第二百五十一話 足元に御用心
お疲れ様です。
本日の投稿になります。
漆黒の空では星の女神達が輝かしい笑みを浮かべて囁き合い、今宵の月が万人の視線を独占してしまう妖艶な美女が放つ怪しい光を放ち星達よりも明るく大地を照らす。
星達の煌めきと半月の怪しい光の共演。
主演と助演が織りなす風光明媚な景色は値段が付けられない程に美しく、これを無償で鑑賞出来るのは知識を持った生物の特権とでも言おうか。
只、知識を持ってしまった所以か。
他者からの命令を理解出来る知識を持った生物は与えられたその命令を忠実に遂行しなければならないと理解出来てしまうので、時間が許す限り感嘆の吐息を漏らして空を見上げ続ける事は叶わない。
上空の煌びやかな景色とは裏腹に地上では今も知識を持った生物達が小さな口から重苦しい呻き声を零しつつ。
己に課された命令を遂行しようとして大きな楕円形の外周を二本の足で走行し続けていた。
今は……。日付が変わる少し前位か。
上官から配給された手元の銀時計へと視線を落とすと、俺の予想通り針は十一を指していた。
つまり、目の前で重低音を奏でて走り続けている人達はかれこれ約八時間以上この長たらしい訓練を続けている訳だ。
幾ら交代して走っているとは言え体力も底を尽きて来る頃であろう。
現に。
「も、もう。足が動きません……」
二十二期生の男子訓練生が大量の汗を垂らし、今にも崩れてしまいそうな足取りで外周を歩いていた。
指先一つでも触れればきっと彼はその衝撃を受けて地面に倒れ込んでしまうだろう。これが日常ならそろそろ休めと言ってやるのだが。
今現在行われているのは楽しいお散歩でも買い物でも無く、強くなる為の訓練。
訓練生のだらしない姿を捉え、目を尖らせた指導教官が彼に発破を掛けた。
「は?? お前の足がなんだって??」
「う、動かないのです」
「それはお前の感想だろ?? 俺から見れば大地を颯爽と駆ける狼みたいに見えるんだけど??」
狼さんの足はもっと速くそして休む事を知りませんからね。人間のソレとは比べ物にならない程に屈強で頑丈ですよ。
教官の発破の言葉にふと灰色の髪の女性の顔が浮かぶ。
元気にしてるかなぁ、皆。纏め役のカエデに負担を掛けていなければいいけど。
杞憂であってくれという願い、そして纏め役の彼女の蓄積した怒りが向かう矛先。
幾つもの如何ともしがたい複雑な感情が湧き、背筋を凍らせる想像が沸々と首を擡げてきてしまう。
合流を果たすと同時に怒り心頭の海竜様から恐ろしい氷の刃が襲って来ないだろうか??
それだけならまだしも火球で体を焦がされ、暴風で体を捻じ切られ、果ては爆発力を纏った大量の矢で俺の存在を消してしまうのだ……。
たった一日しか離れていないのにこうも心配になるとはね。
横着でワンパクな五人の子供達を家に残し、その面倒を真面目な末っ子たった一人に任せて出て来た親御さんの気持ちを理解出来てしまった。
藍色の髪の彼女が色とりどりの花達相手に四苦八苦している姿を想像していると我が分隊員が大量の汗を流しつつ出発地点へと戻って来た。
「ぜぇ――……。ぜぇ――……」
「お――い!! ミュントさん!! 交代まで後一周だ!! 頑張れ――!!」
他の隊員達にすいすいと抜かれて行くのは恐らく、というか確実に背嚢の中身が影響しているのだろう。
「ま、まだ一周もあるんですかぁ!?」
「えぇ、そうよ。あそこで二周を終えるわ。最低限の周回を遂げるまで交代は不可能だと伝えたわよね??」
眠気が襲い掛かって来るまぁまぁな静けさと雰囲気の中でも、普段と変わらぬ冷酷な口調でスレイン教官が現在の状況をミュントさんへと伝える。
「嘘でしょ――!! あ、足が。それ以前に体力がもちませんよぉ……」
背嚢『だけ』 を背負うだけなら楽なんだけどなぁ。
こちとら体に矢を穿たれ。矢傷からの出血と厳しい任務から来る疲労が同席する体を引っ提げ。
しかも周囲には殺意を持った敵が俺達の存在を血眼になって探し、更に背には意識を失った女性を担いで一晩中歩き続けましたからね。
一歩道を間違えれば死の谷へと真っ逆さまな状況では無く、ここは安全が保障された場所。
あの状況に比べれば楽なもんさ。
「後一周だけだ。頑張れ!!」
外周の内側から励ましの声を送りつつ、遅い足と共に歩む。
「そ、そうは言いますけどぉ。か、肩の骨がもう休めって言っているんですよ」
背嚢を背負い直して泣きそうな顔で話す。
「あはは。それだけ話せるのなら大丈夫!! 最後の一周は話しながら進もうか」
会話を続ければ疲労も和らぐだろうさ。
乾いた砂の上を進みつつ、普段の歩く速さと変わらぬ速度で彼女と並走を始めた。
「御話し、ですか。では質問を宜しいですか?? こうして二人で話す機会なんて早々無いので」
「質問?? 俺に答えられる範囲なら構わないよ」
「では……。えぇっと、そのぉ――」
何だろう。妙にまごまごしているけど。
背嚢の重さで肩でも痛めたのかな。
「レイド先輩は彼女さんって出来た事あります??」
そっち系ですか。
任務の内容と聞かれたらどうしようかと考えて、ちょいと身構えたんだけどね。
「彼女?? 残念ながらこれまで生きて来た中で彼女と呼べる人物が現れた事は皆無だね」
「そ、そうなんですね。作ろうとは考えた事は無いのですか??」
「ん――……。ほら、この仕事に就いているといつ帰らぬ人になるか分からないだろ?? それに忙しくて会う時間を作ってやれそうに無いし」
これが本心かな。
待たせてばかりでは無く、不必要な心配を相手に掛けたくはない。
戦地から帰って来たらきたで待ち構えているのは山の様な報告書。
仕事場では命を刈り取りに来る憎悪の塊を蹴散らし、帰って来ては時間が取れない理由に彼女と呼べる人物から横っ面をぶん殴られる。
行くも地獄帰るも地獄。
寂しいけどこれが現実なのです。
「それじゃあ同じ職場の人と。そう考える事はないですか??」
「同じ職場?? それってパルチザンの兵って事だよね」
随分と寂しくなった周囲を見渡しながら問う。走っている者以外は天幕の中で休んでいるのだろう。
それと、俺と同じく次に交代を控えた者達が大変眠そうな顔を浮かべてそこかしこで体を解していた。
「そうです。それなら問題は解決しませんか?? それなら側に居てあげられるので守ってあげる事もできるじゃないですか」
「俺が守る以前に、己の身は己で守る強者共の集まりだからなぁ……」
最たる例が我が同期の首席卒業の彼女だ。
守ろと前に出ようものなら。
『引っ込んでろ!!!!』
悪鬼羅刹も冷や汗を流す角度に目くじらを立てて絶対そう言う筈。
そしてその顔を捉えて慌てふためく俺を後方へと押し流して右手に剣を持ち、鋭い剣筋で黒き塊を両断するのだ。
「それでも女性は守って欲しいものですよ。かっこいいじゃないですか。窮地に瀕した時、馬に跨って颯爽と現れたら」
颯爽、ね。
風と変わらぬ速度で大地を駆け抜ける事が可能な馬脚なら兎も角。うちの愛馬はちょいと足が……。その……ね??
「俺の愛馬は足が遅い事で有名なの」
この事をアイツに伝えたら絶対耳を食まれるので言えませんけどね。
「ふふ、そうなんだ」
今まで苦しそうに食いしばっていた唇が微かに上向く。
おっ、ちょっと元気が出たのかな??
遅々とした速度が微かに増して残り半分に差し掛かった外周の距離を削って行く。
「足は遅くて、人参は嫌い。御主人様が揶揄うと十倍にして返して来るワンパクお嬢ちゃんなんだよ」
「ワンパク……。可笑しいんだ」
だらしない馬の顔を想像したのか、顔全体が陽性な感情に包まれ負の感情が陰りを見せ始めた。
いいぞ!! その調子で残り半分を踏破しちゃいましょう!!
「困った奴だろ?? それに加え物凄く賢いからバツが悪いんだ。人の言葉を理解してね?? こちらが揶揄うと前歯を剥き出しにして襲い掛かって来るんだよ。こんな感じで!!」
クワッ!! と口を開きミュントさんへ向けてやる。
「馬の何気ない戯れなんだろうけど、アレ。結構痛いんですよねぇ」
「ミュントさんも噛まれた事あるんだ」
「ほら、訓練施設内の厩舎で馬の世話を義務付けられているじゃないですか」
自分の馬の世話は必須業務の内の一つとして課せられているからね。
「大好物をあげようとした時、それを背中に隠したら襲われちゃいました」
「仲睦まじい光景じゃないか」
ウマ子も良くルピナスさんにちょっかい掛けているし。
馬と戯れる人の姿は好きな光景の一つだな。まぁ襲われている本人としては身の危険を感じるだろうけども、見て居るこちら側としては大変和んでしまうのです。
「やめてって言ってもお構いなしなんでもん」
「それだけミュントさんが美味しそうに見えたんじゃない??」
「――――。え??」
重々しい足取りを止めて、ポカンとした表情でこちらを窺う。
―――――。
あっ!!
「違う!! そういう意味じゃない!! ミュントさんが隠し持っていた物が美味しそうに見えたんだよ!!」
あ、危ない。
違う意味で捉えられてしまいそうだった。
「そ、そうですよ。あ――、びっくりした」
「そ、そうそう。全く、誤解を招く所だったよ」
互いにあははと笑い、照れ隠しの為に頭を掻く。
俺達の姿を捉えた頭上で光り輝く星達、そして月の女神様の呆れた溜息が聞こえてきそうですよ……。
「でも、私。美味しく見えないのかな……」
矮小な声量で何かをポツリと漏らして進み出す。
「何か言った??」
「べ、別に何でもないです!!」
急に速く歩くと転びますよっと。
俺を置いて行こうとして歩く速度を増したのが不味かったようだ。
「きゃっ!?」
普段通りなら苦にならない速度だが今この時は背に大人一人分の重量を背負っている。
蓄積された疲労によって足が縺れ、膝から崩れ落ちる様に地面へと倒れ込んでしまった。
「大丈夫か!?」
慌てて手を差し出そうとするが。
「駄目です!! 途中で手を貸したら失格になっていまいます!!」
「あっ。そっか……」
ミュントさんの声を受け差し出した手を引っ込めて、そ――っと背後を窺うと。
「……」
おぉう……。
こんな夜中なのにちゃんとこちらをしっかりと捉えているのですね、スレイン教官。
夜目が効く梟も舌を巻き、満場一致で合格点を叩き出してしまう鋭い視線を此方に向けていた。
「立てそう??」
「は、はい。何んとか……。ッ!?」
立ち上がり前に進み出そうとすると同時に苦悶の表情を浮かべてしまった。
「どこか痛めたのか!?」
片膝を地面に着け、痛そうに右の足首を擦る。
「あ、足を痛めました……」
凄い脂汗だ。
こりゃ捻った以上に良くない兆候だな。もしかしたら骨を痛めているかもしれない。
「棄権するぞ」
隊員にこれ以上負担を掛ける訳にはいかん。
俺達だけならまだしも彼女はまだ訓練生なのだ。これから控えている訓練に支障を来す恐れがある。
「駄目です!!!! 絶対、それだけは止めて!!」
スレイン教官へと向かう俺の背に痛々しい声が届く。
「それ以上進めないんだろ?? 無理をして訓練が出来なくなってもいいのか」
彼女から数歩進んだ位置で足を止めて振り返る。
「わ、私が皆に迷惑を掛けたのに。私自身が負傷して棄権なんて、絶対嫌なんです!!」
「それは理解出来るよ。だが、進めない以上。棄権するべきだ」
「う、ぐぐぅ……。ほ、ほら!! 動けます、からぁ!!」
奥歯をぎゅっと噛み締め、大量の脂汗が頬を伝い地面を濡らす。足の激痛から来る痛覚が全身を駆け巡り、呻き声にも似た声を漏らしつつ右足を引きずって進む。
怪我に疎い者が見ても、あれ以上の進行は危険だと判断するだろう。
それ程に彼女の歩みは痛々しいものであった。
「隊長命令だ。今直ぐに危険しなさい」
「い、嫌です」
「言う事を聞け!! それ以上は危険なんだよ!! 足が動かなくなってもいいのか!?」
「良くない!!!! でも、でも!! 私に与えられた責務くらいは果たさせて下さいよ!!!!」
互いの熱い視線が衝突して周囲に漂う冷涼な空気を膨張させる。
ミュントさんの瞳の奥には炎をよりも熱い決意の熱が渦巻き、俺の言葉ではそれを鎮火させる事は叶いそうになかった。
「――――。分かった」
「分かってくれましたか!?」
「その代わり、もう一度地面に倒れたら……。悪いけど教官に棄権を申し込むからね」
「それでいいです!! よ、よぉし。もう少しで交代地点ですから……。頑張ります!!」
痛む右足を引きずり前へ、そして地面に苦痛の印しを刻みつつ前進を開始した。
「くっ……。つぅぅっ!!」
「どうした?? ミュントさんの決意はその程度の物か??」
五メートル程進んで足を止めてしまった彼女へ問う。
「こ、これからですよ!!」
「そうか。無理は良くないぞ?? 安心しろって、レンカさんやシフォムさん、アッシュ。そして……。リネアも許してくれるから」
「ぜっっったい棄権なんかしません!! 後!!!! いい加減、私をさん付けで呼ぶの止めて下さい!!」
え?? 駄目だった??
「約束して下さい!! これを完走したら、私の名前は呼び捨てで呼ぶ事!! 良いですね!?」
「あ、はい」
丁寧に呼ばれるのが嫌いなのかな??
「後、後少し……」
自分に強く言い聞かせる様に呟きながら進む。
出発地点まで残りたった十五メートル。
だが、今の彼女にとっては果てし無く遠く。地の彼方に待ち構えている目標地点に見えるようだ。
荒々しい呼吸が燃える瞳の熱を冷まし、全身から沸き上がる鬱陶しい脂汗が進行を阻む。
流石にこれ以上は不味いか??
「――――。どうしたの?? 蟻より遅い足じゃ敵に捕まえて下さいって言っているようなものよ」
棄権の判断に迷っているとこちらの異常事態に気付いたのか。
出発地点にいたスレイン教官が態々こちらに足を運び、ありがたい発破を掛けて下さった。
「そうだぞ。スレイン教官の言う通りだ、ミュント『さん』 の足は亀以下だ。敵はもう直ぐそこまで来ているんだぞ?? 背中に大切な仲間を背負っているのに、捕まったらミュントさん処か仲間まで死んじまうんだ。それが嫌ならしっかり歩け!!」
「分かっていますよ!! 命令しないで下さい!!」
「命令?? たった十メートルを走破する事も出来ない出来損ないに命令する訳ないじゃない。あなたは単純明快で途轍もなく簡単な命令も遂行出来ない劣等生以下の存在なの。簡単に言えば……。屑以下の存在よ」
いや、スレイン教官。なにもそこまで言う必要は無いのでは??
「っ!!」
スレイン教官言葉を受け取ると今まで見たことが無い程に顔が真っ赤に染まる。
「ごめんなさい、比較された屑が可哀想よね。ほら、屑に謝りなさいよ。私が屑様に不憫な想いをさせて申し訳無いって」
後、ニメートル!!
いいぞ!! 頑張れ!!
「う、五月蠅いですよ!! 私は……。私はぁ!!!! 屑に負ける訳ないんだからぁあああああ――――ッ!!!!」
勝利の雄叫びを放ち、堂々と二本の足で出発地点の土を捉え直立不動の体勢を取った。
「ふふっ。そうね、あなたは屑なんかじゃないわ。立派な兵士見習いよ」
「ぜぇ……。ぜぇ……。やりましたよ、やってやりましたよ!! どうですか!? レイド先輩!!」
背嚢を投げ捨てる形で地面へと放り、俺をキっと睨む。
「良くやったな。えっと……。コホン、ミュント」
「あっ……。えへへ、やりました」
赤くならないでよ。
呼び捨ててで呼ぶこっちも恥ずかしいんだから。
「レイド、走る前に彼女を救護班の所へ運びなさい」
「了解しました。ミュント、おぶろうか??」
スレイン教官の指令を受け、彼女の前で背を向けてしゃがんだ。
「え、えぇっとぉ。出来れば……。両手で抱えて運んで欲しいです」
「はい??」
どうして君はより赤く顔を染めて話すのかな?? それ以上赤くなると今度は負傷による発熱の心配をしなきゃいけないんだけど。
「ほら、レイド早くしないと周回数を稼げないわよ??」
ちぃっ!! そう来ましたか!!
「分かりましたよ!! ほら、行くぞ!!」
「きゃっ!!」
かっる!!
背嚢より軽いんじゃないのか??
左手でミュントさんの背を支え、右手で彼女の膝裏を抱えて持ってやった。
よくもまぁこんな細い体で完走したものだ。
「あ、あの。重くないですか??」
顎下の柔らかいお肉さんがポツリと言葉を漏らす。
「いや、軽過ぎて驚いているんだ。もっと筋力付けた方がいいぞ」
「これで精一杯ですよ」
「世界は広いんだ。ミュントより筋力を大量に備えている女性なんて幾らでもいるぞ」
森の優しいミノタウロスさん、そして黒き雷を纏う狼さんが良い例だな。
「早々いませんって。えへへ、何かいいですよね??」
「何が??」
「ほら、さん付けされないで。本当の名前を呼ばれる事ですよ」
恥ずかしいからそこに触れないで下さい。
「勿論、明日からも呼び捨てですからね!?」
「え――。今日だけじゃ駄目なの??」
「駄目です!! 言う事聞かないとぉ、放さないですよ……」
妙に艶のある声を出して俺の胸へと顔を埋め、両腕でひしと抱き締めて来た。
こうして密着されるとミュントさんって意外と大き……。
いやいや!! ここは神聖な訓練場だ!! 煩悩は捨て置くべきっ!!!!
「お、お止めなさい!!」
年頃の娘さんが……。はしたないです!!
「嫌です。私怪我人ですもん。これくらいは許容範囲ですよ」
「それはミュントの主観でしょ!? もっと客観的に捉えて物事を話しなさい!!」
「難しい話、嫌い……」
「ひぃっ!!」
この子は何を考えたのか知らないが。胸から首元へと顔を移動させ、今以上に甘く腕を絡めて来た。
温かい吐息と彼女の熱が正常な思考を阻む。
暗い夜もあってか、よからぬ事を掻き立てる女の香と柔らかさが心を悪戯に刺激した。
「あはは!! レイド先輩、可愛い声出しますね??」
「誰だって出るだろ!! いいから離れなさい!!」
「い――や――」
絶対教官達も見ているし!!
後で手厳しい御咎めが来るじゃないだろうか?? これ以上体と精神に負担を掛けたくないんですけど……。
御咎め若しくは指導が入る前に一早く運ばないと!!
我儘で物凄く良い匂いがするお肉を運びつつ、どうか杞憂であってくれと願いながら救護班が待ち構えている場所へ出来る限り柔肉に触れぬ様。そして通常の二倍の速度の早足で向かって行った。
お疲れ様でした。
間も無く迎える年末年始なのですが……。今からもう大掃除の事を考えると少々憂鬱になってしまいます。
普段は開けない場所を開けて埃を取り、窓ガラスをガラスクリーナーでピカピカに仕上げ。不要な物の投棄。更には愛車の室内洗浄とやる事が多過ぎます。
まぁ……。年末年始のルーティンなのでやらないとやらないで気持ちが悪い気もしますけどね。
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それでは皆様、おやすみなさいませ。