第二十七話 その一手、盤上を覆す
お疲れ様です。
後半部分の投稿になります。
途轍もない疲労感と双肩にズゥンっと圧し掛かる気怠さに負けじとして丹田に力を籠め、可能な限り背筋を伸ばして二つの足を交互に動かす。
よもや只歩くという行為がここまで疲れるとは思いもしなかった……。
今直ぐにでも地面に倒れ込み、何も考えず眠りに就きたいがそうはいかぬ。
「ハンナ。賢鳥会の面々は集まっているのか??」
「あぁ、既に全員集合していると聞いた。後は我々が報告するのみだ」
この大陸の命運を別つ作戦を彼等に提唱するその時まで意識を保たなければならないからね。
「ん、了解」
彼の言葉に一つ頷くと茜色に染まる空の下をいつもより遅い速度で歩み始めた。
今から遡る事数時間前、俺達は作戦参加の打診を送る為に里を発った。
俺は暴走気味の相棒の背に跨り軍鶏の里へ、返す足……。じゃなくて翼か。神々しい翼でハンナは烏の里へ、そしてシェファは親交があるという火食鳥の里へ。
各員が効率良く里の長に今回の作戦内容を提唱して参加の是非を問うのだが、俺達が提唱する作戦は生きて帰れる保証の無い言わば地獄へ繋がる一方通行の作戦だ。
勿論、俺もその事を軍鶏の里の長であるベルナルドさんにそう伝えたのだが。
『ハンナ達鷲の里の戦士が死を恐れぬ様に我々も死を恐れぬ!! 皆の者!! 戦士の雄叫びを上げろぉぉおお――――!!!!』
『『オォォオオ――――ッ!!!!』』
腹の奥がズンっと響く声量で作戦参加を了承してくれた。
最初は渋っていたのに、結局ノリノリで作戦参加してくる事になったんだよねぇ……。
あのむさ苦しい筋肉の塊達が他の里の者達に悪影響を与えなきゃいいけど……。
「ある程度の参加人数の査定は終わっているけど……。不備に備えてもう少し多めに報告する??」
「それが良いかも知れん。俺達が想定している以上の人数が集まってしまったからな」
軍鶏の里、烏の里、火食鳥の里。
総勢五十名の参加者の試算だったのだが……。この大陸に及ぶ危険を打ち払おうとして試算を大いに超える三百名もの猛者達が集まってしまったのだ。
滅茶苦茶嬉しい反面、戦死者を無駄に出す訳にもいかないので再計算が必要になりそうだな……。
「戦いに恐れず参加してくれるのは嬉しい事」
「シェファ。無事に帰れる保証が無い作戦なんだぞ?? 余計な悲しみを他の里に与える訳にはいかないだろ」
「ダンは優しいね」
優しいじゃなくて、これが普通の感情なの。
彼女の柔らかな視線を浴びると。
「行くぞ、ついて来い」
ハンナが賢鳥会の面々が待つ場所へと向かい里の大通りを右折した。
恐れを知らぬ大勢の者達の参加、五つ首と死闘を繰り広げる場所、そして乾坤一擲となる作戦の概要。
今一度頭の中で様々な情報を精査して歩んで行くとハンナが一軒の家屋の前で足を止め、俺達が到着した事を静かに告げた。
「ハンナです。賢鳥会の皆様はお揃いでしょうか??」
「――――。入れ」
古ぼけた扉が静かに開き、強面の男性が薄暗い玄関の中から音も無くぬぅっと現れた。
「はっ、失礼します」
「し、失礼しま――す……」
強面の男性にジロリと見下ろされつつ扉を潜り、前回同様やけに長い廊下を進みそして。
「ハンナです。只今到着しました……」
「――――。入れ」
「はっ」
重苦しい空気が漂う部屋へ二度目の入室を果たした。
「「「……」」」
円卓を囲む者達は皆一様に苦虫を食い潰したような表情を浮かべ、体から滲み出る負の感情が室内の空気を更に重い物へと変化させている。
疲労からか、それとも頭を抱えたくなる難題の所為か。
彼等の顔には疲労が色濃く残りこの里の状況を知らぬ者があの顔を見たらきっと口を揃えてこう言うであろう。
『えっと……。取り敢えず眠った方がいいですよ』 と。
長時間の睡眠を摂取して体調を整えるべきなのだが与えられた難題を解決するまで眠る訳にはいかぬ。
俺も、そして賢鳥会の面々もそれを胸に抱きこの時まで行動を続けていたのだろうさ。
「報告は受け取った。お前達が提唱する作戦に他の里の者達が参加すると」
長い髭を携えた男がボソっと話す。
「はい。先程軍鶏の里、烏の里。並びに火食鳥の里の長達に参加の是非を問うた所、快く承諾してくれました」
「本来であれば我々が解決すべき問題なのに……。我々は里の戦士達の力を少々見誤っていた様だな」
手厳しい言葉が一人の男性から放たれる。
「返す言葉もありません。今まで以上に精進して参ります」
「御託はいい。今更何を言おうが結果は変わらないからな」
「はっ……」
ハンナが深々と頭を下げて痛い程右の拳を握りつつ返事を返す。
「旅人ダン、そして戦士ハンナよ。お前達が提唱する作戦とやらを聞かせてくれ」
「オホンっ、分かりました。説明するのに少々時間が掛かりますが宜しいでしょうか??」
ハンナの隣に立ち、思わず後ろ足加重になってしまう圧を放つ賢鳥会の面々の顔を捉えて口を開いた。
「構わん」
「はい、それでは……」
鞄から静かに一枚の地図を取り出すと円卓の中央へと置き、いつの間にかカサカサに乾いた唇を舌で潤すと作戦の全容を言葉に出した。
「里の戦士と五つ首はディザ平原で死闘を繰り広げ、周知の通り敗北を喫しました。彼等の戦いぶりは正しく勇猛果敢であり忠実に作戦を遂行する様は見ていて心が震える程でした。しかし……。前回と同じ内容の作戦を実行しても奴には通用せず我々は貴重な二名の戦士を失う結果となってしまいました」
俺がそう話すとあの戦いを思い出したのか、左隣りで静かに佇むシェファがギュっと拳を握り締めた。
「三つ首から五つ首へ。奴は長きに亘る眠りによって戦力を増強させ、その上昇した幅は我々の想定以上のものです。火炎、氷結、風刃、猛毒、稲妻。五つの首から放たれる異なる威力の息はたった数発でこの里の建物が吹き飛ぶ程の威力を備えており。更にそれだけでは無く、五つ首の最強の攻撃である白熱熱線が放たれれば一瞬で数百名の命が失われる事でしょう」
『数百名の命』
この単語が出ると室内にいる全員の顔が一気に曇った。
「戦士長とハンナの鋭い鉤爪の攻撃でも貫く事が叶わぬ強固な鱗の装甲、五つの異なる属性の息と各首の見事な連携と意思の疎通。戦士達と五つ首の攻防を見て感じたのは……。奴は完璧に近い攻防一体の能力を持つという事です」
「そんな事は分かっている。さっさと作戦の概要を話せ」
「申し訳ありません。先ずは奴の戦力の詳細を今一度見直して欲しいが為に説明させて頂きました」
ムッと顔を顰めている男性に一つ頭を下げ、続けて口を開いた。
「現在、五つ首はここ……。アロナ渓谷へと続く断層の東に居ます」
鞄の中から小さな石を取り出し、奴に見立てて地図の上に置く。
「今の進行速度ですと凡そ三日後にこの断層に到着します」
その石を地図上に描かれた線の上に、静かに置く。
「その断層の高低差は精々三メートル程度だ。奴の進行を妨げるまでにはいかぬぞ」
「勿論承知の上です。今回の作戦は……。ここ、アロナ渓谷の深い谷の位置で実行する予定です」
地図上に描かれた線を指でなぞり、急角度で左に曲がる位置へと動かす。
「ハンナから伺った所、この渓谷の深さは約二十メートル幅十五メートルと奴がやっと通れる狭さの場所です。南の断層付近でハンナとシェファ。この両名が五つ首をここへと誘導して作戦を実行します」
「奴を誘導出来ると考えたその根拠は??」
まぁ、先ずはそこが気になるよね。俺も彼等の立場だったら同じ考えに至るし。
「先の戦闘で気付いた事があります。傷付いたシェファを嬲り、勝利を確信すると攻撃の手を止めて酒を飲み美酒に酔いしれた。この事から……。奴は一見完璧な生命体に見えますが、感情と思考を持つ我々と同じく不完全な生命体であると判断しました。ただ殺意だけを抱く純粋な悪の塊であったのなら今回の作戦は通用しません」
バケッドの遺体を食い、里から持ち出した神酒を飲み、薄ら笑いを浮かべて勝利の余韻に浸るアイツの姿を思い出すだけで反吐が出る。
「奴は前回の戦闘で我々の戦力では歯が立たないと『覚えてしまいました』 。これを逆手に取ります。ハンナ達に勝てると確信して油断している奴を誘導地点で北へと誘い、アロナ渓谷へと導き我々が提唱する作戦を実行します」
「ふむ、続けろ」
「地上から空へ向かって放たれる恐ろしい攻撃を回避しつつ渓谷を北上し、作戦実行地点であるこの直角に近い角度で曲がる箇所におびき寄せ……。そこに野生動物の肉、並びに里の神酒を設置します」
「「「神酒??」」」
賢鳥会の面々が口を揃えて問う。
「俺達が撤退する間際、奴はトドメを刺す事無く野営地に放置してあった酒へ向かって進んで行きました。此方は撤退する意志を見せているのですが、あくまでも戦闘は継続中です。それにも関わらず酒へ向かって進んで行った理由は恐らく奴は酒が好物なのでしょう。報告で受けたかも知れませんが、バケッドの遺体も戦闘中に捕食していました」
「成程……。肉と酒で判断能力と思考能力を奪い戦闘を開始するのか」
惜しいなぁ。
俺もその考えを採用しようかと思ったけど、まだ足りないんだよね。
「作戦は状況に合わせて三通りに分かれて実行します。第一案は、この里に保管してある酒の効果によって奴の思考能力と判断能力を奪い全戦力を以て殲滅する単純な力技で押し通します。第二案は、奴が酒を飲まなかった場合。非常に可燃性の高い神酒の樽へ向かって火矢、若しくは烏の里の者の火炎系の放出魔法を放ち。五つ首全ての『目』 を奪い。地上部隊並びに崖の上からの総攻撃で奴を滅却します。そして、第三の案は……」
乾いた口を一度潤し、大きく息を吸い込んで口を開いた。
「可燃性の高い神酒を全て飲み終えた場合。奴の経口へ向かって火矢、若しくは火炎系の魔法を放ち『体内』 から爆発させます。体表面は強固な装甲を持っていますが、体内までは庇いきれませんからね。口を狙うのが無理ならば渓谷の側面に穴を開けて身を隠して待機している地上部隊が総力を尽くして装甲を剥し、火食鳥の里の者達の鋭い爪で腹を穿ち、その穴から直接火を与えます」
奴が俺達に与えた情報は決して覆せぬ雲泥万里の戦力だ。
あの圧倒的な力を捉えれば、絶望の二文字が否が応でも頭に浮かび人は考える事を止めるかもしれない。
しかし……。奴は俺達に見せてしまった。
そう、思考と感情を持つ生物であると。
この世の理を越えた生命体である事には変わらないが奴は完全無欠の憎悪の塊、死だけを与える超越種では無い。
感情から油断が生まれ、思考から奢りが生じる。
俺達はその一部の隙を穿ち、あの一見完璧な超生命体を殺すのだ。
「五つ首が体を伸ばして息を放射した時の為に崖の上に大きな岩を設置して息の攻撃を防ぐ。奴が酒を飲み終えるまで崖の上の部隊は伏せて待機。渓谷の側面を掘削した場所で地上部隊は身を隠しつつ待機。五つ首が取る状況に合わせて作戦を決行し、崖の上の部隊は矢、魔法、岩の投石で渓谷の底に居る地上部隊を援護。可能であれば各首の弱点である目を潰し。地上部隊は上の部隊の援護を受けつつ適宜行動を開始します」
「奴が白熱熱線を放った場合はどうするのだ??」
「完全完璧に回避するのは不可能かも知れません……。ですが、側面に撃った場合。渓谷が崩れ、渓谷の中で戦う五つ首の上に大量の岩石と土砂が圧し掛かり奴の動きが制御されます。その隙を窺い首を刎ねる算段です」
あの馬鹿げた攻撃を防ぐ手立てが無いのが今回の作戦の弱点だな……。
白熱熱線が放たれた場合。恐らく、数十名の戦死者が出るであろう。
こればかりは防ぎようも無く言わば勝つ為にはどうしても計算せざるを得ない必要な犠牲者数だ。
非情な事であると作戦の提唱者本人である俺が一番理解している。
痛みを伴わぬ勝利。
それこそ幻想であり決して抱いてはいけない甘い考え。
これから始まる戦いは里の戦士でさえも命を落とした強力な敵を殺す戦い。ここで甘い考えを持っているようじゃとてもじゃないけど勝ちの目は出ない。
万力で奥歯を噛み締めて心と体に刺す痛みを我慢して、血の涙を流してこそ奴を撃退出来るのだ。
「この戦いと平行する形で鷲の里の者達を安全な場所まで避難させます。作戦実行部隊は鷲の里の戦士と勇気ある三百名の志願者」
そう話すと五つ首と見立てた石を拾い上げ。
「地上部隊が勇気を振り絞り奴の装甲を剥し、崖の上から絶え間なく矢と魔法と岩石を浴びせ続けて装甲と体力を削り、鷲の里の戦士であるハンナとシェファが高高度から鋭い雷撃を穿つ。地、空、高高度。この異なる三点の集中攻撃及び全戦力を以て奴を…………。ここで討ちます」
決戦地であるアロナ渓谷へ静かに置いた。
ど、どうかな?? これ以上無い妙案だと思うんですけど……。
会議室に漂う重苦しい中で鉄よりも硬い硬度を持つ生唾をゴックンと飲み込んだ。
「――――。ふむ……。悪くない作戦だな」
暫しの沈黙の後、長い髭を持つ男性がしゃがれた声を放ち一つ髭を撫でて話す。
「今から我々で作戦を精査する。お前達は扉の向こうで待っていろ」
「分かりました。ダン、シェファ行くぞ」
「あ、あぁ……」
静かに出て行く彼に続いて扉を潜り。
「ふ、ふぅっ――!! 緊張したぁ……」
扉が閉まるとほぼ同時に壁にもたれて疲労と緊張の吐息を漏らした。
「ダンでも緊張する事があるんだね」
俺の様子を捉えたシェファがフフっと小さく笑う。
「あのねぇ……。この作戦が了承されなかったら戦わずして逃げる作戦が決行されちまうんだぞ??」
「そうなったら頭の固い連中は無視して私達だけで作戦を決行する」
は、はい??
「あぁ、その通りだ。奴を野放しには出来ないからな」
「いやいや!! そんな事したらお前達は里に居られ無くなっちゃうじゃん」
「それでもいい。皆が生きているのなら」
シェファが決意を籠めた瞳でそう話す。
俺と同じ様に……。いや、俺以上に奴を倒そうとする気持ちは強いんだな。
同じ釜の飯を食った二名の仲間を殺され、生まれ育った故郷を追われようとしているんだ。
そりゃ当たり前に腹が立つよな。
「賢鳥会が作戦拒否の可決を取った場合。ダン、貴様はどうする??」
「ん?? そりゃハンナ達と共に行動するよ。岩の運搬、人員の移動並びに作業の効率が落ちるかも知れないけど実行は可能だからな。それと何より……、奴が許せねぇ。ラーキーもバケッドも本当にイイ奴だった。俺達が受けた悲しみ、怒り。それを俺が大好きな里の人達に抱かせたくないからね」
心に浮かぶ感情、言葉を一切の装飾を付け加えないで二人へ言ってやった。
「ふっ、口だけは達者だな」
「嬉しい事言ってくれるね」
「俺は普通の感情を持つ人なの。倒せる算段があるのに黙って指を咥えて逃げるってのも癪だしさ」
久々に温かな瞳を浮かべた二人を見つめていると、ちょいと喧しかった室内の話し声が止み。
「――――。入れ」
賢鳥会から入室許可の指示が出た。
「はっ、失礼します」
先と同じ要領で部屋に入り、姿勢を正して相も変わらず硬い表情の面々を捉えた。
「では我々の総意を伝える。提唱された作戦は…………」
さ、さ、作戦はぁ??
「全会一致で可決。ハンナ、シェファ、ダン。この三名が作戦の総指揮を執り五つ首を殲滅せよ」
作戦了承の言葉が出ると同時。
「や、やったぁぁああ――――!!!! あはは!! ハンナ!! やったぞ!? 俺達が考えた作戦が通ったぞ!!!!」
我が相棒の体をヒシと抱き締めて歓喜の声を上げてやった。
「止めろ!! 気色悪い!!」
「いでぇっ!!」
いつもの三倍以上の力で振り解かれてしまい。
「この馬鹿の粗相をお許し下さい」
カチコチの台詞と所作で賢鳥会の面々へ頭を下げてしまった。
んもぅ。これ位くらいの事で頭を下げる事なんてしなくてもいいのにっ。
「はは、構わんよ。我々は里の者の避難の指揮を執る。これ以降、お前達に作戦実行の全権を与えるが……。失敗は許されんぞ」
お、おぉう……。そんなに怖い瞳で睨まなくても……。
「勿論です。私達は自分の命を賭して奴を倒します」
「その言葉、努々忘れるでないぞ」
「はっ!! では作戦実行の為に行動を移します」
「うむ。下がってよし」
「失礼します」
ハンナと共に彼等に頭を下げると部屋を退出。
随分と暗くなった廊下を進み、どっぷりと黒が深まった夜空の下へと躍り出た。
「ぷはぁっ!! はぁ――……。空気がうめぇ……」
自分でも気付かぬ内に緊張していた様だ。
美しき星空の下でサァっと吹く清らかな風を浴びると肩の力が抜け、不純物が一切含まれていない空気を吸うと心に余裕が生まれる。
「あの人達と同じ空気を吸っていたら参っちゃうからね。それで?? 私達に作戦の全権を移譲されたけどどうするの??」
シェファが俺とハンナを交互に見つめて話す。
「そうだな……。先ずは軍鶏の里、並びに火食鳥の里から作戦参加者の移動を始め……」
「いやいや。先ずは参加人数の精査と必要な物資の運搬員の確保だろ」
白頭鷲ちゃんめ、参加人数も決めないでいきなり人員を動かしてどうするのだね。
「あぁ、そうだな……。いかん。疲れ過ぎて頭が回らんな……」
右手の指で眉間をキュっと抑える。
「取り敢えず俺の家で詳しい段取りを決めよう。それからここの里の者達を動かすってのはどうだい??」
「それが賢明だな。後、俺は貴様に家を譲った訳ではないからな??」
「共有みたいなもんじゃん!! よっしゃ!! 作戦実行まで後少し!! 気合を入れていくぞ!!」
二人の肩を軽くパチンと叩き、その足で里の大通りへと向かった。
さぁ……。待っていろよ?? 憎たらしい五つ首め。
俺達を本当に怒らせたらどうなるのか……。その身を以て分からせてやるぜ!!
美しき星空の下では清らかな風が吹き、地上で住まう者達はその風を受けて眠りに就く。しかし、難攻不落の盤面を覆そうとしている彼等はそれを力に変えて前へと突き進む。
双肩に重く圧し掛かる疲労と責任が彼等の行進を止めようとするが、彼等は勝利の光を手中に収めるその時まで決して歩みを止めようとしなかった。
その姿は正に恐れを知らぬ戦士そのものだ。
確固たる意志を持った戦士の行進を止める術は無く、月が真上に昇り、日が東から昇っても彼等は重い瞼を必死に開いて勝利へと続く道の基礎を築き上げたのだった。
お疲れ様でした。
本話でも触れた通り、次話からは三つの里の者達が五つ首を討つ作戦を実行します。
この大陸にはまだまだ種類に富んだ魔物達が住んでいるのですが、流石に登場していない里の者達を作戦に参加させる訳にはいかないのでこの様な形になりました。第二部で現代編の主人公達がこの大陸に訪れた際に他の里の者達を紹介する予定です。
禽鳥の国編の終盤へと差し掛かり、気の抜けない執筆が続く中で次なる冒険の構成とプロットも執筆しなきゃいけないのでかなり四苦八苦していますね……。疲れた体を癒す為、本日の夕食は超メガ盛り焼きそばを食しました!!
焼けたソースの香ばしい香りが鼻腔を楽しませ、塩気を含んだ豚肉とキャベツをがっつり口の中に迎えて咀嚼すればあら不思議。無限に咀嚼出来るではありませんか!!
お腹一杯になった状態で編集作業を続け、丁度出来立てを投稿した次第であります。
そして、ブックマークをして頂き有難う御座いました!!
皆様の温かな応援のお陰で連載を続けられています!! これからもどうか彼等の冒険を見守ってあげて下さいね!!
それでは皆様、お休みなさいませ。