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今日も今日とて、隣のコイツが腹を空かせて。皆を困らせています!!   作者: 土竜交趾
過去編 ~素敵な世界に一時の終止符を~
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第三十六話 命がけのつまみ食い その二

お疲れ様です。


後半部分の投稿なります。




「いざ行かん……。性欲の大海原へっ!!!!」



 一切の物音を立てずに立ち上がると、夜鷹のハインド先生直伝の所作で馬鹿騒ぎを続けている宴会場の背後をしずか――に通過。



「まだまだ宴は続きますからね――!! じゃんじゃん焼いて、どんどん持って行きましょう!!!!」


「「「はぁ――いっ」」」



 勝利の美酒に酔いしれている宴会場からちょいと離れた位置で食事の世話をしている後援部隊へお邪魔させて頂きました。



「お酒の配給の準備は出来た!?」


「うん!! 今終わった所!! それより御米がまだ炊き上がっていないんだけど!?」


「今やってる――!!!!」



 あらあら、まぁまぁ……。うふふ、ここは雄の匂いが一切しない男子禁制の女の子達の園よねぇ。


 腹を空かした獣達の腹を満たそうとしてうら若き女性達が額に汗を浮かべて懸命に体を動かしていた。



「ほら!! こっち出来たよ!!」


 中々素晴らしい所作で鍋を振るうとプックリと膨らんだお胸ちゃんがたわわんと揺れ。


「有難う!! じゃあ持って行くね!!」


 矮小な汗粒が浮かぶ健康的な笑みが男のナニかを刺激してしまう。



 うんうんっ、いいじゃないかいいじゃないか!! これこそ荒んだ心を潤してくれる景色なのですよ。


 軽やかな足取りで彼女達の奮闘ぶりを眺めていると。



「あれ?? ダンさんどうしたんですか??」



 この前食べ損ねてしまった大盛ちゃんが土鍋の前でちょこんとしゃがんだまま俺に声を掛けてくれた。



「無理をし過ぎていないかどうか、皆の様子を見に来たのさっ」


 勿論、これは超建前でありスケベな本音は視覚をそして心を潤す為に参った次第であります。


「有難う御座います。私達は戦いに参加していませんからね。その分ここで頑張らなきゃいけないんですよ」



 ま、まぁっ!! 何んと健気な!!!!



「有難うね……。君の頑張りが皆の体を癒してくれるんだよ??」


「ひゃっ!! え、えぇ。有難う御座います……」



 土鍋の前でしゃがみ込む彼女の背に何気なく体をくっ付けてそう話す。



 お、おぉっ……。すっげぇ良い匂い……。


 俺達の前にある簡易窯から届く炭の香り、ちょいと汗ばんだ彼女の肌から放たれる性欲をギュンギュン刺激してしまう汗の香。


 そしてぇ!!!!


 服を内側からキュムゥゥっと押し返す愛しの大盛ちゃん!!!!



 視覚と嗅覚、いやそれどころか五感全てが満場一致で合格点を叩き出してしまう雰囲気に思わず生唾をゴックんと飲み干してしまった。



「疲れたろ?? ほら、首回りがコリコリだ」



 男の性欲を促す彼女のうなじに静かに両手を添え、凝り固まった筋肉を解してやる。



「だ、大丈夫ですよ。私は皆さん程疲れていませんから……」



 口では嫌がっても体は正直なんだなっ。


 前方に体重を掛けていたのだが今は完全完璧に俺の方へ傾けていますもの。



「皆の疲れを解すのも責任者の務めさ」


「ダンさんは……。怪我もしています……」



 彼女が俺の右腕に巻かれている白き布へ静かに手を添える。



「怪我を癒してくれるのかい??」



 彼女の背後から左腕で優しく体を抱き締め、彼女の肩口から右腕を前に出して柔らかい体を優しく拘束してあげた。


 く、くはぁっ。やわらけぇ……。


 さり気なくしか触れていないけども、彼女の柔肌の感触が両腕を通して心を満たしてくれるじゃあありませんかっ。



「きゅ、救護班の方に頼めば治療してくれると思いますよ」


「俺は君に治療して欲しいのさ」



「――――。君じゃなくて、私の名前はロミュンです……」


「ロミュンちゃんか良い名前だね」



 右腕の前腕で彼女の重た過ぎる双丘をやさし――く支えてあげると。



「やっ……」



 皆が見ている手前、恥ずかしい行為は出来ない。でも心の欲求に素直に従いたい。


 相対する感情に突き動かされて心がどうにかなってしまいそうになる女の声が零れた。



 こ、これは……。イケルッ!!!!


 もう何度も掴んで来た女性の無言の了承の合図を受け取ると猛りに猛った性欲さんが心の奥底で猛烈な勢いで腹筋運動を開始してその時に備え始めた。



「安心して?? 直ぐに体が溶け落ちちゃうから……」


「……っ」


 心の奥底から雄叫びを放つ獰猛な性欲の指示に素直に従い、耳まで真っ赤に染まってしまった彼女の体をギュっと抱き締めた刹那。











































「――――。へっ?? はれれっ?? 何で体が浮くのかしらっ??」



 麗しの彼女の体が無慈悲にす――っと離れて行ってしまう。


 それから微かに遅れて双肩に己の体重が重く圧し掛かり、鼻腔には何故か獣の匂いが届いた。


 物理の法則に無視して宙に浮く体、鼻腔に届く獣の香、そして……。



「じゃ、じゃあ私は炊き上がった御米を運びますねっ」



 恐ろしい生物を捉えたかの様に怯えるロミュンちゃんの両の瞳。


 これらの情報を統合すると一つの絶望的答えに辿り着いてしまった。



「あ、あぁ。いってらっしゃ――い……」



 さ、さぁって!! 物凄い勢いで頭を回転させて言い訳を考えましょう!!


 脱兎の如く逃げ遂せた彼女に優しく手を振り、その時に備えて奥歯をグッ!! と強く噛み締めた。



「どわぁぁああああ!?!?」



 服の襟を食む巨大な嘴が素早く動くと俺の体は面白い角度で宴会場の方へと吹き飛んで行き。



「ぐぇっ!?!?」



 続け様に夜空から猛烈な勢いで襲い掛かって来た雌の大鷲の鉤爪に拘束されてしまった。



「――――。ねぇ、今のは何の冗談??」



 死神も思わず顔を青ざめてしまうドスの利いた声が直上から降って来る。



「い、い、いや!! 違うんです!! これには深い訳があるんですっ!!」


 ドス黒い殺意に塗れた大鷲の瞳を直視して叫ぶ。


「ぎゃはは!! ダン!! どうしたんだよ――!!」


「楽しそうだな――!!」



 テメェらの目は節穴か!?


 獲物を食い殺す目を浮かべて恐ろしい鉤爪に拘束されているんだぞ!? 楽しい訳がねぇだろ!!



「訳?? 私が殺意を抑えている間に簡素に伝えなさい」


「は、はいっ!! じ、自分はこの作戦の総指揮の一旦を担っております。後方部隊の奮闘ぶりを確かめるべく足を運んだ所。ロミュンちゃんの……」



「――――。ちゃん??」



「ロミュンさん!! の様子が芳しくなかった為!! その扶助をしておりました!! 自分に一切の過失はなく!! こうして拘束されているのは少々……」



 余裕で人体を両断出来てしまう強力な嘴を敢えて見せびらかす様にチラつかせている大鷲ちゃんに向かって、口から唾を吐いて激しい釈明を続けていると。



「あっそ。ちょっと反省しようか」


 俺の体を穿つ勢いで嘴の先端が直上から襲い掛かって来やがった!!


「ハブチッ!?!?」



 鉤爪で拘束されながらも器用に体を捻って即死技を回避。



「あ、危ないでしょう!? 人の体に嘴を突き刺しっちゃ駄目って教わらなかった!?」



 元の位置に頭をすぅ――っと戻した大鷲ちゃんに叫んでやった。



「ううん、習わなかった。寧ろ急所へ向かって穿つ様に習った」


「それは里の戦士の指導要領でしょう!? 俺が問いたいのは普遍的な倫理観だ!!」


「リンリカン??」



 瞳の色が一切消失し、無表情のまま大鷲の頭を傾げる。



「そ、そうさ。自分の感情の赴くままに人を殺しちゃ駄目だって意味です」


「罪を償うのが罪人の宿命。私はそれを……。ただ実行する心優しき執行人なの」


「ギャッヒンッ!?!?」



 あ、あ、あぶねぇ!!!!


 少しでも反応が遅れていたら確実にられていたな!!


 堅牢な大地に穿たれた穴からシュゥゥ――っと鳴り響く非情の音が心に大量の冷や汗を生まれさせてしまった。



「あはは!! ダンさん楽しそうですねっ!!」


 随分と呂律の怪しいイロン先生が千鳥足で処刑場へとやって来る。


「イロンもる??」


 何をヤルって!?!?


「え?? いいの!?」



 そしてイロン先生も軽はずみに処刑に参加しないの!!!!



「好きに攻撃していいよ。ダンの体は丈夫だから例え穴が開いても塞がる……。筈」


「筈って何だよ!! イ、イロン先生の爪は本気マジで洒落にならないから!!」



 俺の頭上でジィィっと此方を見下ろす目付きの悪い火食鳥ちゃんへ叫ぶ。



「だってずるいじゃないですか!! シェファだけ楽しんで。ってな訳で。トゥッ!!!!」


「ギョバッ!?!?」



 突拍子も無く顔面の直上から降り注いできた攻撃に全振りした鋭い爪の一撃を間一髪回避。



「あははは!! 本当だぁ――。シェファの言う通りこれ楽しいかも!!」


「でしょ?? 男を痛め付けるのは本当に心が潤う」



 この惨たらしい処刑が楽しい、心が潤うだと??


 とてもうら若き女性の口から放たれる言葉とは思えませんよ……。



「ぎゃはは!! ダ――ンッ!! 頑張って避け続けろよ――!!」


「そうそう!! 酒の場に丁度良い余興だからさ!!」



 テメェ等は楽しいかも知れねぇけど!!


 俺は命を張ってまで笑いを取りたくねぇんだよ!!!!



「じゃあ今度は交互に行こうか」


「了解っ!! じゃあ……。先ずは私から!! せぇいっ!!!!」


「イヤァァアアアア―――――ッ!!!!」



『……??』



 夜空に向かって男の情けない叫び声が放たれると星の神々が何事かと思い、重たい瞼を開いて地上へと視線を送る。



「止めて!! 助けて!! 俺は無罪なのですから――――!!!!」


「駄目。私の気が済むまで虐める」


「いいですねぇ!! 私の爪も血に飢えていますので付き合いますね!!」


「殺傷の力が強過ぎる爪はだ、駄目!! 絶対!!」


「ダンに拒否権は無いから」



「ヒィィヤァァアアアアアア――――ッ!?!? 誰かぁ!! この大鷲と火食鳥の横着を止めて下さ――――いっ!!!!」



 そこには穴という穴から悔恨の雫を流して己の罪を償おうとしている男が居た。


 あの星が生まれたから悠久の時が流れても人々は同じ事を繰り返しているのだと星の神々は呆れた溜息を吐く。



「「「ギャハハ!! もっとやれ――――!!!!」」」



 いつまでも止む事が無い人達の叫び声に顔を顰めながら床に就いたが、それでも地上から放たれる喧噪は彼等の眠りを妨げ続ける。


 月が昇り西の空へ傾き始め、東の空から太陽が眠たそうに顔を覗かせても尚喧噪と一人の男の絶望感に塗れた叫び声は止む事は無く。太陽が最も健康的な笑みを放つ刻になって漸く鳴り止んだ。


 しかし、それも束の間の静寂。


 星達が再び活発に活動し始める刻になると地上からは昨日よりも更に喧しい喧噪が鳴り響き始め、星の神々を再度苦しませたのだった。




お疲れ様でした。


昨日、といっても日付が変わってしまったので厳密に言えば二日前の日曜日の夕食はうどんを食しに行って参りました!!


香川で頂いたあの触感が忘れられず、つい衝動的にお店に立ち寄ったのですが……。


な――んか違うなぁって感じで釜揚げうどんを啜っておりました。


微妙にコシが足りない麺、ツルンっとした喉越しには程遠い滑らかさ、歯が喜々とする噛み応えも無く何だか絶妙に物足りない感じで頂きました。


その店自体の味が悪い訳ではないのです。四国のうどんが美味過ぎるのが悪いんですっ!!


また大きな休みが出来たのなら愛車に跨り足を運ぼうかと考えております。




それでは皆様、お休みなさいませ。

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