~プロローグ~
お疲れ様です。
引き続いての投稿になります。
空から降り注ぐ陽光は深い森の木々に遮られ細く美しい線となって地上に降り注ぐ。
緑の中に差す光の筋は例え拙いモノであっても地上で暮らす者達の心を温めて今日という日を生きる糧となる。
その光の筋を浴びた一人の少女が陽性な笑みを浮かべて茶と緑が占める大地の上を颯爽と駆けて行く。
「なはは!! そぉら、どうした!? お主達の足のはやさはその程度のものなのか!?」
三本の金色の尻尾を軽快に揺らし、空気の壁を破壊して進んで行く様は森の中で暮らす動物達も素直に驚きを表す程に軽快であり豪快であった。
「冗談!! いつもみたいに私の後に続きなさいよ!!!!」
金色の尻尾を揺らして駆ける少女の隣を唐紅の髪の女性が颯爽と追い抜かして陽性な笑みを浮かべる。
「なっ!? き、きさま!! 魔力をしようするなんてずるいぞ!!!!」
「残念でした――!!!! 先生から魔力を使用するなって言われていませんからね――!!!!」
「ぐぬぬぅ!! 待つのじゃ!!!! 胸の小さなおろかものめ――!!!!」
「誰が残念無念の貧乳だおらぁぁああ!! あんたの尻尾の毛を全部ぶち抜くわよ!?!?」
二人の少女が交わす会話は凡そ年相応のモノではないが、陽性な雰囲気は自然が蔓延るこの森の中に酷く似合っていた。
彼女達が森の奥へ苛烈な勢いを保って姿を消すとそれから僅かばかりに遅れて三名のうら若き少女が小さな体を懸命に駆使して森の中から姿を現した。
「はぁ……。何故私がお子様達の面倒を見なければならないのですか」
「餓鬼に餓鬼って言われるのは心外ね。あんたも私達と然程変わらない年齢じゃん」
「例えそうだとしても年上は敬うものなのですよ??」
「つ、疲れたぁ……。まだつかないの??」
遅れてやって来た三名の少女達の進む速度は先の二名と比べると随分と遅々足るものであり、森に住む動物達は静寂を求めて早く彼女達が此処から去る様に願うが……。
「遅いわよ!! 早く帰らないと先生が昼寝しちゃうでしょう!!!!」
「そのとおりじゃ!! 先生は一度、昼寝におちたら中々起きぬからな!!!!」
先行した二名の少女が颯爽と舞い戻ってしまい、静寂が跋扈する森に相応しくない喧噪が漂い始めてしまった。
「あっそ。だったらあんた達が先行して先生の意識を現実に留めておきなさいよ」
「その通りですわ。猪擬きの貴女達と違い私達は分相応の速度で参りますので」
「五月蠅い!! 隊長である私の言う事を聞いておけば大体の事は何とかなるのよ!! さぁ、勇猛果敢の隊長の後に続けぇぇええええ――――!!!!」
「のわぁっ!? 待つのじゃ馬鹿者!! わしを置いて行くなぁ!!!!」
「勇猛果敢というよりも愚かという言葉が似合う突進ですわねぇ……」
「それ、同感。面倒だけど後少し場頑張るかぁ――」
「もうつかれたよ。早く休みたい」
白き髪の女性が長々と溜息を吐き緑の中を静かな歩法で進み始めると、それに濃い桜色の髪の少女と薄紫色の髪の女性が渋々と続いて行く。
そして森に漂う静かな空気を震わす五つの根源が立ち去ると漸く静謐な環境が訪れてくれた。
森に住まう生物達は静かな環境に身を置き清らかな空気を咀嚼しながら悟った。そう、幸せな時間は有限であると。
我々と同じくこの世に生を受けている彼女達もいつかそれを知る時が来る。
言葉を発せぬ動物達は大地に刻まれた夥しい数の足跡を見下ろし、森の彼方から微かに聞こえて来る喧噪を聞きながらそう考えていたのだった。
お疲れ様でした。
さぁ、いよいよ過去編の最終編が始まりますよ!!
この長編では現代編でも馴染のある方々が多く登場します。そして現代編に繋がる重要な出来事ばかりが起きます。
気合を入れて執筆しよう!! と息込むのは当然なのですが細かい所の調整で四苦八苦しているのが現状ですね。
此処で失敗すると取り返しのつかない事になりますので慎重にプロットを進めて行きますので次回の投稿は少し遅れます。その点に付いては予めご了承下さいませ。
そして、私事なのですが……。最終編の応援じゃあありませんがブックマーク並びに評価をして頂けないでしょうか?? どうか宜しくお願い致します。
沢山のいいね、そしてブックマークをして頂き有難う御座いました!!
これからも皆様の期待に応えられる様に頑張って執筆を続けていきますね!!
それでは皆様、お休みなさいませ。




