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第九十九話 皆さん、突入開始です

お疲れ様です。


本日の投稿になります。


それでは、どうぞ!!




 遠方から雷鳴が轟き、薄く剥がれて傷付いた外壁を突き抜けて私達の鼓膜を重く震わせる。豪雨と強風は深夜に突入した時刻であっても衰える事は無く。寧ろ、この崩れかけた屋敷を更に破壊し尽くそうと勢いを増していた。



 不安感を悪戯に増長させる悪天候の音色。



 それはこの世に存在する者に等しく悪影響を及ぼす。


 橙の明かりが怪しく揺らめき、憤怒の感情をこれでもかと籠めた瞳を浮かべる私達の真正面で大粒の汗を四方八方へ飛ばしている女性も例外ではない。



 彼女は釈明の為、次なる言葉を懸命に探して狼狽えているが……。恐らくあの憐憫足る姿は悪天候では無くて私達の負の感情によるものだと断定出来ますね。



 そして、その筆頭の存在は恐らく彼女でしょう。




「グルルゥゥ……」



 姿見の真正面に立ち、猛牛さんの猛った瞳と白む鼻息によって。鏡の中の彼女はその行動に制限が掛けられていた。



「ユ……、マイ。ソラアムさんが泣き出してしまいますので離れて下さい」


「ちっ、しゃあねぇなぁ」



 私の忠告によって猛牛さんが姿見の前から離れてくれるが。



「貴様……。主の身にもしもの事があれば。命は無い物と思え」


「レイド様を何処に隠したのか教えなさい」


「安全に、そして怖くない帰り道を教えて下さいっ!!」



 どうやら憤りを感じているのは猛牛さんだけでは無く、皆一様に思う所がある様ですね。



 それはそうでしょう。


 私達が玄関口で準備運動を行っている最中に彼は忽然とその姿を消失してしまったのだから。



 まるで神隠し、じゃないですかっ。



 行方不明になってしまった彼には悪いですけど、此処に来てからというものの。不思議と恐怖の連続で私の心は人生で味わった事が無い程の高揚感に包まれっぱなしなのです。


 勿論、外見には露呈しませんよ?? 私だけの秘密です。



「皆さん、このままでは埒が明かないので離れて下さい。そしてルー、帰り道は来た時よりも暗くて陰湿な道を選びますのであしからず」



「えぇっ!? 何でそんな意地悪するの!?」



 私の体がきゅぅっと目を見開いて驚きを表現する。



 私の驚いた顔は他人から見るとこう映るのですか。勉強になりました。



「も、申し訳ありません。この屋敷には追手の追撃を振り切る為に幾つかの罠が設置されていて……。彼はその内の一つに嵌り、地下へと誘われてしまった様なのです」



 キチンと足を折り畳み此方と視線を合わせず。若干早口で話す。



「理解出来ました。では、彼を救う方法を教えて頂けますか??」


「それは簡単です。地下へと突入し、更に奥へと進んで行けば囚われの身である彼を救出出来ますよ」



「ちょっと待って。何で捕らわれているって分かるのよ」



 マイが逞しい腕をぎゅっと組みつつ問う。



「彼が落下して行った先は、彼女が丹精込めて制作した牢獄だからです。到着と同時に侵入者を昏睡させる麻痺性の霧が噴射され昏睡状態に陥ります」



「つ、つまりっ!! レイド様はまな板の上の鯉状態になってしまうと!? なんと羨ましい……。いえ!! 私を差し置いて懐胎しよう等、烏滸がましいですわっ!!」


「アオイ、ちょっと論点がズレてる。つまり、シシリョウさんが好き放題に出来る状態となって捕らわれているのですね??」



「はい……。恐らくは……」



 参りましたね。


 私達が通常の状態なら何ら不憫無く救出出来るのですが、この常軌を逸した状態であると救出作戦は大変骨が折れそうです。



「皆さん、新たなる任務の追加です。我々の目標は二つ。一つ、シシリョウさんを発見し、我々の体を元に戻す事。二つ、注意散漫で敵の謀略に嵌ったお馬鹿さんを救出する事。その為に、我々は今から……。地下へと突入しますっ」



 部屋の中に整然と置かれている物資をビシっと指で差し、ちょっと得意気に話してあげた。



「おうよ!! へへ、こんな時に不謹慎だけどさ。ちょっとワクワクしない??」



 ユウが背嚢を背負いつつ話す。



「全然しないわよ。どうせ真っ暗でジメジメした地下なんでしょ??」


「マイちゃんの言う通りっ。私も気が進まないな――」



 腹ペコ龍さんと陽気な狼さんは及び腰なのですが……。私もユウと同じ高揚した感情を抱いています。


 未だ見ぬ地下深く広がる通路、湿気を含んだ土壁に負の感情が湧き起こり、そして我々を待ち構える幾多の罠。


 これこそ冒険の醍醐味ではありませんか??



 ――――。


 勿論、彼の救出を最優先させますよ?? そのついでに冒険をするのです。



 彼が用意してくれた物資を各自が持ち出発の準備を滞り無く終えると。


 彼無き今。


 協調性と誠実さと、四角四面的な性格が欠如している分隊を纏めるべきである地位にある私が第一声を放った。



「それでは皆さん。出発しましょうかっ」



 おっと、いけませんね。


 少しだけ高揚感を滲ませてしまいました。


 冷静沈着を努めなければ……。



「皆さん、地下は危険ですから。本当に気を付けて下さいね??」


「有難う御座います。では、行きましょうっ」



 鏡の中の彼女から嬉しい言葉を頂き、若干の大股で中庭へと向かった。



「カエデちゃん、すっごくウキウキしているよね――。肝が据わっているよねぇ」


「アホな罠に引っ掛かったボケナスと、自分の体を取り戻すとは言え。地獄の底へと続く地下に突入しなきゃいけないんでしょ?? その道中に恐ろしい罠と化け物が待ち構えているのよ……。きっと」


「マイちゃん止めてよ。怖がらせないで」



 緊張感の欠片も見当たらない明るい乙女のキャアキャアと騒ぐ声を背に受け、石像が設置されている中庭の扉を開いた。



 刹那。


 頭上から夥しい量の雨が降り注ぎ、強風が髪を悪戯に揺れ動かす。



「んおっ!! すっげぇ雨だなぁ!!」



 ユウが豪雨と吹き荒ぶ風の音に負けない声量で叫ぶ。



 空に広がる黒雲から降り注ぐ雨、そして髪を悪戯に揺れ動かす強風は今尚健在であり。我々地下調査隊の進行を妨げている。


 素敵に咲き誇る彼岸花の合間を縫って、大鷲の石像の下に辿り着くと早速調査を開始した。



「どうです?? 何か手掛かりは見つかりまして??」



 リューヴの声色のアオイの声を受け、鋭い狼の瞳を使用して石像の至る所を探っていると……。



「ありましたっ。恐らく、これでしょう」



 立派な大鷲が乗る石造りの台座。


 その最下方に違和感を多大に覚える突起物を確認出来た。



 高揚しきった感情でその突起物を押し込むと、台座が重低音を奏でながら地面と平行に下がって行き。


 不思議と、ほんの少しの恐怖と、素敵な冒険が待ち構えている地下への入り口が出現した。



 こ、これですよ!! これ!!


 大冒険の序章が奏でられると私の心にぱぁぁっと素敵な光が湧き起こる。



 人一人が通過出来る程の横幅、なだらかに地下へと下って行く剥き出しの土の通路に私の心はもう沸騰寸前に温まってしまった。



 素敵、ですね。



「帰りたいよぉ――……」


「では皆さん!! 突入ですっ!!」



 情けない声を放つルーを尻目に、隊長である私が地下への第一歩を踏み出した。



 雨水が染み込んだ土の階段、咽返るばかりに湿気を含んだ埃と土の香が漂う。


 そして……。何処まで続くから分からない闇。


 そのどれもが私の心を擽ってしまう。



「――――。くっら!! そして、こっわっ!!!! ちょっとカエデ!! ランタンの明かりを灯しなさいよ!!」



 おっと、そうでしたね……。



「分かりました。皆さん、一旦装備を下ろして下さい」



 背嚢の中から着火道具を取り出し、彼が用意してくれた蝋燭に火を灯し。


 火を消さぬ様ランタンの中にキチンと仕舞う。



「ほっ……。明かりだぁっ」


「魔法の光量とまではいかないけども、無いよりかはマシだな」



 ユウがランタンを手に持ち、左右の土壁を照らしつつ話す。



「この中途半端な明かりが良いんじゃないですか。明る過ぎては雰囲気が台無しになってしまいますよ??」



 全く……。


 先が見える冒険なんて何の楽しみも無いじゃないですかっ。



「カエデちゃんは怖くないのかも知れないけどね?? 私達は物凄――く怖いんだよ??」


「そうですか。それは良い傾向……。おや??」



 大分上に見える入り口が再び重低音を奏で、入り口が徐々に狭まって行くのを視線が捉えた。



 そして、数秒後には周囲に広がる闇が更に深まり。我々の退路が完全に塞がれてしまった事を指した。



「ふぅっ。参りましたね、退路が塞がれてしまったじゃないですかっ」


「その割には何で高揚感全開の口調なのよ……」


「皆さん、活路は前にあります。進みましょう!!」



 彼が持ち運んだランタンを片手に、足元を掬おうと躍起になる土階段を慎重に一段ずつ下り始めた。




「――――。よぉ、マイ」


「な、何よ」


「腕が引き千切れそうだから手を放せ」


「断る!!」




「ルー、進み難いから離れろ」


「やっ!!!!」



 うら若き乙女達の恐怖心に染まる声色が闇を装飾する。


 耳を澄ませば何処からともなく滴り落ちる水の音、そして高揚感から若干激しくなった拍動の音が鼓膜を潤してくれる。


 程よい緊張感と、恐怖感を堪能しつつ随分と奥深くまで下って行くと遂に階段が消失。



 真正面にずっと伸びていく土壁の通路へと到達した。



「ふむ……。木材で壁を補強していますので、崩落の危険性は少なくなりますわね」



 通路を奥へと進みながら、アオイが壁に添えられている太い丸太を見つめながら話す。



「その通りです。派手に暴れたら崩壊に巻き込まれて脱出出来なくなってしまいますよ??」



 本来の体であれば魔法や、常軌を逸した膂力で突破可能なのですが。生憎今は不便な体を利用していますのでね。



 不便な体、か。



 私の体と比べて長い四肢、そして私よりも若干ふくよかに育った双丘。


 お惚けて少女の印象を与える彼女ですが、中身は立派な大人の女性の体を誇っている。


 さり気なくこの胸の脂肪をどうにかして減少させる事は出来ないかな??


 別に妬んでいる訳では無いのですよ。私ももう間も無くこの高さに追い付く予定ですので。



「あぁ、十分注意して進むべき……。むっ?? 何か見えて来たぞ」



 もう片方の狼さんの声を受け、ルーの双丘から視線を外して前方を注視すると三又に分かれている通路が出現した。



 ふ、む……。


 此処から先は一本道では無く、三方向に分かれるのですか。


 先程ソラアムさんが仰っていた三つの部屋に繋がる通路なのでしょう。



 さて!! 此処で幾つかの選択を迫られますね。



 一つはこのまま六名で進み、一つの部屋に到達して突破するのか。


 二つ目は分隊を更に細かく分け、時間短縮の為に三つの部屋を同時攻略するのか。



 悩みに悩んだ振りをした私は彼女達にこう告げた。



「皆さん、分隊を分けます」



「絶っっっっ対嫌っ!! な、なんで更に少なく分けなきゃいけないの!?」



 やはりルーは乗る気じゃないようですね。



「良いですか?? ソラアムさんが仰っていた三つの部屋がこの先にあると考えられます。一つの部屋を突破するのに時間を掛けてしまえばレイドの身に危険が迫る確率が高くなります。しかし、分隊を三つに分け。その内の一つが他の部屋よりも早く攻略をすれば、救出に割く時間が短縮されます」




「それ、単純にあんたが楽しもうって考えじゃないわよね??」



 マイが片眉をクイっと上げて話す。


 ユウの顔で行うと違和感がありますね。



「いいえ、違います。では、班分けは……。私とルー。マイとユウ。そして、リューヴとアオイの三隊に分けます。入れ替わった者同士なら上手く連携が取れるでしょうからね」



「う――い、了解。マイ、宜しくなっ」


「おうよ。私の前を進む許可を与えてやろう」



 私の指示通りに別れ、装備を確認し終えると三つの通路を正面に捉えた。



「カエデちゃん……。私達はどの通路に進む??」



 むっ……。実に迷いますね……。



「――――。では、一番左の通路に進みましょう」



 迷いに迷った私は一番左の通路へと歩みを進めた。



「じゃあ私は折角だからド真ん中を選ぶわ!! ユウ!! ランタン持ってんだから先を歩けや!!」


「へいへいっと……。後、折角の意味が分からん」



「では、私達は右の通路になりますわね」


「あぁ、そうだな。慎重に進んで行こう……」



 ふふ……。


 敢えて一番左の通路を選ぶ私の勇気っ。


 隊長である私は危険な道を進むべきなのですよ。



「ねぇ、カエデちゃん。どうして一番左の通路を選んだの??」



 私の背後から、私の臆病な声色が届く。



「皆さんは知らないかと思いますが、人は咄嗟に道の選択を迫られた時。『右の道』 を選ぶ癖があるのですよ??」



 勿論、これは嘘です。


 人は咄嗟に左の道を選ぶ確率が高いと言われていますからね。


 つまりっ。


 この素敵な地下を構築した主が危険な道を作るとしたら。正面通路から見て左側の通路の方が、危険度が高くなる確率が高いのです。



「じゃあリュー達の方が危険って事ぉ??」


「あくまでも確率の話です」


「確率ねぇ……。じゃ、じゃあどの道危ない道を選ぶ確率はぁ……」


「危険度が高い道が一つあるとしたのなら、三分の一ですよ」


「なぁんだ!! それなら意外と大丈夫そうだねっ!! カエデちゃんも居るし、怖い物無しだよ!!」



 ふふふ……。


 それはどうでしょうかねぇ。私は罠が見えていたら敢えてその罠を踏みますよ??


 さり気なく、そして帰責事由が無い所作でね……。



「探検っ、探検っ。カエデちゃんと楽しい探検っ」



 臆病風に吹かれた声色から一転。


 陽気な声色に変化した彼女の声を背に受け、堂々たる足取りで深い闇が待ち構えている奥地へと進んで行った。

















 ◇





 体中を襲う激しい痛みと平衡感覚を大いに狂わせるふざけた回転運動。


 急な斜面を落下して行く感覚に目を白黒させ、時折口の中から痛みを堪える叫び声を上げていると……。



「うげぶっ!!!!」



 落下し始めてから一番の痛みが後頭部を襲い、漸く落下運動が停止してくれた。



「いてて……。一体何があったんだよ……」



 どこぞの誰かに殴られた痛みと同程度の痛みに辟易しつつ立ち上がると、周囲に映ったのは正しく何も捉える事が出来ない虚無であった。



 目をじぃっと凝らしても見えるのは黒き闇。



 そして、視覚を奪われた所為か。他の五感が多大に刺激され聞きたくもない不気味な音が鼓膜を刺激する。



 え?? 何、ココ。


 物凄く怖いんですけど……。



 カサカサ、と。何かが地面を這う乾いた音。


 ぴちゃぁっと、何処からともなく滴り落ちる水滴の音。



 恐怖感を多大に増長させる音から逃れようと両手を前に翳して進むが……。



「行き止まり?? いや、壁か??」



 粘土質の土壁の触感を手の平が捉え、壁を伝いつつ右回りで進むが。どうやら俺は四方を土の壁で塞がれた密閉空間に落ちてしまったらしい。



「参ったな……。転げ落ちて来たって事は恐らく此処は地下だし。どうやって脱出するか」



 せめて明かりが欲しいのだが、装備は地上。


 賢い海竜さんみたいに光球を出現させる魔法も使用出来なければ、マイみたいに口から炎も吐けぬ。



「正に八方塞がりだな!!」



 こうして声を出さないと、そこかしこに存在する闇によって生まれてしまう恐怖感に押しつぶされそうになってしまいますからね!!!!



 さて、適当に壁をぶん殴って突破を試みようとすると……。



 壁の隙間。


 若しくは天上付近からシュゥゥゥゥ――っと、空気が漏れて来る音が響き始めた。



「空気が入って来たの……。うっ!? く、くっさ!!!!」



 何だよ!! この匂い!!



 砂浜に無残に転がる腐り果てた魚と、誰も手を付けなくて数か月間放置されて腐りに腐った卵の匂いが混ざった臭いに思わず顔を顰めてしまう。



 腕で口元を隠そうが皮膚から染み込もうと躍起になる匂いに辟易していると、爪先から力が抜けていく感覚を覚える。



 正確に言えば、頭の命令を体が拒絶し。言う事を聞かなくなってしまう麻痺にも似た感覚だな。



「な、何だよ!! 止めてくれ!! 此処には生きた人間が居ますよ――!!!!」



 咄嗟に床へと伏せ、口元を覆いつつ叫ぶがそれでも空気の挿入は止まらず。闇で満たされた部屋に臭気が充満していく。



 く、くそっ!!


 こうなったら!!!!



「すぅぅ――……。んむっ!!!!」



 地面付近に沈殿した比較的新鮮な空気を名一杯肺へと送り込み、両手の指で口と鼻を閉ざし。


 瞼をぎゅむっと思いっきり閉じてやった。



 自然環境で密室空間を作り上げる事は不可能に近い、そしてこの鬱陶しい臭いの空気もいつかは止まる筈。


 つまり!!


 臭い空気が薄れるまで、息を止めて待てばいいのさ!!


 我ながら名案を思い付いたと考えたのだが……。



「…………」



 空気の注入は止まらず、それ処か勢いを増して来ている気がする……。



 く、くそう!! 根競べなら負けんぞ!!



 数分間湿った地面の上で身動き一つ取らないでいると、体の中に生まれた窒息感から一つの提案が示された。



『よぉ。空気、吸っちゃえよ』



 馬鹿じゃないのか!? 人の体を麻痺させる成分が含まれている空気だぞ!?



『大丈夫だって!! 死にやしないから!!』



 まぁ……。空気を吸っても麻痺するだけだから、多分大丈夫だとは思いますけども……。


 いやいや!!!!


 駄目だって!! 吸ったら!!



 苦しさから目頭が熱くなり、無意味に足をバタつかせ、死に至らしめる窒息感から解放を望んでいると。


 俺の意思とは無関係に肺が空気を欲してしまった。



「ぶっっはぁぁああああ!!!!」



 臭くても、麻痺しても良い!!


 窒息死するよりもマシだからね!!



 この部屋一杯分の空気を肺へと送り届け終えた刹那。



「うぐっ!?!? ゴフッ!! ウェッ……」



 四肢が動きを止め、そして意識が白む霧に包まれてしまった。



 や、やべぇ……。体が全くうごか……。



 岸に上がった魚みたく口をパクパクと動かしていると、心地良い眠りへと誘われてしまった。



「カ、カヒュッ……」



 駄目だ……。


 動けない……。


 口から零れ落ちる唾液を拭う事さえも叶わず、うつ伏せの状態で意識を失う刹那。



「…………」



 誰かの足音が聞こえた気がしたが……。


 抗いようのない眠気に降参し、そのまま俺の意識は白一色に包まれてしまったのだった。




最後まで御覧頂き、誠に有難う御座いました。


さて、皆様。


大変長らくお待たせいたしました!!


先日提案させて頂いた、読者様参加型の御話を次話にて掲載させて頂きます。



方法は至って簡単です。


次話の御話の中で彼女達に出題される問題から、私が選びました問題の解答を活動報告内の解答用紙のコメント欄に書き込む仕組みです。


どれだけの方々が参加して頂けるのか不明瞭ですので、解答用紙は十五枚を予定しております。


次話掲載後、非公開になっている活動報告を一般公開にして解放させて頂きます。


コメント欄に既に掲載があり、自力で解答したい場合はコメント欄が未記入の解答用紙を御利用下さい。



詳しい問題内容は次話の中、そして後書きにてご確認下さいませ。


コメント欄、並びに活動報告内の解答用紙は数日間掲載の後に削除させて頂きます。


勿論、解答して頂いた方に対しては解答用紙内で礼を述べさせて頂きますので気軽に参加して下さいね。



それでは、皆様。おやすみなさいませ。

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