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0:決着と親友

 ゴーレムを生み出して人類を滅ぼそうとしていたAI“エクリプス”が断末魔の咆哮をあげながら崩壊していくのを私は眺めていた。

 エクリプスが入っていたゴーレムは残骸となり、エクリプス自身もデータを攻性プログラムで破壊されたのでこれで終わりだ。


 これでようやく1つの区切りが迎えられた気がする。


 思えばたった1つのAIのせいで私は多くのモノを失い、人類は月にまで届いた技術のほとんどを失ってしまったのだから。


「これで後は残りのアルティメットゴーレムを破壊するだけですね、お疲れ様でしたアオイ」


 相棒であるアオイに労いの言葉をかけて私は床に座り込んだ。正直に言えばもう限界だったのだ。オートマータだから疲労は無いけれど精神的な疲労は存在するし、エネルギーだってだいぶ減っている。


 アオイももうあまり余裕はないはずだよね?


「そうね、クー。最もあなたが壊し過ぎたせいで情報が残っているか怪しい物だけど」


 ヒドイ! そんな毒舌を吐くくらいのエネルギーは残っているんだね。


「だってしょうがないじゃないですか!まさかアルティメットゴーレムクラスが出てくるとか想定外だったじゃないですか!」


 銀髪の妖精みたいな可憐な容姿のオートマータのボディに入った私の相棒はそんなことを言ってくる。アオイだって想定外だったくせに。

 普通のAIだったアオイはいろいろ学習したせいか毒舌少女になってしまった気がするんですけれど。


「まぁ、中枢データさえ無事ならそれで問題は無いからいいのだけれど。外装をいくら壊そうが関係ないもの」


 だったら問題ないんじゃないですか。全く最近のアオイは割と意地悪ですね。アオイがデータを吸い出すというので私も一緒に付いて行きます。仲間の皆は無事でしょうか?


 エストビア共和国を影から操っていたエクリプスが倒れた以上、この国も少しはいい方に向かっていくかもしれません。少なくとも独裁者の強力な後ろ盾は無くなったのですから。


「さっさと終わらせて帰るわよ。私はお風呂に入りたいもの」


「そうですね、一緒に入りましょう」


 アオイと二人で残骸からデータを回収しようとした時でした。聞きなれた乾いた音と共に銃弾がアオイ目掛けて襲い掛かって来たので叩き落します。

 1発だけの射撃なんて当てる気があるとは思えません。だとすればこれは……。


「まぁ、無理だよね。オートマータ相手にたった1発の銃弾じゃ話にならない。ましてやそれが普通の拳銃じゃね」


 そう言いながら奥の通路から現れたのは金髪の15歳くらいの少年……でも、その正体はエクリプスの配下である殺戮人形です。

 以前破壊したと思っていましたが、やはり残骸を確認しなかったのは間違いでしたか。


「そんな怖い顔しないでよ。今日、君に用があるのは僕じゃないんだ」


 ライオットはそう言うと後ろに下がっていきます。その後ろには2体の殺戮人形が控えています。そして通路の暗がりから1人の人物が現れてこう言ったのです。


「久しぶりね、クー。元気だったかしら?」


「……ク、ロエ? どうしてクロエが殺戮人形なんかと一緒に!?」


 殺戮人形は人を殺すために作られた存在です。もちろんその宿命を嫌がって抗っている殺戮人形もいますが、ライオットはそうではなかったはず……なのにどうして?


「……いろいろあったのよ。そう、いろいろ。でもそれはあなたのせいじゃないわ。ただ、運が悪かっただけ」


「クロエ、いったい何を言っているのですか? なんであなたがライオット達と一緒に!?」


「今日あなたに会いに来たのはそんな話をするためじゃないの。クーディグラ、私と戦ってもらうわ。本気でね!」


 そう言ってクロエは剣を取り出して私に向かって突き付けます。どうして私がクロエと殺し合いなんてしないといけないんですか!


「ぼさっとしないことね! 私は本気よ!」


 迫りくる剣を前に私は何故こうなったのかで頭がいっぱいでした。そんな中私は自分が目覚めた日のことを思い出していました。


 そう、全てはあの日から始まったのです。私が目覚めたあの日から。

時系列的には大分先の話なんですけれどね(-_-;)


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