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第百八十六話 未だ見ぬ世界へ向かっての再出発 その二

お疲れ様です。


連休中の深夜にそっと投稿を添えさせて頂きます。


長文になりますので、温かい飲み物片手に御覧頂ければ幸いです。


それでは御覧下さい。




 うむむ……。


 あの脂肪の塊め……。ちゃんとレイドを救ったのじゃろうか。


 マイ達が出発して早二日、いやもう間も無く三日目に突入か。


 儂はその間。愛弟子を救いに向かった者共が一向に姿を見せ無い事に対して、身を焦がす程の焦燥感に苛まれ続けていた。



 総大将である儂に定期的に連絡くらいするべきじゃろうが。


 いや、しかし。


 向こうの大陸と此処は離れているから難しいと思うが……。



「あ――!! もう!!」



 誰も居ない静かな平屋の寝所で一人叫んでやった。


 焦りと心配。


 溢れ出る負の感情で心が曇り空の儂は大いに寝不足じゃよ……。



「ふんっ!!」



 畳の上に体を預けて横になると弟子が置いて行った上着がふと視界に入る。



 馬鹿弟子め……。


 師にこれ程の心配をかけるとは何事じゃ。


 芋虫の如く畳の上を這いずり、荷物の山から馬鹿弟子の上着を引っ張り出すと。



「むむ……」



 儂の好きな香りがほんの微かに鼻腔へと届き、イケナイ感情を誘発してしまった。



 ちょ、ちょっとくらいなら。いいじゃろ……。


 だって、一人なんだし?? ずぅっと待ち惚けしているし??


 自分に体の良い言い訳を言い聞かせ、誰も居ないのを確認してそっと匂いを嗅いでみた。



「スンスン……」



 少し……。汗臭いのぉ。


 いや、これがあ奴の匂い……。じゃな。



「も、もう少し位ならっ」



 畳の上に寝転がり、襟の部分を鼻に当てる。


 むぅ……。


 ここは一段と匂いが強烈じゃな。


 鼻から息を吸い、肺一杯に香りを閉じ込める。


 男の香りと言うべきか。


 どうしてこうも落ち着くのじゃろう??


 瞼を閉じて、香りに集中すると胸のわだかまりが溶けるようじゃ……。



 疲労や寝不足もあってか猛烈な睡魔が襲い掛かり。儂は弟子の香りに包まれながら耐え難い眠気に身を預けた。





『………………。師匠?? どうしました??』


「へ??」



 ふと気が付くと、目の間にレイドが立って居た。


 漆黒の髪に物優し気な顔。


 儂の顔を見つめる姿はいつもの馬鹿弟子じゃ。



『組手の途中ですよ??』


「あ、あぁ。分かっておる」



 何じゃ。組手の途中であったか。


 儂とした事が……。



『さぁ、行きますよ!!』


「掛かって来い!!」



 弟子の鋭い踏み込みが風を切り裂き、儂との距離を瞬き一つの間に縮めた。



「なっ!?」


『はぁ!!』



 想定外の速さに目を丸くして驚く儂に情け容赦の無い拳の雨が降る。



「ぬぉ!! ちょ、ちょっと待つのじゃ!!」


『待ちません!!』



 襲い掛かる攻撃を卓越した体捌きと手で往なすが……。儂の防御が破られるのは目前であった。



「嘗めるな!!」



 そう簡単に師を超える事は許さんぞ!!


 魔力を全開放すると周囲の大気が儂が放つ圧によって微かに振動。


 大地もそして空も慄く大魔の力、確と刮目するがよい!!



 儂の全て……。此処で出し尽くす!!



『ぐっ……。相変わらず、洒落になりませんね』


「ふふふ、儂に本気を出させたのじゃ。そう易々と終わらせはせぬぞ??」


『勿論ですよ!! 互いの全てを……』



「「ぶつけ合う!!!!」」



 言葉を発すると同時に相手へ向かって小細工無しに突進する。


 儂とレイドは一陣の風となり、向かい風と追い風が大地の上で激しく衝突。


 天まで届く上昇気流を発生させて儂達は気流の中心で互いの拳を交え、共に高みへと昇って行った。



『はぁぁあああ!!』


「小癪なぁぁあああ!!」



 馬鹿弟子の鋭い右の拳が顎先を掠め、体が流れる勢いを生かした左の裏拳が目の前を通過する。



「くぅっ!!」



 空気の塊が吹き飛び鼓膜を震わす衝撃波が発生して一瞬だが儂に隙が生まれてしまった。



『貰ったぁぁああ!!』


「ごはっ……!!」



 馬鹿弟子の右の拳が儂の腹を捉えると、体がくの字に折れ曲がり宙へ投げ出されてしまう。



 こ、この衝撃……。


 正に極光無双流の神髄を極めた者が放つ威力じゃ。



「くっ!!」



 着地と同時に情けなく膝を着いてしまった。


 儂へ真面に攻撃を当てた奴は、何百年振りじゃろうな……。



『師匠!!!! やりました!! これで、賭けは自分の勝ちですよ!!』



 儂に攻撃を当てたのが余程嬉しいのか、構えを解いて喜々とした表情を浮かべていた。


 追撃をせぬか、馬鹿者め。



「賭け??」


 何の話じゃ??


 膝に着いた土をパパっと払って立ち上がる。



『そうですよ。組手を始める前に決めたじゃないですか』


「じゃから、一体何の話じゃ」



 要領を得ぬ奴め。



『もう……。忘れたとは言わせませんよ??』


「なっ!?」



 何を考えたのか知らんが。


 あっけらかんとした顔で儂の腰を掴み、男らしい腕力で儂の体を引き寄せてしまうではないか!!


 両手に抱かれ、空気が入る隙間も無く互いの体が密着した。



「止めぬか!! うつけものめ!!」


 体を離そうと両手を突っ張るが……。何故か押し返せなかった。


 いや……。


 したく無かったのかもしれぬ。


 雄の匂い、汗のすっぱい香り、そして……。馬鹿弟子の温かい体温。


 その全てが儂の戦意を空の彼方へ放り出してしまった。



『約束が違うじゃないですか……』


 儂の右手に左手を甘く絡ませる。


「や、約束??」


『えぇ、一撃を与えたら。師匠の全てを頂くと……』


「ふぇっ!?」



 そんな約束しておらぬわ!!



 そう言葉を放とうとするが馬鹿弟子の熱と雄の香りがそれを阻んでしまう。



『酷いじゃないですか。この為に死ぬ程鍛えてきたのに』



 漆黒の瞳が儂の瞳の奥を優しく捉えると、笑える程に頬の温度が急激に上昇してしまった。


 こ奴の瞳には人の体温を上昇させる力でも備わっておるのか??



「……っ」



 うむむ……。


 駄目じゃ、恥ずかし過ぎて直視出来ん。


 羞恥心に耐え切れずふいと顔を逸らしてしまった。



『何処へ顔を向けているのですか?? 俺はこっちですよ』


「……、あっ」



 右手の指でそっと儂の顎を触り、嫌じゃない力加減で強制的に正面へ顔を向ける。



『駄目じゃないですか。顔を背けたら』


「ふ、ふん。どうせ儂を揶揄っておるのだろう??」



 違う。こんな事は言いたくないのじゃ。



『そうやって視線を逸らして。ちゃんと自分を見て下さい』


「……」



 こ奴の胸から、おずおずと目線を上げて望み通り馬鹿弟子を見てやる。


 刹那。



「……っ!!!!」



 儂の心臓が胸から飛び出しそうになった。


 他人に安心感を与える角度で柔らかく口角を上げ、心安らぐ瞳は愛しむ様に儂を捉え、顔に掛かる吐息は体温を沸騰させてしまう。



 な、何て表情を浮かべるのじゃ……。


 この顔は正しく愛する者へ向けるそれと同じではないか。



『ほら、本気だって分かりましたよね??』


「し、脂肪の塊みたいに女らしく無いし。それに、この体もお主の好みではなかろう」



 強がりな儂だけを見ておくれ。我儘な儂を受け止めておくれ。


 己の願望が口から出るのを必死に抑え込んだ。



「エルザードは関係ありません。師匠しか見えませんよ」


『マ、マイ達の事はいいのか??』



 何故此処まで来て儂は他の女の名前を出すのじゃ??


 天邪鬼にも程があるぞ。



『構いません』


「そ、そ、それに……」



 言い訳の言葉を探すが、頭が混乱してそれ処では無い。



『この気持ち。師匠へは伝わりませんか??』


「ひっ!!」



 男らしい腕でより体を密着させると互いの心臓の音が体を通して反響しそうじゃ。


 いや。


 儂の心臓だけかもしれぬな、五月蠅いのは。



『師匠……。いや、イスハ』


「!?!?」



 名前を呼ばれるだけでこうも気持ちが高揚するとは思わなんだ。


 駄目じゃ。


 もう、何も、考えられぬ。



『イスハ……』



 儂は迫り来るレイドの顔を迎える為。



「……っ」



 今にも心停止してしまいそうな心臓を宥めて臆病な心を吹き飛ばすと意を決して目を瞑り、顎先をきゅっと上げた。



『これから、ずっと。大切にするからね』


「分かっておる……」



 あぁ、儂にも漸く春が訪れるのじゃな……。



「んっ……」



 唇がそっと触れると頭の中に満開の花が咲いた。


 接吻とはこうも優しく心を溶かすのじゃなぁ……。


 知らなかった。


 知りたいとも思わなかったが、これなら幾らでも出来そうじゃ。









「ん――。お主の唇、硬過ぎじゃぞ」



 まるで冷たい鉄に口づけをしているようじゃなっ。



「あはは。だっさ!! 蛸みたいに口を尖らせて!!」



 んむぅ?? なん、じゃ??


 何故、馬鹿弟子から脂肪の塊の声がするのじゃぁ??



「ほら、さっさと起きなさいよ。馬鹿狐」



 …………。


 消えぬか、この鬱陶しい声め。



「起きないと、尻尾を焦がすわよ??」



 ぐぬぬ……。


 儂の馬鹿弟子の口から何て物を聞かせるのじゃ。



「阿保――。貧乳――。単細胞――。若作り――。花いじりが趣味のクソ婆――」



 こ、こ、殺す!!


 こ、こ奴は弟子の姿を模倣した悪魔じゃったな!!


 極光無双流の神髄……。その身を以て分からせてやるわ!!!!



「…………。ぎにゃ――――――!!!!」

「はごすっ!!!!」



 右手に何やら硬い感触を受けてゆるりと目を開いた。


 やけに現実感がある感触と叫び声じゃったなぁ……。



「…………。んあっ??」


「やっと起きたか、馬鹿狐」



 ぼやける視線の先に脂肪の塊の姿を確認出来た。


 呆ける頭をフルフルと振り、覚醒を促す。



「何じゃぁ?? 帰ってきたのかぁ??」



 両手でまだ寝惚けている目をグシグシと擦る。


 眠いのぉ。



「え、えぇ。手荒い歓迎を受けましたが。帰って来ましたよ」


「んむぅ??」


 今度は脂肪の塊からレイドの声がするぞい。


「まだ夢の中じゃったかぁ」



 素敵な香りが漂う上着をひしと胸に抱いて再び横になる。


 さぁもう一度、甘美な夢を見させておくれ。



「し、師匠。ここは現実ですよ」


「……。現実ぅ??」



 おやぁ??


 夢にまで見たレイドの顔があるぞい。


 ちょっと顎が赤いが……。


 ここは夢の続きじゃったんだなぁ。



「ふわんっ……」

「ちょっ!!」



 さぁ儂に……。夢の続きをしておくれ。


 彼の胸の中に飛び込み胸一杯に香りを閉じ込めた。



「し、師匠!! 寝惚けているんですか!?」


「嫌じゃぁ。儂が独り占めするのじゃぁ……」


 そうじゃ。こ奴は儂だけの物じゃ。


「お、起きて下さい!!」


「それも嫌じゃぁ……」



 ふふふ。楽しいのぉ。


 でも……。馬鹿弟子は今も苦しんでおるのかもしれぬ。


 辛い現実から目を背けて夢の中へ逃げていいのじゃろうか??



「向こうから帰って来たんですよ!!」



 そう。ガイノス大陸で生死の境を彷徨い続けている儂の愛弟子。


 もう、会えぬかもしれぬ。馬鹿弟子……。


 嫌じゃ。放しとうない!!



「ちゃんと、無事に帰って来ましたから……」


「……。ん??」


 夢の中にしては妙に温かい感触が頭を撫でる。


 夢現で、呆ける眼を向けると……。


 そこにいつもの弟子がいた。


 笑みを浮かべて、怪我は大丈夫だと言わんばかりに今も儂を静かに見下ろしている。



「これは現実なの、じゃな??」


「えぇ。現実ですよ」



 この声。



「体は、どう、じゃ??」


「お陰様でどこにも異常はありません」



 この体温。



「怪我は……。グッ……。もう……。ヒッ……、癒えたのじゃな??」


「滞りなく」



 駄目じゃ。こ奴の顔が歪んで真面に見れぬ。



「馬鹿弟子がぁ……。馬鹿……。馬鹿ものぉ!!」



 馬鹿弟子の胸の中に顔を埋めて心に浮かぶそのままの言葉を叫んでやった。



「不出来な弟子で申し訳ありません」



 手本となるべき師でありながら……。取り乱した姿を曝け出してしまったぞい。


 じゃが、自分でもどうにも制御出来なんだ。


 まだまだ未熟である証拠じゃな……。



「あ――あ。皆の前でボロボロ泣いちゃって。みっともないったらありゃしない」


「泣いておらぬわっ!!」



 馬鹿弟子の胸に顔を埋めながら精一杯の言い訳を言い放ってやった。




「私達はちょっと風に当たって来るわ」


「そうだなぁ。今日の夜風は気持ち良さそうだし」


「五分だけですわよ??」


「い、良いですね。私もそうやって甘えればぁ……」


「アレクシア、行くぞ――」


「ちょ、ちょっと!! ユウさん、服を引っ張らないで下さいっ!!」




 くそう。


 脂肪どころか、マイ達にも見られてしまったぞ。



「――――。師匠。誰もいませんよ??」

「ふ、ふん!! 良く、帰ってきたな」



 胸から顔を離すとほぼ同時にそっぽを向いてやる。


 泣き顔を見られて堪るか。



「只今戻りました」



 あぁ、この声じゃ。


 何んと落ち着くのじゃろう。



「それで?? グシフォスに治して貰えたか??」


「はいっ!! 俺の中で暴れていた龍は元の檻へと戻ったみたいです」


「ふ、ふんっ。なら良い……」


「でも、師匠でも泣く事があるのですね??」



 揶揄いにも似た声が上がるので。



「喧しい!!」



 胸へ飛び込み、再び情けない顔を隠してやった。



「わっ!! …………。また鍛えて下さいね??」


「勿論じゃ。足腰立たぬまで鍛えてやるわい」


「はは。少しは加減して下さいよ」


「嫌じゃ」



 もう少し、このまま。



「新しい技も教えてください」


「嫌じゃ」



 時間よ、止まっておくれ。



「じゃあ、勝手に盗みます」


「出来るものならな」


 春の陽光にも似た温かく柔らかい空間が儂達を包む。


 これじゃよ、これ。


 夢では得られぬ空気。


 無事に帰って来てくれて、本当に良かった……。


 彼の胸に体を預けて心行くまで本物の体温を感じ取り、男らしい胸から放たれる香りを丁寧に己の中に閉じ込めつつそう感じていた。














 ――――。




 師匠の様子が落ち着く頃、マイ達が此方の機会を伺うように戻って来た。



「お、おほん。皆の者、よく戻って来たな」



 先程の失態……。


 基、取り乱した様子を取り繕い。横一列になって座る俺達の前に立って一つ咳払いをする。


 師匠でも、あぁいう姿を見せる事があるんだな。


 何んと言うか……。


 俺の胸に顔を埋めて泣く姿に少しばかり動悸が激しくなるのを感じていた。



 物凄く女の子らしいと言えばそうなのですが、こんな事を言った日には首と胴体がお別れを告げてしまいますので沈黙を決めておきましょうかね。


 それと物凄く可愛いなと思ったのも秘密です。


 言えばきっと四肢が地平線の彼方まで吹き飛ぶ衝撃を与えられてしまいますので。



 そして、偽り無き本心では……。


 俺の事をそこまで心配して下さった事に感謝し続けていた。


 有難う御座います、師匠。


 不出来な弟子を真に想って頂けて……。




「なぁにが戻って来たな、よ。みっともなく泣いちゃってさ」


「泣いておらぬわ!!」


「まぁまぁ。御二人共……。ここは穏便に……」



 夜更けもあり、これ以上騒ぎを大事にされては翌日に響く。


 そう考えて両者の間に割って入った。



「「ふんっ!!」」



 同時にそっぽを向くので、笑い出しそうになってしまう。


 何だかんだ、似た者同士なんだよなぁ。この二人って。



「ねぇ。私達そろそろ休みたいからお風呂行きたいんだけど」



 こいつはこいつで我が道を爆走し続けて全然空気を読まないな。



「此処で休むのは構わん。じゃが、お主達に一つ知っておいて貰いたい事があるのじゃよ」


「何よそれ」



 怪訝な顔で胡坐をかいて座り師匠を見上げる。



「マイ、お主は覚えておらぬと思うが……。ミルフレアを退けた時、自分が何をしでかしたか分かるか??」



「ん――。確かに、あんまり記憶に無いけど……。声が聞こえたわね」



 そう話した瞬間、師匠とエルザードの眉がピクリと動いた。



「やはり、そうか……」


 師匠は腕を組み、何かを考え。


「やっぱりねぇ」


 エルザードは小さく頷き、何かを納得している様子であった。



「何か心当たりがあるのですか??」



 今の様子を受けてその真意を確かめる為。静かに尋ねてみた。



「いいか。儂やエルザード、そしてお主らにも大魔の血が流れておる。血は脈々と受け継がれており、血の中には今も古の力が宿っておるのじゃ」



「前回、フォレインさんにも伺いました。確か……。アオイもその力を覚醒させたんだよな??」



「えぇ。ですが、あれはまだ浅い段階ですわ」



 段階??



「血の覚醒と、考えればよい。古の力を呼び醒ます。そしてそこから得られる力は強大じゃ」


「具体的にどんな力が得られるのでしょうか??」



「私達は覚醒を段階に分けて個別に呼称しているわ」



 師匠の代わりにエルザードが口を開く。





「第一段階は血の力を制御出来ずに暴れ狂い、暴虐の限りを尽くす。放っておけば血の力によって身を焦がし、最悪死に至るわ。この段階の事を『我儘な貴婦人』 って呼んでるの」



「貴婦人って言うけど。そんな生易しいものじゃなかったぞ」



 ユウが話しているのは以前リューヴと会敵した時の姿であろう。



「第二段階はある程度血の力を制御して。僅かながら力を取り出して己の体に宿す。じゃが、強大な力に溺れいつかは肉体が破滅へと向かう。これを『女王の片鱗』 と呼んでおる」




「アオイが発現したのもこの力かな??」



 確か……。シオンさんを傷付けた時、朧に意識が残っていたと言っていたし。


 右隣に座るアオイに尋ねた。



「えぇ。そうですわ」



「第三段階なのじゃが……。この段階は此処までに至る段階とは一線を画すのじゃ」



「第三段階は……。何代前の先祖か分からないけど、血の中に色濃く受け継がれている情報が発現するのよ」



 師匠、エルザードが神妙な面持ちで話す。



「ちょ、ちょっと待った。つまりあたし達の体の中に、誰か分からない人が眠っているっていうのか!?」



 ユウが目を丸くして言った。



「個人が眠っているとは違うかしらね。正確に言えば、記憶やら情報。そして力の片鱗が眠っているのよ。」




「そうじゃ。第三段階の特徴は、眠っている情報を呼び醒まし。大魔の力を解放してこの世に存在する遍く力を凌駕する。その代償は……。肉体の損失、精神の崩壊。簡単に言えば、廃人じゃな。器となる容器が未熟ならば、あっと言う間に壊れてしまうのじゃよ。そしてこの段階を『女王の器』 と呼んでおる」



「ふぅん。そんな事出来るんだ」



 特に興味を示さずにマイが話すと。



「あんたが解放したのは更にもう一つ上の力なのよ??」


「へ??」



 エルザードが間髪入れずにマイへ厳しい視線を向けた。



「第四段階の覚醒。それは血の中に眠る情報を己の身に宿す事。つまり、古代に生きた大魔の力が依り代を媒介にして現代に蘇ると言った方が分かり易いかしらね?? そして、この段階を『統べし者の凱旋』 と呼んでいるわ」



『我儘な貴婦人』 『女王の片鱗』 『女王の器』 そして、『統べし者の凱旋』



 マイの奴は一段階目をすっ飛ばして第四段階をいきなり発現させたのか??


 だとしたら良くぞ精神が破壊されずに自我を取り戻せたな……。


 師匠が話すには一段階目からでも精神的に多大な影響を与えるみたいだし。



「マイ。レイドが倒れて自暴自棄になった時。何か、声が聞こえませんでしたか??」


「む――?? 聞こえたのは確かだけど。内容そのものは覚えていないわね」



 カエデの声を受けて腕を組み、目を瞑って当時の様子を思い返す。



「カエデ。そこまで知っていたの??」



「はい、先生。一度だけ力を解放してその後、父に抑え付けられたのですが……。その声が徐々に強まっていった時期がありました。父や母に声の正体を教えられて興味が湧きまして……。発現しようかと思いましたが全力で両親に阻止されました」




 いやいや。


 興味本位で発現したら駄目でしょ。




「テスラも苦労するわ。貴女は確かに優秀だけど、まだその段階には到達していない。クソ狐の言う通り、器がもたないのよ」


「分かっています。ですから、声に耳を傾ける事はしませんでした」



「…………。そう言えば、マイちゃんの背中に生えた翼。龍の姿の時みたいな真っ赤じゃなかったよ」



 ルーが思い出す様に口を開く。



「血に残る情報から得られた力を解放した証拠じゃよ。もし、儂達が止めなければマイの自我は崩壊していたかもしれぬ」


「げぇ。でも、あの時は無我夢中だったからなぁ……」


「この力を悪戯に解放する事は止めなさい。幾ら命があっても足りやしないわ」


「エルザードや師匠も当然。この力を解放出来るんですよね??」



 前に立つ二人へ尋ねてみた。



「勿論じゃ。儂は……。第四段階なら大体五分程度なら自我を保てるぞ」


「私は十分程度かしらねぇ。それ以上は体が熱くなり過ぎて……おかしくなっちゃうの」



 この二人でも短い時間でしか解放出来ないのか。


 そりゃ、止められる訳だ。



「え――。ちょっと位ならいいじゃん――」



 ルーが明るい声で話す。



「まぁ、廃人になりたいのなら止めはせぬがな??」


「生きるより辛い人生を迎えたいの??」



 辛辣な言葉が明るいルーに影を落とす。



「うぅ。やっぱやめとこ……」



 その方が賢明ですよっと。


 過ぎたる力は身を滅ぼすだけですのでね。



「この第四段階は儂らでも数度しか発現した事は無い。強力な力には代償が付き物。大魔の力を宿すお前達は努々忘れる事のないように。分かったな??」



 鋭い視線がマイ達に向けられた。



「分かったわよ。常軌を逸した無茶は金輪際控えるわ」


 しない、じゃなくて控えるんだ。


「でもさぁ。あたし、まだその第一段階ですら発現した事ないんだけど??」


「私もだよ――!!」


「ユウ、ルー。あなた達はいつ発現してもおかしくない力を備えているわ。問題は……。きっかけよ」



「「きっかけ??」」



 二人が仲良く同時に首を傾げる。




「今回、マイが発現した第四段階の引き金は本人以外には分からない。けれど、何かの拍子で貴女達にもそれが訪れるかもしれないわ。大事なのは、今聞いた内容を留意しておく事よ。馬鹿をやるんじゃなくて相応の力で立ち塞がる敵に対抗しなさい。分を弁えない力は破滅へと繋がるの」




「ふぅん。分かったよ!! 後、カエデちゃん。りゅ――いって何??」


「物凄い決め顔で頷いていたから知っているかと思いましたが……。心に留めておく、気を付けるという意味ですよ」


「おぉっ!! 有難う!!」


「ど、どうも……」



 カエデさん、お疲れ様です。


 ニッコニコの笑みを浮かべている狼に頬擦りをされて若干困惑している藍色の髪の女性へ向かって、心の中で小さく労ってあげた。



「きっかけねぇ。なぁ、マイ。エルザードが話した、引き金になった事って覚えている??」



「全然?? 気が付いたら、何か終わっていたし」


「ありゃ、残念。参考までに聞いておこうと思ったんだけどなぁ。ま、あたしは弁えた力で慎ましく行動しようかね」


「ふざけた物をぶら下げて、何が慎ましく、よ……!!」



 マイがユウの山へぴしゃりと平手を打つ。



「いてっ。叩くなよなぁ」


「……」



 寝所に乾いた音が響くと同時にマイは叩いた己の手を怪訝な様子で見下ろしていた。


 肉を叩いた音とは思えない音が響きましたからね。驚いて当然でしょう。




「話は以上じゃ。今日は此処で休め」


「有難う御座います」



 師匠のお言葉を受けて一つ頭を下げた。


 さてと、此れにて御話会は終了っと。


 全員の布団を敷いてぐっすり眠って明日に備えましょうかね。



 布団が仕舞われている奥の襖へと向かって行くと。




「う、うむ。特にレイド。お主の体は傷つき、休養が必要じゃ。五月蠅い奴らに囲まれは休まるものも休まらないだろう。と、特別に儂の寝所に招いてやる!!」



 師匠が頬を朱に染めて所々声を上擦りながら俺の歩みを止めた。



「え?? 自分を、ですか??」


「そ、そうじゃ。安心せい。取って食う訳では無い。儂は思慮深く、空気が読める女じゃからな!!」



 いや、胸を張って言われましても。女性と二人で寝るのは少し抵抗がありますよ。



「良し、では行くとするかのぉ??」



 三本の尻尾の内。その一本の尻尾が右腕に絡みつくと。



「ばぁか。そんな事させる訳無いじゃない」



 エルザードの手が尻尾を邪険に払ってしまった。



「これ!! 何をするか!!」


「お為ごかし言ってんじゃないわよ。状況をいいように利用しちゃってさ。みっともないわねぇ」


「はぁ!? 儂がいつそんな事を申した!!」


「今言ったじゃない。なぁにが寝所に招いてやる――だ。レイドは私とあそこでゆっくり寝るのよ」



 平屋の寝所の別室。


 いつも俺が利用させて貰っている小部屋を指差した。



「そっちの方が休まらぬわ!!」


「方?? あ――。やっぱり如何わしい事考えてたんだぁ。やらし――」


「な!? き、貴様が卑猥な思考をしているからそう考えるのじゃ!!」


「だって淫魔ですもの。ねぇ?? レイドぉ」



 たわわに実った果実を右腕に当てて来るので。



「離れなさい」



 左手でそっと横着な淫魔の女王様の体を押し退けた。



「レイド!! 貴様という奴は……。女の色気に直ぐ惑わされおって……」


「い、いや。自分は何もしていませんが……」



 早くも不穏な空気が漂い始める。



「あんな泣き虫放っておいてさ。私と……。しようよ??」


「誰が泣き虫じゃあ!!!!」



 うおっ!! 不味い……!!


 エルザードの声に反応して師匠の尻尾が七本に増加。


 そして怒髪冠を衝くかの如く、天井へ向かって尻尾がピンっとそそり立った。



「やだぁ、こわぁい」



 どの口が言うんだ。



「ほれ、レイド。さっさと離れよ……」


「わ、分かりました!!!! エルザード、離れて!!」



 先程から押し退けてはいるが、一向に腕を放そうとしないお馬鹿さんへきつく言ってやる。



「や――よ。私だって一緒に寝たいんだもんっ」



 もんっ。じゃあない!!


 俺の命がかかっているんだよ!!



「なぁ。止めなくていいのか??」



 ユウが静かに話す。



「嫌よ、面倒くさい。それに……。直ぐ終わるから安心しなさい」



 お嬢さん!?


 不吉な台詞を吐かないでくれませんか!?



「離れぬか!! この脂肪め!!」


「五月蠅い!! クソ狐!!」



 この二人が本気でぶつかったらこの建物如吹き飛んでしまうのではないだろうか。


 そんな杞憂が首を擡げて胸の奥底からニョロニョロと這い出て来る。



「お、御二人共!! 落ち着いて下さい!!」


「何じゃ!! お主はどちらを選ぶのじゃ!!」


「え??」


「私よね――??」


「いや……」


「はぁ?? あのクソ狐を選ぶの??」



 言い淀むと容赦の無い視線が俺を捉える。


 この状況下で一体どうしろって言うんだよ……。



 師匠を選べば業炎が身を焼き尽くし。


 エルザードを選べば体中に穴が開く程殴られてしまう。


 どちらを選んでも助かる道は残されていないのです。



「いや、それは……」


「当然儂じゃろ!!」


「んぐむっ!?」



 複数の尻尾が体に、そして顔に絡みつき師匠の体の下へとグイグイ引き寄せられ。



「放せ!! この単細胞!!!!」


「んん――――!!!!」



 これを阻止しようとした淫魔の女王様が右腕を引っ張ってその力に対抗。



「放さんか!!」



 御二人共、俺の体は綱引きの縄じゃないです。


 そう言いたいのは山々だが……。


 モコモコの尻尾で口を塞がれてはどうする事も出来ず。


 只、この騒動が早く終わる事を願うしか道は残されていないのを静かに悟ってしまった。



「ふぁふけて!!」


「え?? 私の方に来てくれるの!? レイドったら……。もう」



 言って無い!!



「そんな訳あるか!! この腐れ外道め!!」


「誰が外道よ!! あんたこそ、腐った体付きしてんじゃない!!」


「何を!? この鍛え抜かれた美しい体に文句を付ける気か!?」



 あぁ、駄目だ。


 意識が朦朧として段々気持ち良くなって来た。


 この足元が覚束ない感覚……。


 ふふっ、一体いつになったらこの人達は手加減を覚えるのだろうね??


 不思議で仕方がありませんよ。



「美しい?? それは私みたいな女の装備を完璧に揃えた者の事を言うのよ!!」


「脂肪の塊がよく言うわ!! ブヨブヨの情けない体め!!」



 もう限界です……。


 頭の中が真っ白に染まる頃、朧に声が響く。


 本日の寝所は狐さんのモフモフの尻尾の中となりそうですねぇ……。



 妙に温かい毛と、馨しい花の香りに包まれながらそっと目を瞑り。襲い来る白い靄に意識を委ねた。







 ――――。




 全く……。


 あの人はどうして頑として断らないのでしょうかねぇ。



 彼には後でこっぴどく説教するとして、先ずは御二人に倫理観を説きましょうか。



「先生、イスハさん。そのくらいで結構ですよ??」


「何じゃ!! カエデ!!」


「そうよ。これは私とコイツの問題なの!!」



「御二人は私達を導く御方だと思います。ですが……。今何をしているのか。十分に理解していますか??」



「い、いや。これはだな……」


「そうよ。レイドを放さないコイツが悪いのよ」


「何じゃと!?」



 はぁ――……。


 毎度毎度同じ台詞を仰って……。良くも飽きませんね??



「レイドには休養が必要。そう仰られましたよね?? ですが、上に立つ者が傷ついた者を悪戯に痛めつけ、苦痛を与えるとは一体どういう了見でしょうか?? 詳しくお聞かせ下さい」



 深海の海水の冷たさよりも冷徹な視線を二人へと向けてあげる。



「じゃ、じゃから儂はゆっくり休んで貰おうと、寝所に誘ったのじゃが……」


「どうせ、休む事を言い訳にして。レイドを性的に食べようとしてたんでしょ。あ――やらしっ」


「そんな事する訳ないじゃろうが!!」


「じゃあナニしようとしていたのよ!!」



「…………、はぁ。話が堂々巡りですね?? それより、気絶していますよ??」


「ぬぁ!! しまった!!」


「あぁ……。私の旦那さん。可哀そうに……」



 尻尾の拘束から解かれ、ぐったりとしているレイドを先生が両手で抱く。



「腐った匂いが付くから放せ!!」



 それをイスハさんが強引に引き離して自分の胸に抱く。



「それはこっちの台詞よ!!」


「「ぐぬぬぬぬ……」」



 両者一歩も譲らぬ戦いが永遠と繰り広げられ、私の我慢強い堪忍袋の緒がプチっと音を立てて切れてしまった。



「イスハさん、先生。ちょっといいですか??」


「何じゃ!?」

「何!?」



 こうして似たような台詞を吐くあたり、やはり似た者同士ですよね。



「レイドは覚醒してから一日も経っていません。怪我は癒えましたが、まだ体力は回復していません。それなのに……」


「お、落ち着くのじゃ」


「そ、そうよ。悪いのは全部こいつなんだから」





「いいえ。御二人に原因があります。いいですか?? 私は御二人の事を尊敬し、目標として日々の鍛錬に身を置いています。その目標とする人物達が一人の男性を奪い合い、剰え傷付けて。愚行と申してもいいでしょう。どうしてそんな事をするのですか?? いえ、どうしてそんな事が出来るのでしょうか?? 私に分かりやすい様、論理的に簡潔に答えて下さい」




「「え、えぇっと……」」



 私が納得する答えを得るまではこの説教は終わりませんからね??


 しどろもどろになる御二人へ、鷹の目を越える圧を放つ鋭い視線を向け続けていた。








 ――――。




「おほぅ……。こっわ」



 大変こわぁい海竜ちゃんの冷たい声が寝所に響き渡る。


 あの二人も怒ったカエデの前では立ち場が無いわねぇ。



「う、うむ……」

「いや、だから。私が悪い訳じゃなくてね??」



 しどろもどろになる二人を尻目に温かい御風呂にでも入って疲れを取りましょうかね。


 数日後にはボケナスの任務が始まるんだし。



「さ、御風呂行こっと」



 後はカエデに任せておけば大丈夫でしょう。



「あ、マイちゃん待って――」


「相伴しよう」


「私はほとぼりが冷めてからレイド様と親密な時間を……」


「温泉浸かって、ゆっくりするかぁ」


「だ、大丈夫ですかね?? カエデさんに一任させても」



「鳥姉ちゃん。うちの海竜ちゃんを怒らせたらヤバイって事知らないの?? 安心して風呂に浸かればいいのよ!!」



 大変叩き易そうなお尻をピシャリと叩いて言ってやる。



「ひゃんっ!! ちょ、ちょっと!! 人のお尻を勝手に叩いたら駄目じゃないですかぁ!!」


「あはは!! ほら、行くわよ!!」



 肩身を窄めて襲い掛かる言葉の波に押し潰されそうな二人を尻目に私達は平屋を後にした。



 夜空に浮かぶ大きな月が呆れ顔で平屋の屋根を見下ろしている。


 呆れた表情を浮かべてしまうのは納得してしまうわね。私達の十倍以上生きている魔物が齢十六の子に説教されているのだから。



 大体……。


 優柔不断なのがいけないのよ。もっと男らしくパパっと断ればいいのにさ。


 だがまぁ、あの二人を前にしてそれは難しいと思うけども……。



 そんな下らない事よりも!! もう間も無く王都へと帰還するんだ。気持ちを切り替えよう!!


 新しい屋台が出ていないか確認して、馬鹿みたいに買い食いして、腹を膨らませてぇ……。


 陽性な感情が自然と湧き出てしまい顔の筋力がクニャクニャに曲がってしまいますよっと。



 そしてぇ!!


 ボケナスに御馳走を奢らせる事も忘れてはいけない。



 これから起こるであろう素敵な出来事を浮かれた気分で想像しながら、意気揚々と温泉へ向かっていると。



『止めてくださぁぁ――いっ!!!!』



 悲壮感に塗れた彼の叫び声が静かな夜の闇の中に響き渡った。


 恐らく、カエデが説教を切り上げて平屋を出た後にボケナスが目覚めたのだろうさ。


 監視者の目が光らない事を良い事にあの二人がまた暴れ出して……。



「ふふっ……」



 馬鹿なアイツの気絶した顔が多分に笑いを誘い、思わずクスっと笑い声を出してしまうと。



「「??」」



 私の小さな笑い声を受けたルーとユウが不思議そうに首を傾げた。




 短い期間に本当に沢山の事が起こったわね……。


 沢山鍛えて、沢山辛さを共感して、そして沢山絆が深まった。



 金銀財宝、名声、贅を尽くした御馳走、歴史に名を残す大発見。



 冒険の目的には様々な理由が含まれているが、こうして一杯の思い出を作っていくのが冒険の真の価値なのかも知れない。


 只、贅を尽くした御馳走だけは絶対捨てないけどね!!



 そして、私達の冒険は恐らくこれからもずぅぅっと続いて行く。


 願わくば。


 私の世界最高の頭の中に収まりきらない量の素敵な思い出が出来ますようにっと。


 美しい夜空を横切って行く流れ星へと向かい。私の切なる願いを籠めて煌びやかに光り輝く星の軌跡を見送ってあげた。





お疲れ様でした!!


この御話を以て、第二章完結となります!!


最後の一文を書き終えた時。体調不良もあってか、体の力がどっと抜けて床にへたり込んでしまいそのまま数分間何も無い床の上をぼぅっと眺めていました。



去年の六月頃から本日に至るまでほぼ休みなく投稿を続けて来ましたが、如何でしたでしょうか??


まだまだ至らぬ所もありますし、皆様の御心を温めるのには未熟であると自負していますがそれでも自分なりに精一杯やり遂げた事にある種の達成感を抱いております。


しかし。


これはまだ通過点なのです。


彼等の冒険は決して立ち止まる事無く続いて行きますので、筆者も。そして皆様も彼等の冒険を楽しんで頂ければ幸いです。




そして、次話からは第三章が開始されるのですが……。



此処まで良く書き上げたな?? 褒めてやろう!!


この未熟者めが。恥を晒すな!! 


等と、読者様の御声が光る画面の向こう側からひしひしと聞こえてきますが。



第三章執筆の励みとなりますので、ブックマーク並びに評価をして頂けないでしょうか??



筆者も皆様と同じ感情を持つ人間ですので、これを励みとして第三章執筆に臨みたいと考えています!!



それでは皆様、風邪を引かない様に温かい恰好で適度な睡眠と栄養を取って下さいね。


そして!! 第三章プロローグで再び御会い致しましょう!!




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