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今日も今日とて、隣のコイツが腹を空かせて。皆を困らせています!!   作者: 土竜交趾
過去編 ~素敵な世界に一時の終止符を~
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第十五話 生殺与奪の権利

お疲れ様です。


大型連休の早朝にそっと投稿を添えさせて頂きます。




 この世に意識を繋ぎ止める為に何度も荒々しい呼吸を続け、死に抗う為に震える腕を懸命に上げて戦闘態勢を継続させる。


 何度も受けた馬鹿げた威力の攻撃により瞼が腫れぼったくなって視界が狭まり、口の中にはクソッタレな血の味が広がりやがる。


 頭は即時撤退の文字を戦闘開始時からずぅぅっと叫んでいるが、お生憎様。


 あの化け物に背を見せた瞬間に俺の命はこの世から消え去ってしまうのでそれは叶わない。


 じゃあ戦いながら逃げれば良いのでは?? と。弱気な自分がそう語るが、それも受け入れられない。



「「「ピ、ピィ……」」」



 この世に生まれ落ちてまだ三年のガキ共を戦場に置いては行けないさ。


 お母さんは子供達を守る使命がありますからね……。例え敵前逃亡の罪に問われないとしても俺の心がそれを許さない。


 この心臓が動き続ける限り俺は最後まで抗ってやる。四肢が引き千切られようが頭に残った口を開いて相手の喉笛を噛み切ってやる。


 燃え盛っていた闘志の炎が数えきれない暴力の雨によって沈静化の一途を辿っていたが、己の魂を再び奮い立たせて灼熱の炎へと昇華。


 自然と前のめりに倒れそうになる体を必死に御し、火炎の勇気を瞳に宿して暴兎と対峙し続けていた。



「よ、よぉ。ピー助。ま、まだ戦えるか??」


 殴られ過ぎて視界が悪くなった目で真正面の白き塊を捉え続けて問うと。


「ピ、ピィ……」

『ま、まだやれる』



 弱々しい声ながらもはっきりとした闘志が掴み取れる口調で俺の問い掛けに応えてくれた。



「そ、それなら結構。俺達の闘志は決して消えないけど……。このままじゃ闘志よりも先に体が限界を迎えちまうぞ」



 背の低い草が生える大地が本当に柔らかそうなベッドに見えて来やがった……。



『うふふ、さぁいらっしゃい??』



 しかもべらぼうに可愛い美女のおまけつきときたもんさ。


 可能であればこのまま美女と添い寝に興じたいね。



「ピッ」

『はっ、俺はまだまだ余裕だぞ??』


 至る所から出血の跡が目立つピー助が俺より一歩前に出る。


「その空元気が羨ましいぜ。さぁ……。引き続き怖くて危険で恐ろしい戦闘を継続させましょうか!!!!」



 ピー助から貰った勇気を力に変え、彼と共に肩を並べて暴兎と対峙した。



「グルゥゥ……」



 相も変わらず恐ろしい嘯く声を放つ事で……。


 深紅の瞳で品定めする様に暴兎が俺とピー助を交互に見つめる。



 コイツ、ただの攻撃馬鹿と思いきや意外と考えて戦いやがるよな。


 俺に襲い掛かって来たかと思うと、決してピー助に対する気を切らず。彼が死角から襲い掛かってもそれに即座に反応。


 どちらか一方を先に片付けて戦闘を有利に進めようとしているのが肌からヒシヒシと伝わる。


 容易に組み伏せられるのは傍から見ても俺だろう。


 つまり、あの見た目は大変可愛くて優しそうに見えるが一皮剥けばとんでもねぇ化け物はピー助を先に無力化しようとする筈。



「ググ……。グァァアアアア――――ッ!!!!」



 ほらね!! 予想的中!!


 暴兎が凛々しい雄叫びを放つとピー助へと向かって一筋の線となって突撃を開始した。



 呆れる位アイツの動きを見て来た所為か、それとも俺達が奴の攻撃速度に慣れて来た所為か。


 馬鹿げた速度でも漸く目で追える様になって来たぞ!!



「ピー助!! 来るぞ!!」


「ムゥンッ!!」



 暴兎の突貫に対し、俺の言葉が届くよりも前にピー助が迎撃態勢を整えた。



「ッ!!」


 愚直に突撃をしては撃ち落とされると考えたのか、暴兎がピー助の前で急停止。


「グォッ!!!!」


 彼の防御壁を打ち崩そうとして逞しい右手を振り上げ、馬鹿げた腕力に任せた力技に打って出た。


「ムッ!!」


 ピー助が頭上で両腕を交差して暴兎の攻撃に構える。


 普通ならここでがら空きの胴体に向かって攻撃を加えるのだが。


「グォォオオオオ!!!!」



 力の差を見せつけてやろうと考えたのか、暴兎は敢えてピー助の腕に向かって御自慢の拳を叩き下ろした!!



「「ッ!?」」



 岩をも打ち砕く剛拳と何物をも通さぬ鉄壁の構え。その両者が衝突すると大気が、そして大地が微かに震えた。



 す、すっげぇぇええ!! あの攻撃を受け止めちゃったよ!!


 そして、この戦いが始まって初めて光明が見えたぞ!!



「ピー助!! そこだぁぁああ!!」


「ムォォオオオオ――――ッ!!!!」

『言わずもがなっ!!!!』



 ピー助が暴兎の腹にぽっかりと出来た隙に目掛け、火食鳥イロン先生直伝の前蹴りを放った。



「グガァッ!?」



 おぉっ!! 効いたか!?


 ピー助の丸太みたいな足から繰り出された前蹴りが直撃すると、ドンッ!! っと。腹の奥に響く太鼓のが響き今まで前進のみを繰り返して来た暴兎が此処に来て初めて後退した。



「ピー助!! 今だ!! 追撃して……」


 腹を抑えて粘度の高い液体を口から零す暴兎へ向かって追撃の指示を与えるが。


「グ、グゥッ……!!」



 これまでの戦いの疲労かそれとも先程受け止めた余波がまだ体内に残っているのか。彼の足は前に出る事は無かった。



「よっしゃ!! それなら俺が止めを刺してやる……」


 短剣の柄を握る右手に更なる力を籠め、頭の言う事を中々聞いてくれない両足に魂を籠めて飛び出した刹那。


「グ、グゥゥ!! ヌオオオオ――――ッ!!!!」


 ピー助よりも先に態勢を整えた暴兎が始動。


「ゴルァァアアアア――!!!!」


 満身創痍のピー助に向かって怒りの拳を与えてしまった。


「ゴハァッ!?!?」


「ピー助!!!!」


 真面に暴力の塊を食らった彼は後方へと吹き飛ばされ。


「…………」



 力無く大地の上に倒れてしまった。


 や、やっべぇ。受け身を取る暇もなく真面に食らっちまったぞ。



「クソが!!!! この野郎!! 俺の友人に何しやが……」


 大地の上に横たわる彼の下へ駆け寄りたい気持ちを必死に堪え、視線を暴兎に戻すと。


「ゴァァアア!!!!」

「ッ!?」


 目と鼻の先に奴が出現。


「し、しまっ……。ゴッハァッ!?!?」



 視線を刹那に切ってしまった事を本当に呪いたくなる痛みが腹に生じた。


 常軌を逸した力が腹から背に抜けて行くと、もう数えるのも面倒な位に大地の上を転がり続け。



「ゥッ……。ゥゥッ……」



 回転が停止すると指先一つ動かせなくなってしまった。



 ち、畜生……。さ、流石にもう限界か……??



 四肢の先に生える十の指に動けと命じるが、彼等は頭の命令を受け付ける事無く微動だにせず。


 まるで鉄の塊を括りつけられた様に瞼が異様に重くなって来やがった。


 こ、このまま……。眠ってもいいのかな……。



『うふふ……。貴方はよくやりました。さぁ、心地良い眠りへと就きましょうね』



 世界最高峰の美女が俺の頭をよしよしと撫で、半ば強制的に意識を遠退かせようとしてしまう。


 そ、そうだよな。あんなべらぼうな相手によく食い下がったもんだよ。


 我ながら大したものだ。これ以上無駄な足掻きはするな。誰もお前を攻めやしない。



 体の良い言い訳が頭の中に幾つも浮かび、その甘言に従いゆっくりと瞼を下ろしていくが……。



「「「ピピピピ――――ッ!!!!」」」



 ピー助の下へゆるりと歩んで行く暴兎に向かって、勇気を振り絞って襲い掛かるピヨ美達の姿が俺の意識を残酷な現実世界へと留めた。



「フンッ……」


「「「ピギャッ!?!?」」」



 体に纏わり付くピヨ美達をさも面倒臭そうに払う暴兎。



「「「ピ……。ピィィイイ!!」」


 地面に投げ出されても。


「……ッ」


「「「ピギィィイイ――――ッ!!!!」」」



 何度倒されても向かって行く闘志ある彼女達の姿が風前の灯火であった俺の闘志を再燃させた。


 何をやっているんだ……、俺は。


 まだこの世に生まれて三つの子達に戦わせて、痛みを与えて、血を流さして!!!!


 情けねぇ……。本当に情けねぇよ!!!!



「こ、この野郎……。その子達に手を出すんじゃねぇぇええ――――!!!!」


 闘志溢れる雄叫びを放つと、情けない両足を大地に突き立ててやった。



『純粋な強さが欲しい、相手の体を穿つ力が欲しい』



 今は無い物強請りしている場合じゃねぇ!! 誰かを守る、只その為に自分がやれる事をやるんだよ!!!!



「ググゥ……」


 ピー助に足を向けていた暴兎が俺の方へ向かって足を転換。


「ゴァァアア!!!!」


 そして、俺の命を断とうとして駆け出して来やがった。


「上等だ!! このゴリゴリ兎め!! 俺の力を見せてやるよ!!」



 猛った猪でさえも思わず道を譲ってしまうであろう暴兎の突貫に対して刹那に構えた。



「グァァアア!!」


 手の先に生えた鋭い黒爪が上段から襲い掛かって来る。


「フッ……!!」


 それを半身の姿勢で躱し。


「グォッ!!!!」



 続け様、地面と平行なって襲い掛かって来た左の拳を屈んで回避した。



 いいぞ……。相手の攻撃が見えて来た……。


 コイツが疲れて来たのか、それとも俺の目が攻撃の速さに慣れて来たのか。その理由は不明だが……。


 あれだけ素早く、見切れなかった一挙手一投足が戦闘開始時よりも明確に見えて来たぞ。



「グゥッ!!」


 頭上で猛って光る深紅の瞳が微かに左下へと動くと。


「……」


 俺の予想通りに空気の壁を破壊しながら右足の烈脚が放たれ。


「ガルァァアア!!」


 右腕の微かな筋線維が動くと空気を切り裂く鋭い爪が降り下ろされた。



 俺にはピー助みたいな相手を打破する強力な力は無い。


 だから、相手の攻撃を馬鹿正直に受け止める必要は無いんだ。


 柔らかな風にそよぐ柳の様に相手の攻撃を受け流せ。敵の一挙手一投足を見逃すな。


 そして、一切の凪が見当たらぬ静まり返った己の心の水面に相手の姿を投影しろ……。さすれば勝利の光は我が手中にっ!!!!



「ギィィヤァァアア!!!!」



 夏の大雨を彷彿とさせる激しい攻撃の連続に動じる事も無く。只々心静かに冷静に相手の攻撃を躱し、往なし、流す。


 恐らく、これが武の道を極めた者が捉えているであろう景色を眺めていると。



「グゥッ!!」



 当たらぬ事に痺れを切らした暴兎が、俺の命を刈り取ろうとして右腕を大きく振り上げた。



「ッ!!!!」



 こ、ここだ!! ここが千載一遇の大好機だ!!


 これを逃せば疲弊した俺に勝機は二度と訪れねぇ!!


 絶対……。絶対に逃して堪るものかぁぁああ――――!!!!



「せぇああああ――――!!」



 恐れを知らぬ戦士の魂の叫びを放ち、右手に勇気を籠めて暴兎が右腕を振り下ろすよりも速く懐へと侵入。



「ッ!!」


 先程ピー助の見事な一撃が入った位置へ短剣を突き刺してやった。


「ギャアアアアアア――――!!!!」



 切っ先から通して伝わる生の肉の感触と頭上から轟く暴兎の断末魔の叫び声が微かに勝利を予感させる。



「グ、ググゥ……」


「流石だな。この一撃じゃ倒しきれないか……」


 暴兎が今にも倒れそうになる体を必死に支え、殺意に満ちた深紅の瞳で俺を見下ろす。


「ゴ、ゴァァアア!!」



 魂を籠めたこの一撃で倒しきれない以上、俺にこの零距離を制する術は無い。


 待ち構えているのは惨たらしい、死、のみ。


 お前さんはよく耐えたよ。本当に……。天晴としか言いようがないさ。



「すぅぅ――……」



 暴兎が両手に生える黒き爪を俺に突き刺そうとして両腕を上げた刹那。



「ピー助ぇぇええ――――!!!! 根性見せやがれぇぇええええ――――!!!!」



 今日一番の気合を籠めて喉の奥、いいや。腹の奥底から声を絞り出してやった。



「ムォォオオオオ――――ッ!!!!」


 俺の声に呼応した雄の声が轟くと。


「ゴハァッ!?!?」


 目の前の敵の姿が遥か後方へと吹き飛んで行きやがった。


「フッ……。フゥゥ!!!!」


「ふ、ふぅ……。漸くお目覚めかい??」



 満身創痍のピー助の横顔へと向かってそう言ってやる。



「フンッ……」


「ははっ、正直じゃない奴め」



 俺からプイっと顔を逸らした彼の体をポンっと叩き、開けた空間の端で横たわっている暴兎の下へと向かって行った。



「や、やっぱりまだ生きていたか……」


 モコモコの白い毛は土埃で薄汚れ、俺が刺した位置から出血しているがどうやら絶命には至っていない様だ。


「……」


 白く細い髭が生え丸みを帯びた鼻がヒクヒクと動き、微かに開いた口から微かな呼吸音が聞こえる。



 このまま目を覚ましたら……。再び俺達に襲い掛かって来るだろう。


 俺もそしてピー助もこれ以上コイツの攻撃を受け止める体力は残っていない。


 つまり……。



「悪く思うなよ……」



 狩るか狩られるか。


 大自然の法則に則り、両手で強く掴んだ短剣の切っ先を仰向けの姿勢で静かに眠る暴兎の胸に狙いを定めた。















































「――――――。やっぱり、ちょっと違うよな」



 生殺与奪の権利は俺達に与えられているが……。


 自分が純粋に生きる為に生物を殺すのは了承出来る、しかし只名誉の為に無抵抗の生物を殺すのは流石に憚れますよね。



「へへ、ちょっと格好つけ過ぎかな??」



 固唾を飲んで俺の所作を見守っていたピー助達へ視線を向けてやった。



「フ、フンッ……」

『好きにすればいいのに』



 普通のヒヨコちゃんの姿に戻ったピー助が呆れた吐息を漏らす。



「あのねぇ……。そこは素直にカッコイイって褒める場面なんだぞ??」


 討伐成功の印として暴兎の白い毛を短剣で切り取り、ズボンのポケットに仕舞い込む。


「ピピッ」

『恐れを知らぬ戦士に情けは無用だ』


「ハハッ、そうかもな。コイツが起き上がって来たらきっと情け無用って……」



 腰のベルトに短剣を収めて立ち上がると、思わず絶句してしまった。



「「「「……ッ」」」」



 静かな森の開けた空間の外周。


 そこに優に二十体を超える暴兎達が静かに現れたからだ。


 安らかに眠るコイツと違い、俺達を取り囲んでいる奴等の体には激戦を彷彿させる立派な傷跡が刻まれている。


 ある個体は腕に、ある個体は肩口から袈裟切りの要領で。


 長年生き続けている所為か純白の体毛は経年劣化してくすんだ茶色に変化。


 幾百の戦いを潜り抜けて来たであろう真の戦士達が何を言う訳でも無く、只々静かに俺達の様子を静かに注視していた。



「お、おいおい。勘弁してくれよ……」



 こ、ここに来て二十体を超える化け物と。しかも歴戦の勇士であろう者達と刃を交える体力は残っていないぞ……。


 俺達はどうやら気紛れな幸運の神様に見捨てられ、死神様に愛されちまったようだな。




「「「「ピピピィ……」」」」



 開けた空間の中央で只茫然と立ち尽くす俺達に向かい、暴兎達が徐々に近付いて来る。


 一体を無力化するのに精一杯だったのに……。この数の対処は到底無理だ。



『ピー助。俺が合図したら全力で北へ向かって走れ』



 形態変化する力も残っていないのか。


 ヒヨコの姿のままで迎撃しようとする彼に向かって静かに語りかける。



「ピ??」


『俺がこの場に残って戦う。ピー助はピヨ美達を連れて行け』


「ピピッ!!!!」

『そんな事出来るか!!』



 円らな瞳をキュっと尖らせて俺の足を蹴る。



「し、仕方ねぇだろ!! この数相手に戦うのは無理なんだから!!」



 俺一人の命で皆が助かるのなら安い物だろう。


 皆を守る為、全てを賭して死神様に抗ってやるよ!!!!



「ピピ!! ピ……??」



 続け様に俺の足を蹴ろうとしたピー助の動きが止まったので彼の視線を追うと。



「「「……」」」



 新たに現れた四体の暴兎が気絶している暴兎を抱え、森の奥へと消えて行く所であった。


 そして、それを合図にして二十体の暴兎達が静かに森の中へ続々と姿を消していく。



 え、えっと……。俺達は助かったのかしら……??


 固唾をゴックンと飲み込んで行く末を見守っていると。



「……」


 最後まで残っていた暴兎が俺に向かって何かを投げてくれた。


「っと……。これは……」



 新たに現れた暴兎の中で一番傷跡が多く、一回り体の大きな個体から受け取ったのは……。俺の体を引き裂いた暴兎の黒爪であった。



「……ッ」

『受け取れ』


「へっ??」



 奴の深紅の瞳が黒爪を受け取るのを見届けると、一切の足音を消失させ。本当に静かに踵を返して森の中へと消えて行った。



 な、何が何だか分からんが……。



「よ、よしっ!! 皆、今の内に森を脱出しよう!!」


「「「ピピィッ!!」」」

『『『大賛成ッ!!』』』



 これ以上こんな恐ろしい森に居たら命が幾つあっても足りん!!


 そう考え、大地の上で寂しそうに横たわっていた背嚢を背負うとピヨ美達を懐に入れて北側へ向かって駆け始めた。



 どうして命が助かったのかよく分からんが、兎に角!! 暴兎を討伐する事に成功したぞ!!!!


 後はテュピッドに跨り軍鶏の里へと帰りベルナルドさんにこの事を報告しよう!!


 そして一刻も早く眠って傷の回復に専念しなければっ!!!!



 足が縺れて倒れそうになるのを懸命に堪え、命辛々恐ろしき森から脱出すると……。



「あ、あ、あの大馬鹿野郎――――!! 待っていろって言っただろうがぁぁああ――ッ!!」



 鳥っ子一羽見当たらない平原へ向かって思いの丈を叫んでやった。


 そう言えば……。テュピッドは数分前の出来事を覚えていられない程にお馬鹿さんでしたね……。


 指示を書いた紙を持たせておけば良かった……。



「ち、畜生……。帰りは徒歩かよ……」



 疲れ切った体で半日も歩かなきゃいけないと思うと今まで堪えていた疲れがドッと押し寄せて来やがった。



「あっ、もうダメ……」


 膝から崩れ落ちて大地のベッドの上で横たわる。


「ピッ!?」

『大丈夫!?』


「ピョン太、すまない。一時間程経ったら起こしてくれ……。ね、ね、眠過ぎて限界だ……」



 俺の顔を小さな嘴で突く彼に暫しの別れを告げると、異常に重たい瞼を閉じた。



 あ、あはは。硬い筈の大地が物凄く柔らかく感じちまうよ……。ちょっとだけ休憩っと。


 意識を失う刹那。



「――――。見事だったぞ」



 あの横着な白頭鷲の声が聞こえた気がするが……。それは恐らく俺の妄想であると決めつけ、世界最高の美女と念願の添い寝を始めたのだった。



お疲れ様でした。


ここで少しだけ早いですが、裏設定を説明します。


彼等が踏み入れた森に住む暴兎なのですが……。森の奥に行けば行くほど強さが上昇します。第二部で現代編の主人公達がこの大陸に訪れ、更にこの森に足を踏み入れる予定です。



この話で漸く禽鳥の国の中盤が終わりました。少しの日常パートを過ごした後、あの滅魔が目を覚まして終盤へと突入します。楽しんで頂ければ幸いですね。




皆様は大型連休を楽しんでいますか?? 私は大いに楽しませて頂けました!!


梟も目を擦る深夜、愛車に跨り四国へ向かって出発。淡路島を通って初の四国上陸を遂げました!!


先ずは香川県にお邪魔させて頂き、『うどん本陣 山田家』にうどんを食べて来ましたよ!!


腹ペコの状態で朝一番の開店を待ち、開店と同時に入店。天ぷら釜揚げうどんの大盛をガッッツリ頂いたのですが……。


あの弾力のある麺のコシと丁度良い塩梅の塩気のあるツユ。正に絶品でした……。


この味を知ってしまったら他のうどんが食べられなくなってしまうのでは?? そう思う程に美味かったです。


その後は愛媛県に移動してお土産用に今治タオルを購入。道後温泉に寄ろうかと考え、ネットを開いたのですが……。ヤバ過ぎる程に混雑していたので回避しました。


さて、これにてミッションコンプリートしたので帰ろうかと考えたのですが。



『まだイケるね』 と。



まだまだ観光し足りないと考え、愛媛県から広島県へお邪魔させて頂き。広島風お好み焼きとばくだん屋の辛いつけ麺を食して帰って来ました。


御蔭様で眠さと疲労がピークに達しています!!


今日は昼寝をした後、プロットを書く予定ですよ。




そして……。


ブックマークをして頂き有難う御座いました!!


今回の旅行は徐々に減少していく執筆意欲を上げる目的も含まれていました。本日、投稿時にブックマークが増えている事を見付けると思わず拳をグっと握ってしまいましたよ。


本当に有難う御座います。そして、これからも精進させて頂きますので彼等の冒険を温かな目で見守って上げてください。



それでは皆様、引き続き大型連休をお楽しみ下さいませ。




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