第二十九話 向けられた疑惑
お疲れ様です。
本日の投稿になります。
この御話から新しい御使い、信仰と不敬編が始まります。
それでは御覧下さい。
体が思わず身震いしてしまう冷涼な空気は一段落して、体を優しく抜ける風の中にこれこそが初冬の訪れであるという微かな存在をふと掴み取る。
平地の気温に慣れ過ぎた所為か向こうが寒過ぎるんだよねぇ。
視線が潤う自然豊かな光景、都会で汚れた肺を浄化してくれる澄んだ空気、そして喧噪に辟易した鼓膜を癒す心地良い静寂。
風光明媚を越える言う事無しの好環境だったのだが、如何せん。出向いた季節が悪かった。今度はうだるような暑さに降参しかけた時に訪れましょうかね。
コールド地方から帰還してレイモンドの街並みを郷愁の意味を込めた瞳で見つめていると、行き交う人々の服装が冬のそれに備えた物に変化している事に気付く。
もう直ぐ冬か……。
思えば春先からずっと駆け抜けて来た気がするな。
魔女、魔物、任務。そして最近では神器やら九祖やら……。
多忙を極める任務に携わると状況も変わり、喧しい仲間達のお陰で目が回りそうな日々を送っている。
強さも……。まぁマイ達には程遠いけども。多少ではあるが身についているであろう。
勿論、これは俺だけの秘密です。強くなっていると言った日には。
『へぇ!! じゃあ……。私の相手を務めろやぁああ!! この自尊心の塊めがぁああ!!』
と、強面のお兄さんも腰を抜かして命を懇願してしまう恐ろしい顔を浮かべ。あの御方が此方に向かって突貫して来ますのでね。
決して軽はずみには口に出せません。
アイツの恐ろしい顔を想像していると、久し振りの帰還によって湧き起こる高揚感も鳴りを潜めてしまった。
行き交う人々が巻き起こす雑踏と慎ましい日常会話を咀嚼しつつ、王都の西大通りをのんびりとした歩調で進む。
マイ達は……。今頃中央屋台群に到着している頃だろうな。
強さの結晶を体現した者達は帰還とほぼ同時に喜々として街の中央へと向かって行った。
何でも??
『新作、珍作、良作。皆が首を長くして私の凱旋を待っているんだから!!!!』
等と喚き散らし駆けて行き、いつもは図書館へ向かう者達もヤレヤレ仕方が無いといった雰囲気を醸し出して渋々と彼女に従った。
昼過ぎだからそこまで混まないと思うが、それでも人波は途切れる事は無い。
人が密集しているからなぁ。
ま、そこがこの街の良い所の一つ。人の往来が多ければそれだけ経済も潤う。
経済が円滑にそして潤沢に活動すれば人の営みを装飾し豊かにする。
貨幣経済の営みが今まさにここで行われている訳だ。
大通り沿いの店の賑わいを見つめながらそんな事を思っていた。
「おっと……」
危ない。本部への道を間違える所でしたね。
西大通りから北へと進路を取り、いつもの薄暗く生活感溢れる路地を歩み続ける。
本部が普遍的な家屋である事には一切文句は言いません、しかしもうちょっと分かり易い位置に建てて欲しかったのが本音だ。
約一か月振りに見る直角の波を見てそう考えていた。
『だから、困るんだよ!!』
うん?? レフ准尉の声だ。
懐かしき我が部隊の本部が見えて来ると同時に憤りの声が普遍的な家屋の壁を突き抜けて空気を振るわせている。
隣の家の屋根で羽を休める鳩も何かあったのかしら?? と。首を傾げて扉を見下ろしていた。
何か、あったのかな??
『…………』
『いや、軍規で定められていてさ。私の独断で判断出来ないって言ってんだろ!? 耳、腐ってんのか!?』
こりゃ相当ご立腹だな。
此処まで声が漏れて来るなんてただ事じゃない。
「失礼します。只今、帰還しました」
出来るだけ存在を矮小にし、消え入りそうな声と共に扉を開いた。
「おぉ!! 良く帰って来たな!!」
レフ准尉の労う声は変わらないけど、顔は大変お怖いまま。そして、この場に酷く浮いた存在が此方を見つめる。
「「「……」」」
長い白のローブを羽織り、軍属の者とは思えない華奢な体躯。
男性二名と女性一名か。
どこからどう見てもイル教の信者だ。此処に何の用があって来たのだろう……??
「どうも。初めまして」
まさか……。
マイ達の存在を世に知らしめる為に来たのだろうか……。
「どうも」
相手に警戒心を抱かせぬ言葉を放ち当たり障りのない笑みを浮かべ、此方に向かって差し出され右手を握ってやる。
ほっそ!!
頼りない握力、そして指の細さに思わず心の声が素直に零れてしまいそうであった。
あ、いや。これが普通の男性なのか。
酒を酌み交わしていた狼さん達が太過ぎるだけなのです。
「私、アズファ=ルトヴァンと申します」
「どうも。レイド=ヘンリクセンと申します」
慎ましい社交辞令を交わして手を放す。
この男、何の目的でここに来たんだ??
誰もが信頼を寄せるであろう笑みの下にどんな顔が潜んでいるのやら。
「早速ですがレイドさん。今回の任務について幾つか質問を御伺いしても宜しいですか??」
「え?? 任務内容を、ですか??」
軍規で詳しい内容はおいそれと話してはいけないんだけど……。
ちらりとレフさんを見るが。
「……っ」
鋭角に眉を顰めて首を横に振り、俺を睨みつけ否定の合図を出す。
そして、コイツ等が任務の内容を尋ねてくるという事は。先の任務はイル教の指示で軍部が指令を出した事がほぼ確定された訳か。
全く……。あんたらのお陰で長き亘る距離を踏破して、一歩間違えれば殺されかねない激闘を繰り広げたのですよ??
もう少し下の者の心情を察して指示を出しなさいよ。
「申し訳ありませんが……。軍規の規定によってお話する事は……」
「あ、勿論。上層部からの承諾は得ていますよ?? ほら、どうぞご覧ください」
ルトヴァンさんが鞄の中から一枚の書類を取り出して此方へ差し出すのでそれを受取ろうとするが……。
「ちっ!!」
残念ながらそれは叶わず。レフ准尉が美しい紙を乱雑に受け取り、険しい表情を浮かべたまま視線を走らせた。
相手は一般人であり軍属の者ではないのですよ??
ですから、もう少し態度をですね……??
いや、上官へ進言はしません。ただ、もうちょっとだけ優しい顔を浮かべて読んで下さい。
「…………。ふんっ、最初から出せよ」
「わっ」
これまた乱雑に投げ渡すので落としそうになってしまう。
帰って来て早々、問題を起こすのは勘弁して下さいよ……。
「えっと、何々?? この者達は……」
書類の文字を一文字ずつ丁寧に噛み砕きながら読破していく、すると。
「…………皇聖シエルからの直令により協力されたし」
書類の下、余白部分にシエルさんの捺印も確認出来た。
こりゃ本物だな。
「お分かり頂けましたか??」
「えぇ。上層部の命令である以上、知りうる範囲でお答え致します」
物腰柔らかい笑みを浮かべる彼に書類を返して口を開いた。
「それでは早速。今回の任務は捜索と救助、そうでしたよね??」
「はい。その様に指令を受けました」
「単刀直入に御伺いします。三名の安否は確認出来ました??」
あぁ、成程ね。
いきなりムートさん達が帰って来て驚いているんだな。
「いいえ。彼等の痕跡は一切確認出来ませんでした。一旦、捜索を打ち切り戻って来た次第です」
無難に答えておくか。
おっと、ついでに……。
「私も彼等の安否を危惧しております。ですが……。あの未開の土地での生存は困難を極めるかと……」
彼等の身を案じる姿を見せてやった。
「ふむ。そうですか……」
俺の言葉を受けて何やら考え込む仕草を取る。
何か変な事言いました??
「どうかしました??」
「あ、いえ。実はですね、突如として彼等が帰って来たのですよ」
「えぇ!?!? 良かったじゃないですか!!」
これでもかと目を丸くして驚き、その後素早く胸を撫で下ろして安堵の様を表現してやった。
ふふっ、我ながら名演技だ。自画自賛ではないけれどもこれなら舞台に立って役を演じる事も可能だろうさ。
「今から、そうですね。凡そ二十日前でしょうか」
カエデが送り返したのは確かそれ位だったな。
ネイトさん達の里で二泊する予定だったが……。あの馬鹿げた酒に付き合わされるのは勘弁して頂きたかったので慌てて尻尾を丸めて逃げ出して来たのだよ。
途中で足を止めては首根っこを掴まれて引きずり戻される恐れもあったので山を越えるまでは急ぎ足で移動していたのです。
「彼等が突如として帰還したのですよ。命が助かって安堵したのも束の間……。おかしな点が幾つも見つかり、問い詰めるも心ここにあらずといった感じで」
「どんな様子でした??」
「記憶が曖昧らしく、ここ最近の記憶がすっぽりと抜け落ちている。そう話すのです」
おぉ!! エルザードの魔法が効いたんだな!!
流石、神に等しき力を持つ九祖の血を引くだけの事はある。
「落ち着きを取り戻して彼等は家路へと着いたのですが……。どうも腑に落ちないんですよねぇ……」
その目を止めなさいよ。
俺の目の奥をじぃっと見つめて此方の思考を探り、綻びを見付けようとしている疑心に満ちた瞳だ。
「今も申した通り、彼等の痕跡は発見には至りませんでした。捜索範囲を広げようと考えましたが……。食料や任務の規定の事もあり、捜索を打ち切りました」
「ふぅむ。そう、ですか」
ふんっ。人を疑うのは構いませんけどね??
もう少し態度を考えなさいよ、態度を。
あからさま過ぎますって。
「では、次の質問を。コールド地方で何かを発見しました??」
でたよ。
結局、これが聞きたかったんだな。
「いいえ?? 咽返る緑と、微かに聞こえて来る狼の遠吠え位しかありませんでしたよ?? 人がおいそれと近付いてはいけない未開の場所でしたね」
神器の存在。
そしてそれが聖域内の何処にあるのかを聞き出したいのだろう。
正確な場所は俺も知らないし、例え知っていたとしても絶対に知らせる訳にはいかん。
狼の里、並びに聖域は人に侵されざる神聖な場所なのだから。
「怖い場所ですね」
「えぇ。もう二度と足を運びたくないのが本音です」
「ふむふむ。成程……」
手元の紙に何やら書き記し、一人で勝手に納得している。
もういいかな??
忌々しい報告書が俺を待っているので解放して欲しいんだけど。
「分かりました。詳しい事は後日提出して頂く報告書を改めた後、質問させて頂きます」
げっ!!
また両方に報告書を提出しなきゃいけないのか!?
「はあ……。分かりました」
今も普遍的な笑みを浮かべている彼に向かって気の抜けた返事を返してやる。
くそぅ……。今から気が重いよ。
「では、私達はこれで」
軽く頭を下げて扉へと向かうので、厄介払いが出来たと胸を撫で下ろしたのだが。
「あ、そうだ。忘れるとこでした」
ルトヴァンさんが慌てて歩みを止め、再び鞄に手を突っ込むと。
「シエル様からこれを貴方に渡す様にと仰せつかっていました」
綺麗な一枚の紙を俺に渡してくれた。
渡された紙に記された文字の波をざっと読み飛ばし、大事な所だけ掬うとどうやらこの紙はレンクィストの入場許可証の様だ。
「これは??」
「詳しい説明は軍の上層部から知らされると思いますが……。何でも?? シエル様直々にレイドさんのお話を御伺いしたいとか」
またかよ!!
あの街に良い思い出が無いから行きたくないんですけど!?
「安心して下さい。社交辞令的な挨拶みたいなものですよ」
俺の気持ちを汲んだのか、ルトヴァンさんが労いの声を出してくれる。
「はぁ。分かりました」
「それでは」
当たり障りのない笑みを浮かべながら、この場に相応しくない三名が大変静かな所作で扉の外へと姿を消した。
「ったく!!!! 何だよ!! 鬱陶しい奴等め!!」
レフ准尉が女性らしからぬ速さで椅子へと座り、語尾を荒げてちょっとだけ傷が目立つ机を蹴ってしまう。
机もいきなり蹴られてびっくりしただろうさ。
机の上に刻まれた傷って……。まさかとは思いますけども、准尉が??
「気持ちは分かりますけど……。向こうも仕事ですから」
「あ??」
いえ。何でもありません。
鋭い鷹の目付きに肩を窄めてしまった。
「まぁ、あれだ。スノウから飛ばしてくれた伝令鳥から大体の事は伺っていたけど。今回の任務、御苦労だったな」
鋭い瞳から一転、部下の労を労う柔らかい瞳へと変化して口を開いて頂けた。
「何せ、四十日以上かかりましたからね」
移動だけでも四十日以上。
それだけならまだしも、黒の戦士との激戦。そして、狼印のキツイお酒。
更に!! 移動中に行われる九祖の末裔達との組手。もう正直二日間程何も考えて眠り続けたいのが本音です。
「しかも結局何も見付からずに無駄足って……。だが、本当に何も見付からなかったのか??」
「スノウを出てからは進路を北北西に進み、川の浅瀬を渡り。指定された箇所を捜索しましたが何も痕跡は見つかりませんでしたよ?? 勿論、移動中にも彼等の痕跡を探しましたが結局は……。徒労に終わりました」
「ほぉん……。お前さんと違う道順を引き返して来た可能性もある。詰まる所、真実は記憶を失ってしまった三名の回復待ちって所か」
その三名は淫魔の女王様に同じ魔法を詠唱されるまで今回の事件の記憶は思い出せませんので、真実は迷宮入りですよっと。
「兎に角!! 本当に御苦労だった!! ゆっくり休め、そう言いたいが……」
分かっていますよ。あれですよね?? アレ。
レフ准尉がにこりと笑い、後ろの棚へと向かう。
だが!! ここで尻窄みしているようでは軍人は務まらなぬ!!
どんな強敵が俺の前に立ち塞がろうとも、打ち破ってみせようさ!!
「ほぉら。貴様が大好きな報告書の山だぞ??」
「わぁ!! 凄いなぁ!! 本当に。や、や、山だぁ……」
これぞ正しく竜頭蛇尾。
理解していた事だが、現実を目の当たりにしてしまうと声が徐々に萎んでしまう。
聳え立つ山が俺に手招きをして登頂をせがんでいた。
「次の任務は三日後。今日が十一ノ月二十九日。つまり十二ノ月の二日から。え――……っと。さっきのいけ好かないクソ男は誰だっけ??」
「アズファ=ルトヴァンさんです」
名前くらい覚えてあげて下さいよ。
後、上官らしい口調を努めて下さい。部下の前ですからね。
「あぁ、そうだったな。そのアズ何んとかが皇聖シエルちゃんに説明しろって言っていたよな?? 偶然か将又故意か知らんが、次の任務はレンクィストの街で皇聖に報告する事と、イル教信者の護衛だ」
「護衛、でありますか??」
「いけ好かないとは思うがそういう指令だ。我慢してくれ」
「構いませんよ。それで?? 護衛対象は??」
「ちょっと待て。地図を広げて分かり易く説明してやる」
そう話して机の上にアイリス大陸の地図を広げる。
「護衛対象はイル教幹部のエアリア、並びに複数の信者だ。レンクィストの街から北東へ三日。メンフィスの街へと護送してもらう。街の手前の森に注意しろ。街道は通っているが一般人を引き連れて此処を抜けるのに丸一日かかるぞ」
地図上に指を置き、静かに這わせて今回の行程を分かり易く説明してくれる。
エアリアさんって、シエルさんとの会食の時に居たあの人だよね。
それと、もう一つ。メンフィスってどっかで聞いたな……。
どこだっけ……。
必死に拙い記憶を探っていく。
「何でも?? 火災によって消失したイル教の施設を建て直したみたいでな。それの完成を祝しに行くんだとさ」
「あぁ!! そうだ、思い出した!!」
いつかは思い出せないが新聞で読んだ事件だ。
確か放火で消失したと掲載されていたな。
「何だよ、急に声を張り上げて……」
「あ、いえ。随分と前に新聞でその事件を扱っていましたので。あぁ、思い出せてすっきりしました」
胸のつっかえが取れて、気分爽快にスカっと晴れ渡った。
「続けるぞ?? 護衛者はお前を合わせて二名。護衛対象は七名の計九人で行動して貰う」
「もう一人の護衛者は??」
「ん――記載されていないな。指令書には前線から手練れを帰還させて護衛に当たらせると記載されている」
ふぅん。
って事はイル教、又は軍部が信頼を置く人物か。
余程の手練れであろう。
「少し前にメンフィスに繋がる街道上、並びに森の中で野盗が出没したとの情報がある。恐らくそれを警戒しての事だろう。任務期間の予定は二日から九日までの計八日間だ」
「西にはオーク。平地には野盗ですか……」
同じ人間同士仲良く手を繋ごうと思わないのだろうかねぇ。
今はそれ処じゃないってのに……。
「そうぼやくな。いつか平和になったとしても犯罪は決してなくならん。それが人間ってもんだ」
その人間ですが九祖の内の一体、亜人という神に等しき力を持つ魔物から創造された生物の一体なのですよ??
まぁ例えこの真実を話したとしても。与太話と捉えられ決して信じて貰えないだろうから言いませんよっと。
「三日後午前九時に食料並びに、装備一式を揃えて西門でもう一名と合流し出発。そしてレンクィストのイル教本部で指示を仰げ。だとさ」
「何だか俺達、良いように使われていません??」
レフ准尉から指令書を受け取り、書類の上で視線を泳がせながら話した。
「仕方ないだろ。私達は軍属。任務には従う義務があるんだ。それが例え胸糞悪くなる連中を守る任務であってもな」
ふんっ、と鼻息を荒げて話す。
「いくら資金提供を受けているからといって……。そこまで協力しなきゃいけないんですかね」
「世の中金を持っている奴が強いんだよ。戦うにも金、生きるのにも金。貨幣経済の宿命って奴さ」
まぁ……。
それを言われてはぐうの音も出ませんけど。
「期日までにちゃんと報告書を仕上げろよ??」
「はい。了解しました……」
忌々しい紙の束を鞄に入れてやる。
くそう。
出発は三日後だし、これじゃおちおち休んでいられないよ。
「しっかり飯を食って、寝て、仕事に励め。説明は以上。下がって良し」
「失礼します」
自分でも驚く程覇気の欠片も含まない声を放ち、心配になる音を奏でる扉を開けた。
はぁ……。気が滅入るなぁ。
イル教信者の護衛、山程ある報告書の束、それに面識の無い者との護衛任務。
長い行程を踏破して来たのに到着するや否やこれですか。
任務だから致し方ないとは思うがどうも腑に落ちない。
前線から帰還させた者は余程の手練れだとは思うが、俺以外にも手練れは沢山いるだろう。
よりにもよって何で俺なんだ。
シエルさんに報告させるついでに護衛させたいのかな??
それとも、上層部の方々に手練れとして認められたのか……。
独りよがりの考えだけど、これが事実だったら多少はやる気が出る。
やる気は出る、けれど仕事の量は減る訳じゃないんだよなぁ……。
鞄の中を恨めし気に見下ろしつつ、独りよがりの考えを無理矢理自分に認めさせて大通りへと向かった。
お疲れ様でした。
この季節は本当に鼻が詰まって大変です……。
同じ症状の方はもう少しの辛抱ですので頑張って乗り越えましょうね。そして、いいねをして頂き有難う御座いました!!
それでは皆様、お休みなさいませ。




