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今日も今日とて、隣のコイツが腹を空かせて。皆を困らせています!!   作者: 土竜交趾
過去編 ~素敵な世界に一時の終止符を~
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第百三十三話 戦士達の束の間の休息 その一

お疲れ様です。


本日の前半部分の投稿になります。




 誰しもが満点の星空であると確定付けるであろう今宵の空は雲一つ無く晴れ渡り、幾千幾億の星達が篝火に照らされた俺達を静かに見下ろす。


 夜空の黒が目立つのは星達が強烈に輝いているからか、それとも蓄積された疲労によるものなのか。それは定かでは無いが夜空へ向かって立ち昇って行く火の粉の軌跡をぼぅっと眺めていると自分でも心が酷く落ち着いているのだと自覚してしまった。


 そりゃそうだ。


 このミツアナグマの里には人の肉を食らおうとする馬鹿げた大きさの虫達やこの世の理から外れた常識外れの巨大砂虫は存在しないのだから。


 死を与える存在が近くに居ない事がこんなにも素敵だと感じるとはねぇ……。


 闇を打ち払おうとして光輝く篝火を見つめているとこれが常識であって、あそこが非常識であると再認識出来てしまった。



「あ――、腹減ったぁ。なぁ、飯はまだかよ」


 俺の左隣。


 見方によっては失礼にも値するだらしない座り方で篝火を見つめているフウタが愚痴を漏らす。


 此処は人様の土地でありふざけた態度は相手に失礼なので少し注意してやるか。


 俺が口を開こうとした刹那。


「フウタ。某達はあくまでも客人の立場なのだ。それ相応の態度と言動を心掛けろ」



 彼のお目付け役兼同郷の者が彼の態度を咎めてくれた。


 んまっ、シュレンちゃんったら。


 お母さんが言おうとした言葉を完璧に伝えてくれて嬉しい限りだわ。



「シュレンの言う通りさ。もう直ぐ御飯が用意されるから黙って静かにしてろ」


「へ――い。よぉ、ハンナ。お前さんも腹減ってるだろ??」


「あぁ、程々にな」



 あ、コイツ今嘘を付いたな。


 長い間共に行動している所為か、言葉の端に含まれている違和感を直ぐに捉える事に成功してしまった。



 俺と相棒が稼いだお金の約半分は食費に消えてその割合は俺が三、相棒が七って感じか。


 時に腹ペコの白頭鷲ちゃんの食欲は想像を絶し、空いた口が塞がらない時は多々あった。


 太っている訳でも無いのに体の一体何処に大量の食糧が消えて行くのか不思議でならない。それを確かめる為に勢い良く彼の服を捲ったらとんでもねぇ威力を持った拳が脳天を穿った。


 あの痛みは今でも忘れないし、いつか仕返しをしてやろうと画策している次第でありますっ。


 クルリちゃんも大変だよなぁ……。


 ハンナの巨大な胃袋を満たす為には大量の料理が毎日必要になってくるし、更に悪い事にコイツは頼みもしないのに体を鍛えに行って腹を空かせるから余計に質が悪いのだ。


 彼の将来の家庭事情を心配していると火を取り囲み輪になっている者達から歓声が湧いた。



「「お待たせしました!! 本日の夕食です!!!!」」


「「「おおぉぉおお!!」」」



 そりゃこんな美味そうな飯を目の前にして声を出さずにはいられねぇよ。


 俺達の前に配膳されたのは食欲をグングンとそそる白き湯気を放つ焼きたての大盛のお肉ちゃんに俺達が土産として運んで来た米、それと森の豊かな恵みを受けて育った色とりどりの果実だ。


 そのどれもが視覚を満足させる物であり、料理が放つ匂いは食欲ちゃんの合格点を容易く勝ち取ってしまった。



「うっひょ――!! すっげぇ美味そうじゃん!!」


 フウタが両目を見開いてそこからキラキラのお星様を飛び出せば。


「ふ、ふむ。食欲を誘う香りだなっ」


 シュレンは込み上げて来る嬉しさを何んとか押し留めようとしているがそれは叶わず。


「……ッ」


 食いしん坊の相棒に至っては無言で大盛のお肉ちゃんを手の届く距離に引き寄せてしまった。



 全く……。お行儀が悪い子達ですこと。


 大人である俺は料理に手を伸ばすのをグッと堪え、輪の中央で今も温かな光を放つ大きな篝火の前に進んで行った里の長であるグルーガーさんの背に視線を送り続けていた。



「んんっ!! 皆の者、そのまま聞いてくれ」


 彼が静かに第一声を放つと雑談と感嘆の吐息が止み、夜に相応しいシンっと鎮まり返った雰囲気が漂う。


「先ずは礼を言わせてくれ。今日はこの宴に集まってくれて有難う」


 グルーガーさんが里の者達、そして俺達に対して静かに頭を垂れると皆一様に彼に対して一瞥を放つ。


「俺達は皆も周知の通り、砂嵐を抜けた先にある遺跡へと旅立った。そしてそこで常軌を逸した危険と出会った。再びこの地に足を踏めたのは日頃の研鑽とダン達の力添えがあったお陰だ」



「へぇ……。長が認める実力か」


「余所者にしてはヤルようだな」


 褒め言葉として受け止めるべき言葉の数々が漏れる中。


「長、その遺跡には何があったんだよ」


 里の者が静かにグルーガーさんに問うた。


「遺跡の奥地にはこの里で偶に会敵する砂虫よりも遥かに巨大な砂虫が存在した。我々は死力を尽くして死を齎す巨大砂虫を撃退したのだ」


 まっ、流石に壁画については触れなかったか。


 あれは俺達の間だけで留めて置くべき情報だからね。


「戦闘の様子を聞かせてくれよ!!」


「リモンはどうやってそいつと戦ったんだよ!!!!」


「あ、いや俺はだな……」



 方々で質問が飛び交い彼等がその質問に対して四苦八苦している様子を、目を細めて眺めて居ると里の奥から軽快な足音が此方に近付いて来た。



『へへっ、お待たせ』


 シテナが周囲の者達の言葉を邪魔しない様な小さな声を放つと俺の右隣りに腰掛ける。


『何処へ行っていたんだ??』


『この宴の料理の手伝いと出来上がった料理をティスロさんに運んで来たんだよ』


『ティスロの様子はどうだった??』


『それが物凄い勢いで御飯を平らげてさ。運んだ料理だけじゃ足りないからお代わりを持って行ったら遅れちゃったんだ』



 逃亡生活に身を落とし、更に遺跡内部でひもじい思いをしていたのだ。


 栄養を欲する体にこんな御馳走が運ばれればどうなるのか。それは考える事を止めた阿保面を浮かべる鳩でさえも速攻で理解出来てしまう事だろうよ。



『お疲れ様。ゆっくり休みなよ』


『うんっ、そうするつもりっ!!』



 シテナがそう話すと今は寝床でグースカと寝息を放つ太陽も嫉妬する眩い笑みを浮かべた。


 太陽の申し子である彼女が浮かべる笑みは疲れた心を癒す作用を持っている様ですね。


 腹ペコだってのに何だか心も体も満たされた気分になりましたもの。



「よぉ!! 大将!! 自慢話はそこまでにしてそろそろ始めようぜ!!!!」


 痺れを切らしたフウタが里の者達の対応に追われている彼を急かす。


「あ、あぁ。そうだな!! では、皆の者!! 杯を掲げろ!!」


 グルーガーさんの声に合わせ、ちょいと強めの匂いが漂う杯を右手に持ち夜空へ掲げる。


「今日この日を感謝して……。乾杯ッ!!!!」


「「「「乾杯ッ!!!!」」」」



 近くに居るハンナ達と杯を合わせて軽くお酒を口に含むと待ち焦がれていた宴が遂に始まった。


 さぁぁああって!! 疲れた体を労わる為に沢山食べるとしますかねっ!!!!



「んほぉ……。美味そうなお肉ちゃんだぜ」



 一口大に切り分けられたこんがりと焼かれた肉の断面から食欲を湧かせる肉汁が静かに溢れ出し、いい感じに使い古された木製の皿の上に零れ落ちている。


 試しに鼻腔をスンッと動かして香りを確かめるとまだ口の中に入れていないのにも関わらず舌が肉の味を掴み取ってしまった。


 すげぇ、匂いを嗅いだだけで肉の味を感じちまったよ。


 しかぁし!! 匂いを嗅ぐだけじゃ腹は満たされないしっ、早速ご厚意に預かろうとしましょうか!!



「頂きますっ!!」


 食材となった動物、腕を揮ってくれた料理人に感謝を述べると麗しの君を口の中に迎えてあげた。


「ふぁむっ……。ふぉむ……。んんっ!? んまぁっ!!!!」



 お、おいおい。何だよ、この肉の美味さは!!


 舌が先ず感じ取ったのは仄かな塩気だ。


 それから微かに遅れて肉の旨味が口の中一杯にふわぁっと広がり鼻腔に抜けて行くと脳が、本能がもっとそれを食らえと声高らかに叫ぶ。


 奥歯で肉を噛むと舌が溺れてしまいそうになる量の肉汁が溢れるがその脂の強さは全然嫌じゃない程の透明度であり、俺の歯はこの魅力な液体を求めて無意識の内に咀嚼を続けてしまう。



「美味しいでしょ??」


 シテナが俺の食の勢いを捉えると軽快な口調で話す。


「勿論!! この肉は一体なんだ??」


「里の南の森に住む大鹿の肉だよ。普通の鹿と違ってさ、足が速くて尚且つ気配を敏感に察知するから物凄く狩るのが難しいんだ」



 へぇ……。そんな貴重な肉を態々提供してくれたのか。


 この宴の席で小型の砂虫の死体を提供されるかも知れないと内心ビクビクしていたが今はその貴重なお肉ちゃんを一心不乱に摂取しましょう!!



「グルーガーさんと里の皆様に感謝……ってぇ!! こらっ!! 子供がお酒を飲んじゃいけませんっ!!」


 さり気なく右隣りを見て視界に入って来た驚愕の事実を捉えるなり、彼女が右手に持つ杯を奪い取ってやる。


「あぁっ!! この里では私の歳になったらお酒を飲んでいい決まりなの!!」


「例えそうだとしてもこのお酒は結構強いしまだ体が出来ていない……。あれ?? 酔っていないの??」



 体が完成されていない早熟の体にお酒は毒でありそれは自分の身を以て知っている。


 幼い頃、試しにおやっさんが飲んでいる酒を飲んだらエライ目に遭ったからね。


 しかしどういう訳か……。


 健康的に焼けた彼女の肌はほんのりと朱に染まった程度であり、酒の力による意識混濁は認められず。後頭部で纏めている藍色がかった黒の長髪は彼女の高揚した感情によって可愛くポンポンと左右に揺れている。


 そして黒曜石を彷彿とさせる彼女の瞳は微かに潤い視界の乱れは確認出来なかった。



「ミツアナグマの体は頑丈って知っているでしょ?? それは体内にも及んでいるんだ。弱い毒性がある食物はなんのその。鍛え方若しくは人によっては強力な毒性の食物もへっちゃらなんだぞ!!」


 標高の低い双丘を頑張って主張して話す。


「つまりミツアナグマにとって酒類はお水みたいなものって事かな」


「その通りっ。あ、でも私はまだまだ耐性が出来ていないから……。ほらっ、体がポカポカになっちゃった」



 彼女がさり気なく服の襟をクイっと広げて肌理の細かな肌を披露する。


 これが熟れた女性の体なら生唾をゴックンと飲み込んで時間が許す限り眺めるのですけども。生憎早熟の女体には微塵も興味が湧きませんっ。



「そっか。それじゃあ程々に飲みなよ」


 さて!! どんどんお肉ちゃんを食べて怪我と体を労わりましょうかね!!


 皿の上に大量に乗るお肉さんを腹ペコの野良犬もドン引く勢いで食らっていると。


「あぁ!! 女の子が折角勇気を出したんだぞ!! ちゃんと見ろ!!」


「ぐぇっ!!」


 横着なお子ちゃまが胡坐の姿勢で座る俺の太腿に勢い良く腰掛けてしまった。


「ギャハハ!! よぉ――、ダン。ガキに良い様にされているようじゃまだまだだなぁ??」


 此方の様子を捉えたフウタが早速揶揄って来やがる。


「ちょっとフウタ!! 私はもう立派な大人なんだからね!!」



 いやいや、立派な大人はお酒の席でこんな横着はぁ……。働くか。



『あはは!! ダン!! わらしの言う事を聞け!!!!』


『いやぁ!! 誰かこの酔っ払いのラタトスクちゃんを追っ払ってぇ!!』



 お酒の力は普段抑制されている本能を刺激すると言われおりそれは己の頬が、体がよぉぉく知っている。


 横着なラタトスクちゃんが己の許容量を遥かに超える酒を摂取すると。


『いやぁ……。俺もあそこまでは……』 と。


 民に圧制を強いる暴君でさえもサっと顔を青ざめてしまう暴力の宴が始まりますし。


 人を座布団代わりに使用するのはまだ可愛い方だぜ。



「シテナ!! いいぞ!! そのままその男を篭絡させてしまえ!!」


「ろうらく?? ダン、篭絡ってどういう意味??」


「楽しくお喋りをしなさいって意味さ」



 全く……。子供に何て言葉を投げ掛けるのだ。


 酒の力も入った事により宴の席は盛り上がって来ましたけども、彼女はまだ色を知る歳じゃあありませんのでね。



「楽しいお喋りなら得意だよ!!」


 俺の言葉を真面目に受け取った彼女が俺の太腿の上でポンっと跳ねる。


「ば――か。篭絡ってのは性的に相手を滅茶苦茶にしちまうって意味さっ」


「あっこらっ!!」


 もう既にイイ感じに出来上がっているフウタが随分と舌足らずな口調でそう話すと。


「へ、へぇっ!! そういう意味なんだ!! よ、よぉぉしっ……。ちょっと頑張ってみる!!」


 何を考えたのか知らんがシテナが俺の膝の上でくるりと回転すると此方に端整な御顔を向けた。


「……っ」



 太陽の恵みを受けて育まれた健康的な顔にすっと流れる整った鼻筋、守ってあげたくなるという男の本能を刺激してしまう細身の肩。


 そして艶やかな髪を俺の性欲ちゃんが捉えると名の知れた巨匠が制作した陶磁器を眺める様に、ほぅっと顎に指を添えてしまうが……。


 年齢的な部分を考慮するとお買い上げまでとはいかなかった。



「そういう事はもうちょっと成長してからにしなさい」


「あいたっ」


 しっとりと潤んだ瞳浮かべている彼女の鼻に人差し指をピンっと当ててやる。


「もぉ――。女の子が折角勇気を出して一歩踏み出したってのにぃ……」


「俺は成長した女性が好きなの」


「じゃ、じゃあ大人になったら付き合ってくれる!?」


「シテナが大人になった頃に俺が何処に居るか分からないし。軽弾みに首を縦に振る訳にはいかないなぁ――」



 さてと、お肉のお代わりを取ろうかな。


 膝の上に乗る柔肉の所為で物凄く取り難いぜ。



「ダァァアアンッ!!」


 うるさっ!?


「びっくりしたぁ……。グルーガーさん、一体どうしたんですか??」


 足元が覚束ない彼が此方に近付いて来るので心配の声を上げる。


「貴様、俺の娘が気に入らないのか!?」


「ち、違いますよ。俺はただずっと此処に居られる訳じゃないので軽弾みに了承は出来ないと申しただけです」


「らぁにぃ?? どうしても娘を貰う気は無いのだな!?」



 足元だけじゃなくて口元も怪しいな。それに両目が真っ赤に血走っていてとても真面な状態だとは思えない。


 この短時間の間に酒に強いミツアナグマさんが酔う量の酒を摂取したのかよ……。


 一体どれだけ飲めばあそこまで酔う事が出来るのだろうか?? 想像するだけで胸焼けがするぜ。



「まぁそうなりますね」


「ちぃっ……。で、では!! 貴様の息子ならどうだ!? それなら年齢的にも構わないし、何より年上女房は俺も勧めるぞ!!」


「いや、ですから。それは当事者同士で決める事であって……。俺に何の権限はぁ……」


「ウェェン……。ダンが私の事を虐めるぅ……」



 誰がどう見ても嘘泣きだろうと指を差して笑い転げるザルな演技をシテナが披露する。


 大勢の者はこの演技を直ぐに看破出来るのだが、酒の力によって真面な判断が出来ない彼女の父親は猿芝居を真面に受け取ってしまった。



「む、娘を泣かせるとは一体どういう了見だ!!!!!」


「グェッ!?」



 彼のゴッツゴツに大きな右手が頬を穿つと大変煌びやかなお星様がお目目ちゃんから飛び出して行く。



「う、嘘泣きじゃないですかぁ!!」


 な、何で急に殴るの!? 理不尽過ぎでは!?


 ジィとした痛みが残る左頬を抑えつつ叫んだ。


「いいや!! 俺は娘を誰よりも近くで見て来たからな!! 演技か真実かの見定めは容易に出来る!!」



 貴方の目はまさか後頭部にでも付いているのですか??


 どう見たらコレが真実に見えるのだろうか。俺はそれが不思議でならない。



「い、いやいや。ほら見て下さいよ。涙処か両手で顔を覆って笑っていますぜ??」



 そう言いたいのをグっと堪え、何があっても俺の太腿の上から退こうとしない彼女の顔に指を差してやった。



「んぅ――……。酒が回って良く見えないが多分泣いているぞ!! つまり、貴様は娘を泣かせた責任を負うべきなんだ!!」


 も――嫌!! 誰かこの酔っ払いを何処かに連れて行ってくれよ!!!!


「あ――もう!! 分かりましたっ!! いつか俺に息子が出来たのなら此処に連れて来ますよ。それでシテナが気に入ったら付き合いさせます!!」



 この面倒な絡みを断ち切る為、未だ見ぬ息子の将来の人生を適当に決めてやった。


 息子が出来なかったらそれでよし。更に息子が出来たとしても此処に連れて来なければ良い話だからね。



「そうか!! シテナ!! 良かったな!! 許嫁が出来たぞ!!」


「えへへっ、息子とお父さん。その両方を頑張ってろ――らくさせるぞ――!!」


「その意気だ!! 我が娘よ!! 里を継ぐ者はそれ位にデカイ器を持たなければならないからな!!!!」


「ギャハハ!! その通――りっ!!」


「シテナ!! 良く言った!! あんたが大将!!!!」


「大将は俺だ!! そこを履き違えるなよ!?」


「「「わはははは!!!!」」」



 いやいや、息子と父親。両名を性的に食らおうとする女性ってどうなのよ……。


 だがまぁ、この明るい雰囲気をぶち壊す訳にもいかんし。ここは雰囲気に合わせて笑っておきましょうかね。


「あ、あははぁ。それはよ――ございましたねぇ……」


 乾いた笑いを放ちつつ随分と冷めてしまったお肉ちゃんを口に迎えてあげる。


 温かさを失った肉の味は損なわれているかと思いきや、その味は尚健在。


 俺の荒んだ心と傷付いた体を労わる様に素晴らしい美味しさを舌の上で懸命に光り輝かせてくれていた。



お疲れ様でした。


これから温かな蕎麦を食した後、後半部分の編集作業に取り掛かりますので次の投稿まで今暫くお待ち下さいませ。

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