第百七十三話 千載一遇の大好機 その二
お疲れ様です。
後半部分の投稿になります。
千年を生きるとされる魔物の寿命、幾億もの命が生を謳歌しているこの星の命でさえ終焉を迎える日が来る様に。どんな事象にもいつの日か必ず終わりがやって来る。
そして嬉しい事に、例に漏れる事無く俺の仕事にも漸く終焉が訪れてくれた。
「あ、あはは!! や、やったぁ……。やったぞ!!」
拳をぎゅっと握り込んだのも束の間。
途轍もない疲労感と睡眠不足に苛まれている体がへにゃりと折れ曲がり机の上に上体を預け、達成感で感極まった両の目からホロリと涙が浮かんでしまった。
こ、これで。やっと紙との戦いから解放されるんだ。
そう思えば誰だって涙の一つや二つ零してしまうでしょう。決して涙腺が弱くなった訳では無いのです。
後はこれをレフ少尉へ提出して。泥の様に眠ればいいんだよな??
もう間も無く夕暮れを告げようとする空を空っぽになった頭で見つめながら、これからの予定を必死に思い出そうとしていた。
う――ん??
何か、忘れているような……。何だっけ??
「……。レイド、お疲れ様でした」
「ありがとう、カエデ」
鼓膜に優しい声が届くと岩の様に重たい上体を起こして彼女を見上げた。
昼寝だから物理法則を無視した寝癖は付いていないんだね。
いつもの可笑しな寝癖は見受けられず、代わりに。しっかりと疲れが拭い去られた健康的な彼女の顔が仕事の完遂を祝福してくれた。
「これから提出しに行くの??」
「ちゃちゃっと渡して帰って来るよ。本当は今直ぐにでも眠りたいけどさ」
弱々しい笑みを浮かべ彼女を見つめるが。
「っ??」
この人は大丈夫かな??
そんな感じで首を傾げてこちらの様子を窺う。
「イル教の皇聖さんからお呼びが掛かっているのをお忘れですか??」
「――――。あっ」
そうだった。シエルさんから呼び出しを食らっていた事をすっかり忘れていた。
いかんなぁ、全然頭が回らない。
「体調が悪ければ、休むのも一考ですよ」
「俺を呼び出した彼女の意図も気になるし。何より、無視なんかしたらしつこく呼び出してきそうだからね」
書類の山を鞄に詰め込ながら話す。
ふふっ、もうこれ以上詰めるな!! って鞄さんも御怒りの御様子ですね。
「分かりました。じゃあ、帰りは遅くなりそう??」
「ん――。食事を済ませてそこから色々話をするだろうから……。まぁ、遅くはなりそうだね」
「帰りの道中。倒れないでね??」
「そこまで弱っていないよ。さてっ!! 提出して来ましょうかね」
空元気を出して勢い良く立ち上がり、己の荷物が置かれているベッドへと向かった。
空という事は中身がすっからかんという状況の時に使用される言葉であり。俺の体は正真正銘、言葉の通り空っぽだったみたいですね。
「あ、あれ…………??」
ある程度進むと足が縺れて床に倒れそうになってしまう。
それ処か視界がグニャリと歪み平衡感覚が機能を失い、床に足を着けている事でさえ知覚出来ない。
恐らく二日も寝ていない寝不足が祟り、体が限界だと認識したのでしょう。
このまま床に倒れて受け身でも取るか。
徐々に迫りくる硬い床を何とも無しに眺めていると、白のローブが隣から生えて来た。
「危ないっ!!」
「え?? おわっ!!」
俺の身を案じたカエデが左腕を掴み体が倒れない様に引っ張ってくれるが。
その力が思いの外強く、勢いを保ったまま最寄りのベッドへと倒れ込んでしまう。
俺の体でカエデの小さな体を潰す訳にはいかない。
咄嗟にそう判断を下したのが功を奏したのか。
「……」
彼女は何事も無くベッドに可憐な姿を保ったまま横たわり、俺を見上げていた。
御免なさい、速攻で前言撤回します。
何事も無い事はなかった。
俺の両腕の下。
そこには藍色の瞳をきゅっと見開いて俺を見上げる一人の女性が居た。
こちらと目が合うと、驚きよりも恥ずかしさが勝る顔へ変容して頬が徐々に朱に染まっていく。
健康的な色の小振りな唇は清流の如く清らかに潤い。弧を描く眉は三日月をも嫉妬させる。
「「……」」
カエデの瞳は確と俺の両目だけを捉え。
俺は深い海に吸い込まれていく感覚を覚えてしまう美しい藍色の瞳から目を離せないでいた。
「お――い!! 待ってくれよ――!!」
「遅いって――!! あの店、安いから早く行かないと売り切れちゃうんだよ!!」
壁の外から聞こえて来る他愛の無い会話。どこからともなく飛来して澄んだ歌声を残して去っていく小鳥達。
それがどこか違う世界から届く声にも聞こえて来てしまう。
この世界ではない違う世界にカエデと俺が身を置き、そこで二人だけの時が止まってしまっている。
そしてこの世と隔絶されたその世界は二人だけが存在出来る不思議な場所。
他の事象等は一切知覚出来ず俺は彼女だけを、そして彼女は俺だけを知覚していた。
何を馬鹿な事をと言われるかもしれないが、今の状況を説明しろと言われたら間違いなくそう答えるであろう。
「……」
「…………」
互いの呼吸音が体温を沸騰させ。瞳の奥から発せられる温かい感情が互いの心臓を五月蠅くさせる。
えっと……。何故、お互いに動かないんだろう??
動けないと言った方が正しいのかも。
互いの視線を強烈に浴びて金縛りにあう。そんな感じだ。
そして、互いに見つめ合ってどれ位時間が経ったであろう……。
第三者からの視点では凡そ数十秒足らずだろうが。俺にとっては数時間以上の感覚であった。
カエデが静かにそして恐る恐る右手を上げて俺の左頬に優しく手を添えると。
「……」
俺はそれでも動けないでいた。
彼女の手の平から伝わる温もりをずっと感じていたい。
頭では早く退かなきゃと思うが心ではそう考えてしまっていた。
徐に左手を上げて、カエデの右手に添えると。
「……っ」
彼女は一瞬ビクリと体を動かして驚きを表現したがそれは直ぐに和らぎ。
強張ってしまった肩の力をふっと抜いてくれた。
えぇっと……。これは一体全体どういう事なのでしょう……。
恐らく、彼女なりのお疲れ様という労いの行為だと思うのですよね。
過密過ぎた予定、二日間徹夜という常軌を逸した苦労を乗り越えて完遂させた事に対しての。
だけど。
カエデさん?? どうして君はずぅっと動かないでいるんだい??
それも色っぽく頬を朱に染めて。
俺も普通の性欲を持つ男の端くれ。女性に対する性が無いとは言えない。
ここは一つ、揶揄ってみますか。
場の雰囲気も変えたいし??
「カエデ」
「うん??」
うぉおおい!!
何です!? 今の甘える子猫みたいな声は!!
呼びかけただけなのに心が驚きで跳ね上がってしまった。
「俺も一人の男だぞ?? 無防備なのはどうかなって思うよ」
う、うむっ。これなら張り手の一発や、二発飛んで来てもおかしくないな。
我ながら上出来な台詞に心の中で頷いていると。
これまた心臓が面白い程に上下左右に跳ね回ってしまう言葉が発せられた。
「無防備なのはレイドだからだよ?? 私の堅牢な結界を軽々と突破出来るのは、あなただけ」
声色、あっま!! 甘過ぎて逆に怖いですよ!?
空いていた彼女の左手が俺の右腕をきゅっと掴む。
「俺だけ??」
「うん。それ以外、きっと……。今後も現れないと思う、よ??」
『だ、だよねぇ!! ふぅ――……。つまりっ、時が来たって事さっ!!』
大馬鹿性欲めっ!!
こんな時にのこのこと顔を出さないの!!
『んっ!! ふっ!! フンフンフンフンッ!!』
カエデの甘い吐息と香りが正常な判断を狂わし、沸々と闘志を燃やす男の性が懸命に上体起こしを始めてしまった。
「そっか。……そろそろ行かなくちゃね」
口ではそう言いつつも、体は行くなと不退転の姿勢を保つ。
「行く??」
何処へ??
恋人へ贈る甘い囁き声と共に愛苦しさを覚えてしまう角度で首を傾げた。
「あ、う、うん。ほら、報告書を提出しなきゃいけないし」
「行かなくても、いいよ」
へぇっ!?
横着なカエデの可愛い足が俺の足に絡みつき、言葉と同調してしまう。
い、いつもらしく無いですよ――っと。
「叱って??」
「え??」
「私、レイドが思っている以上に悪い子だから……。叱って??」
どこが悪い子なんだろう。
いつも皆を纏め、戦いの時は率先して立案してくれるし。口喧しい彼女達の口を御してくれているじゃないか。
「叱らないよ。カエデは良い子だからさ」
「じゃあ、今だけ。悪い子になる、ね??」
カエデが沸き上がる灼熱の感情を胸の中に閉じ込め、一瞬苦しそうな表情を浮かべると。両の瞳をきゅっと閉じてしまう。
そして、右手で俺の体を掴み感情が炸裂して猛烈に真っ赤に染まる端整な顔へと徐々に手繰り寄せ始めた。
…………。
う、ぅぅむっ。これは現実だろうか??
容姿端麗、聖人君子、志操堅固のカエデがこんな大胆不敵な行為に踏み出すとは到底思えないのですよねぇ。
徐々に迫り来る顔は恥ずかしさで顔が真っ赤に沸騰し、眉をきゅっと寄せて込み上げて来る何かを堪えていた。
互いの呼吸を肌で直に感じられる様になり鼻頭がちょんっと接触すると。
「ッ!!」
彼女の体がピクっと動く。
恐らくこれから何が起こるか自ずと理解してしまったのだろう。
と、言うか。俺。
早く正常に戻りなさい!!
徹夜明けの茫然とした頭では正常な判断が下させないのか、将又。
『うっひょ――!! 超美味そうな御馳走じゃんっ!!』
疲労を良い事に好き勝手に暴れ回ろうと画策している阿保性欲の所為か。
俺の体はカエデの思うがままに動かされていた。
互いの呼吸が混ざり合い熱波に変容して顔を温めてしまう距離に顔を置くと。
「「…………」」
もう間も無く訪れる柔らかな感触を期待して俺は彼女に掛けられた魔法に従い、静かに瞳を閉じた。
カエデの甘い吐息が鼻腔に侵入した刹那。
脳天に稲妻の衝撃を超える驚きが直撃した。
『…………おぉ――い!! ボケナス!! あんた、夜御飯は要らないわよね??』
「「!?!?!?」」
マイの念話が頭の中で響いた瞬間、二人は飛蝗も驚く速さで体を起こし。そして慌てて正常な距離を保った。
『おらぁ!! 聞いてんのか!!』
『い、要らないですよ?? 今から報告書を提出して、シエルさんと面談を行って来ますので』
あっ、ぶ、ねぇ――――!!!!
な、何を考えていたんだ!! 俺は!!
大切な友人に対して……。あんな事や、こんな事を妄想するなんて!!
『あっそ。カエデ、何か食べたい物ある??』
『いえ、特には』
『ほいほい。適当に見繕って買って行くからね――』
『どうも』
流石はカエデだ。どんな時でも冷静を……。
ん??
いや、そうでも無いみたいだ。
「……っ」
依然顔は驚く程朱に染まり、体内に籠った熱を逃そうと頭の天辺から湯気がぽっぽっと吹き出していた。
「ふ、ふぅ――。ちょっと悪戯が過ぎましたね??」
小さな手で顔に風をパタパタと送りながら話す。
「な、何だよ――。お、驚かすなよ」
残念半分、嬉しさ半分ってところかな。
カエデのおふざけにしては度が過ぎるとは思いますけども……。
「さ、さてと。じゃあ、行って来るよ」
鞄を肩に掛け、その足で扉へと向かう。
「気を付けて行ってきて下さいね?? レイドが思っている以上に、体は疲れていますから」
「了解。それじゃ、シエルさんの屋敷を出たら念話を送るよ。遅くなると思うけど帰りを待って起きていなくてもいいからね」
「分かりました」
俺の言葉を受けて小さくコクンっと頷く。
「では、行って参ります!!」
「お気を付けて」
若干大袈裟に声を張り上げ、扉を開いて部屋を後にした。
は、はっあ――――!!!! おっどろいた!!
扉を閉めるとヘナヘナと足の力が抜け落ち。そのまま床に尻もちを着いて扉に背を預けた。
平然を装ってはみたものの。
彼女の視線から外れた傍からこれだもんなぁ。我ながら情けなくも思います。
だけど……。さっきのカエデ……。
美の女神様も思わず嫉妬してしまう程に凄く可愛かったな……。
俺だけに見せてくれる表情だったら嬉しいんだけど。本人は悪戯って言ってたし。
はぁぁぁ……。気を強く持とう。
カエデは大切な友人なのだ。その彼女に手を出す事自体が間違っているんですよっと。
太ももをぽんっと軽く叩き、己自身に喝を入れて立ち上がる。
さてと!!
さっさと仕事を済ませて、シエルさんとの面談も速攻で終わらせてゆっくり寝よう。
漸く摂取出来る安眠を想像すると空っぽの体にほんの僅かに力が漲る。
『よ、よぉ!! 今からでも遅くないって!! 背中の扉を開いてやり直そうぜ!?』
頭の中にこびりつく煩悩の懇願を振り払い、扉とは反対方向の通路へ向かって進んで行った。
◇
体と心が熱いです。
体の奥底からポカポカと沸き上がる心地良い熱さに身を委ね、何も存在しない空間を虚ろな瞳で流れる時間も忘れて眺めていた。
先程の出来事は現実なのでしょうか??
胸辺りから湧き起こる熱の影響を受けて上手く纏まらない思考で、思い返しては咀嚼を続けているけど。
どうやら現実なのは確かなようです。
彼が残して行った香りが良い証拠。
この空間に存在する全ての空気を閉じ込めようと胸一杯に空気を吸い込み、そして長々と吐き出す。
「ふぅ――……。うんっ」
大分落ち着いて来ましたね。
さっきの私は、私ではありません。
いや、私なのは確かなのですけど。もう一人の私が出しゃばった結果、あぁなったのですよ。
あの時、マイが念話を送らなかったらきっと……。
口付けを交わしていたのですよね?? 彼と。
「……」
彼の唇を模した指を己の唇にあてがう。
レイドもレイドですよ。嫌なら嫌って言えばいいのに……。
嘘仰い。
本当は私を受け入れてくれて嬉しいのでしょう??
そりゃあ、まぁ。
陽性な感情は浮かびますよ?? 私を拒絶しなかったので。
そう。
たったそれだけの事なのに、心が喜びの声を上げて自分でも制御出来ない程に暴れ回り。嬉しい痛みを発生させていた。
恋愛小説。恋物語。
数多存在する素晴らしい話よりも、たった数分間の出来事の方が心と頭に強烈な印象を残すとは思いもしなかった。
『事実は小説よりも奇なり』
よく言ったものです。
恋愛小説の一説を読み、成程と。女性の考えを理解して。
女性の立場を自分に当て嵌めて、その人の視点に置き換えては納得したり要領を得なかったりするのですが……。
とてもじゃないけど、あの状況でアレコレと考える余裕は無かった。
只、自分のしたいように。本能の赴くままに体が動いてしまった。そう言えば簡単ですね。
したいように……。
うぅ……。私は何であの時、彼の体を引き寄せたのだろう。
彼は仕事で疲れているっていうのに我儘です。
あの場面を思い返すだけで、鎮まりつつある熱が再燃してしまった。
己の愚行を猛省するとチクリと胸が痛みますが、全然苦にならない痛み。
寧ろ。
ずっと感じていたい痛みが胸の中を蠢き、這いずり、心にべっとりと張り付いていた。
レイドは私の我儘を見て感じて、どう思ったのかな??
軽蔑しちゃったのかな。嫌いになっちゃったのかな。
次、どんな顔を浮かべて顔を合わせればいいのか分かりません。
後悔と喜々。
交互に訪れる感情に心が掻き乱されていると不意に扉が開かれた。
あれ??
皆さん。何時の間に??
いつもなら、表通りから裏通りに入る距離で彼女達の存在を察知出来るのに。今の状況では扉の音で存在を察知してしまう。
情けないですねぇ。
もっと気を引き締めましょう。
しゃきっと姿勢を正し、陽性な感情を振り撒く彼女達の帰りを迎えた。
「とぉ――!! へへ――ん!! いっちば――ん!!」
「はぁ?? 見て無かったの?? 私の足が一番初めに入室したのよ」
ルーが部屋に入るなり、狼の姿に変わって己のベッドの上に飛び乗り。
それを顰めた顔でマイが見つめる。
「レイド様が居ない部屋は何んと寂しい事か……」
「主は仕事なんだ。多少は我慢しろ」
大きな溜息を吐きながらアオイが部屋に入り、それに続くリューヴもレイドの居ない部屋に残念そうな顔を浮かべる。
「ただいま――っと。あり?? どした。あたしのベッドに腰かけて」
最後に入室したユウが私の顔を見付けると不思議そうに問いかけて来た。
あ、そうだった。
自分のベッドじゃなかったんだ。
「少し昼寝をしていまして。ユウのベッドを御借り致しました」
「ふぅ――ん。何?? あたしの匂いを感じたかったとか!?」
「いいえ。偶には気分を変えて、という奴ですよ」
「んだよ。ノリが悪いなぁ――」
咄嗟に思いついた言い訳を放ち、スタスタと自分のベッドへと戻る。
「んふふ――。きゃわいいお肉ちゃん?? 私の胃袋へいらっしゃい」
ベッドに腰かけ読みかけの本を手に取ると。
マイが龍の姿に変わり、恐らく夕食用であろう紙袋の中からぶつ切りのこんがりと焼かれた肉を取り出し、キラキラと目を輝かせて豪快に齧り付いた。
「うっま――い!! やっぱいいわねぇ。お肉って!!」
「マイちゃん。食べ過ぎだよ?? さっきもソレ食べてたじゃん」
「これはこれ。ソレはソレ。沢山食べておかないと、体が出来ないのよ??」
体、か。
レイドは私の体型をどう思っているのかな??
マイ程足は綺麗じゃないし。
ユウみたいに胸も大きく無い。
ルーの様に整った体付きでもなければ、リューヴみたいに長い四肢じゃない。
アオイが放つ女性の色気も皆無。
ふぅ……。
レイドはひょっとしたら、私の体型を鑑みて手を出さなかったのでは??
真摯な姿勢を貫いての行動だとは思いますけど、これだけ綺麗な女性達に囲まれては劣等感を抱くのは必然なのですよ。
「かふぇで。どふぃた?? 顔、あふぁいよ??」
「――――寝起きですからね。ちょっとぼうっとしているのかも」
マイの発言に一瞬だけ心がざわつく。
上手く誤魔化せたかな??
「ふぅん。疲れが溜まってるふぁら、無理はしふぁいように」
「どうも」
ほっ、良かった。
どうやら誤魔化せたようですね。
あの体験を人に話すのはちょっと勇気が要りますし、何より。
私だけの秘密に留めておきたいのが本音なのです。
いつもの喧噪が訪れる中。私は一人五月蠅い心と葛藤を続け、ほぼ流れ作業になる形で文字を眺め続けていたのだった。
最後まで御覧頂き有難う御座いました。
本日は台風の影響を受けて雨やら晴れやらと忙しなく気候が変化する一日でしたね。お住まいの地域によって差異はあるかと思いますが、私が住んでいる地域ではそうでした。
暫くの間は雨が続き、ジメジメと蒸し暑い日が続きますが体調管理には気を付けて下さいね。
さて、番外編にて特別編を掲載しているのですが。中々いいネタが見つからなくてプロットが難航しています。
どうせなら皆様の腹筋を大きく動かしてやろうと画策していますが、これがまた難しくて……。
ある程度形になりましたのなら後書きにてお知らせしますね。
それでは皆様、お休みなさいませ。




