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第二十二話 当主の帰還

お疲れ様です。本日の投稿になります。


それでは御覧下さい。




 飼い犬に対し。


 必要な栄養を与え、適度な空間を提供し、適切な休息時間を与え、生を謳歌し終えるその時まで愛する。


 この条件を満たせず、尚且つ。虐待を行う無責任な飼い主には何か罰則を設ける法整備が必要であるとこの身を以て俺は体感していた。



 四つの条件の内、我が飼い主は三つを満たしている。


 幾ら飼い犬が頑丈だからって適切な休息時間を与えないのは条件に反し、犬権侵害を侵しているのだ。


 そう……。我々、飼われる立場である者にも最低限の権利はあるのです!!



 窓の外。


 此方の沈んだ心情をこれっぽちも汲んでくれない燦々と光り輝く太陽の陽射しを、大変重たい瞼を開き。睨み続けながらそんな下らない事を考えていた。




 深夜の呼び出しを食らい。




『ねぇ!! ミノタウロスの戦いは聞き終わったからさ!! 南へ向かって、海に抜けた話をしてよ!!』



 と、飼い主様は。


 俯せの状態で肌理の細かい肌の足を露出しつつベッドの上でパタパタと横着に動かしながら此方へ命令を与えた。



 貴女は御令嬢様なのです。着用する寝間着と、態度をもう少し鑑みて下さい。



『はぁ……。畏まりましたでは……』



 心に思った言葉を一切含ませない言葉で説明を開始させて頂きましたのですが。


 始まりの言葉が大変気に食わなかったらしく。


 大変お可愛い御目目から一転、鋭い瞳でジロリと睨みつけて来ました。



『ちょっと、今の溜息は何??』


『気の所為です』


『次、溜息を吐いたらぁ。此処で横になって話して貰うからね??』



 ポンっと。


 まるで本物の飼い犬を呼び寄せるかの如くベッドの上を叩いた。



 そんな所で横になってみろ。


 立ち処に眠りへと堕ち、レシェットさんの様子を窺いに来たアイシャさんに現場を目撃され逮捕。


 任務を放棄したとして、除隊処分を受け。肩を落として街中を歩いていると、満面の笑みを浮かべたレシェットさんがクルクルと細い指で犬用の首輪を回し……。



 考えるだけで背筋が凍りますので、頑なに断り。アオイの里付近までの話をさせて頂いた。


 勿論、カエデとアオイが魔物であると伏せてですけどね。



「ふわぁぁ――……。眠い……」



 目の端っこから流れ出た雫を指で拭き取り、新鮮な空気を体に取り込む。



 アイシャさん、遅いな。



 いつもはもう既に交代してくれる時間なのに。


 と、言いますか。


 間も無くレシェットさんの起床時間に差し掛かりますよ??



 護衛対象を放って移動する訳にもいかんし。どうしたもんか…………。



 猛烈な欠伸を噛み殺し、溢れ出る涙を拭っていると。



『おはようございます』



 藍色の髪の女性が女性らしい所作で此方へと歩み来る。



『おはよう。あれ?? アイシャさんじゃないの??』



 手の届く距離で歩みを止めたカエデに問う。


 いつもの酷い寝癖は……。前髪の一部がクルンっと丸を描いているけども、まぁ許容範囲でしょうか。



『式典用に提供する御飯の用意を続けていますよ』



 あぁ、成程……。


 忙しいのなら致し方あるまい。



『もう少ししたら街の方から食料が山の様に運ばれて来る』


『客人をもてなす為に必要な行為、か』



 食費だけでも一体幾ら掛かる事やら。



『それで私が代わりに来た』



 ふんすっ、と。


 朝に相応しい鼻息を放ち、俺と同じく屋敷の外側へと体を向けた。



『理解したよ。じゃ、俺は休むから』



 せめて数時間は仮眠しておかないと……。


 夜まで体力がもたないかも知れないからね。



『何時まで休憩??』


『ベイスさんが帰宅するえぇっと……。何時だっけ??』



 いかん。


 頭がまともに回らんぞ。


 藍色の瞳を見つめつつ、予定時間を思い出していると。



『ふふ、しっかりしよう??』



 大変柔らかい笑みを頂けましたとさ。



 今の笑みで米は五杯食べられる自信がある。



『思い出した!! 午後一時だったよ。その手前まで仮眠するからぁ……』


『現在は午前八時ですので、ざっと見繕って四時間ですね』



 眠る前に適当に体を洗っておくか……。



『了解、じゃあ……。おやすみ』


『おやすみなさい』



 右手をパッと上げ、普通に歩く行為が大変な重労働にも感じてしまう体を器用に動かし。浴場へと移動を開始した。














 ◇









 中途半端に乾いた髪の毛を拭きつつ、玄関口へ移動を果たすと。



「おはようございます!!」



 俺よりも明るい笑みを浮かべるのは止めて下さいよと、頭上に輝く太陽がそう懇願してしまう程の光量を放つ男性を捉えた。



 両手一杯に木箱を持っているから……。


 さっきカエデが言っていた食料を運搬する御方ですね。



「お疲れ様です」



 歩みを止め、キチンと腰を折って朝の挨拶の所作を取る。



「向かって右側に運搬して下さい」


「分かりましたぁ!!」



 玄関から入って来たアイシャさんが業者さんに指示を送ると。


 彼は是非とも見本にしたい足取りで廊下の奥へと消えて行ってしまった。



「おはようございます、レイド様」


「おはようございます」



 相も変わらず、キチンと服を着熟しますねぇ。


 黒を基調とした服装に一寸の隙も見出せなかった。



 シャツを脱ぎ捨て、上着だけを羽織り地肌を隠す此方とは雲泥の差です。


 ズボンの皺、目立たないかな??


 もし目立つようであったのなら、式典前に変えよう。



「本日は朝方まで護衛して頂き、真に有難うございます」


「あ、いえ。これも仕事の内ですから。所で、ベイスさんは何時頃に帰宅される予定ですか??」



 最終確認じゃあないけども。


 俺が取れる睡眠時間を確定しておきたいのです。



「午後一時前後で御座いますよ」



 よっし!!


 三時間は貰ったぞ!!



「では、その少し前まで仮眠させて頂きますね」


「ごゆるりとお休み下さいませ」



 美しい角度のお辞儀に見送られ、階段を上る行為はこうも重労働であるのかと再確認を果たし。


 乱れた息を整えつつ、己の部屋の扉を開いた。




 はぁ――――……。


 つっかれたぁ……。



 上着を無造作に脱ぎ捨て、ベッドの上に転がっている寝間着へと着替え終え。


 数十時間振りの女神の抱擁を受ける事が出来た。



「これだよ、これ」



 どっと押し寄せる疲労感に身を委ねるとどうでしょうか。


 速攻で闇の底から睡魔が登場するではありませんか。



『貴様の意識を狩っても良いのか??』



 恐ろしく巨大な鎌を俺の首掛け、最終確認を行ってくれる。



 俺は肯定を伝る為、口角をきゅっと上げて是非宜しくお願いしますと伝えた。



 早く夢の世界へと意識を誘っておくれ。



『容易い事だ』



 睡魔さんが細い腕に力を籠めた刹那。




 トンッ、トトンッと。



 高揚した足取りで階段を上って来る音を捉えてしまった。



 この足音は……っ!!!!



 飛蝗も満場一致で合格点を叩き出してくれる速度でベッドから跳ね起き、扉へと飛びつき。


 速攻で扉の施錠をした。



 案の定……。



「レイド――!! 居るのは分かってるのよ――!! 起きなさ――い!!」



 熟睡する巨人も何事かと心配になって目を覚ます音量で扉を叩き始めた。



「もう――。仕方が無いわねぇ――」



 嬉しそうに怒り、扉へと手を掛けるが。



「うっわっ!!!! 鍵掛かってるじゃん!!」



 施錠の存在を確知すると、陽性な感情が霧散。


 代わりに……。



「あっそぅ、分かったわ。ちょっと待っていなさい」



 大変不穏な言葉を残して扉前から去って頂けた。



「な、何んとか第一波は防げたな」



 しかし、彼女はここの屋敷に住む御方です。


 この部屋の鍵を求めに何処かへと移動したのでしょう。



「ふふ……。全く。考える事がお子様の発想ですなぁ」



 己の荷物を扉の下側へと置き、更に更にぃ!!


 つっかえ棒代わりと言わんばかりに昨日、俺を起こした時にレシェットさんが使用した箒を扉に立て掛け。


 完璧な籠城対策を施し、安心しきった心でベッドへと舞い戻った。




 これで大丈夫!!


 さっ、睡魔さん?? 俺の意識を断ちきって御覧なさいっ??



 ふぅぅっと甘い吐息を天井へと吐き出し、体を弛緩させ睡魔の攻撃を待つのだが。



『申し訳無い……。我の力では叶わぬかも知れぬ』



 はい??


 何言ってんの?? あなたは。



 あなたがそんな尻すぼみしているようじゃあ、俺は何時まで経っても眠れないじゃないか!!


 己自身に喝を入れ、絶対に眠ってやるんだと頭からすっぽりシーツを被りその時を待ち続けていると。






 ズズッ……。


 ズズッ……。



 何か……。大変重たい物体を引きずる音が聞こえて来た。


 その音源は時を追う毎に音量を増し、遂には。



「はぁ――。おっも」



 扉の前でピタリと止まってしまった。



 え?? 何、ヤダ……。


 物凄く怖いんですけど……。



 此れから始まる恐怖の演目に固唾を飲み、シーツの中で待ち構えていた。



「よしっ!! やるぞっ!! せ――――のっ!!」



 扉の向こう側の御令嬢が興奮された声を放つと同時。


 硬くて巨大な何かが扉を叩くと、耳を疑う轟音が扉から発生した。



 ちょ、ちょっとお待ちなさい!?


 まさかとは思いますけど!? 扉を破壊するおつもりで!?



 俺の身の安全を守る扉が一撃、二撃……と続け様に攻撃を食らうと。



「あはっ!! やっぱりつっかえ棒が掛けてあったね!!」



 大変恐ろしい声が『遮蔽物』 を通さず。直に室内に響いた。



「んっしょ……。ん――……。まだ指が届かないなぁ。もうちょっと壊そう!!」



 耳をつんざく恐ろしい破壊音が悪戯に心臓の鼓動を速め。



「んっ!! 取れたっ!!」



 最終防衛線で奮起されていた箒大佐が打ち取られ、万事休す。



「うっわ、おっも!! 扉の下に荷物まで置いてぇ……。抜け目のない奴っ」



 扉が完全敗北を喫した後。



「さてっ!! いい加減起きないと、お仕置きだぞ!!」



 再び何かを引きずる音がベッド脇で響いてしまいましたとさ。



 お願いします……。


 誰か、タスケテ……。



 シーツの中で幼子が悪夢から逃れる様に耳を塞ぎ、体を丸めていると。



「ねぇ――。起きてよ――。朝ご飯だよ??」



 悪の権化の手が俺の肩を食み、ゆっさゆっさと揺らす。


 それでも此方は姿勢を崩さず、飼い主へ。


 絶対に起きないぞと断固たる意志を見せつけた。



「んぅ――……。参ったわね。これだけ派手な音を鳴らしても起きないなんて。相当疲れているのかしら??」



 相当では無く、猛烈にです。



 それを理解したのならどうぞご退出下さいませ。



「仕方がない、か」



 おぉ!?


 諦めてくれましたか!?



 明るい未来へと繋がる台詞を受け、胸を撫で下ろそうとしましたが。



「これでブッ叩けば、睡魔に取り憑かれていても起きるでしょう」



 せ――のっ!!!! と。


 大変心臓に宜しく無い声を受け、人生で二番目位に入る速さで体を起こした。



「ふんぬぅっ!!!!」


「あっ、やっと起きた!?」



 あ、あ、あっぶねぇぇぇぇ!!!!


 あのまま眠っていたら……。巨大な木槌の餌食になっていた!!



 ベッドへ無慈悲に叩きつけられた木槌の姿を見ると、背筋が凍り付いてしまいました。


 餅つきじゃあないんですから……。

 

 本当に勘弁して下さいよ……。



「も――。中々起きないからさ。大変だったんだよ??」



 可愛い顔して何て事するんだ。



「あの、ですね。自分の家の扉を破壊し尽くし、剰え任務で参った者の命を抹殺しようとする家主が何処にいますか!?」


「此処に居るけど……」



 ケロっとした顔で恐ろしい言葉をサラリと言い放つ。



「さ、朝ご飯に行くわよ!!」



 叩きつけた木槌の隣。


 美しい笑みを浮かべて腰に手を当てる御令嬢。



 普段であれば文句の一つや二つ言い放つも、仕方がないと付き合うのですが。



 今回ばかりは見逃せませんっ!!



「良いですか?? レシェットさん。本日は大事な継承式典の日です」


「そうね」



 勿論、知っているわよ。


 肯定の意味を含めて一つ頷く。



「俺にはレシェットさんを護衛する大切な任があるのです。その為には失った体力を回復させる義務があるのです」


「続けなさい」



 あ、はい。


 了解しました。


 命令口調が大変良く似合いますよ??



「もしもの事があればベイスさんにだけでは無く、レシェットさん自身にも申し訳が立ちません。それ処か!! 最悪、除隊処分を頂く可能性もあります。いや、可能性では無く。蓋然性ですね。つまり!! 今からベイスさんが帰宅するまでの間、此方には仮眠をするという権利が与えられている訳なのです。権利の行使について当然に……」



「後で聞くから。取り敢えず行くわよ」



「イヤァッ!!!!」



 胸倉を掴まれ、半ば強制的に部屋の外へと引きずられ始めてしまった。



「いい加減に諦めなさい!! この駄犬!!!!」


「犬にも権利があるんですぅ!!」



 体力が枯渇し、恐怖に支配されているこの体では彼女の力に対抗する術は無く。


 破壊されてしまった扉の外へと数秒の間に移動させられてしまった。



「一日はあっと言う間に過ぎてしまうのよ!! 限られた時間は有効に使わないと!!」


「その時間を使う権利は当然に、自分にも認められている事を忘れないで下さい!!」


「レイドには権利なんてある訳無いじゃん!!」



 足がもつれ、情けなく廊下に転ぼうものなら足を掴まれ引きずられながら廊下を進み。


 階段に差し掛かってもその状態は解除されず、無意味に背を痛める。



 もう……。


 好きにして下さい。抵抗してもどうせねじ伏せられるのだ。


 レシェットさんが話す様に、俺には権利なんて与えられていないのさ。



 一階へと到達し、心地良い踏み心地を与えてくれる赤い絨毯の上を己の体で綺麗に掃除しながら食堂へと向かって行った。





















 ◇













 太陽が大欠伸を放ち、寝支度を整える為にベッドを均す頃。


 一人の男性が若干呆れた顔で此方を見つめていた。



「――――――――。あはは……。私が留守の間。大変だったみたいだね??」


「いえ、私は己に課せられた責務を遂行したのみです」


「そうか。――――。こら、レシェット。黙っていないで何か言ったらどうだい??」



 執務机の向こう側。


 椅子に腰を掛けるベイスさんの右側でニッコニコと満面の笑みを浮かべる愛娘へ。僅かばかりの憤りを籠めて話す。



「お父様。私は慎ましい生活を続けていただけですよ?? 彼が少々大袈裟なだけなのです」



 あれが……。


 少々??


 我が耳を疑っちゃいますね。



「彼の目元のクマを見ても、お前はそう言えるのかい??」


「はいっ、勿論で御座います」


「はぁぁ――……。分かった。彼から私が居なかった間の経緯を聞くから。お前は部屋で着替えを済ませて待っていなさい」


「畏まりました」



 ベイスさんにちょこんとお辞儀をし。


 此方とすれ違う様。



「…………っ」



 ペロっと舌を出して扉を出て行ってしまった。



 ほら!!


 今、あんな顔を浮かべましたよ!?



 そう言えれば良いのですが、ベイスさんからは死角になっていましたし。


 何より、此方が話す前に封殺されてしまうので告げ口はしませんよっと。



「これから継承式典が始まるけど、大丈夫かい??」



 大きな溜息の後、ベイスさんがそう仰る。



「はい。残り僅かな体力を燃やし尽くし、誠心誠意任務に携わる所存であります」


「そう言って貰えると心強いよ。所……、で。娘の我儘はどうだった??」



 継承式典は二の次。


 これが本題の様ですね。ググっと体を此方に向けているのが良い証拠です。



 さて、ここで正直に話すのか。それとも包んで話すのか。



 悩みに悩みますよねぇ……。


 ベイスさんの御顔は正直に話して御覧といった表情なのですが……。



「――――。年相応の行動でありましたね」



 悩みに悩んだ挙句。


 無難な返事を返しておいた。



「年相応、ね。君の顔色を窺う限りそうは感じ無いけど……。うん、助かったよ」



 ふぅっと大きく息を漏らし、椅子の背もたれに体を預け。


 若干の語り口調で言葉を放った。



「君は知らないと思うけど、彼女は男手一人で育てたんだ。甘やかし過ぎて育てた所為か……。私が思う以上に自分勝手な行動を取る様になってしまって。勿論、公私混同は許さないけど。その線引きがねぇ……」



 貴族の方でも庶民的な事で悩んだりするものなのですね。


 意外といえば意外ですが。


 彼もまた数多多く存在する父親の一人なのだ。娘を愛し、想うのは至極当然ですよね。



「ベイスさんは御立派ですよ。男手一人でお嬢様を育てたのですから。――――。レシェットさんから御伺いしましたが……。随分と前に御母様を事故で亡くしたみたいで……。お悔やみ申し上げます」



 長きにも渡る間、彼は一人で彼女を立派な女性へと育て上げた。


 父親の経験を持たない俺にはその苦労を共有出来ないけど、人一人を愛し。見守りながら育てるのは大変な労であろう。



「レイド君。私の妻が亡くなった事を娘から直接聞いたのかい??」



 ゆったりとした姿勢から一転。


 姿勢をすっと正して此方に問う。



「はい。食堂で食事を摂っている時に伺いましたよ??」



 何か触れてはいけない事に触れてしまったのだろうか。



「ふぅむ……。成程ねぇ……」



 顎に手を当て、ふむと一つ頷く。



「あの……。伺っては不味い過去でしたか??」


「あ、いや。それは構わないんだけど。娘がさ、自分から妻の過去を語ったのは初耳だからね。それで驚いちゃって」


「会話の流れ、でしょうかね??」


「ふふ、そうは思わないけどねぇ」



 そう話すと、軽快な笑みを浮かべた。


 では、どういう意味なのですかと問おうとすると。



「ベイス様、宜しいでしょうか」



 扉の向こうからアイシャさんの声が届いた。



「どうぞ」


「失礼します。―――――。間も無く、式典が始まりますので御着替えを済ませて頂いても宜しいでしょうか??」



 え、もうそんな時間か。



「分かった。そうさせて貰うよ」


「それと…………」



 二人で式典の打合せだろうか。


 やれ、誰々がやって来る。


 やれ、あの人を接待するだとか。



 小難しい話を開始してしまったので、俺は退散しましょうかね。


 マイ達と最終確認を済ませておきたいし。



「では、会場内の護衛に付いて最終の打合せを行いたいので失礼させて頂きますね」


「あ、うん。悪いね、話の腰を折っちゃって」


「マイ様達は各お部屋で式典に備え、着替えております」



 着替え、か。


 服装規定に沿った服装だろうけど……。アレコレと難癖を態度で表していないだろうか??


 それだけが心配ですよ。



「了解しました」



 その様子を確認しに行こうかしらね。


 二人へ確と頭を下げ部屋を後にした。




 ふぅ――。紆余曲折ありましたが……。


 護衛任務終了まで後少し!! 気合を入れていきましょうかね!!



 両頬をパチン!! っと叩き。体に圧し掛かる眠気と気怠さを吹き飛ばし。一路、仲間が待つ二階へと移動を始めた。




最後まで御覧頂き有難う御座いました!!


気温の上昇が日々目立ちますので、体調管理に気を付けて下さいね。

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