第二百三話 異なる高みに存在する者達の実力
お疲れ様です。
本日の投稿になります。
私達を容易く制圧出来る強者達を翻弄する至高の領域まで練られた魔法の数々。
状況に合わせ臨機応変に、苛烈に。そして美しく嫋やかに……。淫魔の女王は二体の滅魔を相手取り己の力を思う存分に発揮していた。
思わず魅入ってしまう美しい魔の披露会が行われる一方。
「死にやがれぇぇええ――ッ!!」
「イスハぁぁああ!! 貰ったぞ!!!!」
どうやったらあんたの様な体術が身に着くのでしょうか?? と首を傾げ。呆れた吐息を口から引き出してしまう武の狂宴が向こうでも行われていた。
「戯け共が!! 遅過ぎるわぁ!! 本気で掛かって来ぬかぁ!!」
「「ぐぁっ!?!?」」
左右からの挟撃を容易く躱し、神々しい光を纏った足撃を前方に向かって一発。そして宙で体を捻り後方へ向かって二発。
直撃を許した二人の体は痛々しく地面へと叩きつけられてしまった。
「いてて……。おいおい。お前さん強くなったなぁ??」
「あぁ。以前とは比べ物にならないぞ」
「ぬくぬくと寝ておったお主らと違って、儂らは血の滲む思いで日々修練に励んで来たのじゃ。決して砕けぬ鋼の肉体と心。容易く儂の相手が務まると思うてか!!!!」
金色の魔力を身に纏い、呼吸を荒げて片膝を地面に着ける二人を苛烈な感情を籠めた瞳で悠々と見下ろす。
何んと言うか。見下ろす姿が異常に似合うわね。
至高の領域まで練られた魔法に対し、向こうは極限まで高められた武。
至高の魔と極限の武。
それぞれ異なる領域に身を置く者達がその実力を遺憾なく発揮する姿に私は只々見惚れていた。
「ふ、ふふ。はははは!! いいぞぉ!! それでこそ殺し甲斐があるというものだ!! 貴様に負けて辛酸を嘗め続けて来たのは。今日、この日の為だ!!」
「シャン!! 合わせるぜ!!」
真正面から二つの暴力の塊が地面を這う様に金色へと向かう。
「来い!! 腑抜け共がぁ!!」
体を斜に構え、全方向からの攻撃に対応出来る様に足は肩幅に開く。
戦士でさえも思わず慄く圧を当てられているってのに全身の筋肉を弛緩させる様は、強風に吹かれそれに合わせて波打つ草の葉の動きを彷彿とさせる。
おぉっ、いつもの構えじゃない。彼女が取った構えにボケナスの姿がふっと重なる。
あの構え、一見優しそうに見えますが。実は途轍もなく凶悪な構えなのよねぇ……。
恐ろしいまでの攻撃の濁流は清らかな水の流れで下流へと受け流し、家屋を倒壊させてしまう大旋風は優しい微風で後方へと向きを変えてしまう。
全状況に対応出来る柔の型だが、濁流と大旋風の流れの向き変えた刹那。
極限まで鍛え抜かれた武の結晶が襲い掛かるのだ。
柔と剛。攻と防。力と技。
相対する事象を重ね合わせ、究極まで突き詰めていくとあの型へと行き着くのでしょうね。
幾度となく突撃を繰り返しては流され、躱され。馬鹿の一つ覚えもいい加減にしろと恐ろしいまでの反撃をブチ食らった……。
私は身を以てあの型の怖さを知っている。
極限に対し中途半端な力や技は通用しないからその身を以て知るといいさ。
「「はぁぁああっ!! だぁぁああ――――ッ!!」」
四つの腕から放たれる雷撃の豪雨。巨木をもなぎ倒すであろう豪脚の旋風。
恐らく常人であれば、あの闇の中に吹き荒ぶ凶悪な災害に身を置けば瞬く間に絶命へと至るであろう。
しかし、史上最大級の暴力の災害の中枢でもイスハの体はしっかりと大地を捉え、目にも止まらぬ攻撃の連打を巧みに躱し、受け流していた。
暖簾に……。なんだっけ??
まぁド忘れしてしまったのでそれはさておき、全身全霊の攻撃をあぁも器用に躱されては堪らないわよね。
私がアイツらの立場だったら、きっと……。
「死ねぇぇええ!!」
そうそう。苛ついて、ついつい強打しちゃうのよ。
私も数えきれない程にあぁして強打を打って酷い目に遭ったし。
「馬鹿者がぁ!!」
数多襲い掛かる攻撃の中。大振りの右を一つ選び、左手で弾いてクレプトの懐へと侵入。
防御の構えを取る前に強烈な肘鉄が腹部に突き刺さった。
「かっ……。はっ……」
腹部を抑え粘度の高い唾液を口から零して一歩。そして、二歩後退。
本来ならここで勝機を確信して追撃を画策するんだけど。
「背を見せたなぁ!!」
この時を待っていたと言わんばかりにシャンが闇よりも黒く深い漆黒の殺意を身に纏い、視界から消失してしまう程の速度で無防備な背へと襲い掛かった。
背から腕が突き抜け、地面を鮮血で朱に染めるかと思いきや。
「それが……。どうしたぁぁああ!!」
「なっ!? ぶはっ!!!!」
待ち構えていたのはおぞましい殺意を容易く吹き飛ばしてしまう苛烈な武であった。
大地から空へ向かって飛び立つ龍の飛翔を想像させる様に。右足が地から天へと美しい軌道を描きシャンの顎を捉えた。
魔力が籠められたイスハの回し蹴り、か。
想像するだけで顎が痛くなってきたわ。
「ぐ、ぐぅっ……」
「勝機っ!!!! はぁぁぁぁっ!!」
踏鞴を踏むシャンへと向かいたった一歩で距離を縮め。
「旋華桜嵐脚!!!!」
剛脚で大地を蹴り宙へ舞い上がると地面と平行に体を横軸回転させ、強烈な金色を宿す足先が遠心力と己の脚力を合一。
「ッ!!」
そしてシャンが咄嗟に取った防御の型へと非情の烈脚が打ち下ろされた。
「ぐがぁあぁっ!?!?」
両の腕の防御を吹き飛ばして極限の武が顔面を捉える。
鉄の棒で生肉を思いっきりブッ叩いた思わず顔を背けたくなる凶悪な音が鳴り響くと、私の頬に幻痛が走り抜けて行った。
う、うへぇ……。痛そぉ……。
「い、今の食らったら首が吹き飛ぶんじゃないのか??」
「私も今そう思ったところよ」
驚きの声を放つユウに一つ頷く。
桜嵐脚って技は体を縦軸に回転させた横蹴りだった筈。
それを敢えて横軸にして回転数をあげたのかしらね。
アレが真面に直撃したら首どころか頭が破裂するんじゃないの??
「「はぁ……。はぁ……」」
「どうしたぁ!? これで終いかぁ!?!?」
疲労困憊の様子の二体の滅魔を仁王立ちで見下ろす狐の大魔。
若かりし頃は大苦戦って言ってたけど今ではその立場は逆、か。
どうしたら、あの二人みたいな力を出せる様になるんだろう?? 甚だ疑問だわ。
そしてこれからイスハを揶揄う時は注意しよう。プチっと切れて首を捻じ切られたくないしっ……。
「さぁ、もっと苦しめ。私の乾いた心をあんた達の絶望で埋め尽くしなさい」
「儂の怒りをその身を以て知れ!! この戯け共がぁぁああ――!!!!」
昂った感情のままで好き勝手に暴れ、理不尽な暴力を与え続ける二人の女王様。
それに対し。
「ちっ……。結構やる」
「こ、この狐野郎が!! 私達を怒らせるとどうなるか。分からせてやろうか!? ああんっ!?」
「イスハぁぁああああ――!! 貴様は狩る!! ここで確実に殺す!!」
滅魔達は彼女達の常軌を逸した攻撃になんとか食らいついている様子であった。
本気で切れたイスハ達の攻撃も大概だけどその攻撃に食らいつくアイツ等も異常よね。
それになんだか……。まだまだこの先がありそうな様子も見受けられるし。
何人も到達出来やしない至高の領域に存在する魔法と、天井をブチ抜き天までその名が轟く極限まで高められた武の共演に時間が経つのも忘れて魅入っていると。
「――――ちぃっ!!!! 先輩方!! ここは一旦引きますよ!!」
ぬ!? 何!? この強烈な魔力は!?
クレヴィス擬きから強烈な閃光が発せられると同時に魔力の塊が爆ぜ、エルザードから放たれている光球を霧散させる。
そして光が収まる一瞬の内に他の滅魔達を一箇所に集めた。
「何よ。これからが面白い所だったのに」
ドスケベ姉ちゃんが憤怒を籠めた瞳で四名を捉える。
「本当は死力を尽くして戦いたいのですけどね。生憎、こちらには時間がありませんので」
時間が無い?? どういう事??
「時間?? お主ら、悪巧みでも考えておるのか??」
十を超える金色の尻尾を揺らしながらイスハが問う。
「ばぁか。教える訳ないだろ」
クレプトが名残惜しむ様にこちらを見つめて話す。
「イスハ!! 今日の勝負は預けておくぞ!! 首を洗って待っていろ!!」
「なはは!! それはこっちの台詞じゃよ。この負け犬共が」
「な、何だと!?」
「先輩方、事情は先程説明した通りです。出発しますよ??」
クレヴィス擬きが天に向かって両手を掲げると地面に眩い魔法陣が浮かび上がり。
「ふぅん。こういう術式なんだ」
それを物珍し気にエルザードが見下ろした。
「無能な生徒を持つ貴女には構築出来ない術式でしょうね。では、皆さん。また会う日まで御機嫌よう」
目を開けていられない程の閃光が放たれその数秒後。
腹の奥が痛くなる魔力の塊共の存在が消え失せ、そこには何も無い空間が只広がっていた。
「はぁぁぁぁ。終わったぁ……」
滅魔達の姿が見当たらなくなると緊張の糸が途切れたのか。ルーがへにゃりと地面へ座り込み、天を仰ぐ。
「おい、蜘蛛。カエデの様子は??」
それを尻目に私の背後で力無く横たわる彼女へと視線を注いだ。
「ゆるりと寝ていますわ。これなら安心です」
ほぅ!! それは朗報じゃない!!
軽快な足取りで痛々しい傷跡が残るカエデの下へと駆け寄った。
「う、うぅむ。随分と痛めつけられたわねぇ……」
白の長いローブは綻びそこから覗く焼けただれた腕の皮膚。
美しい藍色の髪は焦げ付き、白磁も羨む白く光沢のある顔は煤で汚れ、きゃわいい口元には吐血の跡が目立つ。
魔法戦でカエデがここまで痛めつけられるなんて……。
この世は私が想像している以上に広くて深いのだと、酷い現実をまざまざと見せつけられたわね。
「カエデの様子はどうじゃ??」
三本の尻尾をいつも通りに揺らしてイスハがこちらへ向かって来た。
「重傷だけど……。まぁ、御飯を食べてゆっくり寝れば治るでしょう」
私はいつもそうやって治しているし。これ以上無いすんばらしい治療方法よねぇ。
何より、大怪我を負えばイスハの所でたらふく御飯を頂ける。
カエデが目を覚ましたらたぁくさんの御飯を平らげてもらって……。
ン゛ッ!?!?
じゃ、じゃあ私も一応可愛い御手手ちゃんを怪我しているから、ゆるりと治療に専念出来るんじゃない!?
カエデの治療に便乗してさり気なく、空気に溶け込む様に山に居座ってやろう。
そ、そしてぇ!! 天まで届くたぁくさんの御飯を心置きなく食らい尽くすのだ!!
妙に高揚した心のままで人知れず決意を固めた瞬間であった。
「そうか。ふぅむ……。確かに、見事なまでに痛めつけられたのぉ」
己の顎に手を置き蜘蛛の治療を受けているカエデを見下ろす。
「怪我はいつか癒えるわ。でも、自尊心はどうかしらね」
エルザードがカエデの傍らに両膝を着け、優しく彼女の頭を撫でる。
「カエデちゃん。凄く悔しそうだったもんね……。でも、このままじゃないと思うなぁ」
「この程度で折れる様な心の持ち主では無いだろう。カエデは必ず立ち上がる。私には分かるぞ」
「あたしもリューヴの意見に賛成だな。負けず嫌いのカエデだ。絶対悔しさを糧にして復活を遂げるよ」
「カエデは聡明ですわ。あの馬鹿げた魔法にも対処する方法を編み出すでしょうね」
ふふ。さっすが我が友よ。
カエデの性格を分かっているじゃない。
あ、蜘蛛は友達じゃないわよ?? 何一括りにしているのかしら。
アイツだけは何があっても友人としては認めんっ。
惚けた考えを刹那に放った己を戒めておいた。
「持つべきものは友、ね。さてと!! そろそろ帰るわよ。このままここに居たら外で待つ人達が老いぼれになっちゃうし」
エルザードがポンっと膝を叩いて立つ。
「ん?? この摩訶不思議な空間の事象を知っていたの??」
力を完全解除して普段の綺麗な姿に戻ったドスケベ姉ちゃんへ何気無く問うてみる。
「勿論よ。直ぐに追いかけて来たけどあんた達は異常に疲れ果てているし。それに、この妙な感覚。ちょっと考えれば直ぐに分かる事よ」
いやいや。あんたはそうかも知れんけど、ふつ――の奴には絶対分からないから。
「脂肪。外に出て荷物を持って帰るぞ」
「はぁ?? それが人にモノを頼む態度??」
イスハが放った言葉にピクリと眉が動く。
「喧しい。一刻も早くカエデの治療を始めたいのじゃ。時間が惜しいのじゃよ」
「ふんっ。ならそうやって言いなさいよね。じゃ、行くわよ――」
のんびりとした口調とは裏腹に、心臓が握り締められる様な感覚に陥ってしまう恐ろしい魔力が彼女から放出された。
「はぁ――い。入り口までご招待――」
地上から発せられる眩い光に目を細め、体を包む重苦しい魔力の渦に顔を顰める。相変わらずの馬鹿げた魔力に呆れ果てて瞼をそっと閉じた。
その数十秒後……。
体中に絡みつく粘着質な空気が霧散して肌をツンっと刺激する冷たい空気が体の中を通り抜けていく。
冬特有の冷たくて乾いた空気が鼻腔の奥を横着にツンツンと突き、湿って埃っぽい臭いの代わりに土と樹木。天然由来の素敵な香りが私を優しく包んでくれた。
「――――。さっむ!!」
瞼の裏が痛くなる眩しさから解放されて目を開けると。
そこは緑と茶が目立つ森では無く、白が視界の大半を独占している質素でどこか寂しい景色が私達の帰還を祝ってくれた。
茶の地面は白一色に覆われ、尖った木々は寒さに顔を顰めて私達を見下ろす。吐く息は白み形容し難い煙へと変化して冷たい風に流れてその姿を消す。
想像していた寒さよりも更に厳しいモノに図らずとも声を漏らしてしまった。
「ちょ、ちょっと!! すっごい寒いんだけど!?」
ヘンテコな遺跡に入る前と比べ、がらりと姿を変えた景色に目を丸くして寒さを誤魔化す様に腕を擦り。
無意味にぴょんぴょんと跳ねる。
「わぁ――。雪だねぇ!! 今年も冬がやって来たって気がするよ!!」
狼の姿になったルーが楽しそうに四つの足でまっさらな白に己の足跡を残す。
「ここに入る前は降っていなかったのに……。一体どうして……」
「だから言ったでしょ?? 時間の流れが違うって。私達が中で過ごす間に時が経過した良い証拠じゃない」
ドスケベ姉ちゃんが鉛色の空から降って来るとても小さな雪の欠片を手に取って話す。
「お、おいおい。それじゃあ、あたし達は中で数年間も過ごしたって事になるのか??」
ユウが目を見開いてエルザードを見つめる。
「突入した時間は長く無いし。そこまでは経過していないでしょ。取り敢えず荷物を纏めて狐の住処へ戻りましょう」
あそこならカエデの治療も出来るしモアとメアも居るからどれだけ時間が経過したのかも聞けば分かる、か。
ひょっとしたらあの二人はお婆ちゃんになっているかもねぇ。
「カエデ、もう暫くの我慢だ。頑張るんだぞ」
カエデの小さな体を両腕で抱くリューヴがこの景色に誂えた声量を漏らす。
「皆の者、早く用意せいよ――!!」
こんもりと盛り上がった雪の側でイスハが叫ぶ。
あぁ、あそこに私達の荷物が置いてあるのか。どうりで見つからない訳だ。
白の上を一歩踏み出すと子鼠が親を求めて小さく鳴く時の様な、キュッという心地良い音が奏でられ。疲弊した心を高揚させてくれる。
「お――。良い音だな」
「ユウもそう思う?? 私もそう思ってたところよ」
質素な景色の中に沢山の足が奏でる天然自然の音が鳴り響き、その音に耳を傾けていると……。
この愉快な音とちょいと物寂しい景色に不釣り合いな気持ちの悪い感覚が背を襲った。
「は、はぁっ!? ちょ、ちょっと。何よ、あれ……」
私達が今しがた出て来た遺跡の姿が徐々に霞み、空気の中に溶けようとしている。
中々の硬度を誇る遺跡の入り口の壁がぐにゃりと朧に歪み、鍋の中でクルクル回る昆布みたいにふにゃふにゃと柔らかい形へと変容すれば変な声も自然と出ちゃうでしょうよ。
鍋の中を回り続ける昆布ちゃんは突如として漆黒の闇へと変化。
パチッ、パチッと軽快な音を奏でる微かな稲光を放ちつつ漆黒の闇が徐々に縮まって行き、数十秒後にはあそこにあった筈の建築物が完全に消失してしまった。
「ふぅん。あんな風に消失するのか」
隣に立つエルザードがポツリと声を漏らす。
「あんたも初めて見るの??」
「まぁね。多分あぁやって突如として湧いて忽然と姿を消すのよ。本当、厄介極まりないわ」
「一体どういう仕組みなのよ」
「それが分かれば苦労しないわよ。まっ、九祖の亜人って奴が造り出したって事だけは分かっているけどね」
ほぉん、そうなんだ。
こんな訳の分からない物を造り出す事が出来るってのは余程の天才か。将又、頭がイカレた狂人かの二択よね。
滅魔の常軌を逸した強さと執着心、この世の理が通用しない奈落の遺産を加味すれば恐らくその亜人って奴は後者に当て嵌まるだろう。
兎に角!! 滅魔達が何処へとんずらしたのか分からないけども、これで調査は一旦終えたのだ。
次はカエデの治療と私の空腹を満たす事が最優先事項よ!!
「じゃから早う来いと言っておるじゃろう!!!!」
摩訶不思議な光景を己が眼に確と収めると、背後でぎゃあぎゃあと喚き散らしてこちらを急かす狐の女王様の声に対し。
「「はいは――いっ」」
私達は小さな溜息を吐いてヤレヤレといった感じで従い。
「無駄に言葉を伸ばすなといつも言っておるじゃろうが――ッ!!!!」
降り積もった雪で顔を顰めて窒息寸前の荷物を救助する為、こんもりと盛り上がった雪の麓へとのんびりとした歩調で向かって行ったのだった。
お疲れ様でした。
本話を書き終え、はぁ―ー。一段落して次の御使いに……。じゃあない!! と。いつものノリでほっと一息付いてしまいそうになってしまいました。
次の御話を経て、彼等の御話へと場面が切り替わります。
先日後書にて話していた彼の行動なのですが、この御使いが終わってからその点に付いて話そうかなと考えておりますので。
あぁ、コイツはあの場面で迷っていたのかと理解頂けるかなぁっと思います。
昨日は早めに就寝出来た所為か、少しは体調が良くなったのですがまだまだ喉が痛いので本日もこの後直ぐに寝ますね。
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そして、ブックマーク。並びに評価をして頂いて有難う御座いました!!!!
ひっそりと連載を続けていられるのも全て読者様達のお陰です。まだまだ至らない所だらけですが、温かい目で見守って頂けると大変光栄で御座います。
それでは皆様、お休みなさいませ。




