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第二百八十五話 海竜さんの横着と愛玩動物達との戯れ その一

お疲れ様です。


本日の前半部分の投稿なります。




 限界を知らぬ者など居ない。


 人は自分の限界を悟るとその手を止める又は活動を停止する。これ以上この行動を続けても有益な結果は得られないと自然に理解してしまうのです。


 だが、不思議な事に行動をしてないくても常軌を逸した事象を捉えると勝手に限界だと理解してしまう場合もある。


 私達の目の前に聳え立つ食材の山はそれを容易に私の体へと証明してくれた。


 野営地のほぼ中央に設置された完璧な鉄の四角形。


 その下には薪がくべられ今も馬鹿げた大きさを誇る鉄板を温め続けており、鉄板の下部から漏れて来る橙の明かりが野営地の闇を美しく彩る。


 その脇には仰々しく均等に横一列に積まれた食材の山が聳え立ち私達に挑戦的な視線を送り続けていた。



 熱せられている巨大な鉄板、量を間違えた食材の山。これが指し示す意味は……。



「良いか!? 本日の夕食はこれを食らい尽くせ!!」



 イスハさんが誇らしげに氷の箱の中に積まれた食材達を指差した。


 そうでしょうね。それ以外に食材は見当たりませんので。



 海の栄養を摂取して大きく育った貝類、先程まで泳いでいたのかと私に錯覚させる程の新鮮な魚達。


 子供の頭部程の大きさの肉の塊に、大地の恵みを受けた野菜類が置かれている。


 魚介類に肉に野菜。


 栄養価が高い食材達がさぁ俺達を全て食らってみろと挑発的な姿勢と視線で私達に問うて来る。


 私達が妙に硬い唾をゴクリと飲み込んでしまったのに対し。



「ほっほぅ!! 夕食は鉄板と来ましたかぁ!! 皆で囲んで食べると美味しいのよねぇ!!」


 マイが誰よりも先に食材に手を伸ばすと。


「じゃんじゃん焼いちゃおう!! これは……。牛肉だからユウは駄目よ!! あっちはその海鮮系。んで、こっち側は肉系ね!! メア!! 肉を切り分けて!!」


「へいへい。言われなくてもそうするよ――っと!!」



 誰にも頼まれていないのに早々と食材の焼く場所を決めて調理に取り掛かった。



 普段のだらしない態度は反面教師にすべきですがあの姿勢は見習うべきですね。食事は傷付いた体を癒し、尚且つ底を付いた体力を回復させてくれる有難い存在なのです。


 今回の訓練では今まで以上に食に対して感謝を述べ。そして以前の私の体より一回り大きく成長させると決めたのです。


 自分の体の限界以上に多くの命を取り込みましょう。


 そうしないと訓練を滞りなく完遂出来ない処か……。



『あの人に勝てない』



 私を情けない魔法使いと罵ったあの愚か者を成敗しなければいけないのです。


 臥薪嘗胆、とでも言えばいいのかな?? 苦しみ悶え、茨で溢れかえる苦難の道を乗り越えた先に見える栄光へと向かってひた進む必要があるのです。



「はぁい。お皿ですよ――」


 モアさんが私達一人一人に丁度良い大きさの取り皿を配って行く。


「ねぇ、モア。この液体は??」


 先生が怪訝な顔を浮かべて皿の中に横たわる黒い液体を指差した。


「自家製の付けタレですよぉ。果実やら野菜やら……。様々な食材を溶け込ませて作りました。ピリっとした辛みの香辛料、野菜と果実の甘味が溶け合って美味しいんですから」


「ふぅん。そう……」


 先生が白く細い指をタレに付け、恐る恐るゆっくりと口に運ぶ。


「んっ!! 美味しい!!」



 疑心暗鬼な顔から一転。


 世の男女を魅了してしまう笑みを浮かべた。


 その輝かしい笑みに誘われて私も黒光りした液体にちょこんと指を付け口に運んだ。



「……」



 うんっ。美味しい!!


 舌に感じた塩気と辛みのすぐ後を追う様に優しい甘味が現れ、辛みを無かった事にしてくれる。


 舌触りも大変良く、焼いた食材を絡めて食べるのに最適な液体だと私の味覚は理解してくれた。


 そう、私の『味覚』 は安全だと理解してくれました。


 だけど、心の隅にいる猜疑心さんが重い腰を上げてこう話す。



『それは本当に口にしていい物か??』



 分かっていますよ。


 でも、ここで断れば何をされるのか分かったものじゃないのです。


 現に……。



「イイ匂いしてきたねっ!!」


「あぁ、傷付いた体は肉で癒すべきだ」


「んおっ!! 魚美味そうじゃん!!」


「ユウ!! こっちは牛肉だから気を付けてよ!?」



「…………」



 モアさんが鉄板の上で焼かれている食材を待つ嬉々とした彼女達の表情を一つ一つ注意深く観察し、謎の黒き液体が詰まった大瓶を右手に持ちながら早く液体のお代わりを述べてくれよと静かに待機していた。



 あの瞳の色と人の顔色をじぃっと窺う所作……。もう既に怪し過ぎます……。



「レイドさん!! 美味しそうですよね!!」


「え、えぇ。そうですね……」



 私の正面、鉄板の向こう側に居る彼も私と同じ気持ちを抱いている様だ。


 馨しい香りを放つ食材に待ちきれない様子のアレクシアさんとは打って変わり、謎の液体を見下ろして注意深く観察している。


 そして、ふと顔を上げ私と目が合うと。



『アレ、じゃないよな??』



 そんな意味を含めた視線を投げ掛けてくれた。


 直接視覚に触れるのは不味いと考えたのか、個体から液体に変えて来ましたね。


 奇をてらうでは無く定石通りの攻め方。


 液体にすればこれだけの大人数に対して一気に摂取させられますから……。



 左手に持つ皿に横たわる液体をさり気無く地面に投げ捨ててやろうか。


 粗相であると思われるが口にするよりかは良い選択肢だと考えられるますよね??



「あ、あの。モアさん……」


 私が躊躇していると彼が恐る恐る声を上げる。


「はぁ――い!! タレのお代わりですかぁ??」


「いや、まだ何も焼けていないので使っていません」


「あはっ。そうでした」


「つかぬ事を御伺いしますが……。このタレ以外の調味料はありませんか?? ほ、ほら。塩とか……」



 レイドがモアさんと出来るだけ目を合わさない様にして、地面の小石に視点を合わせて問う。



「塩ぉ?? そのタレ。態々今日この時の為に作ったんですよぉ??」


「そ、そうですか……。で、でも!! やっぱり最初は食材本来の……。ひぃっ!!!!」



 そこまで話すとどこから出て来たか分からない出刃包丁の切っ先が彼の顎下をくぃっと押し上げた。



「いいですかぁ?? 用意された物は全て食べ尽くすのがここの作法なのです。それに抗う事がどういう結果を招くか。分からないとは言わせませんよぉ??」


「りょ、了解しました……」


 奥歯をカタカタと震わせ、恐怖の音を奏でつつ涙声で答えた。


「それにぃ……」



 彼の顎下に出刃包丁を突きつけたまま何かを耳打ちをする。



「――――。と、言う訳ですっ。御安心を」



 耳打ちを終えて距離を取ると、顔全体は笑っているけど目は笑っていないあの表情を浮かべた。


 何を言われたんだろう??



「は、はぁ……」


「モア――!! 手伝って――!!」


「それじゃ、私は食材を切り分けて来ますので――」



 彼はその場から去り行く彼女の背を半ば茫然としつつ見送る。


 先程の会話の内容が多大に気になり、風景に溶け込む様にさり気なく移動を開始して彼の隣にお邪魔した。



「ねぇ」


 鉄板の上で食材達が心地良い音を上げて焼ける音にも劣る小さな声で彼に声を掛けた。


「はいっ!?」



 そこまで驚く事かな??


 私の声を受けると肩がビクリと一つ激しく上下に揺れ動く。



「な、何だ。カエデか……」



 あの恐ろしい存在では無いと確知したのか。優しい黒の目で私を捉えると、ほっと胸を撫で下ろす。



『さっき、何言われたの??』


 誰にも聞こえない声量で彼の耳に尋ねてみると。


『ソコには入っていないって言われた……』



 彼が私の左耳に耳打ちして先程の真相を伝えてくれた。


 ソコには、ですか。大変気になる答えですね……。



『ほら、今回は持ち込んでいないと言っていたし。疑うのは止めて御飯を食べようか』


『そうですね。一々気に掛けていたらとてもじゃないけど心が持ちませんからね……』



 訓練で体力が底を付き痛んだ体を労わる為に食事を摂る。


 その過程で疑心は持つべきではないのです。只食事を摂るだけなのに余計な労力を割きたくないのが本音かな。



「焼けたぁ!! どれどれぇ……。頂きますっ!!」



 こちら側の列の右端。


 マイの嬉々とした声が響き、鉄板の前に並ぶ列から顔を覗かせ彼女の表情を窺う。



「どうよ??」



 ユウが一口大に切られたお肉さんを口に運んだマイに聞く。



「んっっっっまぁぁああい!! 何よこれぇ!! お肉ちゃんとタレちゃんが絡み合って最高に美味しいぃいい!!」



 体を大袈裟に震わせ、周囲の木々を揺らす勢いで感情を爆ぜさせた。


 ちょっと大袈裟な表現かな??


 でも、様々な食材を摂取した経験のある彼女が合格点を叩き出したんだ。よっぽど美味しいのだろう。



 物は試し。


 目の前で食欲を湧きたてる音と色合いを放つ鉄板の上のお肉さんを摘まみ上げ。


 謎の付けタレに絡ませて口に招き入れた。



「――――。美味しい」



 驚いた。本当に美味しい……。


 奥歯でお肉を噛むとじゅわりと肉汁が溢れ出してタレと絡み合って舌を喜ばせてくれる。


 辛味と甘み、そしてほんの僅かな果実の香りがわぁっと口の中で広がり食欲を増進。


 気が付けば口の中のお肉は胃袋へと消失していた。



「うっまっ!! この鶏肉美味いぞ!!」


「ユウちゃんは牛肉駄目だもんね――。あぁ!! リュー!! それ、私が焼いていたお肉だよ!?」


「ふんっ。これはふぁたしの陣地にあった肉だ」



 右側に固まった人達はお肉に舌鼓を打ち。



「あらっ。このお魚美味しいですわね……」


「白身ですけど、タレのお陰で味がしっかりしていますよ!!」



 アオイとアレクシアさんは魚介の区画で楽しそうに箸と口を動かしていた。



「おぉ。美しい……」



 レイドがしっかりと焼かれたお肉をこれでもかとお皿の上に乗せ、喜々とした表情で見つめる。


 そして、見本にしたくなる綺麗な箸使いでお肉を口に迎え入れた。



「どう?? 美味しい??」


「んまいっ!! いやぁ、これならずっと食べていられそうだよ」


「ふふ。ずっとは無理だよ」



 マイならずっと食べていそうだけどね。


 さてと……。私も見てばかりじゃ無くて食べないと。彼の笑顔が私の食欲をツンっと突いて刺激しちゃいましたからね。



 私から見て右側にはお肉、そして左側には魚介系が鉄板の上に並ぶ。


 私の位置は丁度その境目に位置しているのでどっちに手を伸ばそうか考えてしまう。


 勿論好物の魚介類に手を伸ばしたいのは山々ですが、先程のお肉の味を忘れらないのもまた事実。実に悩ましい場所に身を置いてしまいましたね……。



「んぅっ!! ホタテ美味しいじゃない!!」



 私の正面。


 熱せられた鉄板が放つ蒸気で端整な顔が揺らぐ先生が殻付きのホタテを食べると、その美味しさに目を丸めていた。



 ホタテ、か。美味しいですよね……。



 生まれ故郷に近い海で海中散歩を楽しんでいる最中、砂地を注意深く観察していると偶に発見しては鋭い牙で殻に齧り付いてむしゃむしゃと顎を動かして中身を頂く。


 皆さんは私の海竜の姿を見て小さくて可愛いと勝手に決めつけていますけど、顎と牙は意外と強力なのですよ??


 ホタテの柔らかい中身が舌を喜ばせ、海水と殻の塩気が絡み合うとまた絶品なんですよね。たまぁに歯の間に殻が挟まってしまうのが問題です。


 一度挟まってしまうと中々取れないんですよね……。



「どしふぁの??」


 お肉にむしゃらむしゃらとがっついているレイドがこちらを窺う。


「お肉を取ろうか、魚介類を取ろうか迷っているのです」


「そっふぁ。んんっ!! ホタテの焼ける姿を美味しそうに見ていたし、それから食べたら??」



 私の目の前で丁度ぱかっと開いたホタテを指差す。



「殻ごと食べるのは勇気がいります」



 歯の間に挟まったら痛いんですよ??



「はい??」


 おっと、今は人の姿だった……。


「冗談ですよ。じゃあ、ホタテを頂きます」



 熱せられた鉄板の淵へと殻を移動させ、器用に箸を動かして中身を取り出す。


 わぁ……。真っ白で美味しそう。



「冗談か。まぁ、アイツなら殻ごと食べそうだけどね」


「タレ、最強ぅぅうう――!! 今日の私はむ、無限に食えるぞ!!」


「はは……。馬鹿な奴……」



 モムモムと口を動かしながら喧しい彼女を呆れた瞳で捉える。そしてその後。



「だけど、本当に良い笑顔だよな」


 親しき仲の者に送る温かな瞳を浮かべてしまった。



 むっ、そんな温かな瞳で彼女を見つめないで下さい。


 もう一人の悪い私が顔を覗かせてしまい景色と同化する様に気配を消失させて食材の山へと移動を開始。



『お、俺はまだまだヤレるぜ!!!!』 と。



 氷の箱の中でブクブクと泡を吐く蟹さんの甲羅をしっかりと掴み、元の位置へ静かに戻ると彼の腕に私の心の代弁者を送ってやった。



「あんなに急いで食べても早々無くなる訳……。なっ!? いっでぇええええ!!」



 そうでしょうね。大変痛いと思いますよ。


 巨大な鋏を持つ蟹に腕を挟まれ、一人の男性が私の隣で泣き顔を浮かべて強力な力から逃れようと必死に左腕を振っていた。



「あはは!! どうしたの、レイド??」


「ルー!! 笑っていないでこの、いってぇ!! 蟹をどうにかしてくれ!!」


「え――……」



 彼の腕を挟む蟹さんは。



『な、何があろうとも!! 絶対に拘束を解かぬぞ!!』


 と、言葉の代わりに鋏で彼に話し掛けていた。


「仕方が無いなぁ。ほら、蟹さん。横着な鋏ちゃんを放そうね――」



 ルーが蟹の鋏を手に取ると。



『触れるな!!』



 そう言わんばかりにもう片方の鋏で応戦。


 急な抵抗に慄いた彼女は。



「わぁっ!!」



 右手に持つ皿を盛大に宙へと放ってしまった。


 皿が宙に舞う。


 つまり、あのタレが重力の拘束から解き放たれるのです。



「うわっ!! 何だこりゃ!?」


 上空からの急襲にユウが驚いて右手を上げると。


「ほがっ!?」


 マイの顔にユウの手が直撃してその勢いで何かが正面へと吹き飛ぶ。


「ぬぁっ!! 汚いぞ!!」



 彼女の正面で朗らかな笑みを浮かべて咀嚼を続けていた狐さんの顔にソレが付着すると、勢い余って箸が左へと飛翔。



「げぇっ。クソ狐の液体が付着した箸触っちゃったじゃん」



 よりにもよって狐さんと相性が最強最悪に悪い先生の右肩に満点の着地を決めてしまった。



「最悪――。今日は厄日ね。加齢臭が取れなくなったらどうしてくれるのよ……」



 端整な顔を歪めつつ、新鮮な水を魔法陣から放出して肩口にチロチロと掛ける。


 その姿が癪に障ったのか。



「貴様ぁ……。今、何んと言った??」


 狐さんの尻尾が八本に増えて湧き起こる憤怒によってワナワナと肩を震わせていた。


「何度も言ってやるわよ。くっさぁぁい!! 液体を掛けるなって言ってんの」


「人が折角食事を楽しんでいる時にぃ……」


「え?? 消臭に勤しんでいた?? あはは!! そりゃそうよねぇ。あんたの周りには誰も居ないし??」


「私、居るけど……」



 小さな御口で箸を食むフィロさんの言葉を無視しつつ、口撃を続ける。



「匂いを拭い去るのに必死な事だけは憐れんであげるわ。ご愁傷様ぁ――。来世は可憐な花に生まれ変わりますようにっ!!」


「ち、地平線の果てまで吹き飛べぇえええええ――――ッ!!!!」



 怒りの沸点を越えてしまった狐さんが先生へと襲い掛かる。


 しかし、それを予想していた先生は馬鹿げた速さの攻撃をするりと躱し。美味しそうに食事を続けていた。


 右を見れば。



「レイドぉ!! 動かないでよ!!」


「それは無理な注文だって!! こいつ、俺の腕を千切る気か!?」


「ちょっと、ユウ。私の可愛い顔にあんたの手ぇ、当たったんだけど??」


「あぁ、わりぃわりぃ」


「もっとちゃんと謝れや!!!!」



 いつもの喧噪が響き渡り。


 正面を見れば。



「んっ。このお肉、絶品じゃない!!」


「貴様の脂肪はクソ不味いじゃろうなぁ!!」


「あんたの萎れた婆臭い体よりましよ」


「何じゃとぉお!?」



 常軌を逸した喧嘩が繰り広げられていた。



 うん……。しまった。非常に参りました。


 私の細やかな抵抗がこれ程の喧噪を招くとは思いませんでした。


 今の私が出来る事と言えば。



「このホタテ、美味しいですねぇ……。あら?? カエデさん。こっちに来たんですか??」


「えぇ。魚介類が美味しそうに見えましたので」



 只静かにこの嵐が過ぎてくれと願う事のみ。


 こうして安全な場所に避難して、しっちゃかめっちゃかな光景をおかずに美味しい食事を続ければいいのです。



「あぁ!! 血が出てるよ!?」


「嘘だろ!? 早く取ってくれよ!!」



 ごめんね?? 私が馬鹿な行動に至った所為で傷付けちゃって。


 でもね?? 例え無意識だとしても女性の心を悪戯に傷付けてしまったあなたにも責任があるのです。体の芯を穿たれる強力な魔法に比べれば蟹の攻撃なんて可愛いものですから。


 彼の泣き叫ぶ悲鳴を贖罪の代わりとして受け止め、私は鉄板と自分が持つお皿。


 その僅かな距離の間で交互に忙しなく己の箸を動かし続けていたのだった。




お疲れ様でした。


本日は二話更新となります。現在、後半部分の編集作業中ですので今暫くお待ち下さいませ。

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