第八十八話 開催!! 肉の祭典!! その二
お疲れ様です。
本日の投稿になります。
それでは、どうぞ!!
里の通りは以前と変わりなく活気に溢れていた。
傾きかけた太陽さんの放つ光に対して甲乙つけがたい明るい笑みを浮かべてすれ違う女性。
農作業の帰りなのか、ちょいと首を捻りたくなる大きさの鍬を担いで自宅へと戻って行く男性達。
何処に目を向けても明るい光が満ち溢れている。
本当、良い場所だよなぁ。この里……。
可能であるのならばドンっと腰を据えて一、二か月滞在しても良いのかもしれない。
最高な環境下でボーさんに筋力鍛錬を受け賜わり、フェリスさんから料理の指南を頂く。
正に至れり尽くせりだ。
只……。
今もジンジンと疼痛を発生させる腰の痛みさえなければ、もっとこの里の素晴らしさを享受出来るのですがねぇ……。
それが残念です。
「よぉ、どうしたのよ。腰が悪いご老人みたいに頼りない足取りしちゃってぇ――」
先頭を行くユウの右隣り。
瀕死の重傷から瞬く間に復活を遂げ。
通りの両脇で笑顔を振り撒く人達よりも数段明るい笑みを浮かべるマイが悪びれる様子も無く此方へと振り返った。
「――。別に」
普通に、そして無警戒のまま歩いていた所。
一切予見出来ぬ雷撃を腰に食らったら誰でも腰を痛めるでしょう?? それだけじゃなく。
何度も地面の上を撥ねたら生まれたての小鹿さんも。
『だいじょうぶですか??』 と。
温かい眼差しを浮かべて労ってくれるだろうに。
そして、何故俺だけに標的を絞ったのか。
甚だ疑問が残りますがこれ以上は不毛な議論ですので問いません。
「ここの里は物々交換だったな。出発する時に幾らか物資の補給をしておきたいんだけど……」
現金が使えないのが少し不便だ。
まぁこの森に住むのに現金は不要だから文句は言えまい。
「父上に付けとくよ。あたしが後で言っておくからさ」
「それは悪いよ。ボーさんに後で御金を支払うから」
対価を払わずに物を貰うのは流石に、ね。
「いいって。ほら、あたしもレイドからお金貰っているし。それでチャラだって!!」
「分かった。じゃあ御言葉に甘えさせて貰おうかな」
「へへ!! じゃあ野郎共!! あたしに付いて来い!!」
ニッ!! と軽快な笑みを浮かべて、遠く見えて来た大きな屋敷へと力強い足取りで進んで行く。
「ユウ!! 久々!!」
「おう!! 元気にしてる??」
「ユウちゃん!! 後で寄ってよ!! 美味しいパンあるからさ!!」
「後でね!!」
力強い歩みを見付けた人々が族長の娘に対し声を掛け、その一人一人に笑顔で応えている。
ユウらしい、人を温かい気持ちにさせてくれる笑顔だ。
「…………。こうして見ると、ユウちゃんって親しみやすいお姫様って感じかなぁ」
その後ろ姿を見つめているルーがしみじみといった感じで声を上げる。
「と、言いますと??」
建物の作りが珍しいのか、それともその……。すれ違う女性達のアレが弾む姿が気になるのか……。
周囲へと忙しなく視線を送り続けているカエデがルーの声に答えた。
「ほら、アオイちゃんは冷たい蜘蛛の女王様ぁって感じだけど。ユウちゃんはどことなく安心できて、優しさを持っているお姫様って感じじゃない??」
「ちょっと。それでは私が冷酷な心で人々を支配するようではありませんか」
その発言に憤りを覚えたアオイがルーへと呆れた視線を送る。
でもその感覚は分からないでもない。
こうやって見ていると、どの人も一様に笑顔でユウに話しかけている。
それはやはり心の底から信頼している証拠だからであろう。
「違うの??」
「違いますわ!! でも、まぁ。レイド様以外の殿方には冷たくあしらいますけど。ねぇ――、レイド様っ」
右腕に体を甘く絡め、男心を擽る瞳で見上げて来る。
「アオイ、歩き難い」
「うふふ。私は大丈夫ですわよ??」
「おら、さっさと離れろや。腰痛持ちの貧弱野郎」
普段の会話、そしてやりとりを繰り広げていると件の屋敷の前に到着した。
「はぁ……。相変わらず大きいな」
見上げんばかりの大きな扉。
ずぅっと奥に続く木目が美しい左右の壁と背の高い屋根。
ミノタウロスの皆さんは体が大きいので、それと比例する様に建物が巨大になるのも頷けますが。この屋敷は里のソレと比べると、頭一つ飛び抜けていますからねぇ。
一族を束ねる者が住む建物、ね。
師匠の様に慎ましい小屋に住むのは従える人々に手本を示す形であり、このドデカイ建築物の様に。権力者が住むに相応しいと一目で理解出来てしまう屋敷を建てるのもまた一つの形。
どちらが正しいのかは、それは捉える人。そして生まれ育った環境によって異なるので一概には言えないが……。どちらかと言えば、俺は師匠の様に手本を示す方が好きかな。
勿論?? ボーさん達が間違っていると考えている訳ではありませんよ??
好みの話ですからね。
「そうか?? ただいま――」
俺の感嘆の声を受けると巨大な扉に手を添え、実家に帰って来た時に放つ安心しきった声を放ちながら扉を開いた。
「おぉ――!! 中も広いね!!」
彼女の後に続き、御屋敷にお邪魔させて頂くと。
ルーの燥いだ声が上空の天井板に反射して、此方の予想とは真逆の方向に曲がって飛翔して随分と間延びした声が玄関口に響く。
これだけ広い空間だ。
普段通りに聞こえる方が難しいか。
「それ程でもないよ。さ、挨拶に行くぞ――」
ボーさんとフェリスさんが居られる部屋へと続く正面扉へと向かう。
「ユウちゃんのお父さんかぁ。どんな人だろう??」
扉の先へと出ると、体が弛緩してしまう木の香りが漂う廊下へと出る。
前も通ったけど。
この廊下……。何でこんな良い香りがするんだろう?? 使用している材木が違うのかな??
「そうねぇ。ユウを男にして、モッサモサの筋肉を付けた感じかしらね??」
見当違いの方向の的を射たマイの発言が飛び出す。
「マイちゃん、申し訳ないけど全然分からない」
そりゃそうだろうね。
「鋭い目付き、丸太の様な腕。体に刻まれた傷跡は歴戦の戦士の姿を彷彿させる。でも厳しい中にも優しさが滲み出るような、そんな穏やかな心を持った人だよ」
頭の中に残る、ボーさんの姿を思い描いて口に出す。
いつか、俺も……。あんな風に一睨みで人を慄かせてしまう風貌を是非とも得たいものさ!!
「成程ぉ。レイドの方が分かり易いねぇ」
「マイは思った事を良く考えずに言葉に出すからなぁ。お、着いた」
ユウが大きな扉の前で歩みを止め、扉を軽く叩き。
「すぅ――……。ユウです」
少し強張った声で久方ぶりの帰宅を告げた。
「……。入れ」
「失礼します」
彼女を先頭に続いて広い部屋に足を踏み入れると、ボーさんとフェリスさんが以前と変わらぬ姿でこちらを待ち構えていた。
「父上、母上。只今戻りました」
一列横隊に並ぶ此方からユウが一歩前に出ると、ボーさんとフェリスさんの前で頭を垂れる。
「うむ。レイド、久しいな」
「はい、お久しぶりです」
俺も彼女に倣い、確と頭を垂れてボーさんに挨拶を交わした。
相も変わらず凄い威圧感だな。
一段昇った所の王座、とでも呼べばいいのか。そこから巨躯で見下ろされると萎縮しちゃうよ……。
「今日は一体どういった用件で??」
厳しい鷹の目を浮かべるボーさんの隣。
彼とは対照的に柔和な目元を浮かべるフェリスさんが空気を柔らかく振動させて言葉を放った。
「はい、実は……」
此度の任務の内容、そして里の近くを通過させて頂くので。その挨拶の為に立ち寄った事を端的に伝えた。
「そうでしたか。それは態々有難うございます。ユウちゃん、レイドさん達に御迷惑を掛けていないわよね??」
フェリスさん独特の柔らかい雰囲気に狼狽えたのか、それとも皆の前で近況を話すのは憚れるのか。
「母上……」
ぽぅっと頬を朱に染めて項垂れしまった。
俺が代わりにユウの近況を答えようかな。二人共愛娘の土産話を聞きたくてうずうずしていますし。
「ユウさんは大変頼りがいのある仲間です。率先して重い荷物を運搬して隊の疲労を軽減、戦闘ではその力を遺憾なく発揮し素晴らしい戦果を挙げています。それだけでは無く……。仲間を想い、輪を重んじる。彼女無くしては任務の達成は難しい事が多々ありました」
まだまだ言い足りないけども、此処から先は親子水入らずの時にでも話せばいいでしょう。
「まぁ!! ユウちゃん凄いじゃない!!」
「ちょっとレイド……。恥ずかしいからやめてくれ……」
今にも頭の天辺から湯気が出てしまいそうに顔を真っ赤に染めて此方を制す。
「何で?? 思った事をそのまま伝えたんだけど……」
「ハハハ!! ユウ、頑張っているじゃないか。俺も鼻が高いぞ!!」
「うふふ、私も嬉しいわ。ユウちゃんが皆のお役に立っているなんて」
二人が軽快な笑みを浮かべると、先程まで漂っていた硬い雰囲気が霧散。
代わりに温かく優しい柔和な空気が訪れた。
旅立った愛娘が成長を遂げて帰って来たんだ。
そりゃあ嬉しい筈だろうさ。
天涯孤独の身で生まれた俺にとって真の家族愛については一生理解出来ないけども。
もしも家族が居たのなら。こうして偶に帰省しては笑い合いながら仕事や私生活について語り合うのだろうか……。
己自身の生まれ育った環境を怨み、憎み、恨む訳では無いけど、少しだけ。
そう、本当に。砂粒程度に少しだけ……。
素敵な『家族』 を持つユウが羨ましいと感じてしまった。
きっとこの温かい空気がそう感じさせたのだろうさ。
これからも俺の家族はずっと一人。
しかし、仲間や友人が側に居てくれる。それ以上何を望むのか。
駄目だぞ、卑しい自分よ。
無いもの強請りしては……。
「それで……。後ろにいる人達は??」
ボーさんがカエデ達に視線を移す。
「蜘蛛族のアオイと申します」
「海竜のカエデと申します」
「狼族、リューヴです」
「同じくルーで――すっ」
各々が自己紹介を始め、ボーさん達に軽く頭を下げた。
「狼と海竜……。ほぉ……」
リューヴ達とカエデに対する瞳が何だか……。
温かい眼差しに変わりましたね??
「オホンッ!! 自己紹介が遅れた。俺はユウの父、ボー=シモン。隣にいるのが妻のフェリスだ」
「皆さん、宜しくね??」
にこりと柔和な笑みを浮かべるのですが、こんな優しい笑顔でも怒ると怖いんだよなぁ。
森の中でクレヴィスを豪快に吹き飛ばしたあの豪拳が脳裏に刹那に浮かんでしまった。
「今日は泊まって行くんでしょ??」
「そう考えているけど……。レイド、どうする??」
ユウが此方に顔を向けて問う。
「ボーさん達に不都合がありましたのならこのまま出発しようかと考えております」
人様の家で堂々と飯を食らい、剰え温かい寝床を頂く訳にはいかないよ。
「嫌よ!! 私はユウの母ちゃんの御飯を食べるまで。絶対此処から動かないからね!?」
本当にお願いします。
貴女は遠慮という言葉を覚えて下さいっ!!!!
「そうだ!! 泊まっていけ!! 部屋は自由に使ってよい。此処で英気を養い、任務に当たれ!!」
ボーさんがそこまで仰るのなら……。
「では、御言葉に甘えさせて頂きますね」
彼に対して再び確と頭を下げ、礼を述べた。
「それで……。ユウよ、ちゃんと鍛えておったのだろうな??」
優しい目付きから一転、厳しい視線をユウに向ける。
「はい。滞りなく」
「では……。貴様の熱き魂を見せてみよ!!!!」
椅子から豪快に立ち上がると、丸太をも越える太い腕を揺らしつつユウの前に進む。
「分かりました」
ユウがシャツを捲り、床に伏せ。雄の塊である剛腕を直角に曲げて彼を待つ。
ま、まさか。
真の雄を決める熱き戦いが繰り広げられるのですか!?
「ふんっ。こうして腕を組むのはいつ以来だ??」
「数年振りであるかと思います……」
互いに緊張した面持ちでガチッ!! っと手を組み。
「「……」」
お互いの手から流れ込む心地良い雄の波動を堪能していた。
雄は雄を嗅ぎ分ける力を備えている。
つまり!! あぁして互いに笑みを浮かべているという事は、互いを雄であると認めているのだろう!!
『ちょっと、また腕相撲??』
マイが小声でこちらに話しかけて来る。
「腕相撲?? いや、違う。あれは雄を証明する為の行為だ」
「――――。はぁ??」
ふふっ。
それが分からないようじゃあ、まだまだ雌である証拠さ。
俺は理解したぞ。
この里は……。雄の聖地だ!!!!
「それではぁ……。始めっ!!」
フェリスさんの号令と共に、両者の雄が膨れ上がり。互いの雄度を測る熱き魂の証明が開始された!!
「ふぅんっ!!」
「ぐっ……!!」
ユウの雄度は正直、常軌を逸している。
俺達の中でもそれは群を抜いているであろう。
しかし、ボーさんの雄はユウの雄よりも二回りほど太く、そして高く!!
積載されている雄の魂の桁が違うのは火を見るよりも明らかだった。
「どうした?? まだ本気を出さないのか??」
ユウの手の甲が徐々に木の床へと接近し、雄祭りが終わりを告げようとしたその刹那。
「ずぁぁああああっ!!!!」
「な、何ぃ!?」
な、何んと。
雄の魂が再燃し、彼女の山が目を疑うばかりに膨れ上がるではありませんか!!!!
はち切れんばかりに膨れ上がった雄の塊は服を、そして皮膚を押し上げ。それはレノアさんとの証明で見せた山をも余裕で超える高さを築き上げてしまった。
う、嘘だろ……!?
ユウ!! それはもう山じゃない!!
そう……。空だっ!!
山を越え、空高く飛翔した雄の魂は決して地に落ちる事は無く!! 何処までも羽ばたいて行けるだろうさ!!
「ユウの奴、やるな」
ふふ、分かるぞ。リューヴ。
比べっこが大好きな君の事だ。恐らく、内に孕む雄が顔を覗かせたのだろう。
煌びやかな瞳を浮かべて雄のぶつかり合いを見ているのが良い証拠さっ。
「くっ……。まだまだぁぁああ!!」
「うぅっ……!!」
ユウの空に驚きはしたが、ボーさんにとってそれは想定の範囲内といった所か。
直角に曲がった空を再び地に着けようと溢れんばかりの雄度で抑え付けてしまった。
「ユウ!! 何やってんの!! 気合入れなさいよ!!」
「ユウちゃん頑張れっ!!」
「貴女ならやれますわ」
「私の腕力ならその程度、余裕で押し返せますよ??」
知らず知らずの内に雌達もその死闘に魅入っていた。
友人が雄を証明しようとしているのだ、自然に声が溢れてしまいますよね!!
只……。
海竜さんの言葉には疑問が残りますけども。
「頑張れぇ!! ユウ!!!!」
俺の内に潜む雄の雄叫びを上げると。
「よっしゃぁぁああ!! やってやらぁぁああ!!」
ユウの空が炸裂し、劣勢を跳ね除け。再び空を直角の位置に戻してしまった。
そうだ!! いいぞ、ユウ!!
手に汗握る魂の衝突が部屋に充満する空気を熱波に変え、皆の闘志に火を灯す。
此れこそ……。
肉の祭典だ!!!!
いや、雄の祭典だな!!
「ふふ、俺は嬉しいぞ?? 良くぞ……。ここまで鍛えた」
ボーさんが額に汗を浮かべつつも柔らかい表情を刹那に見せると。
「ふぅぅぅぅんぬぅっ!!!!」
彼の袖の服が粉々に吹き飛び、比べるのも馬鹿らしくなる程の雄が飛び出して来た。
な、な、何!?
一体どうしたら……。いいや、どうやって鍛えたら貴方の様な雄を身に付ける事が出来るのですか!?
ボーさんのそれは例えるのなら。
宇宙に浮かぶ煌びやかな星々だ。
空よりも遥か高みに存在する無限の宇宙に空は勝てる術を持たぬ。
「いでぇっ!! く、くそ……。参りました」
豪快に床へと叩きつけられた手を痛そうに振りながらユウが降参の言葉を放ってしまう。
「本気を出したのは久々だ。流石、俺の娘だ」
優しい笑みを浮かべ、その大きな宇宙でユウの頭を撫で。
素晴らしい雄の祭典が終了を告げてしまった。
「恥ずかしいからやめて……」
「ワハハ!! そう恥ずかしがるな!!」
く、くそう……。
この煮え滾った熱き雄の魂は何処にぶつければいいのやら……。
出来る事ならば、今直ぐにでも一戦交えたい気分だよ。
「さ、皆さん。お疲れでしょう。夕食が出来るまでの間、お部屋で休んで下さい。ユウちゃん、皆を案内してあげて??」
「分かりました。レイド、行こうか」
体に付着した僅かな埃を手でパパっと払い、扉へと向かう。
「失礼しますね」
春の陽射しにも似た柔らかい光を放つ二人の笑みに軽く会釈を放ち、廊下へ出ると。
「――――。い、いっでぇぇええ!! う、腕が捻じ切れたぁ!!!!」
「ぎゃはは!! ユウ――!! 腕、パンパンじゃん!!」
大粒の涙を瞳に浮かべて泣き叫ぶ彼女の後に続き、以前御借りした部屋へと向かって行った。
――――。
「ユウちゃん、成長していたわね」
彼女の母親が静かに閉じられた扉を愛しむ様に見つめてそう話す。
「あぁ、それも見違えるほどにな」
彼も又彼女と同じく、外見とは真逆の瞳で彼女達無き跡を眺めていた。
「ふふ。そろそろ世代交代、かしら??」
「まだ俺は現役だ。そう安々と抜かれる訳にはいかん!!」
「ふぅ――。もぅ、強情なんだから」
彼女が大きな溜息を吐き、椅子の背もたれへと体を預けた。
「それより……。例の物は??」
体の前に剛腕を組み、意味深な笑みを浮かべて彼女を見つめる。
「えぇ、勿論。食事の後に出す予定ですよ……」
「そうか!! レイドよ、申し訳無いがこちらも世継ぎを期待しているんだ。悪く思うなよ??」
「「ふふふ……。あはは……!!」」
「っ!?」
二人が天井板を震わせる豪快な笑い声を放つと、天井裏に潜む鼠が何事かと思い足を止めて最大級の警戒を放つが……。
「初孫、か。俺は男が良いな!!」
「私は元気で産まれてくれれば、それだけでも幸せですよ」
「……」
二足歩行の生物が放つ他愛の無い会話だと理解して警戒を解除。
大好物の餌を求めて。闇の奥へと四つの足を器用に動かして向かって行ったのだった。
最後まで御覧頂き有難うございます。
秋の香りが強くなってきましたが、季節の変わり目は体調を崩し易いので。体調管理には気を付けて下さいね。




