第百七十六話 北の領地からの打診 その一
お疲れ様です。
本日の前半部分の投稿になります。
空から降り注ぐ陽光は温かく、南のリーネン大陸のそれと比べるとかなり威力は抑えられておりまるで春の陽気を彷彿とさせる温かさに思わず体を弛緩させてしまう。
湖から届く微風が髪をそっと撫で地面から届く草と土の香りが疲弊した心を癒してくれる。
森の中は死と危険が渦巻くがこの馬鹿広い湖の側は安心と安全が約束されており、その事を理解した体が素直な反応を見せてくれた。
「ふわぁぁ――……」
遠い位置に見える緑と眼前一杯に広がる清らかな青。
風光明媚の中に身を置き続けていると意図せずとも顎が開き、新鮮な空気を取り込んで眠気を取り除こうとしてしまう。
ちょっと進めば死を覚悟しなきゃいけない場所が広がるってのに此処は驚く程平和ですよねぇ……。
そりゃあ欠伸も自然と出ちまうさ。
「くぁぁっ……。あ゛ぁっ、クソ。欠伸が移っちまった」
俺の左隣。
湖に向かって釣り糸を垂らすフウタがそれは欠伸というよりも獣の雄叫びの角度に近いのでは?? と思える程に強烈な角度で顎を開く。
「こぉんなに平和なら欠伸の一つや二つ出ちまうさ」
彼と同じく釣り糸を垂らしつつ水面の小さな凪を見つめる。
俺達の心と周囲の静謐な環境を表すかの様に湖の凪も大変穏やかだ。
「だなぁ――……。はぁっ、此処で過ごすのは今日で三日目か。そろそろハンナが目覚めてもいい頃合いじゃね??」
「どうだろう?? 怪我はシュレンの治癒魔法とケルト草で完治したけどさ、これまでの疲労が蓄積されているからそれが回復したのなら目覚めるでしょう」
これは俺の感想では無く、四角四面のシュレンちゃんの言葉です。
天幕を設置して傷付いたハンナを横たわらせるとうちの主治医が治療を開始。
ほぼ付きっ切りの状態で彼の経過観察を続けているのですが、彼曰く。
『怪我は完治した。火傷の跡もその訳の分からん草の御蔭で治るだろう。後は目覚めるのを待つのみ』
主治医の太鼓判を頂くとホッと胸を撫で下ろした。
しかし、安心したのは束の間の出来事で?? 俺達に次なる問題が発生した。
『よぉ!! ダン!! そろそろ持ち込んだ食料が無くなりそうだぜ!?』
そう、人が生きて行く上で必要な食料が底を付きそうになってしまったのだ。
幸か不幸か。
この湖にはたぁくさんの魚さん達が泳いでおり、力の森の木々にはあまぁい果実が沢山生っている。
更に西の魔の森にも種類が豊富な果実が生っているとグシフォスから伺ったのだが、向こう側は力の森と違い己自身の筋力がかなり抑えられてしまうとの事。
俺達の中で魔力の扱いに慣れているのはシュレンだが、彼が傷付き倒れたのなら誰が負傷者の面倒を見るのかという事で魔の森には足を踏み入れず。魚の味に飽きたのなら果実採取をし、甘味に飽きたのなら魚を釣る。
この簡単な図式に則って大変平穏な日々を過ごしているのですよ――っと。
「んおっ!! 来たぜぇぇええ!!!!」
釣り糸の先にある浮きの役割を果たす羽が水中に向かってグンッ!! っと勢い良く沈んで行く様をフウタが捉えると大変手慣れた手付きで釣り糸を勢い良く引き寄せる。
「うひょう!! こりゃあ丸々と太った山女魚だぜ!!!!」
釣り針をしっかりと御口に飲み込んだ山女魚を釣り上げると彼は俺達の後方に置いてある水を張った桶の中に山女魚を静かに入れた。
「グシフォスの奴が全然釣れないから魚は全くいないかと思ったけどよぉ……。あらよっと」
フウタが釣り針の先に餌の役割を果たす蚯蚓を括り付けると思わず唸ってしまう所作で釣り竿を振る。
「あ、あぁ。結構釣れ易い場所だよな」
朝早くから釣りを開始して釣り上げた魚は俺が六、フウタが十。
まだ太陽が頂点に昇っていないのにも関わらずこの釣果なのだが……。
「……ッ」
遠い位置で俺達の釣りの様子を見守る……、じゃなくて。睨み付けている彼の釣果は零。
此方の釣果は良好なのに対し、彼の釣果がボウズなのは理由があるのです。
『え、っとぉ。グシフォスさん』
『敬称は不要だ』
『あ、どうも。大変言い難いんだけども……。その釣り竿と仕掛けじゃあ釣れる魚も釣れませんぜ??』
『そんな筈はない!! 俺はこの仕掛けで何度も魚を釣って来たのだからな!!』
グシフォスが俺の顔をギラリと光る鋭い瞳で睨み付けると水面付近に浮かんでいる小さな飛蝗の死骸を指差す。
『そ、そうなんだ。じゃあ軽く説明して行くから聞き流してくれ。先ず、釣り糸に重りを付けて餌を沈ませて目的のタナへ……』
『タナ?? それはどういう意味だ』
『釣り上げたい魚が棲んでいる水深だよ。そこへ向かって餌を沈ませるのに重りが必要なのさ。それと釣り針に括り付けられた餌の状態を確かめる為に浮きを……』
『浮き?? 貴様……。先程から黙って聞いて居れば俺の事を馬鹿にしているのか!?!?』
『め、滅相も御座いませんって!!』
『あのな?? グシフォス。俺様が仕掛けと釣り竿を作ってやるから素直にダンの言う事を聞けって。素人は玄人の言う事を素直に聞いていりゃいんだよ』
『誰が素人だ!!!!』
そう、彼はその道の玄人では無く。釣り糸を湖に垂らす事を趣味としたずぶの素人だったのだ。
フウタが折角新しい釣り竿と仕掛け、その他諸々を作ってくれたってのに超絶頑固なグシフォスはそれを使う素振一切見せないでいる。
多分、素人って言われたのが堪えたんだろうなぁ……。
気持ちは痛い程理解出来るけども、それを堪えて素直に従えば素敵な釣果が待ち構えているってのに。
「俺様が作った釣り竿も仕掛けも使用しない。そりゃあ釣れない筈ですわなぁ!!」
ちょっと、煽る真似は止めて??
釣り好きで頑固な彼は一応、この地を治める長なのですから。
「聞こえているぞ!! 貴様等に俺の腕前を見せてやる!! どっちが多く釣れるから勝負だ!!!!」
ほらぁ絶対厄介な事になると思ったし。
「ギャハハ!! 掛かって来いや下手の横好きぃ!!!! 釣り歴十年の俺様がコテンパンにやっつけてやんよ!!」
へぇ、結構長い間釣りに携わっていたんだな。
まぁコイツの場合は辛い修練を抜け出して川や海に出掛けていたのだろうさ。
「わはは!! 釣り歴なら俺の勝ちだな!! 俺は此処で十五年も釣りを続けているのだ!!」
う、嘘だろ……。あのクソつまらない釣り擬きを此処で十五年も続けているのかよ……。
呆れるよりも先に無駄に浪費した時間の多さを考えると思わずゾっとしてしまったぜ。
だが、魔物の寿命は約千年と言われているのでたかが十五年で釣りの間違いに気付いたのだ。
これを僥倖と捉えて釣りに対する姿勢を直してくれればいいんだけどなぁ。
「うっし、もうそろそろ昼だし。俺達は十中十勝てる釣り勝負は置いておいて昼食と洒落込もうぜ」
釣り糸を手繰り寄せて釣り竿を地面に置くと中々御立派な魚が泳ぐ桶を持つ。
「了解。シューちゃんも果実採取から戻って来る頃だろう」
「だな。お――い!! グシフォス――!! 釣った魚を食おうぜ――!!!!」
釣れない釣り竿を持つ彼に向かって勢い良く叫び、昼食のお誘いをするのだが。
「要らん!!!!」
頑固一徹の龍ちゃんは俺の誘い手を断り、うんともすんとも言わない釣り竿の先に繋がる釣り糸を睨み付けていた。
「だとさ。俺様達だけで食おうぜ」
「何度誘っても断られちまうし……。ひょっとしたら俺達嫌われているのかも??」
「まさか。嫌っているなら即刻この場所から追い出すだろ」
まぁそうだな。自分が気に入っている場所に余所者が勝手に足を踏み入れたのだ。
心情穏やかで居られる訳にもいかんだろうし。
ちょっとだけ疲労感が残る腰と足ちゃんを労わる様に全然疲れない速度で俺達の野営地へと向かって歩んで行くと。
本当に静かに天幕の入り口が開いた。
「ふぅっ、一体此処は何処だ……」
「「ハンナ!!!!」」
若干気怠そうな面持ちを浮かべて久し振りに青空の下へと出て来た相棒の姿を捉えると駆け足で彼の下へと向かい。
「この野郎!! 心配掛けやがって!!!!」
「俺様も心配したんだぞ!?」
「止めろ!! 気色悪い!!!!」
魚ちゃん達が入った桶を乱雑に置き、彼のお腹ちゃんにヒシと抱き付いてやった。
んぅ!! 辛辣な言葉が降って来ますけども!! 今だけは無視します!!
「おい、フウタ。俺が気を失ってから何日経過した。それと……。一体此処は何処だ??」
「ぜっったいに放さんッ!!!!」
「優しい俺様が親切丁寧に教えてやるから耳クソかっぽじってよおく聞きやがれ」
俺の愛の拘束を解こうとする相棒の万力に抗っているとフウタが此処に至るまでの経緯を若干鼻に付く口調で説明を開始。
力の森、森の中で跋扈する超生命体、そして釣りが超絶下手糞な龍。
たった数日間で俺達が得た経験を知るとハンナの水色の瞳が大きく縦にキュっと見開かれた。
「――――。ってな訳で。あそこの湖で釣りに興じつつハンナが目覚めるまで待機していたのさ」
「ほぅ……、たった数日の間に色々あったのだな。済まぬな、迷惑を掛けて」
「あいだっ!?」
俺が離れない事にいい加減鬱陶しさを覚えてしまったのか。
ハンナがまぁまぁ硬い拳骨を中々の速さで俺の脳天に突き刺してしまった。
「いてて……。礼を言うのはこっちの方さ。有難うね?? あのクソ野郎から俺達を守ってくれて」
「ふ、ふん。隊を守るのが隊長の役目だからなっ」
いやいや、一体何時からチミが俺達を纏める役目を拝命したのだい??
食いしん坊で血の気の多い奴は隊長に相応しく無いと思うんですけど。
「まっ、何はともあれ。元気そうで何よりだ」
ハンナの肩をポンっと叩き、地面の上で寂しそうに横たわっている桶を持ち上げてやる。
「美味そうな魚だな……」
まぁ絶対食いつくと思ったよ……。
只でさえ食いしん坊の白頭鷲ちゃんが数日間も眠っていたのだ。更に悪い事に怪我を、そして体力を回復させなければいけないのでいつもよりも数段上の食欲が湧いてしまうのは自明の理。
ちゅまり、俺達が釣り上げた魚の殆どが奴の腹の中に収まっちまう可能性があるのだ。
「沢山食わせてやるから先ずは……、ほれ。あそこで釣れない釣りをしているグシフォスに挨拶をして来い。その間に用意をしておくから」
「ふん、分かった。絶対に残しておくのだぞ!!」
はいはい、そんなに言わなくてもお母さんは分かっていますから……。
母鳥に餌を強請る子鳥の様にしつこく絡む相棒を右手でシッシッと払い、ちょいと早い昼食の準備を進めて行く。
「フウタは火の準備をしてくれ。俺は魚を捌いちまうから」
「あいよう!!」
フウタに指示を出すと手頃な大きさの石で積み上げた簡易窯の周囲で早速料理を開始した。
桶の中で泳ぎ続けている一匹の魚を手に取ると、エラの部分へ包丁の切っ先を鋭く突き刺してやる。
「お前さんの命は大切に頂くからな」
両側のエラへ的確な角度で包丁の切っ先を入れ終えるとお次は腹を切り裂き、身の部分を傷付けぬ様に内臓を取り出して行く。
綺麗に内臓を取り終えたのなら仕上げてとしてぇ……。
「ほぉらっ。もう美味しそうっ」
麻袋の中にこれでもかと詰め込んである塩をパラパラと塗し、木の枝で作られた串を魚の口から突き刺して火にくべればあら不思議。
なぁんにも無い自然の中に御馳走が颯爽と舞い降りて来るではありませんか!!
「おいダン。火に近過ぎじゃね??」
俺と同じく魚を捌いているフウタが俺の所作を見つめて話す。
「どうせアイツがさっさと作れって文句を垂れるだろうし。それに腹ペコなんだから一匹や二匹は火の近くでも構わんだろう」
「ハハ、主婦は大変だな」
ハンナの横着な食欲は周知の事実なので俺が不躾気味にそう話すと乾いた笑いを浮かべながら料理を続けていた。
「むっ!! ハンナは起きたのか!!」
「お帰り――。さっき起きて今はグシフォスに挨拶をしているぞ」
力の森からたぁくさんの果実を採取して野営地に帰って来たシュレンを迎えてやる。
相も変わらず彼が着用する忍ノ装束だっけ??
全身真っ黒だが目元だけを覗かせており、両目はチリチリとイイ感じで焦げ目が入って行く魚の皮では無く湖畔の方へ向けられている。
その目の色は大変柔和でありフウタが心の底から優しき人物であると容易に窺える程だ。
「シューちゃん!! 早くその果実の皮を剥いて!!」
「分かっているから急かせるな……」
ヤレヤレ。
そんな感じでシュレンが溜息を吐くと使い古されたまな板の上に乳白色の果実を優しく置き、そして手慣れた手付きで縦に包丁を入れた。
おぉ――……。すっげぇ甘い匂いだ。
薄い皮が裂けて中の果肉が外気に触れると微風に乗って大変あまぁい香りが届く。
炭が焼ける香り、魚の身と皮が焼ける腹の空く匂い、そして果実の甘い香。
全ての匂いが混ざり合った匂いを嗅げば自然と腹が減る。この匂いを嗅いで腹を空かせないのはきっと死人位だろうさ。
今直ぐにでも魚に、一口大に切り分けられた果肉に齧り付きたいのをグっと堪えているとかなりの距離を離れているのにも関わらずこの素晴らしい匂いを捉えたのか。
「出来たか!?」
腹ペコ長男が血相を変えて戻って来やがった。
「粗方完成したし、昼食にしようぜ」
「大賛成――!!!!」
「承知した」
「早く魚を持って来い」
どうして君はいつも俺に命令口調で話すのです?? 甚だ疑問が残るばかりだ。
「へいへい。ほら、自然の恵みに感謝して食えよ??」
一番早く焼けた魚と果汁がたぁぁっぷりと零れ続けている果肉を別々の皿に乗せて相棒の下へと届けてやった。
「頂こう……。ふぁむ……。むぅっ!?!?」
パリッ!! と焼けた山女魚の身に齧り付くとハンナの前髪がふっっわぁぁっと浮かび上がる。
「ハハ、びっくりする位に美味いだろう??」
「あ、あぁ。恐らく数日間眠り続けていたので体が栄養を欲しているのだろう」
「焦って沢山食べるとお腹を壊すからね――。ゆっくり咀嚼して食べなさいよ――」
無我夢中で魚の身を食らう彼に注意を放つと焼きたてホカホカの魚を皿に乗せて立ち上がる。
「んっ?? ダン、何処へ行くんだ??」
果肉の甘さで目元がとろぉんと蕩けているフウタが此方を見上げる。
「グシフォスに差し入れだよ。あの子ったら……、全然食べないんですもの。ってな訳で魚の火加減見ておけよ――」
「ん――。分かった――」
互いに間延びした声を放ち、大自然の雄大な景色を噛み締める様に今も釣れない釣りに興じている大変立派な背中へと向かって歩いて行く。
龍一族の食欲は少ない方なのかしらね??
アイツが何かを口にしている姿を見たことが無いぞ。
「よっ、今いいかい??」
むぅっと唇を尖らせて湖へ顔全部を向けている彼の横顔へ向かって問う。
「何だ」
「ほら、差し入れ」
胡坐を掻いて座る彼の足元に美味そうな湯気を放つ魚を置くが。
「要らん」
彼は二つ返事で此方の厚意を拒絶してしまった。
まぁまぁこの子ったら……。一体どんな教育を受けて育って来たんでしょうかねぇ。
「あのな?? 別に俺の厚意を無下にするのは構わんけどさ。そいつの命を粗末にするのはちょっと不味いんじゃないの?? 俺達生き物は命を頂いて生きているんだからさ」
「……っ」
無視か!!!!
コイツめ……。自分が釣れないからって俺達の施しは受けないつもりか??
「まぁいいや。そこに置いておくから腹が減ったら食えよ――」
「ふん……」
右手をヒラヒラと振り野営地へと向かって先程と同じ速さで進み、そしてさり気なく魚の様子を確かめる為に振り返った。
「はふっ……。ほぉうっ!!」
アハハ、うちの白頭鷲ちゃんも驚くすっげぇ勢いで食ってら。
口元は背中越しで見えないが咀嚼の動きからしてもう骨程度しか残って居ないだろうさ。
龍一族も俺達と変わらぬ食欲を持つ。また一つイイ勉強になりましたねっ!!
「ただいま――!!」
大変陽性な感情を胸に抱いたまま野営地に到着すると速攻でその感情が霧散してしまう酷い光景を捉えてしまった。
「――――。おい、何で魚が全部なくなっているんだよ」
ほぼ空っぽになってしまった簡易竈を捉えて俺がドスの利いた声を放つと。
「ピュ、ピュ――ピュ――ッ」
フウタはどこ吹く風といった感じで唇を尖らせて唇を吹き。
「……」
シュレンは決して俺に目を合わさず簡易窯の中で燻ぶる小さな火を見続け。
「美味かったぞ」
恐らく、この犯行の主犯格であろうハンナは特に礼を籠めるという事も無く普段通りの口調で魚の味の感想を述べた。
「ふざけんじゃねぇぞ!! 何で俺の分まで食っちまうんだよ!!!!」
取り敢えず一番近くに居たハンナの背をまぁまぁの勢いで蹴ってやった。
「また釣れば良いだけの話だろう」
違う、そういう事じゃないの。
お母さんの食べる分も残しておくべきだと言いたいのです。
「はぁぁ――……。まぁいいや。夕食に向けて再び魚を釣るとしますかね」
空白しか確認出来ない桶を持つとクスンと悲しく鼻を啜り俺達が先程まで釣りに興じていた場所へと項垂れつつ向かう。
あぁ、空腹の所為かやたらと足が重いぜ……。
「けぷっ。ふぅっ!! すっげぇ美味かったよな!!」
「あぁ見事の一言に尽きる」
「俺もこの魚を釣ってみたくなった。後で釣りの作法を教えろ」
そして君達は鬼の居ぬ間に洗濯で御座いますか??
俺が去った後でキャイキャイ騒ぎやがって……。いつか覚えていろよ?? 食い物の怨みは怖いってその身を以て分からせてやるからな。
風光明媚な景色に似合わぬ復讐心という名の黒き炎を瞳に宿すと相変わらず素敵な凪が漂っている湖へと向かって行ったのだった。
お疲れ様でした。
本日は二話連続の投稿となります。現在、後半部分の編集作業中ですので次の投稿まで今暫くお待ち下さいませ。