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第三百十一話 通常営業の蜘蛛の御姫様

お疲れ様です。


本日の投稿になります。




 早朝の清々しい空気とは裏腹に天幕の中にはまるで視認出来てしまいそうな甘い女の香りが充満している。


 深くそしてゆるりと呼吸を繰り返す度に喉に絡みつく香りが私の体の奥へと侵入して体内を満たしてしまう。


 昨日までの疲労の蓄積によって体は眠りへと就こうとするが肌にへばりつく女の香りがそうはさせまいと私の睡眠を妨げていた。


 微睡む意識のまま天幕の布の隙間から差す頼りない光をぼぅっと見つめていると、腸が煮えくり返り思わず殺意が芽生えてしまう雑音が鼓膜に届いてしまった。



「んがらっぴぃ……」



 私が休む位置から随分離れた場所から響く鬱陶しい鼾と寝言。


 シラツキはあれを愛せと申していましたが……。例え僅かな友愛でも与える事に億劫になってしまいますわ。


 大体!! 汚物に愛を与えても無意味でしょう!?


 それでも彼女は恍惚に染まった表情で愛せと申すのでしょうね……。今度会った時はこの件について深く検討する必要がありますわ。



「それは、おやつでぇ……。んひぃ。夜は無限に生えるおにぎりぃ……。ちゃんと作れよぉ」


「はぁ――……」



 魑魅魍魎が放つ理解不能な声から逃れる様に寝返りを打ち、早朝と夜の狭間に存在する柔らかい明かりが差し込む入口へ視線を向けた。



 朧に差す光の中に彼の顔がふと浮かび、魑魅魍魎の声で荒んでしまった私の心を温めてくれる。


 うふふ。姿が見えない幻の彼の顔を想うだけでアオイの心は温まってしまいますっ。


 シラツキが申した通り愛の力は絶大ですわ。


 私を受け止めてくれた昨晩の愛溢れる光景を思い出すと。



「んっ……」



 朝に相応しくない気持ちが湧いてしまい、それを誤魔化す為に内太腿を擦り合わせる。


 アオイの愛を受け止めてくれた、無償の愛に応える必要は無いと仰りいつまでも支えて下さると温かな眼差しで見つめてくれた。


 これはもう……。未来永劫不変の愛を私は頂けたと考えても宜しいですわよね??


 しかも!! こちらへ戻ってくる際には私の手をひしと掴んで頂けましたし……。


「んぁっ」


 体内から沸き起こる熱き愛の力が燃え上がろうとしてしまうが、ここで一つの不安材料が頭の中に浮かんでしまい愛の彼方へと向かおうとしてしまう意識を留めた。



 レイド様は大丈夫でしょうか??


 昨晩、急な発熱の為に倒れてしまい。そして私も初めての覚醒に体が驚愕して数時間程気を失ってしまった。


 彼の容体が気になるのも眠りを妨げる要因の一つであり、私が安眠を享受する為にレイド様のご容体を確認しなければなりませんよね??


 そ、そう!! これはレイド様の妻として当然の行為なのです!!


 善は急げと言われていますが、ここで眠る六名の女性は傑物の類。


 微かな気配で目覚めてしまう恐れがあるので慎重に行動しなければなりませんわ。



「……っ」


 上半身に掛っている毛布を優しく外し。


「んぅ――……」


 私からちょっと離れた位置で眠っている破廉恥且無意味に大きな胸を持つ女性の足に優しく毛布を掛けてやり。


 物音一つ立てず上半身を起こして立ち上がると。足音、更に一切の気配を消失させて天幕を抜け出た。


 私の心を上手く表現した様に澄んだ青が空一面に広がり、塵一つ無い空気を胸一杯に取り込む。



「ふぅ……」



 昨日までの雨は止み、晴れ渡る美しき空が私の夜這い……。では無くて誠心誠意を籠めた看病を応援している様ですわねっ。



 暁の空から視線を下げ。踏み心地の良い土の上を歩いて彼が待つ天幕へと進む。



 レイド様ぁ。今からアオイが看病しに参りますわね……。


 彼の天幕へと近付く度に心臓が嬉しくトクン、トクンと鳴く。この何物にも代え難い高揚感が自然と歩みの速さを上昇させた。



 さ、さぁ到着しましたわ。


 野営地の淵に佇む縦に伸びた三角錐の布、一人用の天幕ですので随分と狭そうに映りますがその実。中に入ると意外と快適なのです。



『レ、レイド様っ。失礼致しますわぁ』


 ここの家主に入場の許可申請の言葉を放ち、入り口の幕を捲った。


「すぅ……。すぅ……」



 薄暗い明かりが差す中、一人の男性が薄い毛布にくるまり安らかな眠りを享受している。


 先程までの女の香とは一線を画す男の香りが私のイケナイ何かを多大に刺激してしまった。


 あっ、はぁっ……。堪りませんわぁ……。


 何度嗅いでも飽きる事が無い、寧ろ嗅ぐ度に魅了されてしまう中毒性がある香りですわね。


 一切の音を消失させ、四つん這いの姿勢でお邪魔すると後ろ手に幕を閉じた。



「ん――……」



 レイド様の呼吸音と微かな寝言。そして私の心臓の音のみが反射する天幕の中、抑えられない高揚感を抱きつつ四つ足で彼の下へと到着した。


 健康的な肌色の御顔、弛緩した体が体調の良好具合を私に伝えてくれている。


 ふふ、安らかに眠っておられますわね。お熱はどうやら下がられた様で安心しました。


 嫋やかに足を崩し、彼の寝顔を愛しむ様に眺めていた。



『レイド様ぁ。アオイですわよぉ』


 耳元で愛を囁くと。


「んんっ……」



 寝返りを打ち、反対側へ体の正面を向けてしまった。


 もう……。折角御顔を拝見していましたのに。どうしてそちら側に向いてしまうのですかっ。


 むっと唇を尖らせ、反対側へ移行しようか考えていると。レイド様が寝返りを打った所為か、毛布の半分がぽっかりと空いている事に気付いてしまった。



 これは……、私を誘ってくれたと認識しても構いませんわよね??


 初心な殿方は言葉では無く行動と態度で意思表示をすると本で読んだ事がありますし。


『失礼致します……』


 足から胴体、胴体から肩口まで入り彼の広い背中に己が顔を埋めた。



 あ、はぁぁっん……。


 鼻腔に彼の香りを直接迎え入れると一瞬で心と体を溶かされてしまった。


 な、何て素晴らしい香りなのでしょう!!


 魑魅魍魎の鼾と寝言で凝り固まっていた心が瞬時に融解、溶け落ちた心と体は液体へと変化。彼の背に密着してしまう。


 一度接着したら早々に離れないのですわよ……?? レイド様がいけないのです。私にこんな香りを嗅がせるのだから……。


 瞳を閉じて嗅覚に全ての神経を委ねていると馨しい香りを放つ壁が突如として消えてしまった。


 う、ん?? レイド様如何為され……。



「う――ん……」

「へっ!?!?」



 彼が何んと此方側に寝返りを打ち、私の頭の上に顎を置いたではありませんか!!


 わ、私は夢を見ているのでしょうか??


 此処へ来てからというものの、ろくな事がありませんでした。その所為で幻覚を……。


 試しに左手で太腿を抓ってみると。


 痛覚は確かに感じますわね。


 つまり!! これは正しく現実なのですわ!!



「レイドさ――まっ」



 この千載一遇を逃して堪るものかと何の遠慮も無しに彼の胸にぽすんっと顔を埋めた。


 此方側の香りも格別ですわねぇ……。出来る事なら空き瓶に彼の香りを閉じ込めていつでも嗅げるようにしたいですわ。


 このまま眠ってしまおうか。


 そう考えているとレイド様の腕が驚愕の動きを見せた。



「えっ??」



 彼の逞しい腕が私の腰を優しく抱き、更に奥へと引きずり込もうと画策。


 私は抵抗する処か喜んで彼の奥へと足を踏み入れてしまった。


 さ、さぁ!! レイド様!?


 言い逃れが出来ない状況に陥ってしまわれましたわよ!?



「し、東雲!! 御出でなさい!!」


 彼に抱かれたまま器用に右手を掲げ微かな魔力を放出すると。


「アオイ様!! お待たせしました!!」


 魔法陣の中から東雲が現れ、彼と私の頭上に二本の足を立てた。


「私の考えを汲んでいますわよね!?」


「勿論で御座います!! ですがその前に……。アオイ様、此度はシラツキ様との邂逅を遂げおめでとうございます」



 翼を一度横に大きく開き、静かに閉じて頭を垂れる。



「もう何度も聞きましたわ!!」


「はっ。ですが、こうして現実の世界で大気を振動させてアオイ様のお耳に直接述べるべきだとの考えに至りましたので」



 あぁ、もう!! 時間が惜しいのですわ!!



「分かりました!! あなたの心は受け取りましたわ。ですから、早くしなさい!!」


「畏まりました!! では記録を開始致します!!」



 東雲の黒き瞳が一瞬強く光ると私とレイド様を見つめ始めた。



「むっ……。ちょっと画が弱いので毛布を捲りますね」



 東雲が両の翼を器用に動かして毛布を腰付近まで移動させ、男女の体が密着している様を露呈させる。


 確固たる証拠を残したい気持ちは分かりますが、声が記憶に混入してしまうではないですか!! 黙って記憶をしなさい!!



「アオイ様、実はですね。能力が向上した所為なのかある程度の音声改竄が出来る様になったのです!! 私の声が混入しても後で消去可能なのですよ」


 まぁっ!!


 それは素晴らしいですわね!!


「お褒め頂き、光栄であります。カァッ!?」


 如何なさいました??


「レ、レイド様がアオイ様の御体を……。強く抱き締めて……」



 うふふ。


 羨ましいですか?? こうすれば……。レイド様が私を求めていたという証拠になりますからね。


 レイド様の腰に己が腰を深く当てると彼は満更でも無い吐息を口から漏らす。



「レイド様がアオイ様の御体を抱いた、確固たる証拠で御座いますからね」



 そうです。


 この状況を記憶する事によって、レイド様が私の体を求めたという揺るがぬ証拠を第三者へまざまざと見せつけるのですわ。


 そうすれば私の過失は認められず。レイド様が私の体を求めてひしと抱いたその事実だけが残る。


 んふっ。レイド様?? 蜘蛛は狡猾な生き物なのですわよ??



 私は潤んだ瞳を浮かべ今にも此方に降って来そうな彼の顔を見上げていた。



 世の仕組みは自分の想い通りに進む事もあれば、上手くいかないと奥歯を食いしばって行き場の無い憤りを誤魔化す時もあるのですが……。


 前者の通りレイド様の寝顔が此方に降って来ますよ――うにっ。と、自分の切なる願いを唱えていると。



「んぅ……」


 ほ、ほ、本当に降って来るではありませんか!!


「レ、レイド様っ」


 意図しない僥倖に思わず声が上擦ってしまった。



「アオイ様!! これは受け止めるべきです!!」



 そ、そうですか??


 レイド様は眠っていますし、意思が無い口付けに愛はあるのでしょうか。



「アオイ様が愛すれば宜しいのです!!」



 で、ですわよねぇ!!


 東雲の言葉を受け取り優柔不断な気持ちをスパっと切り替えると、顎を優しく上に向けた。


 ささ、レイド様ぁ。アオイの唇は此方で御座いますわよ……。


 彼の鼻息が眉に当たり、彼の腕の中で温め続けられている思考が一気に蕩けてしまう。


 あぁ、遂にレイド様と契を交わす時なのですわね。



「いいですよ!! アオイ様!! もう少し恥じらう乙女の表情を浮かべて下さい!!」


 えっと……。こうですか??


「そうです!! その潤んだ瞳!! こ、こ、これは売れる!!!!」



 東雲??


 この愛溢れる記憶映像は決して譲渡しません。私の中で未来永劫大切な箱に仕舞い込んで、時折開けては楽しむのです。


 彼の吐息が鼻頭に吹き掛けられ、いよいよその時が来たのだと私に告げた。



 レイド様ぁ。アオイの初めて、奪って下さいまし……。


 瞼をきゅっと閉じて荒ぶる息を止め、その時を待ち続けていると。



「「――――ッ」」



 つ、ついに彼のやたら冷たい唇が私の温かな唇に触れた。


 あ、あぁ!! 私は遂にレイド様と口付けを交わしたのですね!!


 世界中に私とレイド様。只二人だけが存在する世界でこのまま時が止まってしまえばいいのに……。


 彼の体をきゅっと抱き締めひんやりした感触を味わっていると。



「アオイ。起きて」



 はて??


 何故レイド様と口付けを交わしているのに、カエデの声が聞こえて来るのでしょうか。


 きっと唇に感じるのが現実であり耳に届くのが幻なのでしょう。


 幻ならいつかは消える。


 私はそう考え、彼の唇に向かって更に顔を押し付けた。



「アオイ。苦しい」



 聞こえて来る声色が現実を帯びて来ましたわね。


 憤怒と予想外の行動に慄く女性の声を受け取り、そっと目を開けた。



「……っ」



 レイド様の御顔が眼前に在る。間近で映る彼の御顔はそれはもう何物にも代えがたい宝物だ。


 な――んだ。やはり声が幻だったのですわね。


 そう考えて再び彼の御顔に向かって顔を……。



「だから、苦しいよ」

「ぇっ!?」



 私と彼の間に存在する僅かな隙間から顔を顰めた海竜の顔がにゅるりと首を擡げて出現。


 私の顔に向けてチロチロと舌を伸ばしていた。


 蛇のそれよりも角ばった鱗、頭頂部から生えた二つの耳。


 蛇の姿とは一線を画し……。画しませんわね。瓜二つと断言しても構いませんわ。


 問題は何故彼女がこの場に居るのか、この一点に限ります。



「カエデ!! そこで何をしているのですか!!」


 それに……。先程まで居た東雲は!?


「今日は休日だから早く起きて本を読む予定だった。それで昨晩は早く就寝しました。そして、早朝。何やら不穏な空気を残して天幕を出るアオイの後ろ姿を見て起きた。後……。東雲は今頃この島の北に居ますよ」



 空間転移で送ったのですわね!?


 ちぃっ。折角の大切な思い出が……。



「思考が明瞭になり、向こうの天幕を出て淫靡な気配を辿って此処に来た。そして……」


 海竜の姿のカエデが私達の間から顎を上に向けて天幕の布を見上げる。


「二人の頭頂部側からこの姿で布の合間を縫って侵入。そして、面白い角度と笑えない角度で接近する二人の合間にすぽっと収まった」



 面白い角度は私で、笑えない角度はレイド様の事かしら??


 それはさて置き。



「邪魔をしないで欲しいですわ。レイド様は私の体を抱き、そして私の唇を求めていたのです」


「物は言いようですね。寝首を搔くのは卑怯です」



 再び顔を近付けようとすると蛇の体を上手く使って顔を放されてしまった。



「お退きなさい!! 今、そこに在るのですわよ!? この世の宝が!!」


「駄目。卑怯な手段は了承出来ません」



 海竜の若干硬めの鼻頭が私の鼻をぐいぃぃっと押し返す。



 もぉおお!! 許しませんわ!!


 此れしきの抵抗、私の前では無力なのです!!


 彼の腰を強く抱き、上半身の力を全て使って彼の唇へ向かって突貫を開始した。



「ちょ、ちょっと待って!!」


「言い訳無用!! レイド様、少々歪な形の唇で申し訳ありませんが。極上の愛を献上致しますわぁ!!」



 楕円の中に一本の線が入った唇ですが……。受け取って下さいまし!!



「ア、アオイ!! 止め……。んぅっ!?」



 蛇の頭が消えると唇にぬめった感触を感知する。恐らくこの感覚はカエデの胴体、若しくは口付近の鱗でしょう。


 しかし!! ここで勢いを止めたらもう二度とこの好機は訪れません。このまま……。押し通る!!


 瞳を閉じ、その時に向かって一気苛烈に突き進んだ。


 そして……。



「「……ッ」」



 唇に感じる湿った肉の感触がこの突貫は成功であると告げてくれた。


 あぁ、これがレイド様の唇の感触なのですわね。


 ふふ……。随分と湿っていますわね。きっとアオイの柔らかい唇を想像して舌なめずりをしたのでしょう。



「――――。んぶっ!! も――。アオイちゃん、駄目だよ?? 狼の鼻にちゅってしたら」



 はい??


 何故ここでお惚け狼の声が聞こえるのでしょうか。


 眉を顰めて目を開くとそこには金色の目を宿した一頭の灰色狼がハッハッと荒い息を吐き続けていた。



「ルー!? 何をしているのですか!? そ、それに獣臭いですわ!!」


「え?? 何って……。アオイちゃんとカエデちゃんの姿が見当たらないなぁって思ってさ。二人共散歩に出掛けたんだ、ずるい!! って天幕を出たの。そしたらね?? レイドの天幕の中で二人の力を感じてさぁ。随分と楽し気な雰囲気だったから、そこから顔を捻じ込んで入って来たんだ!!!!」



 カエデは頭上側、そしてルーはレイド様の背中側から侵入してきたのですか。


 全く……。どうしてこうも邪魔ばかりされるのでしょうか……。今日は厄日かも知れませんわね。



「ねぇ、アオイちゃん??」


「何ですの」


「いい加減鼻にちゅってするの止めない?? カエデちゃんの鱗が当たってくすぐったいんだけど」


 この期に及んで止めろと申すのですか、この狼は。


「止めませんわ!! あなたの鼻を押し退け、と言いますか!! レイド様の体を跨ぐのは止めなさい!! 汚らわしい!!」


「え?? 毛皮欲しい?? それはちょっとなぁ。剥かれたら死んじゃうし」



 こ、この!! お馬鹿な獣め!!



「退きなさい!!」


 狼の頭に負けじと唇を前に突き出す。


「びゃっ!? 鼻の中に何か入ったよ!?」


「知りませんわ!!」



 気が付けば天幕の隙間から差す外の光は朝の物へと変化し、眠る者を覚醒へと至らせようとしていた。


 早く愛の序章を始めませんと……。彼が起きてしまいます!!


 レイド様、待っていて下さいまし!! 必ずやアオイの唇を届けに参りますので!!



「アオイちゃんも強情だねぇ!!」


「千載一遇の大好機を逃す程愚かではありませんわ!!」


「ちょ、ちょっと!! アオイ!! 止めて!! 前が見えない!!」


 私は逸る気持ちに背中をグイグイと押されて不変の愛を届けようと躍起になるが、それでもお惚け狼は不退転の姿勢を崩さず。


 妙に湿った獣の鼻と私の唇に挟まれた海竜が目を黒させるが……。私は間に挟まれた彼女の泣き言を一切合切無視して勇往邁進を心掛けたのだった。


お疲れ様でした。


この御話は蜘蛛の御姫様の活躍が暫く見られなかったので、その事を考慮して執筆させて頂きました。


本当は一話丸々各自の主観を書きたいのですがそれだとどうしても蛇足になってしまいますので。


さて、これから数話日常パートが始まるのですが……。さっさと話を進めろよと、目くじらを立てて光る画面越しに私を睨んでいる読者様もいらっしゃるかと思われます。


しかし、彼等も偶には羽を伸ばしたいと切に願っている為執筆させて頂きます。


その辺りはどうかご了承下さい。


それでは皆様、花粉に気を付けてお休み下さいませ。

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