第百三十四話 体調不良と仕事は天秤にかけられない
お疲れ様です。
本日の投稿なります。
ごゆるりと御覧下さい。
いつもの随分と元気な声達が聞こえなくなると、シンっと静まり返った部屋の中で椅子の背もたれに鈍重な体を預け。染みの跡が目立つ天井を仰ぎ見て吐息を漏らす。
「ふぅ――……。カエデもさ、もう少し優しく言ってくれても良いのに」
質量を持った空気が双肩に圧し掛かり、体全体が酷く鈍く感じてしまう。
顔の皮膚は熱を帯び、鼻腔の機能は既に完全停止。呼吸は主に口から頼っていた。
世間一般の方々からこの状態を何んと呼ぶかと問えば、ほぼ全員が口を揃えてこう言うでしょうね。
『風邪』 であると。
思い出すのも困難になる前に罹患したけども……。こんなに辛い症状だっけ??
喉の奥を刺す痛み、ホカホカする顔、無意識の内に垂れて来る鼻水。
そのどれもが仕事に支障をきたしてしまうので可能であれば自分では無い他人様に乗り移って頂けたら光栄で御座います。
思い返せば風邪を罹患してしまう節が幾つもある。
先ずは体力面ですね。
長きに亘る移動、激しい戦闘、そして食事担当。
よくもまぁ倒れないなと、思わず自画自賛してしまう程に訓練所を出てからは激務の日々だ。
お次は休みの少なさかな??
先日頂いた休暇もあの訳の分からん筍の所為でおじゃんになっちゃったし。
そして、何より。
喧しい龍を中心とした方々が休もうにも休ませてくれないから、満足のいく体力回復が望めず。こうして体に限界の合図が現れたのだろうさ。
「――――。はぁ、ちょっと休憩」
机の上に乱雑に置かれているイル教関連の本を適当に開き、大変だらしない恰好で読み始めた。
明日は行政特区レンクィストにあるイル教本部に足を運ぶのだが。
どうせならその成り立ちについて少しでも知っておこうと。大変真面目な性格が顔を覗かせてしまい、宿屋の待合室に置かれていた本を部屋に持ち込んだ次第であります。
こんな辺鄙な宿屋にも宗教関連の本を置いて、随分と勧誘熱心ですよね……。
営利団体は文字通り、営利を求めて行動する。対し、宗教団体は信教によって成り立つ。
これが俺の陳腐な考えですけども……。
貨幣経済が円熟した今日。宗教団体は営利性を見出せないので恐らく、熱心な信者様のお布施によって団体の規模と活動を維持しているのでしょう。
俺達パルチザンの最大の出資者であられるイル教はそれ相応のお布施を頂き、政治に関与しているのだ。
一宗教団体が行政、並びに軍部に介入しても宜しいのでしょうか??
甚だ疑問が残りますよっと……。
しがない末端の兵が国の中枢の心配をしても仕方がない。
早速読みましょうかね。
『イル教の始まりは今から約三百年前に遡ります。
提唱者ボアナ=フロポルスは、人間と魔物。両者はお互いが住み易いように分け隔てるべきだと提唱。
そして、人は魔物と交わる事無く。穢れ無き世界で生きるべきだと強く強調しました。
当初は信者の数も少なく、彼の地道な布教活動によりイル教の存在はここアイリス大陸内で広く知られ徐々にですが入信者を増やしていきました。
近年、醜い獣共の活動が活発になり入信者は増加。現在でも掲げている魔物との乖離という形へと、時代を追う毎に変化していったのです。』
はぁん。
オークの活動が活発になって爆発的に信者が増えたのか。まるでそれを予見していたみたいだな。
………………。
予見??
そんな事可能なのか??
自分で考えた言葉に引っ掛かる思いがした。
予知能力者じゃあるまいし、ましてや普通の人間がそんな事出来る訳が無い。
きっと偶然が重なった結果であろう。
適当に続きを読み進めていくが、これといって気になる部分は無かった。
「二冊目といきますか」
小さく呟き、白の表紙の本へ手を伸ばした。
文字の列を読み進めていると、あまり見ていて気持ちが良くない挿絵が目に飛び込んできた。
『多数の魔物と醜い豚の死体の山に人々が武器を掲げ、勝利の雄叫びを上げている一枚絵』
死体は血を流し体は無残に切り裂かれ、目からは敗北の象徴足る赤い血が流れている。
恐らく、誰かに描かせたのだろうが見ていて無性に腹が立って来た。
全く……。互いに歩み寄ろうとは考えないのかね。
戦いは、どちらにも正義があるから起こるのかもしれない。人には人の、そして魔物も然り。
幸い、人と魔物の間には大きな戦いは起こっていない。大昔は互いに手を取り、生活していたと聞く。
魔女の誕生によりそれが破壊され両者の間には埋めようの無い深い溝が出来てしまった。
俺は出来ればこの溝を無くして以前の様に互いに手を取り合って生活する。そんな平和な世界になればと考えている。
マイ達と共に行動を続けている内に、そして彼女達の温かい心を感じている内にその想いは確信に変わった。
その為には先ず魔女を倒さなきゃいけないよなぁ。
世界を滅茶苦茶にした元凶を倒せば、言葉が通じるようになるかもしれない。元々俺達パルチザンは魔女討伐の為に結成され、厳しい訓練に身を置き目的達成の為に汗を流しているのだ。
果たして……。人間だけで倒せるのであろうか??
恐らくそれは不可能だ。例えこの大陸に住む人間が一丸となって立ち向かってもオーク共には勝てないだろう。
魔物と協力し、互いに力を合わせなければ勝利の栄光は掴めない。
しかし、現状は互いを拒絶し合う形になってしまっている。
何か、歩み寄るきっかけがあればいいのだが……。
机上の空論を考えていると、気が付けば二冊目を読み終えていた。
ん――。一枚絵以外で特に気になる箇所は無かったな。
「次にいきますか」
次なる本を開き、目次を何気なく見つめていると気になる文字が視界に入り込んだ。
穏健派と旧体制派??
聞いた事が無いな。
早速、目的の箇所まで本を捲って行く。
『穏健派と旧体制派。
穏健派は今から凡そ三十年程前に新たな考えとして提唱者コールトによって唱えられました。魔物並びにオークを排除する考えを緩和、共存を目指す新たな道を模索すべきだと彼は説きました。
異端な考えの為、この宗派はイル教内でも少数でしたが当時の幹部マリーチア氏とコールト氏は手を組み確実に信者を増やしていきました。
しかし、コールト氏並びにマリーチア氏が相次いで亡くなり。彼等は志半ばでこの世を去りました。現在ではこの考えは廃れ旧体制派の方針で活動を行っています。
旧体制派とは創始者ボアナ=フロポルスの考えを尊重し、時代に合わせた考えを考察し広く布教活動を行う一派の事です。
多くの信者がこの宗派に入信して、現在アイリス大陸でもっとも信者数が多い宗派にまで成長しました。
基本方針の人ならざる者との乖離はそのままに、これをどう捉え。時代に合わせた考えを導き出す事に焦点が当てられています。』
おいおい。
嘘だろ?? このマリーチアって確か、シエルさんの苗字だよな??
恐らく、端的にしか書かれていないが旧体制派と何かがあった事は明白だ。元々、穏健派と旧体制派との考えは真逆。
布教活動を行う上でこの宗派は旧体制派にとって障害でしかない。同時に二つの宗派に属するのは困難を極めるからな。
では、どうする??
一番手っ取り早いのは宗派、宗教の分立であろう。イル教では無く、全く新しい宗教として立ち上げるのが早い。
しかし、彼等はそれをしなかった。いや、出来なかったのかもしれない。
資金面、旧体制派との確執、信者数。
様々な問題に直面している内に両名はこの世を去った。
……、死因は何だろう??
病気か、若しくは……。他殺か。
彼等がいなくなれば、旧体制には利益しか生まれない。新しい宗派を潰せばその信者を再び取り込めるし、それに障害が無くなり布教活動もしやすくなる。
邪魔になったから殺されたのか??
動機としては十分かもしれないが……。如何せん、これも証拠が無い。
所詮は推測の域を出ないのだ。
しかし、考え方としては合っているであろう。
イル教とは近い将来敵対する可能性もあるし。どんな些細な事でも情報は入手しておきたい。
現在の皇聖、シエルさんに直接聞いた方が手っ取り早いな。明日伺ってみよう。
問題はどうやって問う??
あなたのご両親は殺害されたのですか?? 違うな。これじゃ直接的過ぎる。
ご両親について幾つか質問がありまして……。これが無難だろう。
切り出し方は良いとして、核心に迫る質問を用意しなければ。
あぁ……。
駄目だ、これ以上は頭が回らん。
「疲れたぁ……」
物凄く体が重い……。まるで自分の体じゃないみたいだ。
机の端に適当に本を置くと、海岸に打ち上げられ草臥れ果てたワカメの様に。机に上半身を預け鉛の様に重たい瞼を閉じた。
――――。
それからどれ位経過したであろう。
俺では無い誰かが左肩を優しく揺れ動かす振動が意識を現実の下へと戻した。
「…………、レイド。起きて下さい」
「――――。カエデ??」
鉛から鉄の重さに変化した瞼を開けるとそこには、大変心配そうな面持ちで俺を見下ろしている分隊長殿の顔があった。
窓から射す茜色を受けたその顔は例えどんな顔を浮かべていても絵になるだろうさ。
「物凄く体調が悪そうですね。起きれますか??」
「あ、あぁ。寝ちゃってたみたいだね」
いつもなら腕の力に頼らなくても背と腹の力で起き上がれるってのに……。
机の上に二本の腕を突きたて、それを支えに姿勢を正して彼女の顔を見上げた。
「よいしょっと……。ふぅ、ちょっと眠ったら楽になったよ」
勿論、これは嘘です。
仕事は後二割程度残っているし。こうでも言わないと彼女の恐ろしい圧によって仕事が強制終了させられる恐れがあるからね。
「熱を測りますので動かないでくださいね??」
「あ、うん……」
カエデが此方の前髪をサっと退かし、小さな右手を額に当ててくれた。
おぉ……。
ひんやりして気持ち良い。
「凄い熱じゃないですか。よくぞこの状態で仕事が出来ましたね??」
藍色の瞳がきゅっと開かれてしまう。
「自分の状態は自分が一番理解しているから。それより、他の皆は……」
何処に行ったのかと問う前に。
部屋の扉がけたたましく開かれてしまったので最後まで言葉を放つ必要は無かった。
もう少し静かに扉を開けられないのかな?? あの人達は。
「ボケナス!! これ!! 食え!!」
「レイド!! 大丈夫か!?」
朱の髪の女性と深緑の髪の女性が……。えぇっと……。
食欲不振の自分にあれを食えと言うのかね??
二つの飯盒一杯に入った御粥を此方へと持参し。
「レイド――!! 今から葱を切って入れてあげるからね!!」
「主。病を治す為には先ず栄養だ」
灰色の髪の女性達は俺の荷物の中から包丁を取り出し、緑が目に嬉しい葱と生姜を刻み始め。
「レイド様ぁぁああああ!!!! 私がレイド様の病を完治させてみせますわぁ!!」
白き髪の女性が黒き甲殻を纏う蜘蛛へ変化すると同時、有無を言わさずに顔面へへばり付いてしまった。
「有難う、ファオイ」
「い、いえ!! 私がレイド様の御熱を奪ってみせますわ!! ささっ、熱き吐息を私のお腹へ注いで下さいましっ」
細かい毛が口の中に入る恐れがありますので、それはご遠慮願おうかな。
「そんな物口に含んだら腹壊すぞ。ほら!! レイド!! 体に良い粥だぞ!!」
「ちょっと!? ユウ!! 放しなさい!!」
視界を覆った黒一色の世界に明かりが戻って来ると、ニッコニコの明るい太陽が現れた。
程よく焼けた肌に似合う笑みに体調不良も幾らか楽になった気がしますね。
「余り食欲は無いけど。一杯程度なら食べられそうかな」
ユウから木製のお椀と匙を受け取り、中身を確認。
これは……。おぉ、鶏粥か。
鶏ガラで出汁を取り、コトコトと煮込んだ柔らかい御米と一口大の鶏肉が入っている。
白一色かと思いきや。
「どうどう!? 頑張って刻んでみたんだけど!!」
「包丁使いは不慣れだ。そこは目を瞑って欲しい」
細かく刻まれた葱の緑が白を際立たせ、横たわっていた食欲さんの肩を揺らし。心地良い睡眠を阻害された彼はヤレヤレ。
そんな感じで徐に立ち上がってくれた。
「有難うね、皆。それじゃ、頂きますっ」
食欲をググっと刺激する蒸気が放たれているお椀の中から匙で御米と鶏肉を掬い、大切に口へと運んであげた。
「――――。うん、美味しい」
味覚は鼻づまりの所為か、殆ど機能していないけども。俺の為に態々用意してくれたその真心が舌と心を潤してくれる。
いつもこうやって優しければ素直に尊敬するってのに。
「それを食したらこれを飲んで下さい」
「何それ??」
カエデが懐から取り出した包み紙を見て話す。
「滋養強壮の薬草を粉状にした薬です。苦みはありますが効果はありますよ」
「何から何まで悪いね」
「いえ。それでは引き続き食事を楽しんで下さい」
柔らかい笑みをふっと浮かべると、定位置と化した壁際のベッドへと戻って行ってしまった。
多分、だけど。
これを全部食べたら仕事を続けても良いと、言葉無くとも許可して頂けたんだよね??
「レイド!! お代わりはどうだっ??」
「あ、いや。まだ食べている最中だから……」
食べかけのお椀の中に飯盒から鶏粥を入れようとするユウの手を止め。
「ユウちゃんは焦り過ぎ――。まだ食べている最中だもんねっ??」
「御免なさい。ちょっとだけ獣臭いから退こうか」
「わっ!? も――。心配してあげてるんだよ??」
膝の上に乗せ、ハァハァと獣臭を吹きかけて来る横着な獣の両足を退かし。
「レイド様?? これは一体……」
「あぁ、明日。行政特区レンクィストって街にあるイル教の本部へ向かう事になったんだ。それでちょいと向こうの成り立ちって奴を勉強していたんだよ」
蜘蛛の節足を器用に動かし、本をちょいちょいと突く蜘蛛さんのぷっくりと膨らんだお腹を掴んで。
「丁度良いや、明日からの予定を話すよ」
ベッドの上で丸まって休むリューヴへ向かって美しい放物線を描いて投擲してあげた。
蜘蛛の前足で借り物の本を傷付ける訳にはいきませんからっ。
「はぁ――んっ。初秋の夕暮れに素敵な曲線を描きますわぁ――」
「アオイ。毛が痛いぞ」
「んふふ。御免あそばせっ」
「明日は朝一番で今も話した通り、レンクィストへと向かう。向こうでどれだけの時間が掛るか分からないから一日自由行動にしてくれ」
「言われなくても自由に過ごすから良いんだけどさ。その聞き慣れない街はどんな所なのよ??」
ユウから一つの飯盒をさり気無く奪い、その中へ頭丸ごと突っ込んでいた龍の頭がニュッと出て来て此方を見つめる。
御口の周り、大変な事になっていますよ??
「大富豪、貴族、政治家、そして王族。この大陸に住む重要人物だけに住む事が許された街だよ」
「つまり、一般庶民は入場禁止ですね」
カエデが壁に背を預け、図書館から拝借した本を読みながら話す。
「その通り。その街にあるイル教本部のシエル皇聖から入場許可証を使用して街に入り。此度の任務内容の説明をして帰還するのが与えられた任務になるのかな??」
「あんたまさかとは思うけど……」
「安心しろって。魔物の存在は一切触れないし、ほら。此処に帰って来る時に相談しただろ?? その通りに話すよ」
アオイの里から帰る道中。
『レイド。今回の任務の報告について話がある』
カエデを中心として、前回の任務内容の報告について皆と相談したのだ。
十四名もの戦死者を出した地からたった一人で帰還した事に違和感を覚える人も居るであろう。彼女はその点を懸念していた。
『レイドは戦闘を行わず。蜘蛛の方々の戦闘風景を主に報告書に記載して下さい』
『それは構わないけど……。アオイは良いのか?? あの森の中に蜘蛛の方々が住みそして戦っていると知られても』
『別に構いませんわよ?? 但しっ!! レイド様が私の腰を癒して頂ければの話で御座いますけどねっ!!』
紆余曲折あり、我が指の疲れと引き換えにレフ准尉に提出した書類には蜘蛛一族とオーク共の血で血を洗う烈戦が記載されているのです。
そして、シエルさんにもこの様子を口頭で伝える予定だ。
「ふんっ、それなら良し!! しっかし美味いわね!! この粥!!」
また飯盒の中に顔を突っ込んじゃったよ……。
「さて、仕事も残っているし。さっさと片付けるよ」
皆と楽しい雑談を興じていても仕事が進む訳では無い。貴重な時間を有効活用する為。
茶碗と匙を机の上に置き、羽筆を取ろうとしたのだが……。
「いやいや。一口しか食べてないじゃん」
ユウが待ったの声を掛け。
「それに薬も飲んでいませんよ??」
追撃として海竜さんの恐ろしい視線と声が体中に突き刺さった。
「あ、いや。お腹は減っていないし、薬は後から飲もうかなぁって。アハハ……」
「駄目だ!! 全部食って、薬飲むまで仕事はさせないからな!?」
ユウが茶碗と匙を手に取り、何を考えたのか知りませんけども。
「はいっ、あ――んっ」
目的地へと急ぐ見知らぬ旅人も思わず足を止めて魅入ってしまう笑みを浮かべ、匙に乗せた鶏粥を此方に差し出してしまった。
「自分で食べられますけど……」
「ア゛――ン????」
声質変わり過ぎでは!?
ほら!! 足を止めていた旅人も恐れをなして逃げて行っちゃったし!!
「あたしが折角勇気をもってあ――んをしてあげたのに。食べないって……。ドウイウコト??」
恐らく、食わねば無理矢理口をこじ開けられて胃袋に流し込まれてしまう。
不必要な怪我を負う前に行動した方が賢明だな。
「た、食べます!! ふぁむっ!!」
「うっし!! 次!!」
「ちょっと待って。鶏肉噛んでいるから……」
どこぞの龍と違って俺の咬筋力は人並みなんですよ。
「ユウちゃん!! 私も餌付けやりたい!!」
「ユウ!! あ――んは妻である私の役目なのですわよ!?」
「残念でした!! この役を譲る訳にはいかないねっ」
「うるせぇぞ!! 飯が不味くなるだろうがっ!!!!」
緑に集る白と灰色。
そして、憤る赤。
いつもの喧しさに体内の病もさぞ五月蠅さに辟易している事だろうさ。
出来る事ならば、そのまま体内から退散して欲しいですけども……。
餌付け役は誰だ?? 五月蠅いから他所でやれ。
激しい口撃の応酬が始まりこの体ではどう頑張っても収拾を付けられないとの考えに至り、我関せずとして仕事を再開。
統率力に富んだ藍色の髪の女性が怒髪冠を衝く勢いでふわぁっと立ち昇ると、うら若き女性達の明るい声が鎮火。
そして、いつまでも薬を飲まない事に苛立ちを募らせた彼女の矛先が此方に向く前に。苦みと渋み、そして微かな臭さを滲ませた粉を水で胃袋へと送り込み。
満足気にふんすっ!! と荒い鼻息を荒げ。若干仰々しく頷いてくれた海竜さんのお許しを得て仕事を再開させたのだった。
最後まで御覧頂き有難う御座います。
そして、評価をして頂き誠に有難うございました!!!!
週の半ば、疲労が募るこの体に嬉しい励みとなりました!!
本日も大変冷える夜ですので、温かい恰好でお休み下さいね??
それではお休みなさいませ。




