体力を消耗させて飛んでいるってのに呑気に寝ちまって……」



 大声を張り上げて揶揄って空から落としてやろうか??


 そんな悪戯心を刺激してしまう程の安らかな二つの寝顔を一つ睨む。



「そっとしておいてやれ。彼等は漸く重責から逃れる事が出来たのだ」


「まぁその気持は分からないでも無いけどさぁ。お前さんが頑張っているのに眠るのはちょっと如何なものかなぁって思う訳よ」


「安心しろ。俺も少し眠ったからな」



 お、おいおい。マジかよ……。


 良かったぁ、居眠り飛翔の所為で墜落しなくって。折角素晴らしい勝利を収めたのにその帰路で不運な事故に見舞われたら洒落にならんからね。



「そう言えば大陸間を渡る時も器用に眠っていたっけ」



 肩の力を抜き、ふぅっと大きな息を吐いて空を仰ぐ。


 おぉ、段々と星の輝きが強くなって来たぞ。この調子なら今日も満点の星空を拝めそうだぜ。



「長時間の飛翔を可能とする技だ」


「戦士長の長ったらしい説教を回避する為にシェファも目を開けて眠れる様にしていたよな。鷲の里の者は器用に眠る事に長けている種族なのかい??」


 俺がそう揶揄ってやると。


「ふんっ……」



 鋭い鷲の目で俺を一度睨み付けて正面に顔を戻してしまった。


 これ以上揶揄うと安全な空な旅が危険なモノへと変化して気持ち良く眠っている御二人を起こしてしまうかも知れませんのでね。大人しく流れ行く景色を眺めていよ――っと。



 キマイラが棲む奈落の遺産を脱出して俺達を迎えてくれたのは美女達の熱烈な接吻では無く、燦々と光り輝く天然自然の太陽の笑みだった。


 太陽の位置と角度からして俺達は丸一日戦っていたのだとその時理解した。


 各自が荷物を纏めてかの地を飛び立ってから間も無く半日が経過する。


 ハンナの疲労具合から計算してそろそろ王都の面影が見えて来てもおかしくないと思うんだけどな……。


 頭の中にぼんやりと浮かぶ地図上に移動経路を思い描き、何となく周囲の景色を見渡していると俺の予想通り。



「はは!! 見えて来たな!!」



 まだ随分と先だが巨大な光の塊を捉える事に成功した。


 暗闇が蔓延る大地の上で輝きを放つ大陸一番の大都市。


 東西南北に連なる主大通りに沿って光が灯りそれはさながら光の道にも見える。


 各家屋から零れる柔らかい明かりが光の道を装飾して、暗闇が蔓延る大地の上で輝きを放つ大陸一番の大都市の光量は俺達の心に安寧をもたらしてくれた。



「むっ……?? おぉ!! 到着したか!! 副長!! 見ているか!?」


「えぇ、空から見下ろす光は本当に綺麗ですよね」



 俺の燥ぐ声を受けて目覚めた二人が大変仲睦まじく肩を寄せ合って地上の光を見つめる。


 あらあら……。お母さんの前で堂々といちゃついちゃって……。


 少しは遠慮ってものを覚えなさいよね。



「なぁにぃ?? 恋人同士が肩を寄せ合って綺麗な景色を見る感じになっていますけどぉ??」



 腹が立つ距離感を維持して景色を見下ろしている二人を揶揄ってやると。



「「ッ!!」」



 二人同時に顔を朱に染め、初心な思春期特有の所作で慎ましい距離感を取ってくれた。


 付き合う前の近かったり遠かったり。その何とも言えない距離感が丁度楽しい時期なんだよねぇ……。



「二人は付き合ったりしないのか?? 相棒。王都の人々に見つからない様に王宮内の訓練場に着陸したいからもう少し高度を上げてくれ」


「了承した」



 相棒に的確な指示を出しながら問う。



「べ、別にそういう訳じゃないわよ」


「あ、あぁ、そうだ。俺達は王都守備隊の役職に就いているからな。肩書がある者同士がその……。色恋に現を抜かすのはお門違いだろうから」



 うっはっ、今時居るんだねぇ。こういうクソ真面目な性格の奴って。



「俺達はまだまだ長い人生を歩んで行くんだけどよ。他人の人生と自分の人生が最接近する機会は早々訪れない。俺は冒険に出て相棒と出会ってさ……。恐らく、冒険に出なければコイツと一生出会う機会は無かった。そして、そこでハンナと俺の人生という道が最接近した。この機会を逃せば俺は一生後悔すると思って相棒をこの冒険に誘ったんだ」



 彼の触り心地の良い羽毛をそっと撫でながらそう話す。


 うむっ!! 本日も毛艶と張りは絶好調ですね!!



「ふんっ。俺は貴様と冒険に出るのでは無く、強さを求めて生まれ故郷を出たのだ」



「こうやって恥ずかしさを誤魔化す為に大変分かり易い嘘を付くのがコイツの良い所なのさ。人生という道は複雑且予想は困難。自分が歩むべき道と他者が進む道がずぅっと接近しているとは限らない。そして、一度離れた人生の道は早々接近しやしない。別に急かす訳じゃないけど、機会を逃して嘆くよりも好機をモノにして歓喜の声を上げる方が楽しいとは思わないかい??」



 悪戯っぽく片方の口角をニィっと上げてグレイオス隊長を見つめてやると。



「む、むぅ……。その言葉、確かに受け取ったぞ」



 勇気を振り絞って立ち上がる様にも、童貞らしく狼狽える様にも。その両方の意味に捉えられる何とも言えない表情を浮かべてしまった。


 人に人生の道は何たるかを説く程長く生きていねぇけどさ。折角拾った命なんだ、有効活用しないと勿体無いと思う訳よ。


 それに……。



「……っ」



 恋する乙女の瞳を浮かべる彼女の想いが成就するように願うのが友人の本来の姿だと思うんだよねぇ。


 グレイオス隊長の横顔を愛しむ様に見つめている彼女の柔らかな表情を眺めていると。



「見えたぞ。これから着陸態勢に入る!!」



 相棒が大変肝の冷える台詞を吐いてしまった。


 今の声色と気合の籠った台詞からしてぇ……。



「やっべぇ!! 二人共、死に物狂いで羽を掴め!!」



 座り心地の良い羽毛の上で咄嗟に腹ばいの姿勢となり、残り微かとなった体力に鞭を放ち全力に近い握力で羽の根本を握り締めた。



「大袈裟な奴め。以前と変わらぬ速度で降下するのだろう??」


「馬鹿野郎!! 王都に住む人達に白頭鷲の姿が見られたら不味いから超高速で訓練場に着陸するんだよ!!」



 俺が放った台詞の中にある単語、『超高速』。


 その言葉を捉えると二人の顔色が恋に現を抜かしていた赤から真っ青に変化。



「ハンナ!! 頼む!! 俺達は疲れ切って体力が余り残っていないんだ!!」


「その通りよ!! 隊長の指示に従いなさい!!」



 俺と同じ姿勢を取ってクンッと、地面に向かって頭を向けてしまった白頭鷲に向かって叫んだ。



「それは……。無理な注文だな!! フンッ!!!!」


 彼が気合の籠った声を放ったその時。


「「ウギィヤァァアアアア――――!!」


 野郎二人の大絶叫と。


「キャァァアアアア――――!!!!」



 うら若き女性の可愛らしい絶叫が満点の星空の中に響き渡った。


 ひ、久し振りに感じるこの常軌を逸した加速度!! こ、このままじゃ羽から手が離れて空に投げ出されちまうって!!


 命辛々死闘から帰還したってのに仲間から死を与えられるとか洒落にならん!!!!



「ンゥ――!! ン゛ン゛――――!!!!」



 心に湧く恐怖を誤魔化す為、声に鳴らない声を放ち徐々に加速しながら地面に落下。


 耳をつんざく風の音が最強最悪の音量に到達すると。



「はぁっ!!!!」


 相棒が勢い良く両の翼を広げて殺人的加速度を相殺。


「いでぇ!!」


「ぐおっ!?」


「きゃあ!!!!」



 背に騎乗していた三名が大変仲良く地面に投げ出され、半日振りの大地の味をしっかりと味わう破目になってしまった。



「て、テメェ!! いつも口を酸っぱくして言っているでしょう!? もう少しお淑やかに降下しなさいって!!」


 口の中に勢い良く飛び込んで来た小石を吐き出し、呑気に翼を毛繕いしている白頭鷲の右足を爪先で蹴飛ばしてやる。


「知らん」



 うっわ、出た出た。俺は全然悪くないですぅって態度!!



「ダンの言う通りよ。夜の闇に紛れているのだから見つかり難い筈なのに今の速度は到底了承出来ないわ」


「筈、では困るだろう。俺は確実に見つからない選択肢を取ったのみだ」


「それで私達の命が危険に晒されたら本末転倒なのよ。ねぇ、そうですよね。グレイオス隊長。――――。隊長??」



 筋骨隆々の男性の姿を探してキョロキョロと周囲を窺うが、その姿を捉える事は叶わなかった。


 そりゃそうさ。だって貴女は殿方の大事な部分の上に跨っているのですからねっ。



「あ、あぁ――。うん、副長の言い分は理解出来たから取り敢えず一旦そこから退こうか」


「きゃあ!! す、すいません!!」


 朱なんて生温い程に真っ赤に染まった顔で彼の体の上から素早い所作で立ち上がる。


「どうだった?? トニア副長。グレイオス隊長の股の感覚は??」


 腰に手を当てて大変厭らしい笑みを浮かべて問うてやる。


「し、知らないわ。地面と同じ位硬かったから私はてっきり……」


「ふぅん?? 隊長殿の股は大変硬いのねぇ??」


「ち、違う!! そういう意味じゃなくて!!!!」



 あはは、これ以上揶揄うと羞恥心で気絶しちゃいそうだから止めてやるか。



「はいはい、お母さんは見なかった事にしますからねぇ。訓練場の上に散らばった荷物を集めるとしますか」



 娘に初めて出来た彼氏との気まずい場面を捉えてしまった母親の口調を放ち、横着な白頭鷲が散らかした荷物を纏めていると兵舎の方からけたたましい足音がうねりを上げて近付いて来た。



「「「隊長――――ォォオオオオッ!!!!」」」


 うるさ!! もう夜なんだから静かにしなさいよね!!


「わはは!! お前達!! 元気にしていたか!?」


「良かった!! 本当に良かったッス!!!!」


「畜生!! 今日程嬉しい日は無いぜ!!!!」



「全く……。貴方達、たった一日程度の事で大袈裟よ」



 トニア副長がグレイオス隊長にヒシと抱き着いてワンワンと泣く王都守備隊の隊員達の姿を咎めると、思わず自分の耳を疑いたくなる言葉を捉えてしまった。



「ふ、副長!! 何を言ってんッスか!! 隊長達が此処を発ってから今日で十日目なんですよ!? 俺達はてっきりキマイラに殺されたと思っていたんですから!!」



「「「「――――。はい??」」」」



 ラゴスが涙ぐみながら叫んだ言葉を捉えると四人が大変仲良く首を傾げてしまう。



「良かった……。本当に良くぞ御無事で……」


「あ、あぁ――。ヴェスコ、ちょっといいかな??」


 グレイオス隊長の背にしがみ付いて泣きじゃくっている彼に話し掛けた。


「ど、どうしたのですか??」


「今、ラゴスがさ。俺達が此処を発ってから十日経過したって言っていたけど……。それは事実なので??」


「えぇその通りですよ。ゼェイラ長官は隊長達が十日経って帰還しなかったら……、と仰っていたので。今日がその十日目でしたので皆が隊長達の帰還を願っていたんですよ」



 う、嘘だろうぉ?? 奈落の遺産に突入してたった一日程度だったのに、現実の時間では十日程度経っていたって言うのか……。



「隊長?? どうかしたので??」


「うん?? あ、あぁ。いや……。世の中には不思議が溢れているのだなぁっと改めて痛感したのさ」



 呆気に取られている隊長の周りで湧き続ける隊員達の姿を何となく見つめていると今度は王宮の方角から喧しい足音が聞こえて来た。



「貴様等!! 帰って来たのか!!」


「はっ!! 命じられた任務を確実に遂行し、本日帰還しました!!」


 息を切らして、美しい黒の髪を乱しながら訓練場に到着したゼェイラさんに向かってグレイオス隊長とトニア副長が直立不動の姿勢を保ったまま報告する。


「良くぞ……、無事に帰って来てくれたな。本当に良くやったぞ」


「いえ、与えられた任務を遂行するのが私の役目ですから」



 ゼェイラさんの熱き右手を確と受け取りながらトニア副長がそう話す。



「再会の喜びを交わすのは後でもいい。先ずは報告をしてくれるか??」


「はっ!! 了解しました!!」


「よし、では私の執務室で報告を受けよう」


「お前達、俺と副長が帰って……。来るまで……」


「待機、命令を……」



 ゼェイラさんが足早に立ち去ろうとして王宮へ向かい始めたのだが王都守備隊の隊長と副隊長はその場から動く事無く、糸の切れた操り人形の様に地面に崩れ落ちてしまった。



「た、隊長!?」


「副長!! 大丈夫ですか!?」


「あ――、安心しなって。きっとお前さん達のむさ苦しい姿を見て張り詰めていた緊張感が解けちまったんだろうさ」


 ほら、俺の予想通り大変気持ち良さそうな寝顔を浮かべているし。


「グゥ……」


「すぅ……」


「仕方がない。今日は休ませてやる。おい、二人を医務室へ連れて行け」


「はっ!!」



 ヤレヤレといった感じではにかんでいるゼェイラさんの指示を受けた王都守備隊が中々に素晴らしい所作で彼等を抱えると。



「「「ウォォオオオオ――――ッ!!!!」」」


「隊長!! 俺達が直ぐに運びますからね!!」



 その二人は疲れ切っているんだからもうちょっとゆっくり走りなさいよと思わず突っ込みたくなる速度で医務室の方角へと走り去ってしまった。



「ふぅ――。お疲れ様でした、俺達も今日は宿舎でぐっすりと休ませて貰いますね。報告は彼等が起きてからでも」


 彼等が舞い上げた砂埃を払いつつ話し、それでは!! そんな意味を含めて右手を軽く上げながら宿舎方面へと歩み始めたのだが……。


「馬鹿者が。そうはさせるか」


「ぐぇっ!!」



 彼女に襟を掴まれてしまい襟下が喉元に食い込んで思わず咽てしまった。



「私は一刻も早く国王様に報告をせねばならん。貴様には彼等の代わりに詳細を話して貰うぞ」


「え、えぇ…………。俺も気を抜いたら倒れてしまう程に疲れているんですよ?? ほ、ほらっ!! 傷跡も酷いですし!?」


 服を捲り、負傷した箇所を見せてやるがどうやら彼女は既に聞く耳を持っていない様だ。


「生きているのなら問題無い。行くぞ」


「ヤダ!! 何で王都守備隊の隊員が休めて一冒険者である俺が休めないんだよ!!」


「報告する義務も貴様の仕事に含まれている事を忘れるな」


「誰かぁ!! 誰か助けて!! ここに死体に鞭を放つ悪徳行政官がいますぅぅ――!!!!」



 俺が助けを求めて叫ぶものの。


 どうやら奴等はこれを冗談と捉えている様だ。



「あはは!! 安心しろって、夜明けまでには解放してくれるからさ」


「そうそう!! 頑張って報告して来いよ――!!」


「この人でなし!! ハ、ハンナ!! お前なら俺について来てくれるよな!?」



 雨が降りしきる中で捨てられた子猫ちゃんの様な潤んだ瞳を彼に向けるが……。



「ゼェイラ長官殿。俺はグレイオス殿達の様子を見て来る。ソイツから此度の戦いの詳細を聞くがいい」


 あのクソったれはどこ吹く風といった感じで俺の願いを流しやがった。


「テメェ!! 後で覚えていろよ!! ぜってぇ酷い目に遭わせてやるんだから!!」


「行くぞ。時間は有限である以上、有効活用せねばならんからな」


「うぐぇっ!? ちょ、ちょっと待ってくれよ!! 俺はもう本当にクタクタで……」


「御託なら後で聞く。先ずは突入時点での奈落の遺産の様子からだ」


「お願いですから話を聞いて下さ――いっ!!」


「「「あははは!!!!」」」



 一人の女性が足腰立たない程の疲労感を放つ男の体を容赦無しに引きずり始めると大勢の大蜥蜴達が陽性な笑い声を放つ。


 闇が訪れたばかりの夜にその光景は不釣り合いに見えるが、彼等にとっては相応の光景に映った。何故なら帰還が絶望的だと思われ誰しもが落胆の色を隠せないでいたのだから。


 だが、例えそうであっても絶望的な状況下から帰還した勇気ある者を笑い者にしようと考えますかね??



「も、もうちょっとゆっくり歩いて下さいよ!! 喉が……!!」


「私はこれでも抑えている方だ。さぁ、これから忙しくなるぞ!! 私も覚悟するから貴様も覚悟しておけ!!」


「勘弁して下さいってぇ!! 本当にクタクタに疲れきっているんですからぁ!!」



 鼻息荒く、そして中々勇ましい足取りで俺の体をグイグイと引っ張り続ける女性の御立派な背を情けない声を放ちつつ見つめながらそう考えていた。



お疲れ様でした。


今年ももう直ぐ終わりですね。


何だかあっと言う間に一年が経過した感じがしますよ。


現在進行中のキマイラ討伐編も予定としては後二話となり、今年中に終了を迎える事が出来そうなのでホっと一息ついております。


そして、元旦当日に新しい長編の第一話を投稿しようかと考えています。


予定時刻は次の投稿時までに考えておきますので、決まりましたのなら後書きにて掲載させて頂きますね。



それでは皆様、体調管理に気を付けてお休み下さいませ。

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