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第百十七話 側近さんの御戯れ

お疲れ様です。


本日の投稿なります。


それではごゆるりと御覧下さい。




 多大に緊張した挨拶を終えひと段落付いた所為もあってか、行きに比べ帰りの通路は随分と足が軽やかに感じてしまう。


 フォレインさんは元気で良かったけども、もう少しその何んと言いますか。


 人の体を品定めするかの如く。舐める様な視線を向けるのは出来るだけ控えて頂きたいものです。


 彼女は何とも無しに、只自然と眺めていたのかも知れませんが。それを受け取る側の気持ちを汲んで頂ければ幸いかな。



 それと……。


 シオンさんと言ったか。


 彼女の実力は如何程でしょうかね。蜘蛛の御姫様であられるアオイの指導を受け持っていたのだ。それ相応の実力を持っている筈。


 試しにご指導の程宜しくお願いしますと、頭を下げて熱き指導を請うても良いのですが。何分時間が無いのですよ。


 先ずは、明日から展開する作戦の打合せですね!!



 アオイと仲良く肩を並べて先頭を行くカエデに話し掛けようとした刹那。



「うぉっ!?」



 強烈な悪寒が背を襲った。


 な、何!? 今の感覚!?


 殺意とも悪意とも違う形容し難い感じ……。


 これを例えるのならば、あの淫魔の女王様が常に浮かべている淫靡な視線とでも呼びましょうか。


 一体全体誰が俺の背を捉えたのだろうか??



 試しにひょいと振り返るが、そこには当然誰も居らず。静かな通路が佇んでいた。



「何よ。急にお腹が空いて無性に魚が食べたくなった漁師みたいな声を出して」



 恐らく、うおだから彼女はそう捉えたのでしょう。


 いつも通り片眉をクイっと上げて此方を見上げた。



「いや、急に悪寒が……」



 浅はかな例えだと。そう言いそうになったのを慌てて別の言葉に変えて話したので舌を噛んでしまいそうだった。



「はぁ?? 風邪引いたの?? だったらあっち行ってよ。変な病気移されたら困るし」



 そこは労う所じゃないのかい??


 まぁ皆迄言うまいて。



「カエデ、今いい??」



 ちょいと速足で先頭へと追い付き、普段通り冷静な面持ちの彼女へと話し掛ける。



「何か問題でも??」


「今から明日の作戦について打ち合わせをしたいと考えていてね」


「御安心下さいませ、レイド様。先程カエデとその話を既に済ませ、今から前回北の部隊を叩く為に作戦を練った部屋へと向かっているのです」



 要らぬお世話、でしたか。



「そっか、御免ね?? 態々念を押すみたいな形になっちゃって」


「私は別に気に……。っ!!」


「いえいえ!! 私は一切気にしていませんわよ!?」



 カエデの体をひょいと押し退け、右腕へと大袈裟に絡みつく蜘蛛の御姫様。


 その態度か、将又押された痛みなのか知りませんが。彼女の機嫌を損ねてしまった様で。



「……」



 視線だけで薄い紙程度なら着火出来そうな恐ろしく真っ赤に燃える藍色の瞳を俺達に向けていた。



「と、所でさぁ!! フォレインさんの隣に居たシオンさんの事なんだけどね!?」



 敢えて大袈裟に声を放ち。横着なお肉をやんわりと押し退けて通常の男女の間柄の距離をキチンと保って声を放つ。



「――――。シオン、の事ですか」



 彼女の言葉の端に少しばかり棘があるように感じてしまう。


 やっぱりどうしても話したくないのかな??



「言い辛かったら別に話さなくても良いよ」



 踏み入るべきでは無い心の領域に我が物顔で侵入を画策する程俺は愚かじゃないからね。



「ふふ、レイド様でしたら私の心を侵しても……。いいえ!! 身も犯しても構いませんわ!!」



 あ、いや。


 そういう事じゃなくてね??



「冗談で御座いますわ。ふぅ――……。彼女は大人になった私に対して、年中口酸っぱく小言を聞かせて来るので肩が凝りますのよ。久々に再会しても、ほら御覧になられましたよね?? あの冷たい瞳」



 あれはアオイにじゃなくて俺達に対して向けた視線だと思うんだけどな。



「口を開けば上に立つ者として相応しい品格を持て、兵士達の手本となれ。本当ッ!! 息苦しくて肩が凝ります!!」



 厳しい指導を受ければそりゃ機嫌も悪くなる訳だ。


 でも女王様の大切な一人娘だ、それ相応の指導を受けるのは当然の事だと思うけども。如何せん、ド庶民の俺には理解出来ない辛さだな。



 本当に珍しいアオイの愚痴を聞きつつ相槌を打っていると、今も忙しなく穴から穴へとひっきりなしに女性達が移動している分岐点へと戻って来た。


 確か、会議室はあそこの穴の先だったよな??



「レイド様ぁ。私、肩が凝っていますのぉ――。馬鹿乳女に施したあの素晴らしき手捌きで私の凝りを解き解して下さいましっ」


「それはまたの機会に……」



 やんわりと女の香を嗅がせようと接近する女性からちょいと距離を取った刹那。



「――――。アオイ様。私が揉みましょうか??」



「「「どわっ!!!!」」」



 突如として背後から届いた声にその場に居た数人がほぼ同時に驚きの声を上げてしまう。


 驚きの面持ちのまま振り返ると件の彼女が此方に向かって、長い前髪越しに柔和な雰囲気を醸し出して静かに佇んでいた。



「シ、シオンさん!!!! 驚かさないで下さいよ」



 キャアキャアと可愛い叫び声を上げている心臓、並びに呼吸を整えてから話す。


 怖い印象だったけど、意外とお茶目な一面もあるのかしらね。



「ふふ、申し訳ありませんでした。それと……。アオイ様、御久しぶりで御座います。御機嫌は如何ですか??」


「私は特に会いたいと思っていませんでしたわ」



 横着を邪魔されて機嫌を損ねてしまったのかプイっと、そっぽを向いてしまう。



「お、おほんっ。と、所で、前回こちらにお伺いした時にはお見えになりませんでしたが所要で出掛けていたのですか??」



 空気が悪くなる前に修正っと。



「えぇ、西へと出立しており。外敵共の侵入を阻止しておりました」



 たった一人で敵を迎え撃っていたのはシオンさんの事だったのか。


 さも当然とばかりに話すシオンさんに驚くと同時に少し憧れを持ってしまう。


 男の子は強い人に憧れを抱く傾向がありますから致し方ないのですよっと。



「フォレインさんの側近を務める実力は伊達では無い。そういう事ですか」


「私等、まだまだこの世界では下から数えた方が早い実力です。弛まぬ前進、日々精進です」



 女性らしい拳をきゅっと握り、ムンっと前で構える。


 こんな華奢な体でも俺より何倍もの力を有しているとは……。人は見た目によらないものだな。



 シオンさんの足元から頭の天辺まで隈なくじぃっと眺めていると。



「その……。レイド様、余り直視しないで下さい。こう見えても私は恥ずかしがり屋なのですよ??」


「あ、いや!! すいません!!」



 強者足る方の肉付きを観察していたのが仇となったな。


 そして、恥ずかしがり屋さんだから前髪をあぁも長く伸ばしているのだろうか??


 目元はすっぽりと覆われ、その合間から時折覗く肌色に近い円らな黄褐色の瞳が此方を捉えると……。


 どうもその先にある御顔を是非とも拝見したくなりますね。


 見えないと、逆に見たくなる。


 触るなと言われたら触りたくなるあの感覚に近い感情を覚えてしまった。



「レイド様!! 彼女を見つめる位なら私を見つめて下さいまし!! さぁ行きますわよ!!」


「ちょっと!!」


 アオイが有無を言わさずに俺の右腕を取り、鼻息を荒げて連行してしまう。



「し、失礼しますね!!」



 あっと言う間に矮小な大きさに変化してしまったシオンさんへお暇の挨拶を送り、半ば強引な形で件の穴へと連れ去られてしまった。










 ――――。



「ふぅ……。アオイ様が元気で何よりです」



 前髪姉ちゃんが大きく溜息を付きながら話す。


 その姿は言う事を聞かない妹を眺める優しき姉の様にも映った。


 アイツは嫌ってるけど、この姉ちゃんは愛しむ心を持って接しているわね。


 優しい人が放つ独特のほわぁって香りがプンプンするし。


 二人の間に何があったか知らんが、実の姉を持つ私には蜘蛛の気持ちが理解出来ない訳でもない。



 優秀な姉を持つ出来の悪い妹の気持ちって奴さ。



「アイツはいつもあんな感じよ??」



 キショイ蜘蛛に引っ張られ、既に姿を消失させた薄暗い穴を見つめつつそう話す。



「まぁ、そうなんですか?? ご迷惑を掛けていません??」


「もう迷惑も大迷惑よ。私達のやる事に一々文句を付けて……」



 むっ!!!!


 閃いたっ!!



 あんにゃろうめ、この際だ。前髪姉ちゃんと蜘蛛の母ちゃんにこってりと絞られてしまえ。



 私は蜘蛛の評価を下げるべく今まで受けたあらゆる極悪非道の行為の数々を思い出し、誇張も誇張させて告げ口をしてやった。



「私の御飯を横取りするわ、皆に嘘をつくわ、ボケナスの言う事を聞かないわ……。数えたらキリがないわよ?? そして、私が常に!! アイツの愚行を戒めてやってんのよっ」



 ふっ、完璧に決まったわ。



「いや、それは違うだろ」



 お――い、おいおい。ユウさんやい。


 何であんたはこの絶好の機会を邪魔するのかねっ。



「アオイちゃんは冷たくあし……。あしぃ――……??」


「あしらう」


「そう!! カエデちゃん!! いつも有難う!! 私の事を冷たくあしらうけどね?? 何だかんだ言ってちょっとだけ相手してくれるんだっ!!」



「まぁ、そうなのですか??」



「それだけじゃないぞ?? 戦いの時には皆が手の届かない所に手を伸ばして補助したり、最近になって治癒魔法も覚えたりしてさ。あたし達は何だかんだいってアオイに助けられているんだよ」



 ぬ、ぬぅぅ!!!!


 何であんた達はアイツをよいしょするのよ!!


 普通は評価を下げて言わない!?


 何んとしても、何とかしてぇ!! アイツの評価を爆下げせねば!!



 大きな木の幹に絡みに絡んだ蔦の様に腕を組み、何んとか上手い言葉を探していると。私達の背から妙な圧を感じ取ってしまった。



 ほっ??


 こんな平和な場所で何事かね。



 蔦を解除して何気なぁく振り返ると……。



「…………」



 強面狼が前髪姉ちゃんの背に向かってあからさまな威嚇を放っているではありませんか。


 お前さんは一戦交えたいのかも知れんがな?? 人様の家の中で取るべき態度じゃないわよ。



 聡明な私が今にも噛みつきそうなリューヴに忠告を放とうと口を開くが、その役目を前髪姉ちゃんに取られてしまった。



「――――。所で、後ろの獣さん。鬱陶しい殺気を引っ込めなさい」



 明るく優しい口調が一転。


 言葉の至る所に棘を持たせて背後のリューヴを牽制した。



 そして、前髪姉ちゃんの声を受けると。



「「「…………」」」



 私達の周囲で忙しく移動を続けていた蜘蛛の姉ちゃん達がピタっとその歩みを止めてしまった。



「お、おい。リューヴ」



 ユウが彼女の肩に手を置く。



「いや、申し訳ない。実力を知りたかったのでな」


「アオイ様の御友人でなければ……。酷い目に遭わせていましたよ??」



 いやいや。


 それは絶対、ていの良い言い訳でしょ。


 前髪で表情は窺えないけど、ワクワク感満載って感じだし。




「ほぉ?? 手合わせを願いたいものだ」



 前髪姉ちゃんから一切視線を外さず、挑戦的な視線を送る。



 この一触即発の雰囲気に私達は息を飲んで様子を見守るのだが、周囲の姉ちゃん達はこの先の結果がどうなるか理解しているのか。



 特に心配する様子も見せずに前髪姉ちゃんを見つめていた。



 多分、だけども。


 この前髪姉ちゃん、すっげぇ強いわね。



 リューヴは前面に圧を放つがそれを前髪姉ちゃんは飄々として受け流し、柔軟な態度を保つのがその証拠。


 私でもリューヴの圧を真正面で受け止めるとちょいと手汗が滲むし。力の差が歴然としているからあぁして風に靡く柳の様に受け流せるのだろう。



「手合わせ?? 勝負にもなりませんよ?? さてと、私は仕事が残っていますので失礼させて頂きますね」



 ふっと笑みを浮かべ、穴の中へと向かって進んで行く。


 この二人のじゃれ合いをちょいと見たかったけども。リューヴの性格からしてじゃれ合い程度じゃ済まないだろうし。


 向こうが大人の態度を取ってくれて幸いかしらね。




「――――。逃げるのか??」



 強面狼めっ!!


 何でそうやって喧嘩腰で話し掛けるのよ!!!!



 流石の私でもぉ……。あ、いや。私もちょいと前髪姉ちゃんとじゃれ合いたいのは本心ね。


 今の私の力が何処まで通用するか、その試し斬り。じゃあないけどさっ。


 蜘蛛の里の二番手足る実力を肌で感じ取りたいのは事実だもん。



「今の言葉……。どういう意味でしょうか??」



 わ、わぁっ……。


 殺気だぁ……。



 此方に背を向けたまま静かに、そして確かな声色でリューヴの言葉に答えると。地面の上に転がるちいちゃな砂粒がフルっと震え始めてしまった。



 ま、まっじぃ!!


 殺し合いが始まっちゃうじゃん!!



 こいつはぁ、あっしの出番さ!!



「へ、へへっ。シオンの旦那ぁ。こいつぁ、むしょから平地しゃばに出たばかりで、世の道理を理解出来ない悪童。あっしの命令を無視してすぅぐに人に噛みつく猛犬も猛犬。此処は一つ、あっしの顔に免じて、見逃して下せぇ」



 これ以上は流石に不味い。


 そう考えた親分である私が二人の間に割って入ってやった。




「マイ、退いてくれ。手合わせを願っているのだぞ??」


「退かないわよ。第一、頼む時の態度ってもんがあるでしょ!!」



 人様の家の中でドンパチ始めたら美味しい御飯がお預けになる恐れもあるっ。


 それだけは絶対に避けねばならぬのだよ。



「はぁ……」



 前髪姉ちゃんが大きな溜息を吐き、此方に振り返る。


 私はその刹那を見逃さず。鞄の中から献上の品を取り出した。



「えっへっへっ――。こいつぁ、おいそれとは手に入らない上物ですぜ?? 口に含んだら日がな一日、夢見心地よ。臓物が溶け落ちる感覚を味わえる事間違いないしっ!! 界隈で捌いている白い粉なんか目じゃねぇさ!! ささ、お納め下せぇ……」



 鞄の中から一日飴が入った瓶を取り出し、蓋をキュポンっと抜いて前髪姉ちゃんに差し出す。



「あら?? 大きな飴ですね」


「流石旦那!! 御目が高いっ!! あっしもこれを差し出すのは断腸の思いでさぁ……。ままっ!! 御一つ召し上がって下せぇ!!」


「では、御一つ呼ばれましょうかね」



 うっし!!


 これで喧嘩はお終い!!


 やれやれと冷や汗を拭こうとしたのだが、それでも強面狼は納得がいなかないようで。



「マイ、下らん真似は止せ」



 私が手に持つお宝の手をグっと押し退け、シオンの旦那へと近付いてしまった。



「後でヤレや!! 今、此処でおっぱじめたら洒落にならんだろうが!!」


「ふっ。安心しろ戯れ程度で……。むっ!?」



 私がリューヴの横っ面にビンタをブチかまそうとした刹那。



「――――っ」



 前髪姉ちゃんが無言でリューヴの前髪の一部に指を掛けた。それは丁度、手の平で両目を塞ぐ形にも見えてしまう。


 殺気、気の起こりを見事なまでに消失させたその所作に私とリューヴは刹那にだが、呆気に取られてしまった。



「何をする!!」



 差し出された彼女の右手を振り払う為、己の右手を大袈裟に横へ振ると……。



「なっ!? 居ない!?」



 前髪姉ちゃんの姿は忽然とその姿を消失させてしまった。



 す、すっげぇ――……。


 あの二人からちょいと離れていたから偶然見えたけど。目の前でアレをやられたら私もきっとリューヴと同じ言葉を放っただろうさ。



「…………。これで分かりましたか??」


「っ!?!?」



 リューヴの手を振り払う動きに合わせて死角へと気配を殺したまま移動し、瞬き一つの間に背後へと到達。


 速さ自体はまぁまぁだけども……。洗練された一連の動きに全身の肌が一斉に泡立ってしまった。




「貴女一人の存在を消す事なんて赤子の手をひねるよりも簡単な事ですよ??」



 前髪姉ちゃんがリューヴの首元へ右手の鋭い爪を突き立ててそう話す。



 一筋の鮮血が白い肌を伝い、重力に引かれて地面へと落ちて行く。


 私達はその様子を見ながらも一歩も動く事は出来なかった。


 それ程彼女の殺気は強く、物言わずとも私達を威圧させ行動を御していた。



 どれくらい経ったであろうか?? 一秒が永遠かのように感じ取れてしまうが実際は数秒程度だったのであろう。


 慄くこちらの様子を見渡し、ふっと口元に笑みを浮かべて鋭い爪を白い肌から外した。



「あっ!! いっけない!! 食事の用意をしないと。それでは皆さん、失礼しますね」



 再び明るい雰囲気に戻ると私達の下から離れて行き、洞窟の通路へパタパタと軽快な足音を残して姿を消して行った。



「ぶはぁ……。リュー!! 何であんな事言ったの!!」


「そうだぞ!! 見ているこっちの寿命が縮んだわ!!」



 その場にいる全員が安堵の息を漏らし、全身の力を抜く。



「そうよ、いくら何でもあれは失礼よ。後で謝っておきなさい」



 いくら私でもあんな失礼な事はしないだろう。


 それくらいの事は心得ているさ。私は!! 分別の付く大人の女性だからね!!



「ふんっ。強者を見ると血が騒ぐ、戦士の血だ」



 はぁ――。


 こいつには一度、処世術を教えた方がいいわね。いつの日か私達にも被害が及びかねない。


 いや?? 出来の悪い犬の躾と呼んだ方が宜しいか??



 それにしても……。


 リューヴの背後をあぁも簡単に取るとは。油断していたとは言え、流石にあれは驚いた。


 蜘蛛の母ちゃんの右腕を務めるだけはる、という事だろうね。



 一度組手を願おうかしら??


 むぅ――……。む??


 いかん!! これじゃあリューヴと同じだ。


 その機会があればさりげなぁく突っついてみよ――っと。



「マイちゃん行くよ!!」



 広い間の中央で腕を組みつつ様々な考えを展開していると、いつの間にかルー達が通路へ向かって歩み出していた。



「うっせぇ!! 分かってるわ!!」


「またそうやって言う――。マイちゃんもいつかリューみたいに怒られるからね??」


「わはははは!! 世界最強の私に説教ブチかます奴が居る訳なかろうさ!!」



 洞窟の入り口にもこだまする高らかな笑い声を放ち、サラサラとした風が吹く洞窟内の通路へと進んで行った。




最後まで御覧頂き誠に有難うございました。


それでは皆様、おやすみなさいませ。

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