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第百一話 苦は楽の種 ~来訪者様達へ贈るささやかな挑戦状。解答編~

お疲れ様です。


本日の投稿になります。


それでは御覧下さい。




 咽返るばかりの土の香りとちょっと怖い暗闇に包まれた部屋に私の憤る呼吸音が小さく響く。



「はぁ――……。やっと此処まで足せましたか……」



 土の上にちょこんとしゃがみ込み、右手で器用に計算式を描きながら私の中のカエデちゃんがちょっと怖い声と共に大きな溜息を漏らした。



「私は終わったよ!!」



 きっと怒っているのは私が未だ終わっていないと考えているからなんだよね!!


 元気良くシュタッ!! と立ち上がり挙手してあげた。



「そうですか。では、計算の邪魔になるので部屋の隅で大人しくしていて下さい」



 うっわ……。冷たいなぁ――……。


 ユウちゃんやレイドだったら此処で一つや二つ、此方の労を労ってくれる言葉を送ってくれるのに。


 マイちゃんの場合はぁ。



『うるせぇ!! 黙ってろ!!』



 うん、カエデちゃんとは違う方向の怒り方をするだろうね!!


 しかも物凄く怖い顔で。



「はぁ――い。大人しくしていま――っす」



 地面に横たわる小石を蹴飛ばし、カエデちゃんから一番遠い壁へと向かってトボトボと歩き出した。



 大体さ――、そこまで怒ることないよね??


 私だってカエデちゃんの体で苦労しているんだから、お互い様だと思うし。



 それにしても、カエデちゃんの体って……。



「柔らかっ」



 白の長いローブの中の青いシャツの内側からぷっくりと押し上げる双丘をモニュモニュと揉むと、指先が大喜びしてしまった。


 私よりもちょっと小さいけど、柔らかさはカエデちゃんの勝ちかなっ。


 でもね!! 背の高さも、手足の長さも私の勝ちだから!!


 後ろ手に手を組み。



「ふんふ――ん」



 鼻歌を呑気に奏でながらランタンの明かりに照らされた土壁を何とも無しに眺めていると。猛烈に狼の本能が刺激されてしまう箇所を発見してしまった。



「むっ……。此処に匂い付けしなきゃ」



 違和感を覚える匂いの場所にスリスリと横顔を擦りつけていると、元の体の私から御怒りの声が届く。



「ルー!! 計算が終わりましたよ!!」


「あ、は――い。いきま――す」



 残念。


 もうちょっと匂いを付けていたかったのに。



 のんびりとした歩調で恐ろしい面持ちを浮かべている私の顔の下へと向かった。



「出来たの??」


「えぇ、貴女が計算間違いをしている可能性もありましたので結局。私が全て計算したので恐らく間違いはありません」



 あら――。


 だから長い時間しゃがんでいたのか。



「それで?? 結局答えは幾つになったの??」


「ふふ……。答えは、千七百十一ですっ!!」



 得意気な顔で私に向かってビシッ!! っと指を差す。


 おぉっ。


 この顔の私も中々様になっているね!! 今度レイドの前で披露してみよう。


 カエデちゃんが石作りの台座の上から四角い金属の欠片を四つ手に取り、左から順番にそれを嵌めこむと……。



 両方の扉から硬い音が鳴り響き、それと同時に天井の穴が引っ込んでくれた!!



「カエデちゃん!! 大正解だったよ!!」


「賢い海竜に不可能はありませんからねっ。さぁ!! 皆さんに後れを取ってしまいました!! 早く危険な謎が待ち構えている先に行きましょう!!」



 あ、いや。


 私は怖い所行きたくないんだけどなぁ……。


 鼻息を荒げて意気揚々と荷物を背負うと、中々先に行きたがらない私の腕を取り。


 新しい危険が待ち構えている扉の向こう側へと連れて行かれてしまった。




















 ◇




 丁度良い塩梅の塩加減が疲れたあたしの体と心を満たしてくれる。


 咀嚼すればする程、彼の想いが体に染み込む様だ……。



「ねぇ、ふぅ――。ふぁにか思いうふぁんだぁ??」



 あたしの体でちょいと腹が立つ台詞を堂々と放つ我が親友の姿を見ても、レイドが作ってくれた優しいおにぎりの御蔭様で発狂までにはいかなかった。



 発狂にはいかないけども、怒らない訳ではないのさ。



「おふぁえも少しふぁ考えろ」



 ほんのり甘い御米の味と、あたし好みの塩加減の味付けを大切に咀嚼しながら話す。



 んっまぁ……。


 最近になって母親の手作りのおにぎりよりも彼が作ってくれた味付けの方が好みになってきちゃった。



 これって、つまり。胃袋をガッチリ掴まれちゃったって奴だよね??


 普通は逆なんだけども。


 まぁ、そこは追々って事で!!



「んんっ!! 考えてるって。十三体の内、一体の偽物を探せば良いんでしょ??」


「それが提示された問題だからな」



 コクン……、っと。


 喉を上下させて彼の優しさの塊をお腹の中に送りつつ話す。




「この中から一体ねぇ……。全部手に持って重さを確認したら??」


「人体で確知出来ない重さ加減なんだろう。十三体……。量る回数は三回……。マイ、十三割る三は!?」



 おにぎりへ向かって手を伸ばす彼女へと問う。



「四!!!!」



 あ、いや。うん……。


 微妙に足りなくて、堂々と不正解とは言えない答えなんだが。



「お前さんは何で指を五本、得意気に開いているんだ??」


「おにぎり掴む所だったからね!! はむっ!! んまぁ――いっ!!」



 ニシシ!! と笑みを零しておにぎりを食むあたしの顔……。


 ちょっと間抜けに見えね??



「余りが一、かぁ。なぁんとなく正解に近付いたのかな??」


「どふう事??」


「詰まる所、三回で偽物を見付けなきゃいけなんだから。ある程度の数の集団を作らなきゃいけなんいだよ」



 問題は、その集団の数をどれだけの数にするかだなぁ――……。


 残り半分になったおにぎりを食み、地面に適当な数の集団を描いていく。



「ふぁにしてんのっ??」



 あたしの背後からあたしの体がぐぐぅっと圧し掛かって来た。



「重い。退け」


「嫌よ!! 何してるか教えてくれるまでは退かん!!」



 へいへい……。


 自分の胸の重さで首の骨を折りたくないし。教えましょうかね。



「今思いついた案なんだけど。十三体の石像を幾つかの集団に纏めようかと考えているんだ」


「ふぉんふぉん!!」



 コイツ……。


 人の体で好き勝手に動きやがってぇ……。



「食べながら話すな!!」



 頭の天辺に落ちて来る御米の欠片を乱雑に振り払ってやる。



「イヴェ!! ちょっと!! 横っ面叩かれたからもっと零れそうだったじゃん!!」


「どうせなら全部零して泣きさらせ。さっきの答え、四体で集団を作ると……」



 地面に四体の烏を描き、可愛い丸で囲んでやる。


 そして、これを三つ描き。残りの一体は離れた位置に描いてやった。



「この集団を一、二、三と仮定するとぉ……」



 最後のおにぎりに向かって手を伸ばしながら話す。



「一と二の重りを先ずは比べて……。ありっ?? 此処に在った最後のおにぎりは??」



 レイドが携行食として作ってくれたおにぎりは四つ。


 あたしが一つ食べて、今から二個目を食べようとしたのに。あたしの手は虚しく空を切ってしまった。




「あ――……。うんっ。翼が生えて、月へと旅立って行ったわ」


「てめぇ!! 嘘を付くならもっとマシな嘘を付きやがれ!!!!」



 振り返り様に自分自身の胸を思いっきり叩いてやる。すると、上下左右へと有り得ない動きを見せるではありませんか。



 うおっ!?


 目の前で見ると大迫力だな……。


 第三者の視点から見ると、こうやって見えるんだ……。



「いたっ!! べ、別に良いでしょ?? 元の体に戻ったら結局、ユウのお腹に収まった事になるんだから……」



 ぽぅっと頬を朱に染め、有り得ない弾み方をしてしまったあたしの胸を抑え込みつつ話す。



「あたしがおにぎり好きなの知ってるだろ??」



 ま、まぁ正確に言えば。レイドが作ってくれたおにぎりだけどねっ。



「そりゃ勿論!! んで?? 続きはっ??」


「一の集団とぉ、二の集団が吊り合ったら重さは同じだから。この中に偽物は居ない。つまり、残り五体の中に居る訳だ」


「ほぅほぅ!!」



 だから、頭の上に胸を乗せながら頷くの止めね??


 本気で首が折れそうなんだけど……。



「五体を更に分けて。二体と二体が吊り合ったら残る最後の一体が偽物って訳さ!!」



 おぉ!! 解けたじゃん!!


 あたしの勘も冴えたものだな!!



「いやいや。それだとさ、二体と二体が吊り合わなかったらどうなんのよ」


「はぁ?? 簡単だろ。吊り合わなかった軽い方の残りの二体の内、一体を他の石像と比べて吊り合ったらそいつが本物。そして、吊り合わなかったらそいつが偽物さ!!」



「解けたのは良いんだけど――。おっめぇ石像を運ぶ回数。減らせないの??」



 あ――。労力の事も考えるべきか。



「じゃあ最初の数を増やしたら?? 丁度キリの良い六体とか」





「六体ずつ左右の天秤に乗っけてぇ、ほいでもって吊り合ったら残りの一体が偽物。んでぇ、吊り合わなかったら。最初の余りの一体は本物だから放置して。軽い方の残りの六体を分割、三体ずつ乗っける。 二回目のこれは必ず吊り合わない。 軽い方に傾いた三体の内、適当に選んだ二体を左右の天秤に乗っけて吊り合ったら残りの一体が本物。吊り合わなかったら軽い方が偽物か。んぉぉおお!!!! こっちでもいけんじゃん!!」




 あたしが提案した案を工夫し、答えに行き着いて嬉しいのか。


 喜々として表情と声色でバシバシとあたしの肩を叩く。



「お前さんの空っぽの頭でも理解出来たな。んで?? どうする?? 四体から始めるのか、それとも六体から始めるのか」



 そうやって考えると、五体でも出来るのかぁ……。


 よく考えてこの仕掛けを作ったもんだ。



「んなもん決まってんじゃん!! 絶対六体よ!!」



 まぁ――。


 運が良ければ十三分の一の確率で、一発で偽物を看破出来るしね。



「では、マイさんやい」


「何だい?? ユウさんやい??」



 あたしの顔で片眉をクイっと上げて話す。



「残す一体を選びたまえ」


「おう!! ん――……。この部屋を作った大馬鹿野郎の思考を読み取るとぉ……」



 高揚感全開で入り口側から一番遠い石像の下へと歩んで行き。



「コイツに決めたわ!!」



 入り口側から向かって、左の壁の最奥の一体を指差した。


 軽い奴は天秤の一番近くに置くと考えたのか。



 天秤から遠い石像を運ぶのは骨が折れる。


 即ち、天秤に近い位置から運ぼうとする訳だから。不正解はなるべく近くに置きたがらない。その心理を突いたのね。



 馬鹿なりに良く考えてんじゃん。



「了解。んじゃ、それ以外を運ぶぞ――」


「分かった!!」



 さて、此処からは力仕事っと!!



 軽い準備運動を行い、天秤へと続く階段から一番遠い一体を持ち上げてみたが……。



「おっっも!!」



 何だよ、これ!!


 大の大人二人分位ある重さだぞ!?



「そう?? 軽く感じるけど……」



 し、しまった!!


 今のあたしの体はマイの体だったんだ!!



 ひょいっと持ち上げてしまった向こうの体を見て思い出してしまう。



「ぐっ……。うぉぉおお!! ド根性おおおお!!」


「あはは!! ユウ――。頑張ってよ――」



 軽々と石像を持ち運び、左の階段を上るあたしの顔を見ると何だか形容し難い苛立ちが募る。


 なんでこんな時に限って非力な体を使用せにゃならんのだ。



 額にびっしり汗を浮かべ、腕と足の筋力が悲鳴を上げる中。



「ユウ――!! 乗せるわよ――!!」


「おぉ――!!」



 漸く天秤の上に六体の石像を乗せ終えると、あたし側の天秤が向こう側と比べて下がってしまった。



 つまり、向こうに偽物が紛れ込んでいる証拠だな。



 刹那。


 天井から硬い物同士がぶつかるカチッという音が響いた。


 これで一回目の権利は消失っと。多分、そういう事でしょう。



「ざんね――ん!! 傾いちゃったわね――!!」



 天秤の向こう側からマイの声が届く。



「あぁ!! そうだなぁ!! 全部下ろして!! そっちの三体をこっちに持って来い!!」



「はぁ!? あんたも手伝いなさいよね!!」


「断る!! 腰が砕けそうだからな!!!!」



 今からこの六体を持ち上げて外すんだぞ??


 この作業が終わったらきっと、歩くのにも支障をきたす程に痛む筈……。



「ちぃっ!! 王都に帰ったら何か驕りなさいよね!!」


「貸したお金を返してくれたらなぁ――」


「あ、あれはもう時効よ!!!!」



 アイツ。


 馬鹿なくせにそういう言葉は知っているんだよね。



 痛む腰に鞭を打ち、地面に向かって下がってしまった天秤から石像を持ち上げる。


 繰り返される筋疲労に顔を顰めるもこれは彼を救出する為の行為だと考えると、幾分か疲労が軽減され。温かい気持ちがぽっと心の奥に華を咲かせてしまう。。



 へへ、もうちょっと待っていろよ??


 あたしが颯爽と助けに向かうからさ!!



 此方側の全ての石像を拾い終え。


 囚われの王子を救いに向かう超カッコイイ御姫様の感情を胸に抱きながら、苛立ち感全開の表情を浮かべつつ階段を上って来るあたしの顔を見下ろしていた。
















 ◇







 怒りに身を任せ、悪戯に動こうとする踵を必死に御す彼女の立ち姿。


 私が怒り心頭になるとあの様な姿に映るのですか……。


 いけませんわねぇ。レイド様には決して見せられぬ姿ではありませんか。


 やはり私は雪原の上に柔らかく吹く風に乗って漂う白雪の如く。嫋やかに構えませんといけませんわねぇ。



「リューヴ。私の顔が乱れてしまいますので、どうか眉の力を抜いて下さいまし」



 自分の体に向かって、己の所作を訂正するのは何とも不思議な感覚ですわ。



「あぁ、すまぬ。三問目の答えが分からぬのでな……」



 ふふ……。


 私の頭脳を使用しても答えに至らぬとは。正に箪笥の肥やしですわっ。


 これ以上此処に居ても利益は得られませんし。先に進みましょう。



「では、答えを当て嵌めましょう」



 怒り心頭の彼女の脇を抜け、器具の取っ手に手を掛けた。



「ちょ、ちょっと待て!! その器具を回す前に答えを教えろ!!」



 リューヴが私の肩をぐっと掴む。



「答えを?? ふぅむ……。どうしても聞きたいのですかぁ??」



 女性は求められた答えを直ぐに出してはいけませんのよ??


 焦らしに焦らし。


 相手の心を手の平で操るのですわ。




「私の体で気色悪い声を出すな!!」


「うふふ、戯れですわ。では、先ず問一から順を追って説明致しましょう」



 きゅっと瞳を閉じ、先程の注意文の文字を思い描きながら口を開いた。



「あの数式自体に深い意味はありません。解答は……。画数にあります」


「画数??」



 彼女がそう話し、注意文をじぃぃっと睨むと。



「そ、そうか!! 何だ、簡単な事ではないか」


「その通りです。一桁目の答えはずばり……。六」



 指で。



 6+9= と。



 数式を描きながら動かすと明瞭に理解出来ますわね。




「では、二つ目の問いは??」



 これが少々厄介で、解読に時間が掛りました……。



「二つの右の矢印に注目して下さいまし。先ずは右の矢印に一つ進む際に、同じ数字を乗算。七でしたら、答えは四十九になりますわよね??」


「あぁ、そうだな」


「そして、もう一つ右の矢印に進む際に。二桁目の数字と、一桁目の数字を足して見て下さい」



「足す?? 加算すると……。おぉ!!!! 成程!! では、問二の答えは十だな!!」



 その通りですわっ。




 8→64


 64→6+4=10



 最初に何をすれば良いのか、それを求めるのに大変苦労しましたわ……。




「そして、最後の問いは数式とは最も掛け離れた場所に存在します」


「掛け離れた場所??」


「えぇ。この世に普遍的に流れ続け、決して止まらぬ物と言えば??」


「止まらぬ物?? 何だ、それは」


「――――。時、ですわ」



 何人も時間の流れは堰き止められません。


 それを可能に出来る者は恐らく全知全能の神くらいでしょう。その神が存在すればの話ですが。



「時?? 時間がどうかしたのか??」


「人は時を見る時、又は確知する時に使用する道具は何でしょう??」



「時計、だな。――――っ!!!!」



 ふふ、もうお分かりですわよね??



「三つ目の答えは九、か」



「その通りです。時計に備えられている長針と短針。その対となる位置にある数字を指し示しています。つまり、四桁の答えは……。六、一、零、九」



 私が四桁の各取っ手を回し、正しき数字を入力。


 そして、一番右の突起物を押し込むと入り口と出口の扉の施錠が解除された音が響いた。



「さっ、レイド様が待っていますわ。参りましょうか」


「あぁ、主を救出するぞ!!」



 まぁ――……。


 私を押し退けて扉を開けて行ってしまいましたねぇ……。



 この部屋での活躍は後でレイド様に報告しましょうっ。


 きっと褒めて下さりますわ!!




『ア、アオイ!! 凄いじゃないか!!』


『い、いえ。レイド様をお救いする為でしたから……』


『俺の為にそこまで……。アオイ、ほら。横になって??』



 え、えぇ!?


 地面の上で、ですか!?


 猛った野獣の如く、今直ぐに私の体をお求めになるのですわね!?



「ふ、ふふ……。今夜はきっと、新しい命がこの……」



 下腹部に手をそっと添え、新しき命を宿す体を見下ろす。



「……っ!!」



 しかし、そこに存在したのは本来の至高の体では無く。筋力がたっぷりと積載された逞しい女性の体であった。





 違いますわ!!


 先ずは元の体に戻って、それから懐胎しませんと!!



 危く強面狼さんに私の赤ちゃんを横取りされる所でしたわね。



 素敵な妄想に囚われかけた思考を元に戻す為、頭を大袈裟に一つ揺らすと。


 扉の向こうの暗さに恐怖を抱いてしまったのか、若干涙ぐむ彼女が颯爽と舞い戻り。私が手に持つランタンを強引な形で強奪。


 ゆるりとした歩みの私を急かす様に大声を上げて、鋼鉄製の扉の向こう側に新しく出現した通路へと駆けて行ってしまった。






最後まで御覧頂き誠に有難うございました。


此度は皆様に御迷惑をお掛けした事をお詫び申し上げます。


これからは今まで通りに更新させて頂きますので、温かい目で見守って頂ければ幸いです。


それでは、おやすみなさいませ。

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