~プロローグ~
お疲れ様です。
本日から新章が始まります。それでは御覧下さいませ。
ある程度文明が成熟した星に住まう高度な知能を持った動物達は日が昇ると己に課された使命を果たす為に汗を流し、日が沈めば失った体力を補う為に眠りに就く。
失った体力を補う方法は何も眠りに限られている訳では無い。
時に仲間と酒を酌み交わし、時に好物で腹を満たし、時に歌を奏でて心と体を潤すのだ。
高度な知能を持った生物。
つまり人は限られた人生という時の流れの中でそれぞれがそれぞれの方法で逞しく生き抜く。
しかし、同じ時間を繰り返す内に大小様々だが人々は少なからず飽きという物を感じる。
毎朝似た様な時間に起床して、腹が減れば飯を食い、疲れたら眠る。
成熟した文明社会の中で生きとし生ける生命体が行うありきたりな生活循環だ。
この普遍的な人生の生活循環に幸せを感じるのか、将又苛立ち飽きを感じるのかはその人の判断に委ねられているといっても過言では無い。
飽きは客観では無く主観で決定されるのだから。
これまで生きて来た経験則、己の主観、人生の残り時間。
これらを統合して導き出された結果…………。男は飽きていた。
美味い飯を食おうが高揚するのはその時のみ。イイ女を抱こうが募るのは疲労感、酒で全てを忘れようとしても人が持つ記憶の力の前では酒の力を以てしてもそれは叶わない。
何も変わらない、何も起こらない普遍的な日常に男は飽きてしまっていたのだ。
では、何をすれば彼は飽きという呪縛から逃れる事が出来るのだろうか??
読書?? 今より強くなる為の鍛錬?? 危険が待ち構えている冒険?? それともありきたりな結婚??
幾つもの解決策はあるがそのどれが彼に合っているのかは彼の判断に委ねるべきだ。
そう、退屈という名の重い呪縛の鎖から逃れる為には彼自身が決断しなければならなのだから。
そして退屈を倒す為に男が下したほんの小さな一つの決断がこの星の運命を変えてしまうとは……。彼は知る由もなかったのだった。
続けて投稿させて頂きます。