第五十四話 たどたどしいお誘い
お疲れ様です。
週末の深夜にそっと投稿を添えさせて頂きます。
雲一つない青く澄み渡った空の中で本日も絶好調な笑みを浮かべるクソッタレな彼とは正反対の顔を浮かべ、微妙な痛さと重さが残る体を引っ提げて北へと向かう。
歩く度に腰の骨が顔を顰め、背骨の一本一本が。
『ちょ、ちょっと止まろうか』 と。
額に汗を浮かべて俺の足を制止しようとする。
何で患部以外の場所を痛めてまで治療をせねばならんのだと、誰にも言えない愚痴を心の中で唱え続けてていた。
「施術中に貴様の情けない叫び声が届いたが……。アレは一体何が起こったのだ??」
「横着な女医さんが俺の上半身を有り得ない角度に曲げた結果、叫びたくも無い声を叫んでしまったんだよ」
然程心配する素振を見せぬ彼に対し、憤りを籠めた台詞を吐き捨てる様に言ってやる。
「そうか。それは災難だったな」
はい、嘘――。
人を労わる様な言葉を放っておいてその目は南大通りで絶賛建設中の屋台達に目を奪われていますものねっ。
「テメェ……。俺の身を労わるのならちゃんと人の目を見て話せよ」
「貴様の不注意が招いた結果だ。それを確と受け止めろ」
「あ、あ、あのねぇ!! 股間に獣の鼻頭ぶち込まれて嬌声を上げない奴が居る訳ねぇだろう!!」
相も変わらず南大通りの中央を見つめながら北上している相棒の肩をまぁまぁな勢いで殴ってやった。
「世界は広いからな。探せば一人や二人居るやも知れぬな」
「あぁ、そうですかっと……」
ちっ、少し位痛がる素振を見せやがれ……。
何だか全然釈然としないまま人の流れに沿って歩いていると顔見知りの大蜥蜴ちゃんが俺達に向かって声を掛けてくれた。
「よぉっ!! ダン、ハンナ!! 元気にしているか!?」
東大通り沿いでバルナを扱う店を開く店長さんだ。
「お――。御蔭さんでまぁまぁ元気だよ」
心は元気だけど背骨と腰はヒィヒィ言っていますけどね!!!!
黒みがかった深緑の鱗に薄っすらと汗を浮かべている彼に対して若干弱々しく右手を上げてあげる。
「まぁまぁかよ!! 俺は元気一杯さ!! 何て言ったって出店の抽選に当選したからね!!」
出店の抽選??
その言葉に誘われる様に歩道から大通りへと出た。
「この場所に出店出来るのはその抽選とやらに当選しないと無理なのか??」
南北にずぅっと連なっている屋台群に視線を送りつつ話す。
「そうさ!! 年に一度行われる王誕祭では、この大通りを歩行者専用通路にする。二日間行われる祭りで各地方から大通りに出店出来る事を夢見て本当に多くの商人が訪れるんだ」
大陸一の街、尚且つ祭りという特別な行事が行われる日。
一年に一度の行事に地方から大勢の者がこの街へ足を運びそれ相応のお金を落としていくのだろう。
それが数百人単位なら彼の様に諸手を上げて喜ぶ筈はない。
その日だけ数万単位に増えた人口がこの南大通りを跋扈して金を使い、捕らぬ狸の皮算用じゃあ無いけども。彼はその二日間で得られる利益にもう満足して眩い笑みを浮かべているのだろうさ。
「出店数よりもかなりの多くの出店希望者が現れて涙を流す人の方が多いのか。因みに当選倍率はどれ位なの??」
「聞いてくれよ!! 何んと今年の当選倍率はぁ……。約千五百分の一だったんだよ!!」
うっは、すっげぇ幸運だな……。
「毎年抽選に落ちてたから今年こそは!! と思って応募したんだけど。まさか本当に当選するとはねぇ」
「ここに出店出来るのは一握りの選ばれし者達って事ね。所で、店長は何を売るつもりなんだよ。まさかいつも通りのバルナって訳にはいかないよな??」
彼の店が扱うバルナの値段は少々張りますが大変味も良く、仕事帰りに相棒が良く強請る程。
他の店で銅貨一枚払えば二本帰るってのに、腹ペコの白頭鷲ちゃんは。
『あの店のバルナは味が良く栄養価も高い。他の店の品を二つ食うくらいなら俺はあの店を選ぶっ』 と。
テメェはお出掛けから帰る途中にお菓子を強請る餓鬼かと思わず突っ込みたくなる台詞を吐いていた。
まぁ俺も彼が扱うバルナの味にぞっこんなので人の事は言えませんけども。
「その通りっ!! いつも贔屓にして貰っているし、味の感想も聞きたいから試食していくかい??」
「おぉ!! 宜しく頼むよ!!」
「お任せあれ!! おい!! アレを作るぞ!!」
「「「へいっ!!!!」」」
店長が出店作業を続けている他の大蜥蜴ちゃん達に指示を出すと彼等が氷の箱の中から美しい黄色が目立つバルナを取り出し、更に違う箱からやたらと可愛い丸みが目立つ白桃に似た果実を取り出した。
「ん?? 店長。あの桃に似た果実は何??」
柔らかい桜色と白が混ざり合った綺麗な色の外皮、そしてきゃわいい女の子のお尻ちゃんを彷彿させる湾曲具合が目に嬉しいですね。
「あれはチピィと呼ばれる果実さ。味も形も桃に似ているけど全く異なる物だぞ」
「全く異なる?? じゃあアレは果実じゃなくて違う何かだと??」
「――――。よっしゃ!! お前達!! 先ずはチピィの果汁を絞り出せ!!」
「「「おう!!!!」」」
いやいや……。人の質問に答えて下さいよ……。
やたら既視感を覚えてしまうやり取りに辟易していると、チピィを扱う大蜥蜴ちゃんが手慣れた所作で果実ごと圧し潰してコップに果汁を絞り出す。
果汁の色は少し濁った白濁色でかなりの糖分が含まれているのか、彼等と結構離れているのにあまぁい香りが此処まで漂って来た。
「ほぅっ……。良い匂いだな」
「だな。問題は味だよ、味……」
白濁色にはにがぁい思い出がありますからねぇ。
どうか味だけは良好でありますようにっ。
祈る想いで彼等の作業を眺めているとバルナを取り出した大蜥蜴ちゃんが薄い布にバルナの実を入れ。
「しっかりと濾してぇ……。ふんっ!!」
デカイ手を器用に扱って先程チピィの果汁を入れたコップの中に濾して小さくバラバラに矮小になったバルナの実を投入。
「そしてぇ……。ここからが俺の腕の見せ所さっ!!!!」
更に違う大蜥蜴ちゃんがチピィの果汁とバルナの細かい実が詰まったコップを手に取ると、彼の手の平の上に小さな青い魔法陣が浮かび上がりコップの中身が急速に冷えて行く。
「さぁってこれにて完成!! 俺が死ぬ程頭を悩ませて作り上げた『氷結バナピィ』 の出来上がりさっ!!!!」
店長が嬉しそうに喉をキュキュっと鳴らして完成した氷結バナピィを俺に差し出してくれた。
「おぉっ!! 果実と果汁を半分凍らせ、更にコップもひんやりしてていい感じじゃん!!」
暑い季節に誂えた様な出来栄えに思わず唸ってしまう。
「見た目だけじゃなくて味も保証するよ」
「そ、それじゃあ早速……。頂きますっ!!!!」
ひんやり冷たいコップの淵に唇ちゃんをくっ付けると、半分凍ってトロっとした粘度に変容した氷結バナピィを御口に迎えてあげた。
「はっふ……。ほぉむ……。ンンッ!? んまぁぁああああ――――いっ!!!!」
お、おいおい!! 何だよこの美味さは!?
氷結バナピィを口に入れた刹那に感じたのは氷の嬉しい冷たさだ。
そして粘度の高い凍る果実を舌の上で転がすとあまぁい液体がじわりと口の中一杯に広がり思わず目尻が下がってしまう。
舌の上で溶けたバナピィを咀嚼するとジャリっとした食感が歯を喜ばせ、鼻からふわぁっと抜けて行く桃に似た香りがたちどころに心をトロトロに溶かしてしまう。
絶妙な冷たさ、果汁と果肉の甘さの相乗効果は破壊力抜群で思わず声を大にして美味さを叫んでしまった。
す、すげぇ……。二つの果実を合わせただけじゃなくて、一度半分凍らせる作業を入れる事によって完璧な品へと昇華している。
店長が頭を悩ませただけあって最高に美味い品に仕上がっているぞ……。
「たかがコップ一杯に大袈裟な奴め」
「ハ、ハンナ!! お前も飲んでみろよ!!」
仰々しく叫んだ俺を呆れた顔を見つめている相棒にコップを渡してやる。
「ふんっ、作業を見ていたからある程度の美味さは想像出来るからな。貴様の様に大袈裟に叫ぶのは……。ッ!?!?」
ほぉぉらっ、美味しいでしょう??
ハンナが氷結バナピィを口に含んだ刹那に青い髪の毛がふっっわぁっ!! と浮き上がってしまいましたもの。
「あはは!! 気に入ってくれて嬉しいよ!!」
その姿を捉えた店長が軽快な笑い声を放った。
「いやぁ、本当に美味いよ。所でこの氷結バナピィは幾らで売るつもりなの??」
「コップ一杯銅貨五枚を予定しているよ。その場で飲んで貰ってコップを回収して、洗い場で飲み終えたコップを綺麗に洗う。氷結バナピィの中身を作成する者、氷結する者、そして洗い場担当。忙しい作業の割には安いと思わないかい??」
銅貨五枚は銀貨半分の価値だが……。それを支払っても余りある効用を与えてくれる。
「逆に安過ぎじゃね?? 店員さん達の労力を考えたら銅貨七枚程度の価値位はあるだろう」
「庶民相手に銅貨七枚は少々値が張るし、それに高過ぎると誰にも見て貰えないからね。丁度手に届く価値が無難なのさ」
「商い魂に恐れ入るよ。所で……。後でコップを返却しに来るから氷結バナピィを三つ買う事は可能かい??」
「別に構わないけど……」
「よっしゃ!! それなら三つ買わせて貰うよ!!」
懐の中から銀貨一枚、そして銅貨五枚取り出して店長さんに手渡してやった。
「ふぃさま。三つも購入してふぉうするつもりだ」
幸せな咀嚼を続けるハンナが首を傾げる。
「ドナ達の差し入れに買って行くのさ。ほら、整体所を紹介して貰ったお返しと思って」
「ふぉん……。成程」
お母さんはいつも言っているでしょう?? 口の中に物を入れたまま話すなって。
行儀の悪い息子に諸注意を放とうとすると。
「お待たせ!! 三つ出来たぞ!!」
店長さんがニッコニコの笑みで三つの氷結バナピィを渡してくれた。
「有難うよ!! 後でコップを返しに来るから!!」
「おう!! ついでに宣伝しておいてくれ!!」
ははっ、ちゃっかりしてら。
最高のおいしさを提供してくれた彼に景気よく手を上げると俺達が贔屓にしている斡旋所へ歩み始めた。
「へへっ、この美味さにドナ達もきっと驚くだろうさ」
「たった一工夫で美味さが跳ね上がる……。商人魂の神髄を垣間見た気がするぞ……」
仰々しく話すのは結構ですけども、頼むから我慢してくれよ??
それは差し入れ用に購入した物なのですから……。
「おい、絶対飲むなよ??」
今にも二杯目の氷結バナピィを頂こうとしている相棒に釘を差すと。
「ど、どうぞ――!! お通り下さ――いっ!!!!」
暑さと人の熱気で今にも倒れてしまいそうになっている交通整理のあんちゃんの許可を頂き大通りを横断。
「よ――っす!! やってるかぁ!?」
場末の酒場に訪れた常連客の常套句を放ち、いつもの熱気と比べて随分と静かなシンフォニアへとお邪魔させて頂いた。
う――む。もう直ぐ受付嬢達のお昼休憩を迎える所為か、片手で数える程度の請負人達しか居ませんね。
「大変申し訳ありません。もう間も無く第一部終了の時間ですのでお引き取り下さい」
俺とハンナの登場にちょいと驚いたドナが冷たい台詞を吐いて苦言を呈す。
「うっわ、ちゅめたいなぁ……。それが友人に対して放つ台詞なのかい??」
背の高い受付に体を預けて話す。
「何処に目を付けてんのよ。私は今勤務中だって言っているでしょ??」
あらあらぁ……。凄い量の依頼書の数ねぇ……。
明日から始まる王誕祭に向けて最後の追い込みって感じかしら。
休みが訪れるのは嬉しいけども休日の分の仕事も片付けなきゃいけないから大変だよね。
「あっそ。それじゃあ勤務中のドナちゃんにはこの差し入れは不要なのかもねぇ――」
「はぁ?? 差し入れ??」
「凄く冷たくてぇ、舌触りも最高な差し入れを買って来てあげたんだけどさぁ。あ、レストとミミュンは頂くよね??」
目力鋭い彼女の隣で黙々と仕事を熟す二人に視線を送る。
「差し入れ!? うん!! 頂戴っ!!」
「丁度一息付こうかと思っていた所なのよ。助かるわ」
ハンナがレストに、そして俺が二つある一つのコップをミミュンの前においてあげる。
「凄い美味しそう!!」
「整体所から帰って来る時に偶々見付けた屋台で作って貰ったんだよ。冷たくて物凄く甘いから飲んでみて」
「そ、それじゃあ頂きます!!」
「頂きます」
彼女達が静かにコクコクと氷結バナピィを飲むと。
「んぅっ!? 冷たくて美味しいぃ――!!」
「本当ね……。甘い果実と冷たさが絶妙に合うわ」
御二人の受付嬢から合格点を頂けた。
「さてさてぇ?? ドナさんやい。差し入れは如何かしら??」
「……っ」
美味しそうに飲む二人の所作を心急く思いで眺めていた彼女の前にコップを置くと。
「寄越せ!!」
瞬き一つの間にコップが向こう側に消失。
「んっ……。んっ……。うっそ!? 何コレ!? 滅茶苦茶美味しいんだけど!?」
驚きを表す様に彼女のオレンジ色の瞳が縦に見開かれた。
「氷結バナピィって飲み物らしいよ。ほら、東大通りでバルナを扱うお店があるだろ?? そのお店の店長が屋台を開く事になってさ」
「へぇ……。そうなんだ」
「何でも?? 物凄く幸運な抽選に当選したらしくてさ」
「あそこに出店出来るだけで幸運なのよ。知ってる?? 今年の抽選倍率」
「あぁ知っているよ。店長から聞いたけど千五百分の一なんだってな。それだけの倍率って事は王誕祭の収益は相当見込めるって事だよね??」
「そりゃ勿論。地方から訪れた観光客、熱気に当てられた地元民達の財布は年に一度の祭の魔力によって弛んじゃうからね」
陽性な気分が財布の強固な装甲を脆弱にして大勢の者達が浮かべる笑みが判断を惑わす。
お祭りに参加したいのは山々だけど、年に一度という強過ぎる誘惑に注意して過ごそうかしら……。
「あ、そうそう。整体所を紹介してくれて有難うね」
「ふふ、何よ。その取ってつけた感じのお礼は」
氷結バナピィの力によって口角が緩みっぱなしのドナが此方を見つめる。
そりゃああんなふざけた施術を受けるとは思っていなかったし。
「闇に乗じて現れた暗殺者擬きから酷い仕打ちを受けりゃこんな風にもなるさ」
「あはは。やっぱりアレを食らっちゃったのね」
「お前さん……。もしかして知っていて黙っていたのか??」
「さぁ――ねぇ――」
危険な施術が待ち構えていると話せば俺が逃げ出すと思っていたのだろうさ。
目から涙が零れ落ちる程の痛みであったが……。徐々にだけど体に纏わり付いていた重みが軽減された気がするんだよね。
しかし、脇腹の痛みが感知するまで後数回通わなければならないと思うとちょいと辟易してしまいますよ。
「相変わらず冷たい事で……。それじゃ俺達は飲み終えたコップを返却しなきゃいけないから、王誕祭が終わってからまた会おうや」
「御馳走様でした!!」
「態々有難うね」
ミミュン、レストから空になったコップを受け取ると。
「ん。ほら、早く出しなさいよ」
ドナの前に戻り、空いたコップを差し出せと催促してやった。
「えっ……と。王誕祭の期間中はお店が休みなるじゃん??」
「あぁ、そうだな」
何だ?? 急に頬を朱に染めてしおらしくなって。
「そ、そのさ。折角の休みだし、ダンが物凄――く!! 暇だったらでいいんだけど。一緒に屋台とか回らない??」
お、おぉっ!! 活発な姿に微かな陰りが見えたのはその所為だったのね!!
きゃわいい女の子の誘いは断る訳にはいきません!! 例え空から夥しい量の矢が降って来たとしても!!
「勿論!! 俺も丁度暇だったし!!」
「そ、そっか!! 良かった!! ほら、ダン達が自爆花の依頼を成功させて豪華な報酬を受け取ったし。沢山奢って貰おうかなって考えていたのよ」
あ、あれ?? 俺自身を求めていたんじゃなくて、質量が増加した財布目当てだったのかしら……。
「あのな?? 怪我人を財布代わりにしてどうするんだよ」
巨大な溜息と共に苦言を吐く。
「いいの!! じゃあ私の家に朝の九時頃迎えに来て!! 服装は自由!! 以上解散!! ほら帰った帰った!!」
足元に絡みつく駄犬をシッシッ!! とあしらうように右手を勢い良く二度振る。
「へ――へ――。財布係はお暇しましょうかね――」
「失礼する」
相棒と共に何だか釈然としない気持ちのままシンフォニアを後にした。
あの赤らみ具合からして頑張って誘ってくれた事は嬉しいのですけども。ドナの魂胆が明瞭になった今。明日のお出掛けにちょっと億劫になってしまいますね。
「ハンナはどうする??」
「宿で時間を潰す。人通りが多いのは得意では無いからな」
いやいや、それはそれで寂しいだろ……。
「じゃあレスト達の家で飯でも作って貰えば?? ほら、俺が朝行くとき一緒に行けば大丈夫だし」
「ふむ……。それなら……」
「だろ?? 俺達が遊んでいる間、ちゃんと大人しくしているんですよ??」
友人の家に我が子を預ける時の母親の口調でそう話すと。
「喧しいぞ」
俺達の周りで明るい笑みを浮かべて歩く人達よりも随分と早い速度で南大通りへと向かって行ってしまった。
「あ、おい!! 待てよ!!」
明日は楽しいお出掛け、か。
最近は疲れる出来事が一杯あったし、丁度良いかも知れないな!!
そ、そしてあわよくば大人の時間を過ごせるかもしれないし!? ドッキドッキな間違いが起こるかも知れないし!?
イイ感じに焼けた健康的な肌にそっと手を添えると彼女が微かに甘い吐息を漏らし、端整な顔がトロぉんと溶け落ちて何かを請う様に俺に向かって手を差し出す。
その手に五指を甘く絡み合わせて二人は燃え上がる情熱に身を委ねてあつぅい一夜を過ごすのだ。
活発な普段の姿からは想像出来ない女の表情を浮かべるドナの顔が頭の中にぽぅっと浮かぶとそれだけで心が陽性一色に染まってしまった。
む、むふふっ。今からワクワク感が止まりませんよっと!!!!
どうか明日は素敵な一日になりますよ――にっ!!
強面の白頭鷲ちゃんが憤り全開で歩むのに対し、俺は随分と浮かれた歩調で南大通りを進んで行ったのだった。
お疲れ様でした。
本日もビックリするくらい暑かったですね……。まだ夏が始まったばかりだというのにもう既に秋を請うている自分がいます。
四季折々を楽しむのが日本らしくていいと思うのですが何事も限度ってものがあると思うんですよね。
皆さんも熱中症に気を付けて夏を楽しんで下さい。
それでは皆様、お休みなさいませ。