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今日も今日とて、隣のコイツが腹を空かせて。皆を困らせています!!   作者: 土竜交趾
過去編 ~素敵な世界に一時の終止符を~
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第百五十八話 月下に舞い降りた麗しの女神 その一

お疲れ様です。


本日の前半部分の投稿になります。




 良く晴れた夜空から降り注ぐ月光。


 それは感情と意思を持つ生物に昼の太陽と似た効用を与える効果が認められる。


 月の光の浴びた者は皆等しく口を柔和に曲げて陽性な感情を振り撒いて会話に勤しみ、誰かが少々大袈裟な笑い声を出せばそれにつられる様に良い笑みを浮かべる。


 特に腹が空いた訳でも無いのに周りの明るい雰囲気に触発された胃袋は深夜まで続くであろう晩餐会に備える為に栄養を欲して体に指令を送り続けている。


 それを受けた体は馬鹿正直に御馳走を、お酒を摂取して失われた体力を回復させるのだが陽性な感情も相俟ってか不必要な量の栄養を摂取してしまう。


 指令以上に摂取した栄養を消化する為に頭は体にもっと会話に勤しみなさいよと指示を出し、それを受け止めた体は明るい会話を継続させてこの晩餐会の陽性な雰囲気の一端を担っていた。



 かく言う俺もその例に漏れず。



「ギャハハ!! この肉うっまぁぁああああ!!」


 この晩餐会にはそれ相応の地位を持つ者達が出席している事を忘れ、下町の酒場で友人達と酒を酌み交わす様。馬鹿みたいに口を開き阿保丸出しの笑みを浮かべて騒ぎ続けていた。



 酒の力と場の陽性な雰囲気。


 更に満点の星空の下で食事を進めればそりゃこうなりますよ!!


 素面しらふの状態なら分を弁えた態度を取って静かに、厳かに過ごすのですが本日は無礼講もあってか自制心という壁を取っ払って自分の感情の赴くままに行動を続けていた。



「先程から五月蠅いぞ。その台詞は何度も聞いた」


 相棒がムスっとした表情を浮かべて徐々に減りつつある肉の山から一枚の肉を取り出して己が口へと運ぶ。


「別に五月蠅くしても良いじゃねぇかよ!! なんと言っても本日の主役は俺達なんだし!? 主役がぁ、むすぅっとした顔を浮かべていれば宴会の席はしらけちまうんだよ!!」


 肉の旨味を舌で感じ、本当に良く見ないと分からない程度に口角を上げている相棒の脇腹にぎゅっと抱き着いてやった。



 んぅ!! 今日もイイ抱き心地だぜ!!


 微妙にカチカチな肉質が堪らんっ!!



「止めろ!! 気色悪い!!」


「ギャハハ!! 放さねぇぞ――?? 今日の俺は一味違うのさっ」


 相棒がいつもの通り大変かたぁい拳骨を脳天に突き刺すがお酒の効果もあってか然程痛みは感じず、逆にそれがイイ刺激となり更に彼の体を強く拘束してやる。


「放せと言っているだろうが!!」


「わはは!! ハンナ、困って居る様子だなっ」


 グレイオス隊長が琥珀色のお酒をクイっと飲み干すと陽気な笑みを浮かべながら軽快な口調でそう話す。


「当然だろう。コイツの所為で肉が食えないのだから」


「んぅ!! 世界にたった一人の相棒よりもお前さんは肉を取ると言うのかい!?」


「あぁ、その通りだ。苦労の末に手に入れた逸品なのだから」



 長い待ち時間を耐え、柔肉を持った獣達に襲われ、それを乗り越えた料理の味は格別なのだろうが血の繋がった家族よりも強烈な絆で結ばれている相棒を蔑ろにするのはちょっと酷くね!?



「確かにこの肉の味は格別だ。丁度良い塩加減に量を食べても決して飽きが来ない肉汁……。それに絶妙な噛み応えが堪らないぞ」


「ゼェイラ長官の仰る通りです。このドレスを着用していなかったらもう少し量を詰められたのですが……」


 ゼェイラさんとトニア副隊長の両名が少しお酒の入った表情を浮かべて肉を口に運び続けている。


「ふふん。私はそれを見越して普段通りの制服を着用しているのだ」


「ゼェイラさんよぉ――。トニア副隊長はぁ――、グレイオス隊長にドレス姿を見て貰いたいが為に着慣れていないドレスを着用しているのですよぉ?? 健気な女心を少しでも汲んでやったら如何ですかぁ??」



 右手で相棒の体にしがみ付き、空いた左手で机の上に並べられている皿の上からお肉を掴み口に運ぶ。


 んふぅ!! 相棒が目尻を下げて咀嚼するお肉の料理は格別ですな!!


 これなら幾らでも食べられちゃいますもの!!



「そんな事は理解している。そもそも彼女のドレスを用意したのは……」


「ゼ、ゼェイラ長官!! 私は果物のお代わりが欲しいので一緒に取りに行きましょう!!」


 トニア副隊長の顔が瞬時に燃え上がるとゼェイラ長官の右手を手に取り、半ば強引に料理が並べられている机へと向かって行く。


「わ、分かったから手を離せ!! 私は貴様達程丈夫に出来ていないのだ!!」



 俺達の体って普通の体の持ち主から見るとやはりイカレタ構造に見えるのかしらね??


 余り深く考えると御飯が美味しくなくなってしまうので聞き流すとしましょう。



「さてとっ!! お肉のお代わりぃ――」


 先程と同じ要領で相棒の体から左手を離すと。


「ふんっ!!」


 彼は二度目の隙を見逃す筈も無く、あっと言う間に俺からかなりの距離を取ってしまった。


「んだよぉ、折角人が上機嫌に飯を食っていたってのにぃ」


「俺は不機嫌なまま飯を食っていたぞ」



 んまっ、この子ったら。


 売り言葉に買い言葉を覚えるなんて……。成長している証拠ねっ。


 仕方が無い。


 新しい刀の錆になる訳にはいかないのでこのまま大人しく机の上に並べられている料理を体に詰め込んでやるとしましょうか!!



「んめぇ――!! このパン柔らかくて最高っ!! ハンナお前も食ってみろよ!!」


「この肉はやはり最高だな。幾ら食べても飽きが来ないぞ」


「トニア副隊長は大丈夫だろうか……。俺がやはりついて行くべきだったか」



 大量の料理が乗せられた机の周りに居る野郎が三者三様の様子を浮かべつつ食を進めていると何やら騒がしい気配を引き連れて二人の女性が静かに登場した。



「「……」」



 二人の内の一人は死が蔓延る古代遺跡の奥地から救助したティスロだ。


 彼女は普段通りの制服で身を包み、内側から押し上げて来る圧に制服の胸の素材が苦しそうに悲鳴を上げている姿は自然と男の視線を集めてしまう。


 夏の力強さを感じさせてくれる濃い緑色の長髪は後ろで綺麗に纏められており何処か硬い印象を与える髪型はこの明るい場としては少々相応しくない様に映る。



「よぉ――っす!! ティスロ!! 元気に食べているぅ!?」


 軽やかに右手を上げて酒の席に相応しい口調で挨拶を済ませた。


「あ、あはは。ダンさんは相変わらずですね。ハンナさんもお酒を飲んでいるのですか??」


 彼女が乾いた笑みを浮かべて今も物凄い勢いで肉を食らっている彼の横顔にそう問う。


「いや、今は酒よりも肉の味を堪能したいからな」


「お肉はかなりの量を用意したらしいのですが……。今は無くなっちゃったみたいですよ」



 うっそ!! お代わりを考えていたのに!?


 食の手を止めて肉が並べられていた机に視線を送ると。



「ふ、ふぅ――……。片付けの準備を始めるか」


「全く、嵐の様な時間だったぜ……」


 配膳の係の者達が満身創痍の表情を浮かべて撤収作業に取り掛かっていた。


「まだまだ違う料理が残っているし、そっちを堪能させて頂きますよ――っと。所で……。そちらの美人は一体誰」


「……」



 ティスロの側で静かに立ち、俺と相棒の様子を興味深そうに無言のまま捉え続けている女性へと視線を送る。


 黒みがかった濃厚な金色の髪が風に靡けばその輝きを見逃すまいとして誰しもが振り返るであろう。


 上空から降り注ぐ怪しい月光を浴びた彼女の髪は強烈な力を備えており。



「「「……っ」」」



 晩餐会に居る男共の視線を独占していた。



 美しく弧を描く眉毛にぐうの音も出ない程の整った目の形。顔の中心を走る鼻筋は見事な線を描き、頬から流れる顎筋は美を追求する女性達の嫉妬を勝ち取る程に見事の一言に尽きる。


 二十代前半の大人の女性の顔立ちなのだが、その影に薄っすらと少女の面影が残る。


 薄い青のドレスは材質も良くそれ相応の価値があるのだろうが……。それでも彼女の顔にはどうしても見劣りしてしまう。彼女の顔に合うドレスを探す方が難しいのかも知れない。


 少しだけ大胆に開かれた胸元には男の性欲を十二分に誘う威力を備えている双丘が嫋やかに主張しており、細い双肩は守ってあげたいという男の本能を誘っていた。



 ん――む……。


 胸の大きさはティスロの余裕の勝利だけども、顔立ちは美を司る女神でさえも勝つことは困難であると判断出来る程のものだな。


 この人が街中を歩けば鑑賞の為に人々が足を止めて大渋滞が発生してしまうでしょう。



「分からないのですか??」


 ティスロが両目を少し大袈裟に見開く。


「一度見た美人は絶対に忘れないと自負しておりますが……。申し訳無いけど初対面ですのでね」


 ど――せハンナ目当ての女性だろうさ。


「……」



 ほらっ、猛烈に肉をガッツいている相棒から目を離していないし。


 何で世の中の美女達は相棒の顔だけを見るのでしょうねぇ……。男は顔だけじゃないってのにぃ!!


 ふん……。お酒でも飲んで気分を紛らわしてやる!!


 机の上に並べられているグラスに手を伸ばし、男らしい所作で口に運んで喉の奥に酒を流し込んでいると……。




「そんなに急いで飲むと酔ってしまいますよ??」




 件の女性から大変聞き慣れた声色が響いた。



 ン゛ッ!? 今の声色って……



「ダンさんとハンナさんは彼女の人の姿を見るのは初めてでしたね。この方はレシーヌ王女様ですよ」


「「ブブッフッ!?!?」」



 ティスロの紹介の声を受け取ると俺と相棒が同時に吹いた。



「ワハハ!! どうした!? 王女様の美貌に驚いてしまったのか!?」


「ほぉ、本日もお美しい姿は相変わらずですな」


「青のドレスが良く似合っていますよ」



 グレイオス隊長が軽快な笑い声を放ち俺の肩を叩き、獲物を得て帰還したゼェイラ長官とトニア副隊長がレシーヌ王女様の姿を素直に褒める。



「ゲホッ!! ゴッフ!! だ、だ、誰だって驚くだろ!! こ、こんな美人がいきなり現れたら!!!!」


 目を白黒させつつグレイオス隊長の腹をポコンと叩いてやった。



「ふふっ、お褒めの言葉。有難く頂戴しますね」


「あ、い、いえ。どうも……」



 お、おいおい。嘘だろう!?


 大蜥蜴の姿しか見た事ないけどもレシーヌ王女様って滅茶苦茶美人じゃねぇかよ!!!!


 今も五月蠅く鳴り響く心臓の頭をヨシヨシと撫でて動悸を鎮め、レシーヌ王女様の姿を脳内に刻み込もうとして改めて両目をひん剥いて見つめていると訓練場に響いていたヴァイオリンの音に変化が現れた。



「うん?? 何か急に軽快な音に変わったけど……」


「今から晩餐会の催し物として自由に踊れる時間が始まるのですよ。参加は自由ですので気になる御方を誘っては如何でしょうか」


 訓練場の方々から中央へと移動を始めた大蜥蜴ちゃん達を見つめつつティスロがそう話す。


「ほぉん、そうなんだ」


 生憎踊りの作法を知らぬ俺はどうしようも無いしそれに踊り自体に然程興味は無い。


 ちゅまり目の前の御馳走を平らげる事が俺に与えられた使命なのさっ。


「ダン!! レシーヌ王女様を誘ってみればどうだ!?」


 先程のお返しだと言わんばかりにグレイオス隊長が少し強めに俺の肩を軽快に叩く。


「あのねぇ。踊れない人が会場に出向いても恥を掻くだけだぜ?? それに一国の王女様が一庶民と仲睦まじく手を取る訳にはいかないだろう」


 勿論誘いたいですよ?? でも、踊りが出来ない奴と組んだら王女様に恥を掻かせてしまうし……。


 美女を目の前にして行動に移れない自分が情けないぜ。


「私は別に構いませんよ。ダン、私と一曲如何でしょうか」


 何ですと!?


「え!? いいんですか!?」


「はいっ、勿論。踊りの作法は踊りながら教えますので共に素敵な時間を過ごしましょう」



 美女からさ、誘われちゃったら仕方ないよね!!


 でも俺一人だとちょっと恥ずかしいので此処は一つ、道連れじゃあないですけども……。



「俺達だけ踊っても何だか味気ないし。ハンナはティスロと、んでグレイオス隊長はトニア副隊長と組んで踊ろうぜ」


 この場に居合わせた組に誘いの手を差し伸べてあげた。


「何故俺が踊らなければならないのだ」


「ハンナの言う通りだ。俺はこうした行動は苦手だからなっ」


 鍛える事が飯よりも大好きな野郎共から想像通りの言葉が出て来るので。


「そぉんな事言ってもいいのかなぁ――。彼女達、大変落ち込んでいますよ――??」


 件の彼女達にクイっと顎を差してやった。



「そ、そうですよね……。ハンナさんはこういう事は苦手ですものね……」


 ティスロは分かり易く落ち込んで地面の矮小な砂を見つめ。


「隊長、今の台詞は聞き逃せませんね。王都守備隊の隊長は苦手な行動から目を背ける情けない者として見られてしまいますよ」


 トニア副隊長は鬼気迫る顔を浮かべて彼を睨みつけていた。



「い、いや。俺は決してティスロ殿と組みたくない訳ではなくて……」


「は、はぁ!? それとこれは別問題だろう!!」


「はいはぁ――い!! 言い訳は後で聞きますのでさっさと行きましょう!!!!」


「「ぬぉっ!?」」



 狼狽える野郎二人の背を半ば強引に押し込み彼女達の下へ送り届けて強制的に組を成立させ、楽し気な雰囲気が漂っている踊りの会場へと向かった。


 その移動の最中にも。



「ほぉ――……。何んとお美しい……」


「歩いているだけでも様になるのは流石、ミキシオン様の血筋といった所か」



 レシーヌ王女様が男性達から感嘆の吐息を勝ち取っていた。


 その隣を歩けるだけでも名誉なのにこれから彼女と手を取り合って踊るんだろう??


 真面に動けるかどうか不安で仕方が無いぜ。



「ダン、どうかしました??」


 直ぐ隣を歩くレシーヌ王女様が少しだけ首を傾げて此方を見上げる。


「あ、いえ。多少なりとも緊張していまして……」


 強敵と対峙した時とはまた種類の違う強烈な緊張が体を包み込み普段通りの動きを阻害してしまう。


 きっと他人から見れば緊張感丸出しの情けねぇ姿に捉えられるんだろうさ。


「危険と死が蔓延る死地から帰還した者が踊り程度で緊張するなんて……。ふふっ、おかしいですね」


 そりゃ誰だって一国の王女様と踊るとなれば緊張しますでしょうに。


「安心して下さい。私がちゃんと導きますから……」



 大勢の人々が華麗に踊り続ける会場に到着するとレシーヌ王女様が大変きゃわいい笑みを浮かべて俺の手を取ろうと嫋やかな所作で己が手を伸ばして来る。



 月の光を浴びて静かに立つその姿はまるで月夜に舞い降りた一人の女神って所か。


 俺は女神様の手を取り共に踊る事が出来る幸運な男。


 世の男性はすべからく俺の幸運を妬むのだろうが此方としては諸手を上げて喜ぶ訳にもいかぬ。



「あ、足を踏んでも罰しないで下さいね??」


 そう、女神様に恥を掻かせたらとんでもない罰が待っているのだから。


「ん――……。それは受けた痛みと要相談といった所でしょうか」



 え!? ちょっと待って!!


 爪先を踏みつけただけで断頭台行きとか勘弁して欲しいんですけど!?



「じゃ、じゃあ自分はやっぱり見学に徹し……」


「此処まで来てそれはいけませんっ。さ、踊りますよ」


「ちょ、ちょっと!!」



 レシーヌ王女様が強引に俺の手を掴むと周囲で踊る彼等に合わせて軽快な舞いを始めた。



「ど、どうすれば宜しいのでしょうか??」


 取り敢えず彼女の体に触れぬ様、彼女に手を掴まれたまま周囲の大蜥蜴達の踊りを見様見真似で合わせて踊る。


「私の両手をしっかりと握って、それから私の動きに合わせて踊って下さい」


「こ、こうでしょうか??」



 彼女の指示通りに大変柔らかい手を握り締め、左右に揺れ動く体に合わせて己が体を揺らす。



「初めてにしては上出来ですよ?? 後は周りにも気を配りぶつからない様にしませんといけませんね」


「お褒めの言葉を頂き光栄であります」


「どういたしまして。所で……、その……」


「どうかしましたか??」



 軽快な踊りに陰りが見え、急に言いよどんでしまった彼女の顔を見下ろす。



「私の顔を見て先程美人と褒めて頂いて下さいましたが……。本当はどう思っているのです??」


 周りに聞こえない様、俺にだけ聞こえる声量で問うて来る。


 彼女が言い淀んだのは恐らく初めて本当の顔を俺に見られてしまったからであろうさ。


「包み込んで話しましょうか?? それともありのままを御話しましょうか??」



 体を動かし続けている内にいつもの調子を取り戻して来たので王女様の御部屋で何度も交わした冗談を話してあげる。



「それでは……。ダンの心のままの声を聞かせて」


 それを受け取ると彼女は微かに頬を朱に染めて此方を見上げた。


「ここだけの話にして下さいね?? ――――。物凄く可愛いです」


 踊りの途中で彼女の耳元に口元を近付け、レシーヌ王女様だけにしか聞こえない声量でありのままの言葉を伝えた刹那。


「……っ」


 彼女は顔全部を真っ赤に染めてしまった。



 うふふっ、可愛い反応を見せちゃって……。


 此処が正式な場所でなければこのまま彼女の細い腰をキュっと抱き締めて大人の時間に突入するのですが、そんな事をしてしまったのなら俺の頭と胴体は永遠の別れを告げてしまうので我慢しましょう。


 美女を目の前にして襲い掛かれないのは本当に酷ですなぁ。


 偶には我慢が必要と言われている様に今は紳士的にこの踊りの時間を過ごすとしましょう。


『え!? 食わねぇの!? 俺の出番無し!?』


 本当は俺も本能の赴くままに食らいたいのですが……。大変申し訳ありませんが留守番をして下さいまし。


 レシーヌ王女様から漂って来る女性の香によってもう一人の俺が首を擡げて出現しようとするのを必死に抑えつつ、超紳士的な態度を醸し出して下手糞な踊りを披露し続けていた。




お疲れ様でした。


現在、温かいうどんを食しながら後半部分の編集作業を続けておりますので次の投稿まで今暫くお待ち下さいませ。

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