第百七十一話 鴇色の夜 その一
お疲れ様です。
本日の投稿になります。
「私が幼い頃は……、そうですね。母とティスロと一緒に過ごす事が多かったですね。ティスロは私の教育係を務めており王政学やこの国の歴史。簡易魔法や護衛術。あ、護衛術は王都守備隊の方々と御一緒させて頂きましたね。そうだ!! 聞いて下さいよ!! その時に……」
自分の幼少期の頃の話を終えると俺は彼女の子供の時分の頃の話に興味が湧き、交代じゃあないけれども話し手から聞き手へと代わった。
可愛い鼻息を漏らして捲し立てる様に幼い頃の話を続けている彼女の顔を眺めて居ると本当に温かな感情が湧いて来る。
お互いの価値観や過去を共有するってのは共に歩んで行く上で必要な行為であり、レシーヌ王女様が発奮気味に鼻息を漏らしているのは恐らくその事を朧げにも理解しているからであろうさ。
子供が今日一日体験した小さな冒険を母親に話す様に、高揚と陽性が入り混じった口調で彼女がこれまで経験して来た冒険を語っているとその経験をしていないのにも関わらず脳裏に幼き頃の彼女が浮かぶ。
この国の代表となる為に苦い顔を浮かべて机にしがみ付いて勉学に励み、遊びたい盛りなのにも関わらず自分を押し殺して上に立つ者の所作を習う。その過程で積もり積もった憤りを発散する為に守備隊の連中を可愛らしくポコポコ殴った事は目を瞑るとしてぇ……。
此方が想像していた通り、レシーヌ王女様は幼い頃から英才教育を受けていたんだよな。
俺が餓鬼の時分は将来の事なんかよりも目先の真新しい発見や、見た事も無い昆虫類に目を輝かせて野や森の中を駆け巡っていたもんさ。
まぁ庶民の生活と王族の生活を比較しても無意味なのだが、それでも子供頃から奥歯を噛み締めて勉学に励んでいた事は素直に尊敬出来る。
子供が自分を押し殺すってのは大人が想像している以上に苦痛であり、精神的にもかなり負担が掛かるんだよねぇ。
夕日が沈む頃まで遊び、泥と疲労に塗れたままおやっさんの家に帰ったら。
『馬鹿野郎が!! 今何時だと思っているんだ!!!!』
お帰りの言葉の代わりにとんでもねぇ拳が脳天を穿った。
門限を破った罰として翌日の遊びは禁止。
涙が零れて来るのを必死に堪えながら机に向かって勉強をしていたのを今でも覚えているからね。
レシーヌ王女様、貴女は自分で考えている以上に辛く過酷な幼少期を過ごしていたのですよ??
そう謙遜なさらずにもっと誇って下さいまし。
「あ、そうそう!! ラゴス隊員の頭をポコポコ叩いて居た時なんですけどね!!」
「え、えぇ……。それは……、面白そうな光景ですね……」
世話になった人達への挨拶回りや快活受付嬢から無理矢理押し付けられた清掃業務によって蓄積された疲労が体の中に潜む睡魔を叩き起こしてしまったのか。
彼女の話を聞き逃す訳にはいかないと懸命に瞼を開いて傾聴していたが……。通常の瞬きよりも三倍の長さの瞬きを継続させていると、自分でも気付かぬ内に浅い眠りへと落ちてしまった。
鼓膜に薄っすらと届くレシーヌ王女様の柔和な話声は子守唄に持って来いの声質であり、心地良い微睡をより色濃く昇華させてしまう。
現実と夢の狭間に身を置き暫くすると……。不意に宙に浮く感覚を捉えた。
あぁ、何て心地良い感覚だ。
このままふかぁい眠りに落ちればそれはもう至極の睡眠を享受出来る事だろう。
あの安宿では腹ペコの白頭鷲ちゃんがピーピー鳴きながら母鳥に餌を強請り、口煩い小鼠がギャアギャア騒いで安眠するのは難しかったし。
それに比べて此処はどうだろう??
鼻腔に届く甘い女の香りが心のシコリを溶かし、世界最高峰とも位置付けられる肌触りの良い感覚が身を包み、鼓膜に届くのは安眠に適した環境音のみときたもんだ。
これで眠らないってのは睡眠を司る神様に失礼ってもんさ。
深いとも浅いとも捉えられる睡眠を享受していると不意に湿った感覚が唇を襲ったが、それを無視して睡魔さんと仲良く手を繋ぎ戯れていた。
それから一体どれだけの時間が経過したのだろう??
「んっ……」
耳元で鳴った女性の寝息を捉えてふと瞼を開いた。
「お、おぉう……。一体全体何でこんな事になっているんだ??」
俺の右腕を枕代わりにして眠っているレシーヌ王女様を捉えると一瞬で体温が二度程上昇してしまう。
その表情は安寧そのものであり見ているだけできっとイイ夢を見ているのだなぁっと頷ける程だ。
金色の髪が薄っすらと目元に掛かると女性らしさを増長させ、ちょいと着崩れした胸元から覗く健康的な双丘の張り具合が俺の性欲ちゃんを何処まで刺激。
更に、彼女の体全体から発せられる女の香と柔らかく開いた口元から放たれる寝息が意思と感情を持つ生物が等しく持つ理性という機能を徐々に奪って行く。
う、うぅむ……。
俺がうたた寝をしていた所、彼女が親切丁寧にベッドまで運んでくれたのはこの部屋に二人っきりだという事から余裕で推理出来る。しかし、何故高貴なる貴女は俺の右腕を枕代わりに使用しているのでしょうか。
甚だ疑問が残るばかりだ。
彼女が王女という肩書を持たぬのならこのまま行為に及ぶのですがぁ……。
「さ、流石に不味いよな??」
取り敢えず空いている左手でレシーヌ王女様の頭をヨシヨシと撫でてあげると。
「んんっ……」
男の性をグッ!! と増幅させてしまう甘い寝息が僅か数十センチ先から放たれてしまった。
う、うん。これはもう所謂流れって奴ですよね??
ほら言うでしょう?? 据え膳食わぬは男の恥って。
それと同じ様に冒険を頑張ったご褒美としてこれは大切に受け賜わなきゃいけないと思うのですっ。
「し、失礼しま――っす」
レシーヌ王女様が眠っている事を良い事にプルンと潤んだ唇を奪おうとして接近を試みた刹那。
「…………っ」
な、なぁんと彼女がゆるりとした速度で瞼を開くではありませんか!!!!
「あ、あはは。おはよ――ございますっ」
取り敢えずこの場に酷く合っているだろうと思われる台詞を吐き様子を窺う。
「ふふっ、まだ夜中ですよ??」
長年付き合い続けている仲の良い恋人に放つ様な。
心の距離感が近い者にしか送らない柔らかい口調を放つと。
「ん――……」
「ふぇっ!?」
俺の体に両腕を甘く絡めて距離を零にしてしまった。
「ちょ、ちょっと!! 距離感間違っていますよ!?」
「いいんです、これで」
「い、いやいや!! 国を代表する者がこんな事をしてイケナイと教わらなかったのですか!?」
何とか甘い拘束を解除しようとするが、レシーヌ王女様がそうはさせまいとして両足も甘く絡めて来てしまう。
すると。
『おぉ――っし。そろそろ準備運動を始めますかっ』
下半身に居る横着なもう一人の自分が決戦に備えて柔軟体操を開始してしまった。
「勿論習いましたよ?? でもね、今日だけは……。そう今日だけは許されるのですよ」
「今日だけ??」
「はい、この機を逃せば……。ダン、貴方はずぅっと遠くに行ってしまうのですから」
彼女がそう話すと本当に切ない表情を浮かべて俺を見上げた。
その瞳は微かに濡れて体全体からは物寂し気な雰囲気が漂い、つい先程までの甘い空気を徐々に侵食している。
「は、ははぁん。成程。レシーヌ王女様は自分がもう二度と帰って来ないかも知れないと考えているのですね??」
俺達の冒険は危険が付き物だからな。
恐らくそれを危惧しているのでしょう。
「限りなく正解ですけど、真の答えには辿り着いていませんよ」
あらま、そりゃ残念。
「一人の女が勇気を出して男に近付く……。それが分からない貴方ではありませんよね??」
勿論で御座います!!!!
本来であれば寂し気な雰囲気を醸し出した時点で行為をおっぱじめていますからね!!
し、しかしそれはど――しても出来ないのです!!
それは何故か??
少し考えれば馬鹿な奴でも気付くだろう。そう、身分というどうしても取っ払えない高き壁の所為さ。
俺はお得意先に対してヘコヘコと頭を下げる御用聞きの様にいつまでもうだつの上がらないド庶民で、片やレシーヌ王女様は万人が認める超良血の血統種ときたもんだ。
こんな一山幾らの雑魚野郎がおいそれと高貴な血を持つ女性を抱く訳にもいかんのです。
「勿論理解していますよ?? しかし、一時の過ちを行って後悔しませんか?? レシーヌ王女様は高貴なる者であり自分の様な下賤な者を相手にしてはいけないのです」
目の前に超御馳走が転がっているのにそれを食べられない大型犬の気持ちを胸に抱き、渋々彼女の体を押し退けるのだが。
「理解しているのなら私の想いを汲んでよ……。どうして私から逃げるの??」
目の前の柔肉は俺の腕を越える力で距離を再び削ってしまった。
「そ、そりゃ逃げますよ。もしもその……。親しい男女として夜を過ごせばきっと恐ろしい罰が待ち構えているのですからね」
禁固数百年は確実であり彼女の両親。
つまり国王様と王妃様の逆鱗に触れてしまったら断頭台へ送られてしまう可能性もあるのだ。
自分の頭が地面の上で無残にコロコロと転がる非情な光景を想像すると背に冷たい風がヒュっと吹いて行く。
「と、言う訳で!! 自分は先程と同じくキャッキャウフフと楽しい会話を所望させて頂きます!!」
刹那の隙を窺い細い両腕の拘束から逃れてベッドの端へと移動をしたのだが……。
「だ、駄目ぇ!!」
「グブェッ!?!?」
彼女の背後から強襲して来た大蜥蜴の尻尾が俺の首に巻き付き動きを拘束してしまった。
何で尻尾が襲い掛かって来るんだよ!?
「ど、どうして私がこうして勇気を出しているのに貴方は逃げるのですかっ!!」
「ど、どヴぉじでって……。カ、カヒュッ!! 先程も申しましたけど、お互いのみ、身分を考慮したげっがなのです!!」
逞しい筋力がミッチリと詰まった尻尾と己の首の間に指を突っ込み、何んとか拙い空間を捻出して命辛々声を出す。
「そ、そんなもの!! 関係ありません!! 男らしくないですよ!!」
レシーヌ王女様がふわりと宙に浮く俺の体を引き寄せると大変恐ろしい瞳でキッと睨み付けて来る。
な、成程。尻尾だけ器用に形態変化させて出現させているのですね……。
「こ、ごういうどきに男って言葉を使用するのはひ、卑怯だと思います!!」
彼女の背から此方に伸び来る大変立派な尻尾に視線を送りつつ叫ぶ。
「でしたら私も考えがあります。いいですか!? い、今から私は貴方を……」
貴方を??
燃え盛る様に顔が真っ赤ですけども、その先を言えるのでしょうか??
「力の限りに……。お、お、犯します!!!!」
「ブフッ!!!!」
な、な、何て破廉恥な言葉を使用するのですかぁ!! 国を代表する者が放つ言葉だとはとても思えませんよ!!!!
お母様から受けた教育を反故にする気で御座います!?
「淫らな言葉を使用しないで下さい!!」
「ダンが悪いんですよ!? 何度もイイ感じになったのに貴方は毎度毎度私から逃げて、目に見えない壁を立てて……。私の肩書は王女ですが、中身は何処にでも居る普通の女性なのですからね……」
普通の女性は背から生える長い尻尾で男性の首をグイグイと絞めつけて破廉恥な言葉を使用するとは思いませんぜ??
まぁ言いませんよ?? もしも勢いで言ってしまったのなら首がポっきり折れてしまうのでね。
「そこで!! うじうじした弱虫のダンに代わり!! 私がこうして貴方との間にある壁を壊してそちら側にお邪魔させて頂いたのですよ」
随分下方に居るレシーヌ王女様がニコっと明るい笑みを浮かべる。
日常生活の中なら何度も承りたい陽性な笑みなのですが、生憎この場面では嫌な予感しかしないのは気の所為でしょうかね。
「そ、それは喜ばしい限りなのですが……。そのぉ……。これから始める行為は一体どういったものかは理解していますよね??」
無意味に足をバタバタと揺れ動かしつつ問う。
「も、勿論です!! 実戦はまだですがお母様から知識は授かりました!! 訓練はぁ……、ま、まぁお母様からの御言葉を受けて頭の中で済んでいますので残すは実戦のみといった感じでしょかね!!」
知識はあっても本番では全く役に立たない時もあるのですからね!?
そ、それに訓練と実戦はまるで違うのです!!
このままでは男を知らぬ女性にイイ様に扱われてしまう。そう考えた俺は遂に降参してしまった。
「分かりました。降参です」
俺がそう話すと。
「で、でしたら!!」
「いでっ!!」
首を拘束していた尻尾が眩い光を放って姿を消し、宙からベッドに落下してしこたま尻を打ってしまった。
「でも宜しいのですか?? ここが最終分水嶺ですよ?? もしもレシーヌ王女様が俺を受け止めるのなら此処から先は一切の手加減無しに貴女の体を食らい尽くします」
「わ、分かっています。私は貴方と身も心も一つになりたいのです」
ほぉう?? それは聞き捨てなりませんなぁ。
身も心も一つになるという事は本当に甘い一夜を過ごさなければならないって事を人生の先輩が身を以て分からせてあげましょう。
「分かりました。それでは……。レシーヌ王女様には本当の男という生物を知って貰いましょうか……」
「へっ?? んんっ!!!!」
彼女の柔らかい体を抱き寄せて良く動く唇を塞いであげる。
しっとりと潤う唇の味は想像以上に甘く、そして清らかな水の如く柔軟であり食み続けても決して飽きが来ない極上の感覚だ。
上唇を楽しんだ後に今度は下唇を、更にまるで意思を持った様に動く互いの舌を淫らに絡み合わせてあげた。
「ぷはっ!! ちょ、ちょっと……。も、もう少して、手加減を……。んぁっ!!」
「駄目ですよ?? 逃げちゃ。これからもっと凄い快楽がレシーヌ王女様の体に襲い掛かるのですから……」
粘度の高い淫靡な水の中から新鮮な空気を求めて脱出しようと画策した彼女の体を引き寄せ、淫らに乱れた衣服を巧みな所作で脱がすと思わず生唾をゴックンと飲み干してしまいそうになる金銀財宝が露出された。
ほ、ほほぅ……。こりゃあまたすんばらしい芸術作品ですなぁ。
その道を極めんとする芸術家が魂を籠めて作り上げた至高の作品を凌駕する完璧に近い作品をマジマジと見つめていると。
「は、恥ずかしいから余り見ないで下さい……」
レシーヌ王女様が嫋やかな所作で胸元を隠してしまった。
うふふ、そういった女性の初心な反応が逆に男心を誘うって事を彼女は知らないのでしょうかねっ。いや、寧ろそれを無自覚の内に行っているのだろうか??
何はともあれ更なるお宝を発見しに大変甘くて蜜の味がする柔肉の海へと冒険に出掛けましょう!!
「ひゃんっ!! ど、何処に舌を這わせているのですか!?」
初めて交わう男女の契り、それはお宝探しみたいなものさ。
地図の無い大陸を右往左往しつつとぉぉっても価値のある宝を探す様に、まるで絹の様な肌の上に舌を這わせていくと。
「んっっ……」
彼女が上半身をピクンとさせて甘い吐息を漏らしてしまった。
はい、み――つけたっ。
「ふふ、ここが弱かったのですね?? 意外ですよ」
「ひゃぁっ!! んぁっ!? ダ、ダン!! 止めて!! 恥ずかしいよ!!」
止めてと言われて止める男は居ませんよ――っと。
健康的な肉付きの腰辺りを厭らしい液体を纏わせたスコップの先端でチリチリと弄りつつも、空いている両手で更なる宝探しを行って行く。
「やっ、あぁっ……」
ほほぅ?? 定石通りに双丘が弱点であり更に美しい曲線を描く白桃も弱いときたもんだ。
彼女の大陸に眠るお宝を次々と発掘して行き頭の中に思い浮かべる地図に宝の所在地を記す。
そしていよいよ最後のお宝を開封する時が来ましたねっ!!!!
「レシーヌ王女様、これから貴女の体に痛みが発しますけど……。我慢出来ますか??」
ベッドの上で力無く横たわり、甘い吐息を漏らし続けている彼女を見下ろすと優しい声色でそう話す。
「はぁ……、はぁ……。えぇ、勿論です」
襲い掛かる快感によって蕩け切った目元が俺の瞳の奥を直視する。
「怖いですか??」
「ちょっとだけ……。でも、ダンだから怖くありません」
精一杯の強がりなのだろう。
ほんの少しだけ口角を上げると俺の頬に右手を添えてくれた。
「分かりました。では……、行きますよ??」
レシーヌ王女様の今にも消え入りそうな勇気に応える様。
危険と死が蔓延る洞窟の奥に待ち構えていた大変立派な宝箱を大切にそっと開封してあげた。
「ぃっ……」
お互いの体が一つに繋がった刹那に彼女は痛みを堪える矮小な吐息を漏らす。
「安心して下さい。このまま暫く動きませんから……」
相手の痛みを労わる様に彼女の頭を本当に優しく撫でてあげる。
「そ、そうしてくれると助かります……」
「では……、先程の続きを開始させて頂きますね??」
「へっ!? ちょ、ちょっとぉ!! 駄目ぇ!!」
この傑作を目の前にして駄目と言われて止める男はいませんよ??
絹糸よりも滑らかな彼女の首筋を甘く食み宝の地図を頼りに南下、大陸中央でドンっと腰を据えて立っている双子山の頂に到達すると。
「は、ぁぁっ……」
今日一番の甘い吐息が北の方角から漏れて来た。
ふむふむ、ここにも大変価値のあるお宝が眠っている様ですね!! しかもここは他の場所と違い反応が段違いだ。
「も、もう……。手加減して下さいって言いましたよね??」
ちょっとだけ眉を顰めて俺の頭をポコンと叩く。
「あはは、申し訳ありません。これでも手加減している方ですよ??」
「えっ!? これでも?? ですか??」
「えぇ、まぁっ……。試しにちょっとだけ本気を出しましょうか??」
彼女の細い腰に向かって男らしい所作を披露してあげると。
「ちょっ!! んんっ!! んぁっ!!!!」
快楽と痛み。
複雑な感情が混ざり合った女の声が部屋に響いた。
「はぁっ……、はぁっ……。い、今のがダンの本気なのです??」
「あはは、今ので三割ですよ」
「三割!?」
「本気を出したらレシーヌ王女様が壊れてしまいますのでね。御安心下さい。まだまだたぁぁっぷりと時間がありますので時間を掛けて慣らして行きますので」
「よ、宜しくお願いしますね……」
「「……っ」」
俺達はお互いの視線が宙で優しく絡み合うと何も言わず互いの唇を優しく重ね合わせた。
互いの体を貪り合う様な行為では無く、愛を、心を確かめ合う様な行動が何処までも心を温めてくれる。
彼女が俺の体を求める様に抱き締めてくれると俺もそれに応えてレシーヌ王女様の体を壊さない様にそっと腕の中に仕舞ってあげる。
耳に届くくぐもった水気のある音が男の性を刺激して燃え盛る情熱に突き動かされそうになってしまうが、それを堪えて頑是ない子供を指南する様に親切丁寧に世界最高峰の芸術作品を堪能して行く。
俺が一度果てるも冒険心旺盛な彼女は飽くなき探求心により男の体を求め、俺もまた世界最高峰の女の体を求めた。
お疲れ様でした。
因みにタイトルの漢字の読み方はときいろ、です。大変読み難い漢字で申し訳ありませんでした。
これから出掛けた後に後半部分の執筆作業に入りますので、今暫くお待ち下さいませ。