第百六十四話 準備運動はしっかりと、丁寧に その一
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それでは御覧下さい。
あたし達の友人であり空の女王でもあるアレクシアも満足気に頷く強風を身に纏ったマイが瞬き一つの間に里の奥へと姿を消す。
「はぁ……。やっぱマイちゃん速いなぁ」
彼女の小さな体が残して行った余波を受けると、ルーが目を細めて見送った。
マイ単騎の突撃自体の心配は無いんだけど、アイツがラミアの姉ちゃん達に横着をしないか。
別の意味の心配が湧いてしまうのが問題だよなぁ……。
まぁ、アイツも分別付く大人だし。きっと大丈夫だろうさ!!
蛇の女王様までの道の開拓はマイに任せ。こっちは、こっちで片付けなきゃいけない問題があるんだよ。
「速さは私達の中でも群を抜いていますからね。さて、私達も後れを取る訳にはいきません。皆さん、分かっていると思いますが力を解放して下さい」
そうそう……。
あたしの胸を馬鹿にしやがってぇ……。
しかも!! レイドの体を悪戯に傷付けた事に対してムカっ腹が収まらん!!
あたしは売られた喧嘩は絶対買う質なんだよ!!
「了解!! 派手にブチかますぜっ!!!!」
カエデの一言を受け、あたし達は力を解放した。
さぁ、ここからはタイマンだ!!
女同士!! 正々堂々ド派手な喧嘩にしようや!!!!
「行くぞ!! 南瓜!!」
「掛かってこいやぁ!! 微乳蛇女ぁぁああ!!」
水色があたしの頭蓋目掛けて重厚な剣を振り下ろす。
襲い掛かる凶器に対し。
「ふんがっ!!!!」
鉄よりも硬い鋼鉄を拳に纏い、剛腕で斬撃を受け止めてやった。
ふぅむ……。
まぁまぁな膂力って感じか。
マイやレイド、そしてリューヴの一撃に比べれば欠伸が出ちまうよ!!
「げっ!! 何よ、それ!!」
あたしの剛拳を見つめて目を丸くしている。
「魔法だよ、魔法。あたしなりに作った物さ!! 要は、使い所が大事なんだよ!!」
放出系の魔法はからっきしの代わりに、付与魔法は得意なのさっ!!
「おらぁっ!!」
蛇の体に拳を打ち込み、みっちりと体内に詰まった筋肉の繊維を捻じ曲げてやった。
「ぐぇっ!!」
あたしの一撃を貰うと堪らず後退、苦悶の表情を浮かべる。
「こ、この馬鹿力め!!」
「そりゃどうも。どうした?? さっきまでの威勢は??」
「あんたは単細胞っぽいし……」
ひでぇなあ。
人は見掛けで判断しちゃ駄目なんだぞ??
「距離を置けば勝てる!! 食らいなさい!!」
どう考えても手が届きそうにない位置へと下がり、これ見よがしに掲げた蛇の尾を一気苛烈に叩き込んで来た。
う――む。大変重そうな一撃だ。
だがな?? あたしの剛力を舐めて貰っちゃあ困るな!!
「ふんぬっ!!」
腕を交差させ、蛇の尾を受け止めてやると心地良い衝撃が腕を伝って肩の奥へと突き抜けて行った。
予想以上の重さだったが、想定の範囲を超える事は無かったな。
「う、嘘でしょ!? 蛇の尾の一撃を生身で受け止めるなんて……」
「はは――ん。隙、み――つけっ!!」
あたしの頑丈さに驚愕の表情を浮かべている一瞬の隙を突き。
見た目よりも随分と重たい尾をえっこらよっこらと掴んで手元へ引き寄せ。
「どっせぇぇいっ!!」
「わぁぁああああっ!!」
地面へ向かって背負い投げの要領で上半身の部分を叩きつけてやると、その衝撃によって硬い地面に亀裂が入った。
おぉっ、ちょっとだけ筋肉が増えたのかな??
手加減してぶん投げたつもりなのにヒビが入っちゃったし。
「ぐぐ……」
「へぇ――。まだ立つんだ」
大変痛そうに腫れた横顔を抑えつつ、指先一つでも触れたら倒れてしまいそうな。弱々しい所作で立ち上がってあたしを睨みつける。
体は事切れているが、闘志は絶えていないな……。
「ちょ、調子に……。乗るなぁぁああ!!!!」
そら来た!!
最後に残った気力、体力を振り絞り。刺し違える覚悟で鋭く剣の切っ先を突き出して来た!!
残念だけど、想定済みだ!!
水色の切っ先があたしの体に届くよりも速く、足元でピクピクと痙攣している蛇の尾を掴み上げ。
「どぉぉおおりゃぁぁああああ!!!!」
力の限りブン回してやった。
「キャァァアアアアッ!!!!」
遠心力で上半身と蛇の体が一本の棒へ変化。
グルグルと回り続ける景色の中、一番硬そうな家屋へ標的を定めると。
「地平線の彼方までぇ……。飛んでけやぁぁああ!!!!」
腕力、脚力、握力。
全ての筋線維を動員して回転を加速し、容易く気絶出来る威力に成長させた物体を標的目掛けて放してやった。
「わああああああぁぁぁぁ……。ッ!?!?」
水色の体は重力の法則に逆らい平行に家屋へと吹き飛んで行く。
「おほぉ――!! 飛んだねぇ!!」
回転を止め、彼女の体が辿った軌跡を見つめると……。
いや、正確には水色が通過した穴だな。
あたしの前から鬱陶しい姿は消え失せ、数軒先の家屋から土埃が宙に舞っていた。
すっげぇ勢いで突き抜けて行ったんだなぁ。
ちょっと勢いを付けすぎちゃったけど、まぁ死んではいないだろうさ!!
よっしゃ!! こっちは終わり!!
手に付いた埃をパパっと払い、一仕事終えた気持ちの良い汗を手の甲で拭ってやった。
――――。
さて、ユウも始めた事だし。
私も始めるか。
「目付きの悪い灰色さん?? 覚悟は出来ていますか??」
黒髪が腰から短剣を二刀抜刀し、舌舐めずりをする。
卑猥で目障りな舌だ。
「覚悟?? 何のだ??」
「死の覚悟を……」
「死……か。そうだな、それ相応の覚悟はいつもしている」
戦場に身を置く戦士として、当然持つべき心得だ。
「へぇ!! その姿勢は見倣いたい物ですね!!」
「死の覚悟。貴様も出来ているんだろうな??」
「いいえ?? だって、私が負ける筈はありませんから」
余裕な態度で構え、私を虚仮にしながら見下ろす。
ふぅ、仕方が無い……。
「では、上には上がいる事を貴様に分からせてやる」
「貴女に出来るのですか??」
「能書きはもう聞き飽きた。さっさと掛かって来い」
重心を落とし、体勢を整えて言ってやる。
「ふふ。私相手に愚かにも啖呵を切った事を……」
さぁっ、狩りの時間だ!!
「後悔しながら死ね!!!!」
短剣の切っ先を私の喉元に突き出して来る。
急所を狙った一撃。
成程、言うだけあってそれなりに腕もあるようだ。
だが……。私に向けるには少し速さが足りないな。
左手で短剣の軌道を逸らし。
「ふっ!!」
隙だらけの右の脇腹に剛拳を突き出してやった。
「がっ!! かはっ……。な、中々やりますね??」
私の一撃を真面に食らい、踏鞴を踏んでそう話す。
「ほう。今の攻撃を食らってまだ立つのか。見上げた根性だな」
根性だけは一人前でも腕前が追い付かなければ意味が無いぞ。
たった一撃で既にコイツの体力は削ぎ落ち、私から後数撃受けたのなら絶命に至るであろう。
意外と難しいものだな。
手加減というものは……。
「その見下した目は何よ」
「はは……。何だ、気付いたのか?? 私とお前の差を」
「こ、この……。クソ餓鬼がぁぁああああ!!」
丁寧な言葉から一転、我を忘れて汚い言葉が口から飛び出し。私に向かって愚直な突撃を開始した。
まだ私の攻撃が尾を引いているのか、速さにもそして膂力にも陰りが見える。
「当たれぇ!! 当たりなさいよ!!」
四方八方から短剣の鋭い斬撃と、尻尾の猛烈な攻撃が強襲。
しかし、今の彼女の力では私に触れる事さえ出来ないだろう。
手で捌き、屈み、体を反り、全ての攻撃を丁寧に躱してやった。
後僅かで触れられるのに触れられない。
コイツは空気を相手にしているように感じるだろうな。
「はぁ……はぁ……。な、なんだってのよ……」
夏の豪雨の様な攻撃が止むと、上下に激しく肩を揺らしながら呼吸を続け。
憎悪に満ちた目で私の瞳を捉えた。
だが、その憎悪の炎も私との差を掴み取ったのなら鎮火してしまうであろう。
「……、止めだ。貴様は狩るに値しない。失せろ、見逃してやる」
これ以上の戦闘は無意味と判断。
主が待つ先へと体全てを向けた。
「こ、このぉおおおぉおぉ!! 舐め腐りやがってぇぇええ!!!!」
私の背後から狂気が向かって来る。
その殺気は見捨ておけんな。主にまで及ぶかもしれん。
「ふんっ!!!!」
背に襲い掛かる切っ先を宙へ飛んで躱し、黒髪の顎先へ向かって蹴りを放つ。
「あはは!! 当たらないわよ!!」
「そうか……」
華麗に着地を決め、改めて黒髪と対峙。
「背後からの攻撃、良く避けたじゃない!!」
私の肉に鋭い切っ先を穿とうと凶器を上空高く掲げたのだが。
「戦いはまだまだこれか……。は、はれ??」
黒髪の上半身の力が抜け落ち、筋肉の塊である蛇の部分でも支えきれないのか。
地面の上を這いずる蛇の様に力無く倒れ込んだ。
「何だ。気付かなかったのか?? 顎先へ薄皮一枚掠る様に蹴りを放ってやったんだ」
「こ、これ位……!! くそ……クソぉぉ!!!!」
立とうとするが体に力が入らない。
そして、私との実力差。
体の中から湧き起こる憤りを力の限り叫ぶ。
「そのまま寝ていろ。殺しはしない」
「うぇっ……。グスッ……。負けていないのよぉ。私はぁ……」
「泣く程悔しいのなら、鍛えろ。私がいつでも相手になってやる」
「ちくしょう……。ちくしょうぉぉぉお!!」
ふぅっ。準備運動としては十分だったな。
主、此処を片付けたら直ぐに駆けつけるからもう暫く耐えてくれ。
戦意を喪失して泣きじゃくり、叫喚する黒髪から視線を切って皆へ視線を向けた。
――――。
さて、どうやってこのあばずれさんを後悔させてやりましょうか??
「でやあぁあっ!!」
ユウは既に始めていますし、私もさっさと片付けてレイド様の下へ急ぎたいのですがねぇ。
カエデは余り酷い仕打ちをするなと言っていましたが、最愛の方を傷付けた落とし前はしっかりつけて貰わないとこちらの気が収まりません。
レイド様へ私のふかぁい愛の言葉を届けたい幸せな気持ち。
そして。
「ふふ――ん。どうやって倒そうかな――」
この愚か者を徹底的に成敗したい気持ちが心の中でせめぎ合い、複雑に絡み合うと言い表しようない感情へと変化してしまった。
困りましたわねぇ……。
レイド様は余り暴力がお好きではありませんしぃ。アオイのちょっとした火遊びも咎めるかも知れません。
私はレイド様の事を想って成敗を……。
…………。
はっ!!!!
そ、そうですわ!!
私が他の誰よりも親切丁寧に厭らしい蛇共を無力化すれば……。
『アオイ!! 凄いじゃないか!! 他の誰よりもラミアの人達を傷付けずに倒すなんて!!』
レイド様が御褒美としてヨシヨシをしてくれる筈っ!!
そ、それ処か。も、もう一歩先に進まれるかも……。
『い、いえ。私は自分に与えられた責務を全う……。えっ??』
『こらっ。悪い口だな?? 謙遜するなって、いつも言っているだろ??』
『だ、駄目ですわっ。光り輝くお星様達が見ています……』
『別に構わないさっ。夜空に浮かぶ星の女神様達へ俺達の愛を見せつけてやろう……』
アオイの腰の低い御口をレイド様の熱き魂が籠った唇で閉ざしてくれるのですわ!!
『さ、アオイ。着物を脱いで??』
『は、はいっ!!!!』
私とレイド様は漆黒の夜空に輝く星に祝福されつつ、新たなる生を次の時代へ紡ぐのですわねぇ……。
あぁ、何んと幸せな……。
「――――。ねぇ?? そろそろ始めないの??」
ちぃっ、あばずれめ。
折――角っ!! レイド様と初秋らしからぬ熱い一夜の出来事を思い描いていましたのに!!
「申し訳ありません。ちょっと考え事をしていました」
此処から無事に帰るとレイド様はきっとクタクタになって眠られますので、さり気なくお布団へお邪魔してぇ。彼の香りとイケナイ感情に包まれながら眠りに就けば……。
きっと素晴らしい夢が見られますわっ!!
素晴らしい一夜の為にアオイは粉骨砕身、この身を捧げる覚悟で御座います。
「ふぅん。随分と余裕だね??」
「余裕……。そうですわね、貴女程度の相手なら左手一本で制す事も出来ますわよ??」
良く晴れた空へ向かい、嫋やかな左手を翳して言ってやる。
「あはは!! 面白い事言うね!!」
冗談では無いのですが……。
どこぞの卑しい赤と同じで頭の中は空っぽの様ですわね。
「でも、これを見てもそんな余裕出来るかなぁ??」
背負っていた幅の広い切っ先の矛をこれ見よがしに掲げると鋭い刃面が太陽の光を反射する。
「はぁ……。いきなり切り札、奥の手を見せるなど真に愚かですわねぇ」
質量を持たせた溜息を吐き出しながら愚か者へ言ってやった。
「へぇ。じゃあ、受けてみなよ!!」
天へ掲げた矛の切っ先を私の頭蓋目掛けて鋭い速度で振り下ろして来る。
威力、そして確実に相手を殺めようとする覚悟だけは認めてあげましょう。
しかし、軌道が単純過ぎますわ。もう少し工夫をしたら如何です??
相手の殺意が籠った攻撃を半身の姿勢で躱してやった。
「やるね!! まだまだ行くよ!!」
「どうぞ。ご自由に……」
人の背丈と同程度の矛を払い、突き、振り上げ、打ち下ろす。
切っ先の広い矛ですが大きい故軌道の修正も困難且、単調過ぎる攻撃手段。
全ての攻撃が手に取る様に分かりますわ。
「あはは!! 為す術が無いのかな!?」
激しい攻撃を続けつつ、余裕の態度で攻撃を華麗に躱す私へ話し掛けて来る。
「そうですわねぇ……。後、三回攻撃したら。ぞっとする光景があなたを待っていますよ??」
「三回?? そうやって、私を騙そうとしても無駄だよ!!」
腹部に向けて矛を突く。
鋭い一閃が風を切り裂き体の真横を通過すると甲高い音が鼓膜を刺激した。
「はい、一回……」
「五月蠅い!!」
私の声を振り払う様に、袈裟切りの要領で肩口に向かって斬撃が飛んで来る。
これは、良い攻撃ですわ。及第点を差し上げましょうか。
「二回……」
半歩下がり、ぎりぎり届かない位置に身を置く。
「ひょろひょろ避けて!! ずあぁああぁ!!」
体を回転させて右腕一本で矛を持ち。
腕と矛を限界まで伸ばした広範囲の薙ぎ払いですか。
見た目は派手ですが、私の姿を視線から外すのは余りお薦め致しませんよ??
「三回ですわ…………」
「あはははは!! 何――っ?? 全然怖くないんだけどぉ??」
蛇の胴体で上半身を持ち上げ、醜い口元で嘲笑うと私を見下ろした。
「あら?? そうですか?? では、私は降参いたします。どうぞ、その矛で遠慮無く切り捨てて下さいまし」
お道化てやり、あばずれの目の前に無防備で立ってやった。
「じゃあ遠慮無く、体を切り裂いてやるよぉ!!」
矛を振り上げようと力を籠めるが、彼女の体はそこから一寸たりとも動く気配は見られなかった。
「あ、あれ?? 動かない?? 何で??」
「まだ気が付かないのですか?? 愚かなのも大概にして下さい……」
「うぐぐぐ……!! な、何よ!! これ!!」
「漸く気付かれました??」
矛、体、腕、胴体。
全ての箇所に絡みつく細き糸を見付け、驚愕の表情を浮かべていた。
「それは私が放った糸です。あなたが阿保面で攻撃している間に接着しておいたのですよ」
「そ、そんな!! いつの間に……」
「では……。先程説明した通り、ぞっとする光景をお見せ致しましょう」
静かに呼吸を整え矮小な魔力を開放。
身動き一つ取れない彼女の足元へ蜘蛛の巣状の光り輝く魔法陣を出現させてやった。
「う、嘘!? な、何よコレェ!!!!」
光り輝く美しい蜘蛛の巣を見下ろすと、青き空よりも青ざめた顔へと変化。
「ちょ、ちょっと!! あんた達!! 私を助けなさい!!」
「「「は、はいっ!!」」」
通りの脇で此方の様子をずぅっと窺っていた里の者達へ救助を求めた。
「やぁぁああっ!!」
一人は私の背を穿とうと鋭い剣を突き出し。
「今助けますからね!!」
残りの二名はあばずれの救助へ。
全く……。
無警戒のまま私の攻撃範囲に接近するなんて……。
教育がなっていませんわねぇ。
「よ、よし!! このまま進めば……。きゃ、キャア!! こ、こんな所にも糸が!?」
「馬鹿!! もっと良く見て近付きなさいよ!!」
「こ、このぉっ!! 後少しで背中に届きそうなのにぃ!!」
あばずれを餌にして……。
クスッ、本当に美味しそうな餌役になってくれましたわぁ。
さぁ、終演といきましょうか!!
魔力を開放し、地面の魔法陣の範囲を広げてやると。
「「「っ!?!?」」」
私の周囲に存在する四名の蛇女達の顔が醜く歪む。
良い表情を浮かべますわねぇ。
「どうです?? 動けないまま貴女達は私の魔法で……」
「や、やめて!! た、助けてよ!!」
あばずれ蛇女が口から汚らしい泡を吹き出し、私に命乞いをする。
「だから言ったでしょ?? ぞっとするって……」
「い、いや……。嫌ぁぁああっ!!」
食らいなさい……。
「雷光金縛りっ!!!!」
「「「ギャァアアアアアア!!」」」
魔法陣から放たれた雷が彼女の体を包み、無慈悲に体を焦がして行く。
痛みと熱さから逃れる為に暴れ回る様はまるで子供が扱う操り人形の様に映りますわ。
溜まりに溜まった憤りを発散する為に今暫くこの下手糞な人形劇を鑑賞していたいのですが……。
「ゆるりとお眠り下さいませ」
魔力の開放を止め、束の間の人形劇の幕を下ろしてやった。
「ア……。カ……」
蛇女達が黒焦げた顔の口から虫も驚く程小さな声を上げるとその場にぐしゃりと倒れてしまう。
「全く。遊び相手にもなりませんでしたわ」
これでレイド様のヨシヨシの権利、並びに添い寝の権利は貰ったも当然っ!!
うふふっ、レイド様っ。
今宵のアオイは猛っていますのでぇ、少しばかりの横着は見逃して下さいましっ。
「あぁ、もぅっ。レイド様は恥ずかしがり屋さんなのですからぁ……」
レイド様が猛烈に顔を真っ赤に染めて私から逃れて行く様を想像すると、捕食者のイケナイ感情が湧いてしまいますぅ。
勝利が確定付けられた戦場でぽぅっと染まった両頬へ両手を添え、嫌々と顔を振りながら熱を冷まし続けていた。
最後まで御覧頂き有難うございました。
本日の夕食は近くのラーメン店へ赴き、取捨選択の末。味噌ラーメンセットを選択したのですが……。
調子に乗って替え玉を注文した所為か、腹が重過ぎて中々編集作業が進みませんでした。
皆様も食べ過ぎには注意して下さいね。
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第二章の完結へ向けて嬉しい励みとなりました!!
それでは皆様、お休みなさいませ。




