第百八十話 妖艶な刀の威力 その二
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後半部分の投稿になります。
「くっさぁぁああああああ――――――ッ!!!!!!」
闇が占拠する天井からフウタの大絶叫が轟き、それとほぼ同時に俺達の緊張感が最高潮まで高まってしまった。
天井から来るのか!?
「おっぇぇええ!! この臭い、マジで洒落にならねぇんだけどぉ!?」
鼠の鼻は人よりも優れているだろうし、俺が感じるよりも数倍キツイ異臭を捉えればそりゃ鼻も曲がりますわな。
「フウタ下がれ!! そこから奴の頭が……」
出て来るぞ!! と叫ぶ前に。
俺の予想通りに、そして期待以上に鉱石百足のゴツゴツとした頭が天井の穴の中から出現。
「ギシィィイイイイ――――ッ!!!!」
大人一人なら余裕で飲み込めるであろうと判断出来る大きさの口をパカっと開き、俺とハンナに向かって溶解性の液体を放射しようとして力を籠めやがった!!
「はっは――!!!! お生憎様!! 俺達は来ると分かっている攻撃は大好物なのさっ!!」
今にも溶解性の液体が放射されてしまいそうな大きな口に向かって矢を射ると、俺の思い描いた軌跡を飛翔して行く矢が鉱石百足の御口ちゃんに深々と突き刺さった。
「ギィィイイイイッ!?!?」
突如として口内に発生した痛みに悶える鉱石百足がその痛みを誤魔化そうとして狭い穴の中で体節を気色悪く動かす。
たかが一射の矢じゃ致命傷には至らないのは俺も、そして他の連中も十二分に理解している。
痛みに悶える奴の姿を捉えてこれを勝機として確信したのか。
「ハァッ!!」
相棒が御自慢の脚力を生かして天井付近まで飛翔。
「セァァアアアア――――ッ!!!!」
「ギギギギィィイイイイッ!?!?」
複雑且気色悪い動きを見せる頭に狙いを済まし、厄介な攻撃方法の一つでもある一本の毒牙を切り落とした。
すっげぇ……。あれだけの速さ尚且つ複雑に動く牙を捉えやがった。
相棒の素晴らしい剣技の精度に舌を巻き目を見開いていると、鉱石百足が穴から地上に落っこちて来やがった。
「ギギッ……」
度重なる戦闘の痛みとこれまでの疲労の蓄積、そして俺の矢と相棒の剣技が相当堪えたのか。
地上に到達すると体全体を震わせて何んとか戦闘態勢を維持させている。
ふっふっふ――……。漸く……、俺達に勝機が訪れやがったぜ!!!!
「野郎共!! 此処が勝負所だ!! 全力を尽くせよ!!!!」
まぁ俺が言わなくてもうちの馬鹿息子共は喧嘩が大好きな子達ですので、この千載一遇の大勝機を理解していると思いますけどね!!
左手に持つ大弓を地面に置き、体の奥底から迸る魔力を体全身に流して右足に炎の力を籠めてやる。
「おうよ!! ボッコボコのギッタンギッタンにしてやらぁ!!」
「勝機到来。確実に敵を屠る」
「あぁ、その通りだ。絶対に勝機を逃すなと月下美人も震えているぞ」
さぁ……。これで決着だ!!
俺達の全身全霊の攻撃を受け止めやがれ!!!!
「ぜぁぁああああ――――!! 桜嵐脚ッ!!!!」
大変動きが鈍い頭部へと向かって飛び上がり、回転して得た遠心力と炎の力を纏わせた烈脚を鉱石百足の側頭部へと直撃させてやる。
「ギギィィイイッ!?!?」
くぅぅうう!! コレコレぇ!!!!
右足の甲から足全体に駆け抜けて行く衝撃が何んと心地イイ事かっ。
鼓膜が震える程の衝撃音が生じると同時に奴の顔面の装甲が弾け飛び内部が露呈した。
「フウタッ!!」
「わ――ってるっての!!!! 内臓全てぶちまけやがれ!!!! 天衣無縫無頼拳ッ!!!!」
地上で構えていたフウタが両の拳に魔力を籠めて、天井付近から降りて来る鉱石百足の右側頭部に素晴らしい拳の連打を叩き込む。
「ギギギギッ!?!?」
一撃は俺の桜嵐脚に劣るものの凄まじいまでの数の連撃が奴の装甲を徐々に剥して行き……、鉱石百足の装甲が剥がれ落ちた。
重厚な装甲の下には緑色の粘度の高い液体を纏った皮下組織が確認出来、恐らくあそこならどんな攻撃でも通用するだろうさ。
「さぁ、終幕だ。某の一撃は灼熱の溶岩の熱よりも苛烈だぞ!!」
「「うぉっ!?」」
シュレンの体内から魔力の鼓動が迸ると俺達の体が刹那に揺らぐ。
彼の足元に浮かぶ巨大で真っ赤な魔法陣から眩い光が放たれ、洞窟内の闇を全て払拭すると五臓六腑が捻り潰されてしまいそうになる衝撃波と熱波がこの体を襲った。
「螺旋炎昇!!!!」
「ギィィイイイイイ――――ッ!!!!」
「「あっつぅぅうううう――――ッ!?!?」」
鉱石百足の巨躯を全て覆い尽くす火炎の竜巻が生じると、その熱量から逃れる為に両腕を体の前に翳す。
「馬鹿野郎!! この狭い部屋でバカ強い威力の魔法を使うんじゃねぇ!!」
「そ、そうだぞ!! お母さんはまだヨシって言っていませんからねぇ――――!!!!」
火炎に焼かれ焦がされて悶え苦しむ鉱石百足の向こう側で得意気に立つシュレンに向かってそう叫んでやった。
「ふんっ、これでも手心を加えたつもりだ。ハンナ、止めだ!!」
「あぁ、分かった!!!!」
シュレンの言葉を受け取った相棒が両手に月下美人を持ち天高く舞い上がる。
そして天井付近に到達すると奴の頭部目掛けて美しい落下を開始した。
「ハァァアアアアアア――――ッ!!!!」
「ギッ、ギギギギッ!?!?」
思わず背筋が泡立ってしまう月下美人の怪しくも儚く美しい刃面が鉱石百足の左側頭部から袈裟切りの要領で入って行く。
鉄を裁断する様な硬化質な音、更に生肉を切り裂く様な妙に生々しい音が洞窟内に響く。
相棒が鉱石百足の頭を切り裂くその勢いときたら……。
まるで、箸で豆腐を裁断するかの様に至極簡単に月下美人の刃が強固な装甲で覆われている顔面を切り刻んでいた。
あの妖刀はむかぁし昔の刀匠の魂が籠められており、彼女の機嫌を損ねる角度や攻撃方法で刀を振ったのならその一撃は児戯にも劣るものに成り下がってしまう。
しかし、彼女の想いを汲み正確無比な振り方をすれば会心を優に超える一撃を叩き出す事が可能になるのだ。
今回の場合はぁ……、気に入らない角度だとして刀が重厚な装甲に跳ね返されるかと思いきや。
意外や意外、すんなりとあのふざけた装甲を両断していくではありませんか!!
はは、どうやら今回はあの軌道が正解だったみたいだな。このまま刀に宿る女性の魂を理解し続ければいつか、クルリちゃんの心の空模様も完璧に理解出来る様になる筈だぜ??
剣の腕も上がり尚且つ山の空模様の如く移ろう女心も理解出来る様になる。
女心をちっとも理解しようとしないほぼ童貞の相棒に誂えた様な刀だ。
「ずぁぁああああ――――ッ!!!!」
もう間も無く月下美人の刃が鉱石百足の顎下まで到達しようとした時。
「ッ!?」
何を思ったのか、相棒が刀の柄を手元でクルっと回転させ。
「これで……、止めだぁぁああああああ――――――ッ!!!!」
「ギギギギィィイイイイイイイ――――ッ!?!?」
下方向では無く、此方から見て左上方に向かって切り上げて行くではありませんか!!
左側頭部から右側頭部へ。
顔面を谷型に切り裂かれた鉱石百足がこの世に最後の断末魔の叫び声を残すと漸く絶命に至り、長い上半身が地面に向かって倒れ込み砂埃を激しく舞い上げて俺達の勝利を祝った。
ふぅ――……。これにて状況終了っと。今回も運良く生き残れた事を感謝しましょうかね。
「ふんっ……」
相棒が刀に付着する液体を美しい所作で払うと白き鞘へ月下美人を収めた。
「よう、相棒。最後、何で刀を反転させて上方向に斬り上げたんだい??」
今も鋭い視線で鉱石百足の死体を見下ろしている彼の横顔に問う。
「刀の声が朧げに聞こえたのだ。この軌道では不味いと考え、谷字型に斬り付けた」
ふぅん、成程ねぇ……。その声に従った結果がこれか。
もしも俺が使用している弓や短剣から声が出て来たらどうしよう?? 恐らく驚いて武器を落としてしまうかそれともその声に従わず己の思いのままに武器を振るだろうさ。
普通なら絶対起こり得ない事なのだが、相棒はその非現実的な武器を使用してそして見事成果を出した。
それは素直に褒めるべき事なのですがぁ……。いつか刀の声だけに従う傀儡になってしまうのでは?? という不安要素も少なからず存在する。
右手に恐ろしい刀を持ち、殺意全開の血眼で俺達を追いかけ回して来る相棒の姿を想像すると背筋にゾクっと冷たい風が吹いて行った。
まぁ少しでも変な様子を見せたら正気に戻す為に、横っ面を思いっきり引っぱたいてやろう。それが俺に出来る唯一の役目なのだから。
「うっひゃ――……。穴という穴から体液が零れてら」
「あんまり近付くと臭いが服に付いちまうぞ」
鉱石百足の死体を物珍し気に観察しているフウタに一言注意を放ってやると。
「――――。グペッ」
鉱石百足の巨大な口から深緑の体液が零れ落ち、その中に俺の手の平にすっぽり収まりそうなナニが確認出来た。
「ん?? 何だこれ……」
粘度の高い液体の中からソレを掬い上げ、手の平で粘液を振るい落として現れたのは美しい翡翠色の勾玉であった。
俺の右手に余裕で収まる大きさなのだが、どうしてこれをコイツは吐き出したのだろう??
翡翠色の勾玉と鉱石百足の死体の口を交互に見比べていると戦闘の熱が残る戦場には少々不釣り合いな大人しい声が背後から聞こえて来た。
「――――。皆様、お見事で御座います」
「あ、いえ。お疲れ様でした」
戦闘前と一切合切姿勢を変えていないベッシムさんに向かって静かに頭を下げる。
「いや、誠に素晴らしい戦いでした。フウタ様の素早い身の熟し、シュレン様の強き魔力、ダン様の閃きと統率力。そして……、ハンナ様の戦闘力。龍一族と何ら遜色の無い戦い振りに正直驚いてしまいましたね」
「へ、へへっ。よせやい、褒めるなってぇ」
「あのベッシムさん。鉱石百足の口からこんな物が出て来たんですけど」
デヘヘと照れ笑いを浮かべて後頭部を掻くフウタを尻目に今し方入手した勾玉を見せてみた。
「ほぅ!! これは珍しい!!」
普段から特に表情を変えないベッシムさんが素直な驚きを表すって事は、この勾玉はかなりの珍品である事は理解出来た。
しかし、俺が知りたいのは珍しさじゃなくてコイツの存在なのですよっと。
「珍しい品なので??」
俺の右手を手に取り、少々荒い鼻息を放ちつつ勾玉をじっくりと観察している彼に問う。
「はい、これは『記憶の勾玉』 と呼ばれる物で御座います」
「「「記憶の勾玉??」」」
俺とフウタとシュレンが声を揃えて首を傾げる。
んぅ!! 惜しい!! 後少しで四人全員息を揃える事が出来ましたのに!!
「鉱石百足の名の由来を御存知で??」
いいえ、知りません。
そんな意味を含ませて首を横に振る。
「鉱石百足は野生の動物の肉だけでは無く、洞窟の奥地にある矮小なマナを含んだ鉱石を食らっています。何故鉱石を食らうのか。それは肉の消化を助ける為だと考えられていますがその詳細は今でも不明です。肉を食らい、矮小なマナを含んだ鉱石を食らい続けて成長した鉱石百足の腹の中にはその勾玉が形成される時があるそうです」
へぇ、そうなんだ。
「記憶の勾玉は珍しい力を有しておりまして……。まぁ実際に御覧になられた方が理解し易いかと。ダン様、勾玉を渡して頂けますか??」
「あ、はい」
彼に従い勾玉を渡すと、ベッシムさんは右手の手の平の上に記憶の勾玉を静かに置きそして微かな魔力を籠めた。
すると……。
「ン゛!? お、おい。勾玉が光ってんぞ!?」
「フウタ、お前さんが覗き込むから俺達が見えねぇだろうが」
ベッシムさんの魔力に呼応するかの如く記憶の勾玉がまるで蛍の明滅する仄かで淡い緑色の光を放ち始めた。
「――――。ふむ、これ位でいいでしょう。それでは記憶の勾玉の真の力を御覧下さい」
そして、彼が勾玉を握り締めて再び魔力を籠めると度肝を抜かされてしまう事象が突如として生じた。
『ン゛!? お、おい。勾玉が光ってんぞ!?』
『フウタ、お前さんが覗き込むから俺達が見えねぇだろうが』
ベッシムさんの右手から放たれる光が先程まで俺達の間で交わされていた姿を空中に物の見事に映し出したのだ。
半透明に映るそれは……、動く絵とでも呼ぼうか。
絵画でなく実際に動きのある絵が空中に映し出されると素直な驚きの声を上げてしまった。
「す、すっげぇ!! フウタの顔とか、後ろで苦虫を嚙み潰した様な顔を浮かべているシュレンの顔とかバッチリ再現していますね」
「シューちゃん!? 俺様の後ろであんな怖い顔を浮かべていたのかよ!?」
「貴様の横柄な態度が某の顔を歪めてしまったのだ」
「記憶の勾玉に魔力を籠めますと周囲に起きている出来事を記憶し始めます。記憶出来る範囲は直径約五、六メートル。記憶時間は約一時間で御座います」
「それを越える時間を記憶するとどうなるのだ??」
ハンナが今も珍しそうな瞳を浮かべて勾玉を見下ろしている。
「それ以上の記憶は出来ず、今まで記憶した出来事を映し出す機能しか使用出来ませんね。使用方法は至極簡単です。今見た様に記憶したければ手の平の上に乗せて魔力を籠め、過去の出来事を見たければ手の中に仕舞い込んで魔力を籠めれば良いのです」
「へぇ――……。こりゃ便利な品だよなぁ」
彼から受け渡された勾玉を大切に受け取る。
「ちゅ、ちゅまりその機能を使えばぁ……。ベッドの上で女の子としたアァンっな事や。コォォンな事が何度も見られるって事かい!?」
何ですと!?
そ、そ、それは素晴らしい使い方じゃあありませんか!!!!
フウタの奴め、天才と呼ばざるを得ない使用用途を思いつきやがって!!
「お、おほん。如何わしい使用用途は兎も角、フウタ様が仰った通りで御座いますよ」
「マジかよ!! ダン!! 俺様に寄越せ!!!!」
「絶対に嫌だ!! 俺が見つけた物だから俺の物に決まってんだろう!?」
俺の右手から勾玉を強奪しようと画策した横着者の頭を叩いてやる。
「分かった!! 三十分間だけ俺様に使用させろ!! 残りの三十分はお前が使っていいからさ!!」
「そ、それはちゅまりぃ……。お互いの相手の発奮した姿を見られるって事になるんだよね??」
「そうさぁ……。さぁ、どうするぅ?? 他人がヤっている姿を想像すると物凄ぉく興奮しないかい??」
そ、そりゃあ興奮しますよ?? 色気のある女性がベッドの上で悶え打つ姿を想像すれば。
しかし、ここで一つの問題が浮上してしまった。
「いやいや。お前さん、今不能じゃん」
「不能とか言うんじゃねぇ!!!!」
鼠の姿に変わったフウタが俺の頭に上り終えると後ろ足で地団駄を踏む。
「不能な奴が持っていても仕方が無いし。これはお母さんが預かっておきますっ」
ムフフっ……。これを持って南の大陸に行けばドナやルクト、そしてレシーヌ王女様と交わした営みを将来何度も見る事が出来るのだッ!!!!
あ、でも彼女達にバレずに記憶する必要があるよな??
精神を共有させているルクトに対して使用するのはほぼ不可能であり、ドナやレシーヌ王女様は俺の性格を熟知しているので少しでも怪しい動きを見せたらこの勾玉を破壊されてしまう蓋然性がある。
では、東の大陸で俺の体を性的に貪り尽くしたシェファに対して使用してみたら如何だろうかという案も出て来るが……。相棒の里でそんな淫らな方法で記憶を保存してみろ。
一生里に出禁を食らう恐れもある。
「ウ゛――む……。便利そうだけどさぁ、いざその時にバレずに使用するのは結構難しくね??」
そう、結局この結果に至ってしまうのだ。
「俺様も今そう思っていた所さ。俺様はベッドの上では紳士だからなぁ……。それを使用する時に躊躇しちゃいそうだもの」
「だよなぁ……。あ、でも!! 三人ですればよくね!?」
そうだよ、そうじゃん!!
何も二人に拘る必要は無いじゃんか!!
「ダン!! テメェはやっぱり天才だぜ!!」
「わはは!! そうだろう!? そうだろう!!!!」
「―――――。馬鹿か、貴様等。周囲の景色を記憶するという事はベッドの上では無く、記憶係でもある三人目も映ってしまう事になるのだぞ」
俺達の様子を冷めた様子で眺めて居た相棒が大変強力な釘を打って来やがった。
「あ、あぁそっかぁ……。余分な人が記憶されちゃうよなぁ」
「だよなぁ……。ソレ様に使用している時に、発奮したダンの顔を見付けると俺様の御柱もシュンってなっちゃうし」
「テメェは不全だから立たねぇだろうがよ」
「いつかは立ちますぅ!! よし、問題点は理解出来たからそれを克服する案を捻りだそうぜ!!」
「おうよ!!!!」
「さ、皆様。洞窟から出ましょうか」
「了承した」
「あぁ、分かった」
相棒とシュレンがベッシムさんの背に続いて今も饐えた臭いが漂う洞窟を後にするので。
「ダン!! 置いて行かれちまうぞ!!!!」
「あ、おい待てって!!」
口喧しい小鼠を頭の上に乗っけて彼等の後を慌てて追い始めた。
記憶の勾玉の使用用途、並びに記憶方法の問題点はさておき。これで俺達は覇王の座を賭けた苛烈を極める戦いに参加する資格を得た訳だ。
今回は偶々生き残る事が出来たけれども、次のお相手は筋骨隆々の龍一族。
龍達が持つ異常なまでの力強さはこの身を以て理解している。
運否天賦に掛けた戦い方ではとてもじゃないけど生き残れないので今まで以上の注意を払って戦いの望みましょうかね。
まぁ例え石橋を叩いて渡る戦い方をしても、向こう岸に居る龍がドデケェ口をパカっと開いて炎を放射したら一巻の終わりだからどの道意味を成さないのです……。
馬鹿げた野生生物が跋扈する大陸を治める覇王様、どうか私共に誂えた様な慎ましい戦い方を提示して下さいましっ。
叶いそうで決して叶いそうにない願い事を心の中で唱えつつ、行きよりも大分高揚した足取りで相棒達の背に続いて安全と安心が保証されてる洞窟の外へ向かって進んで行ったのだった。
お疲れ様でした。
取り敢えずこの御話で導入部分は書き終えられましたね。この大陸での本編は覇王継承戦になります。
プロットでは寄り道を幾つか書いてみたのですが、どれも蛇足となりしかも第二部で現代編の主人公達が足を訪れる予定ですので寄り道は第二部になってから書こうかとの結論に至りました。
さて、もう間も無くやってくる御盆休みなのですが皆様の予定は既に決まっていますか??
私の場合は間も無く富士登山に挑む予定ですので服装やら、体力増強やらで忙しい日々を送りそうになりそうです。
夏バテも良くなり後は当日までこの体調を維持出来れば万々歳といった所でしょうか。
そして、ブックマークをして頂き有難う御座います!!!!
間も無く始まる覇王継承戦の執筆活動の嬉しい励みとなりました!!!!
それでは皆様、お休みなさいませ。