第二百話 素敵な目覚めと出会い その二
お疲れ様です。
後半部分の投稿になります。
「ちょっと先生!! いつまでソイツの面倒を見ているのよ!!!!」
イイ感じに経年劣化した扉から何かを蹴り飛ばす勢いで出て来たのはやたらと赤が目立つ髪の女性であった。
口調と同じ様に活発な表情を浮かべており、唐紅の髪も相俟って明るい笑みが凄く似合っている。
身長は彼女と一緒に入って来た他の子達よりも頭一つ抜けて大きく顔立ちからして十代中頃といった所か。
快活な印象を与える口調であり背の高さの割にお胸が大変、凄く、猛烈に残念な事もあって男勝りな印象を人に与える。
「そ――そ――。私はむさ苦しい男から格闘術を習う為に此処に来たんじゃないの」
濃い桜色の髪の女の子が溜息混じりにマリルさんの背を見つめる。
思わず触れてしまいそうになる艶の髪の先端を細い指先でクルクルと弄り気怠そうな表情を浮かべており、ちょっとだけ背伸びした年不相応の短めのスカートから覗く足の肌は大変肌理が細かい。
丸みを帯びた大きな目、顔の中心を真っ直ぐ走る鼻筋に山の稜線も思わず嫉妬してしまう完璧に近い角度の顎の流線。
十に届くのか届かないのか。
そんな年端もいかない顔立ちにも関わらずこの子は将来確実に美人になるであろうと他者に思わせる顔立ちだ。
「御二人共、先生の前ですわ。静かにしなさい」
お胸が残念な子と濃い桜色の髪の子を咎めたのは白雪を彷彿させる白き髪の女の子だ。
他の子よりも随分と達観した口調でありながらもその顔立ちは唐紅の髪の子と同じく十代中頃の少女である。
少しだけキツイ目元、横に綺麗に流れる眉の線。
白雪の髪の子も桜色の髪の子と同じく将来が大変楽しみな端整な顔立ちだ。
「つかれたから今日はもう休もうよ」
ワイワイと騒ぐ子達の最後方の薄い紫色の髪の子が何だか悲しそうな口調で皆の背に話し掛ける。
顔立ちは凡そ七つ程度の幼いものであり、皆の喧しさに辟易しているのかそれとも彼女達を御せぬ自分に自信が無いのか。眉の角度は外側に向かって徐々に下がっている。
五名の少女の中で最も背が低く華奢な体躯もあって何だかちょっと頼りなさそうな印象を人に与えた。
「んぉ!! 何じゃ!! 目覚めたのか!!!!」
そして最後に部屋に入って来たのは眩い金色の髪の少女だ。
ニパッ!! と笑う笑みが丸い顔に良く似合いピョンっと嬉しそうに跳ねる所作が人により幼さを印象付ける。
他の子は何処にでも見かける服装を着用しているのにあの子だけは濃い青色の袴と頑丈な上半身の服装、つまり世間一般から道着と呼称されるモノを身に纏っていた。
紫色の髪の子よりも少しだけ高い背、何でも吸収したがる年頃の子に誂えた様な活発な口調。そして小さな体からは元気の光が常に漏れている。
もしかして太陽の子なのでは?? と有り得ない妄想を抱いてしまう子なのだが、背に生えている三本の尻尾が俺の目を惹き付けてしまった。
何であの子は尻尾が生えているのだろう……。
形態変化が苦手なのかそれともそういう種族の魔物なのか。
それは窺い知れぬが左右にピッコピッコと揺れる尻尾が人に対して陽性な感情をより強く与える一因を担っていた。
「あ――!! 本当じゃん!! 起きてる!!」
「こら、フィロ。ダンさんは病み上がりなんだからもう少し静かにしなさい」
「嫌よ!! ねぇあんた!! ハンナ先生ってめっちゃ強いわね!! 世界最強を目指す私でもちょっとヤバって思うし!!」
「ふぅん……、ダンって言ったっけ。あんた面白い体の構造をしているわね」
「それにダンはハンナ先生と同じ位に強いらしいわね!! 適度に殴ってみたいからちょっと面に出なさいよ!!」
あ――、もう。折角大人の女性と素敵な時間を過ごしていたってのに……。
数十秒前の静寂を返して下さいよ。
「えっと……。申し訳無いけど俺は目覚めたばかりだからさ。一つ一つ順を追って質問に答えるからちょっと待って」
「私が最初よ!! ほら、さっさと立て!!!!」
昨今の女の子はこうも積極的なのかしらねぇ。
違う方面での積極性は大歓迎なのだが、今からぶん殴られる事を前提として急かされるのは勘弁願いたい次第であります。
「オホン、皆さん?? ちょ――っとだけ静かにしましょう??」
マリルさんが一つ咳払いをして彼女達に向かって御顔を向けると。
「「「「「ッ!?」」」」」
全員がカッチコチの石像に固まってしまった。
ん?? 何か変なモノでも捉えたのかしら??
興味本位、じゃあないけども。彼女達が固まってしまった理由を探る為にマリルさんの表情を窺おうとするが。
「ハンナさん達には既に自己紹介を終えていますので私から簡易的にではありますが彼女達の自己紹介をさせて頂きますね」
残念無念。
マリルさんが此方に向かってクルっと振り返ってしまったのでそれは叶わなかった。
「あそこの唐紅の髪の女性の名前はフィロです。先程も説明しましたがガイノス大陸から此方に渡り現在は此処で勉学に励んでおります」
「よろしくぅ!!!!」
あ、どうも。
自己紹介が始まると同時に石像状態を解除したフィロが俺に向かって軽やかに右手を上げたので此方も一つ小さく頷いてやる。
「白き髪の子の名前はフォレイン=サイファ=スピネ。この森から東に向かった所で静かに暮らす蜘蛛一族の子ですよ」
「以後宜しくお願い致しますわ」
へぇ、蜘蛛一族か……。
噂では聞いた事があるけどこうして実物を見るのは初めてだな。
「あそこでちょっと気怠そうにしているのはエルザード=レ=ウルカ。この大陸の北東でひっそりと森の中で暮らす淫魔の子であり、今は私が面倒を見ております」
「ちょっと、面倒とか言わないでよ。私は自分の意思で里を出たんだから」
淫魔と呼ばれる魔物も初めてお目に掛かりますね。
淫魔は確か皆一様に色っぽい姿を浮かべていて、男共を誘惑するイケナイ魔物であると誰かから聞いた事がある。
夢の中で、現実世界で。二つの世界で男共にすんばらしい夢を見せてくれるという噂もあの子の容姿を見れば納得出来るな。
「続いて、忙しなく三本の尻尾を揺らしているのはギト山に暮らす狐一族のイスハ=ヴォルペ。研鑽を積む為に私の下へとやって来ました」
「よろしくなのじゃ!!」
此方こそ宜しくお願いします。
そんな意味を籠めて一瞥を放つが、イスハの顔よりもど――しても後ろの尻尾が気になってしまうのでついつい後方に視線を送ってしまう。
「そして最後に、この中で最年少のミルフレア=スターチス。ラミアと呼ばれる魔物の子で訳合って今は私の下で勉学に励んでいますよ」
「……っ」
ミルフレアは人よりも少々人見知りなのか、俺と目が合うと直ぐに視線を真下に落としてしまう。
小さな子供にとって此方は大きな大人。しかもそれが男性だと気後れしてしまうのは致し方が無いって所かしらね。
「今説明して行った順番が此処に訪れた順序です。つまり、私の一番弟子はフィロという事になりますね」
「成程、態々説明して頂き有難う御座いました」
マリルさんに向かって深々と頭を下げて感謝の意を表し、そして速攻で頭を上げると猛烈に気になっていた事を指摘してやった。
「彼女達がどういった人達なのかは理解出来たんだけど……。シュレン、何でお前さんはミルフレアちゃんの手に掴まれたままなんだ??」
そう、この一点だけがど――も気掛かりであったのだ。
幼子が小さな鼠を両手で大事そうに掴んでいたのなら誰だって気になるだろう。
「こ、これは修行の一環だ」
「はい??」
お尻の可愛い鼠ちゃんが小さな口を開いて意味の分からん台詞を吐いたので思わず首を傾げてしまった。
「潜入任務の類と捉えて貰って構わん。世には鼠の人形が多く溢れておりそ、某はそれに紛れて潜入する任務を想定している」
い、いやいや。それはど――考えても無理がある答えですぜ??
「ふふっ、ミルフレアは以前から人形を欲しがっていたのですよ」
マリルさんが温かな眼差しでいたいけな少女に掴まれている鼠を見つめる。
「まぁもう一匹の馬鹿鼠よりもシュレンの毛並の方が艶々で撫で易いからなぁ……」
フウタの毛並は何だかゴワゴワしているし。それに比べてシュレンの毛並はサラっと心地良い撫で心地なのだ。
しかも、お尻の方の毛並は背のソレよりも抜群に柔らかいから撫でるのならお尻の方がお薦めですっ。
「某は人形では無い!!!!」
「シュレン先生。しゃべっちゃダメ」
「むっ、むぅ……」
一匹の鼠が憤りを表す為に口を開くが頑是ない子供のお叱りを受けるとシュンっと耳が垂れ下がり、途端に大人しくなってしまった。
「あはは!! おいおい、忍ノ者が子供の言いなりかよ!!」
「ダン!! 貴様ッ!!」
「ダメ」
「くっ……!!」
高みを目指して日夜修練に明け暮れる忍ノ者がよもや子供の玩具と成り果てているとはねぇ。
全く、寝起きでいきなり笑わしてくれるぜ。
素敵な笑い声が響く部屋の中で心地良い気分を味わっていると強烈な二つの足音が近付いて来た。
「目覚めたのか!!!!」
「よぉっ!! 二人共元気にしていた……」
「ダン――――――――ッ!!!!」
「うぶっ!?」
驚愕の瞳を浮かべている相棒に向かって軽やかに手を上げて目覚めの挨拶を放とうとしたのだが、変態鼠が顔にへばり付いて来やがったのでそれは叶わなかった。
「お、俺様の代わりに倒れちまってぇ!! 体中から血がブワァって出て来た時はもう駄目かと思ったんだぜぇ!?!?」
フウタが四つの足で俺の顔面をギュっと掴み、微妙に獣くっせぇ体をヘコヘコと前後に動かしながら叫ぶ。
「血だらけで死にかけているお前を見ていると俺様は……。俺様はぁ!!!!」
「うるせぇし、くっせぇ。少し離れろ」
鼠の背中側の皮を摘まんで顔面から無理矢理引き剥がしてやる。
「んだと!? 俺様が折角心配してやってるってのにぃ!!」
小さな口をクワッ!! と開いて憤りを放つ。
「それは嬉しいんだけど距離感だよ、距離感。お前さんの体は微妙にくっせぇからな」
フウタの体を抓んだままミルフレアちゃんの方に向かって放り投げてやると。
「フウタはいらない」
お人形を欲しがっていた彼女は放物線を描いて飛来するフウタの体を避けてしまった。
「どいつもこいつも俺様を蔑ろに扱いやがって!!!!」
「普段の生活態度を鑑みれば当然じゃん」
フィロが後ろ足で立ってプンスカと怒る鼠を冷めた目で見下ろす。
「んだと!? テメェ、あれだけボコってもまだ自分が最強だと自負してんな!?」
「そうよ!! まだ一勝も出来ていないけど大分コツが掴めてきたし?? そろそろ一泡吹かせられそうなのよね!!!!」
ふぅん……。マリルさんが言っていた通り、フウタ達は彼女達にちゃんと指導を施していたんだな。
ミルフレアがシュレンの事を、そしてフィロが相棒の事を先生と呼んでいるのがその証拠だ。
そしてフウタだけが先生と呼ばれないのは恐らく、普段から御茶らけた態度を醸し出しているから。そう考えれば矛盾しない。
「だったら面に出ろや!! この無乳絶壁女が!!」
「ぶ、ぶっ飛ばすわよ!? この変態鼠!!!!」
「「「あはははは!!!!」」」
いつもの俺達らしい明るい笑い声が部屋に響き、その雰囲気に流されたまま口を開いて陽性な感情を解き放っていると相棒が無言のまま俺に近付いて来た。
「ん?? 相棒、どうしたんだ?? そんな怖い顔を……」
「ハァッ!!!!」
いやいや!? 何で君は突然俺に向かって殴りかかって来るの!?
「キャァッ!?!?」
恐ろしい虫を発見してしまった主婦と同じ声色の悲鳴を上げ、上半身を無理矢理捩じって暴力の塊を寸での所で回避。
「てめぇ!! いきなり殴りかかって来るのは一体どういう了見だ!!!!」
大変分かり易い憤りを叫んでやった。
今の攻撃速度といい、殺気といい……。コイツ、本気で打って来やがったし!!
「今の攻撃を避けられるのなら問題無い」
「そ、そういう行動で俺の体調の尺度を図るな!! もう少しやり方ってもんがあるだろう!?」
「ふんっ」
俺が激しく唾を撒き散らして叫んでも彼の耳には入らない様だ。
体の前で腕を組んでそっぽを向いてしまった。
「ふふっ、御二人は家族の様に仲が宜しいんですね」
俺達のやり取りを見つめていたマリルさんが柔らかい笑い声を漏らす。
「と、言いますと??」
強烈で激烈な攻撃の襲来によってまだまだ喧しい心臓ちゃんを宥めつつ問う。
「ダンさんが眠り続けている間、ハンナさんは時間を見つけては様子を見に来ていましたので」
ははぁん?? お母さんの容体が気になっていたのねぇ……。
「も、もぅっ。心配なら心配って素直に言ってくれればいいのにっ」
嬉しいんだけどちょっと意地悪したくなっちゃう。
そんな付き合いたての彼女の雰囲気を身に纏い、上目遣いでほぼ童貞の野郎を見上げてやった。
「止めろ、気色悪い」
「その台詞が聞きたいからこうしていつも揶揄っているんだぜ?? さてと!!!! 漸く行動が開始出来る様になったし!? 俺達の当初の目標を達成しようぜ!!」
ベッドから軽やかに立ち上がると相棒の右肩を軽やかに叩いてやった。
そう、あの地図に刻まれた印の意味を探る為に俺達はこの地にやって来たのだ。いつまでもベッドの上で休んでいる訳にはいかねぇし。
「あ、あ――。ダン、その事なんだけどよ」
フウタが気まずそうに小さな前足で後頭部を掻く。
「何だよ、歯に引っ掛かる言い方をして」
「その点に付いては私が説明します」
俺がフウタに問い詰めるとマリルさんが俺の追撃を遮る様に口を開いた。
「ダンさん達が一つの地図に印された正体を確かめるべく、各大陸に足を運んでいる事はハンナさんから伺いました」
深くは尋ねていないと聞いたけど俺達の目標自体は話したのか。
その真意を尋ねるかの様に相棒に向かって視線を送ると。
「……」
彼は俺の視線の意味を理解したのか、一つ大きく頷いた。
「踏み込んだ御話はしていませんがその道中で素敵な出会いがあり、ダンさん達は旅を続けているのだと理解しています。そしてその旅の終着点でもあるこの森には……」
森には??
マリルさんが大きく息を吸い込んだ後、俺に向かって視線を向けてくれる。
「ダンさん達が出会った恐ろしい生物や理の外側に存在する滅魔と呼称される者は一切存在しません」
「えっ!?」
「この森はアイリス大陸に住む者から禁忌の森と呼ばれて恐れられていますがその実態は自然と平和が蔓延る素敵な森です。しかし森の至る所に毒草、毒茸、そしてダンさんが触れてしまった危険性の高い植物が数多く自生しており知識の無い者が足を踏み入れたのなら命を落とす蓋然性がある。恐らく、彼等が忌み嫌っているのは森に足を踏み入れた者が帰って来ない事からだと思われますね」
「えっと、それじゃあ地面の中を移動する化け物の大群とかは……」
「存在しません」
「じゃ、じゃあ!! 巨大な口で森に住まう生命体を全て飲み込んでしまう恐ろしい怪物は……」
「勿論存在しませんっ」
お、おいおい。嘘だろ?? それじゃあ一体何故この森に印が刻まれていたんだよ……。
「俺達はこれまでの法則に従い、この場所には滅魔に繋がる何かが潜んでいると考えていたが……。この森に長きに亘って住まうマリル殿がその様な存在は確認出来ないと聞いた。つまり……」
「徒労って訳ね。はぁ――……。死の一歩手前まで運ばれたのに得られた情報がそれっぽっちなのかよ」
相棒の言葉を受け取ると分かり易く項垂れてしまった。
そりゃそうだろう。
あの地図の真の意味を求めてこの地に舞い降りたのにも関わらず、待ち構えていたのは無なんだぜ??
だが、捉え方によっては違う解釈も出来るよな?? ほら、確かうろ覚えだけど地図にはこの森だけマル印が刻まれていたし……。
つまり、各地に刻まれていたバツ印は滅魔で。マル印は他の何かという意味を見出せないか??
「ダン、貴様が焼却した地図にはこの森にだけマルが打ってあったと言っていたよな??」
相棒もこの事を思い出したのか、ちょいと険しい瞳を浮かべて問うて来る。
「あぁ、その通りだよ。多分これまでとは違う意味の印の筈だ。マリルさん、其方の生活の邪魔は決してしない事を条件に……。申し訳無いけど暫くの間この付近で野営してもいいかな??」
此処まで来て何もありませんからはい、そうですかと易々引き下がれねぇって。
「えぇ、それは構いませんよ。生徒達もハンナさん達と一緒に指導出来ていい刺激になっていますし」
よっしゃ、住民の方に滞在許可を得られたから気兼ねなく危険な森を捜索出来るぜ。
「では、引き続き彼女達に指導を施す事を条件として暫くの間お世話になりますね」
マリルさんに向かって静かに右手を差し出すと。
「此方こそ宜しくお願いします」
彼女は本当に優しい笑みを浮かべて俺の右手を握ってくれた。
さぁ――って!! これまでの法則が通じないって事は相当骨が折れるぞ。
あの人が俺に託してくれた地図の意味を解き明かすまで俺達は此処から決して動かぬ!!
心機一転、緊褌一番じゃあないけれども。気持ちをキチンと入れ替えて危険が蔓延る森を捜索しようとしますか。
「これ!! いつまで先生の手を握っておるのじゃ!!」
イスハが三本の尻尾をピンっと立てて俺とマリルさんの幸せな架け橋を両手で断ち切ってしまう。
「あぁ、ものすんごい手触りが良いからさ。いつまでも握っていたくなったのさ」
「そ、それでは私は仕事に戻りますねっ」
俺が揶揄うと彼女は顔を真っ赤に染めて部屋から出て行ってしまった。
うふふ、初心な姿も堪りませんなぁ!!!!
時間はたぁぁっぷりありますし!? 俺を救ってくれた女神様の堅牢な心の壁を破壊して大人の関係を構築しますか!!!!
「おい、ふざけた事を言っていないで俺達の野営地の設置を手伝え」
此方の邪な感情を見透かした相棒がちょいと強めに俺の肩を掴んで部屋の外へと向かって行く。
「野営地の設置?? 俺が眠っている間に設営準備をしていたのかい??」
「あぁ、その通りだ。暫くの間此処に世話になる事が確定した今。それを確固足る物にする必要があるのだ」
「へいへい。寝起き一番でちょいと体が疲れていますけども手伝わせて頂きますよ――っと」
良い感じに埃の匂いが混ざり合う廊下を引きずられつつそう言ってやる。
これから始まる新生活に対してはちょいと格好悪いけども、俺達にとっては誂えた様に映らないかい??
心地良い森の音と香りが漂う家屋の外に向かって有無を言わさずに引きずられながら一人静かにそう考えていた。
お疲れ様でした。
森に住む者達の紹介を一気に終えたいと考えていましたので長文となってしまいました。
現代編でも馴染のある方々の幼少期の御話がこれから始まります。最終編と位置付けている長編なのでかなり気合を入れないとイケナイのですが……。風邪を罹患してしまい、筆が進まぬ日々が続いております。
体調管理はしっかりとしなきゃいけないと考えた矢先の失態。
全く……。何をやってんだかと自分を責めている次第であります。
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それでは皆様、お休みなさいませ。




