第六十六話 想定外の依頼人
お疲れ様です。
本日の投稿になります。
潤沢にそして円滑に滞りなく行われている経済活動に携わる人々は皆一様に明るい笑みを周囲へ振り撒き更なる活性を生み出そうと躍起になっている。
「いらっしゃいませ――!! 当店の御自慢の品を是非一度ご覧になって下さいね――!!」
通りを行き交う人々の鼓膜を震わす威勢の良い客引きの声。
「ほぉ……。これは中々……」
中々人が手に取ろうとしない骨董品に対する感嘆の吐息。
「ねぇ、ちょっとこれ高くない??」
「いやいや!! これが適性価格だよ!! 他の店と見比べてもらっても構わないよ!!」
店主と客との熱き舌戦等々。
本日も王都内は上空に浮かぶ太陽も思わず顔を背けてしまう程に明るい活気に満ち溢れていた。
それに対して俺と相棒の歩みは第三者の目にはどう映るのだろうか??
恐らく……。というか十中十あの人達はきっと酷い損害を被ったのだろうと推測されてしまうでしょうね。
両足に巨大な鉄球を括り付けられたかの様な重い足取り、双肩に圧し掛かる酷い倦怠感によって猫背の姿勢へと移行し、口からは地獄の亡者と思しき呻き声を放っているのだから。
「ウ゛――……。あ、相棒。どうだ?? 痛みは引いたか??」
人口密度が高い歩道の脇を北上しつつ俺と同じ姿勢を保持している彼に問う。
「あぁ、何んとかな……。しかし何故彼女は患部以外を痛め付けて来たのだろう」
「血液の流れを良くする、気の流れが悪いとか色々言ってたけどさ。多分あれは半分趣味じゃね??」
「彼女はしゅ、趣味で人の体をいたぶるのか!?」
鋭い角度の目がキュっと見開かれて俺を直視する。
「そうじゃなきゃ説明出来ないだろ、あの暗殺術紛いの施術は……」
人の首を捩じってはイケナイ方向に捩じり、背骨の稼働限界を優に超える角度にまで曲げ。
更にぃ!! 同じ方向ばかりだと偏ってしまうからというふざけた理由で俺の両足を掴んで逆方向から曲げて来たし!!
人体が許容出来る範囲を超えた激しい痛みにかろうじで耐え抜き、拷問所から命辛々脱出したのだ。
「飢餓鼠から受けた痛みが引く処か、余計悪化した気がするぞ……」
「その意見には同感するよ。ほ、ほら。シンフォニアで明日以降の仕事を決めて、それから昼食を摂って宿でゆっくり休もうぜ」
前方の行列の隙間から見えて来た職業斡旋所の影を捉えると彼の肩を優しくポンっと叩いてやる。
「依頼の請負は貴様の怪我の状態次第だったが、施術の効果かそれとも持ち前の呆れた頑丈さか。たった数日休んだだけで請負を再開出来るのは喜ばしい事だな」
「まぁその数日の間に手痛い出費があったけどね」
依頼達成による成功報酬、三体の飢餓鼠の死体の譲渡。
命の危険を経て得た報酬は中々に豪華であり、節約すれば二月程度過ごせる程の豪華な額を頂いた。
これを元手に色々と必要な物を買い揃えたのだが……。勿論、活発受付娘さんが美味い話を見逃す訳はなく。
『すっごい報酬を受け取ったんでしょ!? 私達お腹空いているからお肉を食べに行くわよ!!!!』
『い、いやいや。これは俺達が死ぬ思いで勝ち取ったお金でありましてぇ……』
『うっさい!! 行くわよ!!』
有無を言わさず俺の首根っこを掴み、俺達が贔屓にしている焼肉屋さんへと引きずられる様に連れて行かれてしまい見事財布役を演じたのです。
大量の食物を摂取して宿に戻り、数日の間慎ましい行動を心掛けていた所為か。
怪我の状態も良くなり翌日以降の仕事再開に備えて施術を受けに行ったのですが……。
整体所に潜む暗殺者さんは加減知らずであり俺達は予想以上の痛烈な痛みを受けてしまったのです。
何で痛みを和らげに行ったのに酷い拷問を受けねばならないんだよ。
だがまぁ――、彼女の腕は痛みという部分に目を瞑れば確かなものだ。数日後には体の状態が良くなり活発に動けるようになるのだから。
問題は刹那の痛みに耐えられるかどうか、その一点に尽きます。
無意味に痛む腰に拳をトントンと当てて痛みを誤魔化し。
「はぁぁああ――い!! 皆さ――ん!! さっさと渡れ――!!!!」
今日はちょっと不機嫌な交通整理のあんちゃんの許可を頂き、大勢の群衆に紛れて西大通りを横断。
その足で懇意に利用させて頂いているシンフォニアへとお邪魔させて頂いた。
「ほぉ――。間も無く第一部が終了する事もあってか、全然利用客がいねぇな」
大勢の利用者を迎える広い室内には指で数える程の者しか確認出来ず、表の大通りは打って変わって心地良い静けさが漂っている。
「よぅっ、いい仕事見付かったか??」
喧噪の残り香として若干の汗臭い匂いを含んだ空気の中を進み、掲示板の前で腕を組んで険しい瞳を浮かべつつ依頼の取捨選択に悩んでいる顔見知りの大蜥蜴ちゃんに声を掛けてやった。
「おぉ、ダンか。怪我の状態はどうだ??」
「ボチボチって所さ。明日から仕事を再開しようかなぁって考えているけど……。病み上がりに似合った依頼はどこかなぁ――」
掲示板に貼られている夥しい量の紙の中から己に似合った依頼を探し始める。
「病み上がりねぇ。纏まった金が入ったんだから暫く休めばいいじゃねぇか」
「俺もそうしたいんだけどよ、ほら相棒が体を動かしたくてウズウズしてんだよ」
入り口から向かって左側に設置されている机の前で静かに座る彼に親指をクイっと差してやる。
「元気過ぎる相棒を持つのも考えものだな」
「ハハッ、全くその通りさ」
裏通りの掃除、武器防具の運搬、飲食店の皿洗い等々。
元気過ぎる相棒が中々受けたがらない依頼ばかりが目立つな。
大陸の人口の大多数が存在する広大な街の経済活動が活発であるのは喜ばしい事だが、このありふれた依頼の数々が慢性的な人手不足である事を証明している。
この斡旋所の利潤はこうした依頼から生まれる訳だが人手不足の問題を蔑ろにしていては経済が滞ってしまう恐れもある。
売り手と買い手。
これが丁度良い塩梅に拮抗する様な政策を打ち出すのも行政機関の役目だが果たして上の者はどう考えているのやら……。
他所の大陸の経済活動に一喜一憂しつつ、相棒が気に入る様な依頼を探していると妙な違和感を覚えてしまう軽い足音を捉えた。
「……っ」
齢六つ程度であろうか。
小さな鞄を右肩から掛けて不安感に苛まれた表情で店内を見渡す一人の少女が居た。
随分と余所余所しいその所作は大人達に多大なる杞憂を与え、俺達の視線を一手に集めてしまった彼女は意を決した様な表情を浮かべると正面の受付へと向かって進んで行く。
「あ、あのっ!! ここはおねがいをうけつけてくれるばしょですよね!!」
背の高い受付所の天辺に向かってそう話すが何分身長が足りぬ為、向こう側に居るドナ達にはその姿が見えない。
「えっと……。お嬢ちゃんはお母さんに頼まれて此処に来たのかな??」
姿形が見えぬ依頼人の依頼に応える為にドナが受付所から出て来る。
「ううん。私ひとりできたの」
「そ、そっか。一人で御使い出来て偉いねっ」
ドナが少女の前でしゃがみ込むと艶のある黒き髪を一つ撫でる。
「ありがとう!! えっとね?? じつはおねえさんたちにたのみたいことがあるの……」
ドナからお褒めの言葉を受け取ると表情が刹那に晴れるが、本題に入るとその明るい顔が曇り始めた。
「わたしのお父さんがおしごと中にけがをしちゃって……。おいしゃさんからなおるまですうかげつかかるって言われたの。ほんとうにいたそうにベッドの上でねててね?? そのけがを早くなおしてほしいの!!」
「そ、そうなんだぁ。お父さんの怪我を早く治したいが為に来てくれたんだね??」
「うんっ!! それでね?? おとうさんのおともだちがおうちに来たとき、すごく遠いばしょにあるおおきな木のふもとにはえている薬草?? をぬればそんなけがはすぐになおるって言っていたの!! だから、おねがい。お父さんのけがを早くなおすためにその薬草をとって来てくださいっ」
「「「……ッ」」」
少女の依頼の中から何かを掴み取ったドナ達の顔が刹那に強張る。
一体どの言葉が彼女達の心を揺さぶったのだろう??
「う――ん……。お姉さん達もお嬢ちゃんのお父さんの怪我が物凄く心配なんだけどね?? 依頼を申し込めるのは十八歳になってからなの」
「え……。じゃ、じゃあおとうさんのけがはなおらないの!?」
「お、お医者さんがきっと治してくれるから!! そ、それまで我慢しようね??」
ドナが今にも泣き出しそうな少女を宥めるが。
「ヤダ――ッ!! おとうさんほんとうにいたそうにしているんだもん!!」
少女の円らな瞳から大粒の涙がハラハラと零れ落ちてしまった。
「ちょ、ちょっと!! 泣かないで?? ねっ??」
こりゃいかん。
渡りに船、じゃあ無いけど慌てふためく受付娘さんに助太刀しますかね。
「――――。あ――あっ、こわぁいお姉さんが泣かしちゃった」
ワンワンと泣き叫ぶ少女の前にしゃがみ込み、彼女の揺れる心の水面を鎮める為に優しく頭を撫でてやる。
「お嬢ちゃん、お名前は何て言うの??」
「ジュッテ……」
「ジュッテちゃんか良い名前だね!! えっとね?? このこわぁいお姉さんは見た目とは裏腹に仕事に忠実でさ。ジュッテちゃんの依頼はこのお店の取り決めに従って受付けられないんだよ」
「ヒッグ……。ヒグッ。それはわかっているよっ。でも、でもぉ……。おとうさん、ほんとうに両足にけがしているんだもん」
「ジュッテちゃんはお父さんの事が大好きなのかい??」
「う、うんっ……。お父さんもお母さんも、お姉ちゃんもだいすき」
「あはは、そっか!! 家族は大切だもんね!!」
ちょっとずつ機嫌が良くなって来たジュッテの肩に優しく手を置く。
「さっきの話の続きなんだけどさ、お父さんのお友達は何処にある木の話をしていたんだい??」
「ん――…………。えぇっとぉ――……」
ほらぁ、頑張って思い出して御覧??
涙を流して赤く染めた瞳を閉じ、少女らしからぬ唸り声を上げて頭の中に存在する記憶の海の中から目的の言葉を探していく。
「ンン――……っ。そ、そうだ!! 西のほうにある大きな森の中に生えている木っていってたよ!!」
「西の方角、ね。うん、分かった。じゃあお兄さんがジュッテちゃんの依頼を請け負ってあげるよ!!」
「ほ、本当!?」
俺の言葉を受け取ると、ジュッテちゃんの意気消沈していた表情がパァぁっと爽快に晴れ渡って行く。
「お兄さんはまだこっちの大陸に来てから日が浅くてね?? その木を探す為に色々と情報を集めて、それから出発するけどそれでもいい??」
「う、うん!! いいよ!!」
「――――。御取込み中大変申し訳ありません。ちょぉぉ――っといいかしら??」
ジュッテちゃんと依頼の段取りを決めていると右耳が物理の法則に反して上空へと昇って行く。
「いででででっ!!!! 耳が千切れるから放しなさいよ!!」
暴力上等なラタトスクちゃんに右耳を引っ張られながら壁際へと連行され。
「あんたね、うちの店の中で勝手に動き回るのは止めなさいよ」
普段のソレとは真逆の大変真面目な瞳で釘を差されてしまった。
「別にいいじゃねぇかよ。俺はあくまでも個人的にジュッテちゃんの依頼を受けようとしているんだし。それなら問題無いだろ??」
「それが大ありなのよ。あの子が話していた大きな木、それはね……」
ドナが耳打ちする所作を見せるので痛んでいない左耳を傾けてやる。
『神聖な森の中に生えている聖樹の事だと思うんだ』
聖樹?? また聞き覚えない単語だな。
『続けてくれ』
『ここから大陸の西へと向かうと本当に広大な森が見えて来る。聖樹はその中枢に生えていると私は両親から教えられたわ。私達ラタトスクはその森の周辺に住んでいて……。よそ者が神聖な森に入らない様に監視しているの』
『つまり、その森に入る為にはラタトスクの里の許可が必要なんだな??』
『そういう事。でもね、例え許可を得て神聖な森に足を踏み入れたとしても聖樹までは辿り着けないと思う』
『それはまたどうして』
『――――。森の中にはダン達が討伐した飢餓鼠の大群が棲んでいて、それを捕食する巨大な黒蠍が居るの。他にもまだ危険な生物が跋扈している森だし、ハンナさんが空から聖樹を見付けて下降する事も出来ない。森の中枢には木々が密集していて、その頂点には猛毒が含まれた茨の蔦が絡み合う様に茂っているからね』
空からは侵入出来ず、地上から向かえば恐ろしい野生動物が襲い掛かって来る。
その森の近くで生まれ育った者が厳しい口調でそう話すのだ。恐らく俺が想像している以上の危険が蔓延っている筈。
しかし……。
『聖樹があると知っているのは……。実際にその聖樹を己が目に焼き付けて帰還した者が居る証拠だろ??』
そう、何も決して踏破出来ない訳ではないのだ。
『う、うん……。そうだけど……』
『それなら結構。有難うよ、忠告してくれて』
何やら心配そうな瞳を浮かべている彼女に一言礼を伝えると、不安気な表情で俺達を見つめていたジュッテちゃんの下へ戻る。
「お待たせ、ジュッテちゃん」
「ううん、だいじょうぶ」
「あはは、そっか。あっちのこわぁいお姉さんと相談したんだけど……。俺とあそこでムスっとした顔を浮かべているお兄さんがジュッテちゃんのお願いを聞く事になりました」
「ほ、ほんとう!?」
「勿論さ。ただ、ジュッテちゃんが話してくれた森は本当に遠い場所にあるから……。そうだね。今は十一ノ月の後半だから年末までには戻って来られるとは思うけど。それでも構わないのならお兄さん達がジュッテちゃんのお願いを聞いてあげるよ」
「いいの!? じゃあおねがいしますっ!!!!」
彼女が軽快にピョコンと頭を下げ、小さな御手手を此方に差し出してくれるので。
「此方こそ宜しくね」
子供が痛がらない強さで彼女の手を握り締め、契約が成立した事を伝えてあげた。
「あ、そうだっ!! おねがいをきいてもらうためにはお金がいるんだよね??」
「お兄さん達が無事依頼を達成出来たらお金を貰うよ」
鞄の中に手を入れた彼女の所作は不要だと伝えてあげる。
「わかった!! じゃあ私、まっているからね――!!!!」
まるで初めての御使いを無事成し遂げたかの様に陽性な笑みを浮かべて右手を振ってくれる。
「お父さんとお母さんに宜しく伝えておいてね――!!」
「うん!! ばいばぁ――いっ!!!!」
本当に素敵な笑みを受け取ると心の空模様がスカっと晴れ渡って行く。
妖艶で美しい美女の微笑みも最高だけど、偶には子供の純粋な笑みも受け取ってみるもんだなぁ。
最近は疲れる事ばかりだったし、本当に癒されましたよ。
「ふぅ――……。さぁってと……」
頑是ない子を見送るとユルユルに緩んだ気持ちを引き締め。
「では、今回の愚行に至った経緯を説明させて頂きますね」
天界に住まう神々も思わず生唾をゴックンと飲み込んでしまう怒気に塗れた表情を浮かべている彼女の前でキチンと膝を折り畳み、事情説明の準備の姿勢へと移行した。
「おう、話せ」
顔、こっわ。
柴犬同士が喧嘩をする前にみたいに鼻にふかぁい皺を寄せちゃって……。端整な御顔が台無しですわよ??
「あんな小さな子がたった一人でここを探し求めて歩いて来てくれた。それはもう不安で不安でしょうがなかったっと思います。大勢の見知らぬ人達に囲まれ、恐怖心に駆られるも漸く見付けたお店で実の父親の怪我を治して貰おうとしたのですが……。生憎年齢制限に引っ掛かりそれは叶わなかった。家では大好きな父親が痛みで苦しみ、一家を支える大黒柱が床に臥せているのなら恐らく家計に大打撃を与えるでしょう。勿論、似た様な問題を抱えている家庭は多く存在して一々それに応えていたら自分の身が持たない事は重々承知しております。でも……。あの子の家族を想う本当に温かな感情が俺の心を突き動かしたんだ」
自分の心に浮かぶ言葉をありのまま、一切装飾を加える事無く伝えた。
ジュッテちゃんはきっと父親が怪我で再起不能になってしまう事を恐れているんだろう。
幼い頃に両親と死別した俺は家族を失う痛みを知っているし、その恐れも理解出来る。
それと何より彼女は血の繋がった者が苦しむ姿を見て居られず、一秒でも早くその痛みから解き放ってあげようと考えている本当に良く出来た子供だ。
その願いを叶えられる力があるのなら手を差し出してあげる。それが大人のあるべき姿だと思うんだよね……。
「優しいあんたがあの子の願いを叶えてあげたい気持ちは分かるけど…………」
俺の言葉を受けても納得いかない様子だ。
ドナが下唇をキュっと噛んだまま俺を見下ろす。
「我々は数か月依頼をこなさなくてもよい資金を持っているので長期の離脱は可能だ。それと、俺は聖樹の森に潜む黒蠍とやらに興味を持ったぞ」
おぉ!! さっきの内緒話を聞いていたのか!!
ハンナが椅子に腰かけたまま俺に助け舟を出してくれた。
「ほ、ほら!! ハンナも付いて来てくれるって言ってるしさ!!」
「チッ、仕方がないわね……。私達の里の仕来り、掟とか説明してあげるからこっちに来い!!」
ドナが小さく舌打ちを放つと応接室へ続く扉へと向かう。
ラタトスク達にとって神聖な森によそ者である俺達は足を踏み入れるべきでは無い。それは重々理解していますけども、今の舌打ちは必要でした??
「請け負ってもいいの!?」
正座の姿勢を解除するとまだまだ怒り足りない様子のドナの背へと向かって歩み出す。
「私はまだヨシと言っていないから!! 段取りだけ説明してあげるだけだからね!!」
うふふ、お母さんは理解しているのよ?? 本当は貴女も彼女の願いを叶えてあげたいって。
取り決めに従って門前払いをすれば良かったのだが、ドナはジュッテちゃんの願いを聞くと躊躇した。
あの時の優しい目を見れば一目瞭然さ。
「何見てんのよ……」
「ふふっ、優しい子に成長してくれてお母さんは嬉しいなぁって」
「何であんたが私の母親面するのよ!!」
「いでぇっ!!」
ドナが応接室に続く扉を開こうとした手を離すと俺の顎に素晴らしい雷撃を放つ。
「何でいきなり殴ってくるんだよ!!」
いきなりの衝撃で顎の骨ちゃんが顰め面を浮かべちゃったじゃない!!
「人の気持ちを逆撫でするからよ。ほら、そこの飼い主の言う事を聞かないワンちゃん達。私について来なさい」
「へいへい……。相棒、いきなり殴られない様に気を付けろよ」
「俺は貴様程注意散漫では無いからその心配は無用だ」
左様で御座いますかっと。
さてさて!! ジュッテちゃんの願いを叶える為に恐ろしい生物が蔓延る森の詳細を傍若無人なラタトスクちゃんから聞くとしましょうかね!!
扉を潜り抜け、相も変わらず清掃が完璧に行き届いている廊下をいつもより大変慎ましい所作で進んで行った。
お疲れ様でした。
先日の休日はゆっくり休んだ所、何んとか背の痛みは我慢出来る程度までに収まって来たのですが。まだズゥンとした張りの痛みが残る状態ですね。
このままでは不味いので、愛車に跨り時間を見付けてスーパー銭湯の炭酸風呂に浸かって来る予定です。
さて、先日の投稿時には気付かなかったのですが。本話を投稿した時に何気なくPVを確認させて頂いた所……。な、何んと!! 五十万PVに到達しているではありませんかっ!!!!
これまで連載を続けてこれたのは全て読者様の御蔭で御座います。そして、これからも彼等の冒険を見守り続けて頂けたら幸いです。
そして、ブックマークをして頂き有難う御座いました!!
五十万PV達成、更にブックマークをして頂けた。正に今日は記念すべき日ですよ!!
この幸せを噛み締めつつプロット執筆作業に戻りますね。
それでは皆様、お休みなさいませ。