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どうか、この世界を私たちに守らせてください。  作者: 華蘭蕉
Act two 第二幕 恐怖と喪失。そして、憧れ。
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スキャーリィ編 23話 償い5

「はっは〜了解〜。とりあえず、この馬鹿ーー紅葉もみじの身体には別の人間の臓器が入っている……それは知っているか?」

「ええ。伝えたわ」

「モミジ……一体どういう事情があったのかは詮索しないが、そんな身体で闘って大丈夫なのか?」


 蘇芳すおうちゃんがこの状況に少し落ち着いてきたのか、私に質問を投げかけた。


「うん。今でも筒美つつみ流奥義を使い過ぎると死喰い樹(タナトス)の腕が私に向かって飛んでくる。だから制限時間は限られる……だけど、この臓器の持ち主のお陰で、本来だったら使えなかった奥義や奥義自体の洗練度が増しているの。だから、私でも護衛軍の入試を通過できて、二尉官になる事ができた」

「なるほどね……それは分かったわ。じゃあ、それが一体何故DRAG(ドラッグ)を使っていい理由になるの?」


 天照てんしょうさんが話の流れを本筋に戻した。


「あぁ……この馬鹿は自身の体内のERG(エルグ)DAYN(ダイン)をミクロレベルで繊細に操作できる技量があるんだ。それがコイツの祖父……筒美封藤(ふうとう)の遺伝かどうなのかは知らねえがな」

「全部お姉ちゃんと祖父ししょうのお陰だよ」


 それに瑠璃るりくんのお陰もある……


「……それで専門家から言わせて貰えれば、DRAG(ドラッグ)っていうのはつまるところ、特異能力者エゴイストから採取した細胞とDAYN(ダイン)の塊を特殊に加工したものだ。それが、体内の細胞に付着し浸透さえすれば、一々身体の代謝機能を通らなくても、すぐにでも効果が現れる」


 青磁先生は確かに真実を言っているが、ここで自分の特異能力エゴで薬を作っているとは言わなかった。やっぱり、先生は彼女達を巻き込む気は全くないのか?


「だが、それだけ『ERG(エルグ)』……言い換えれば『感情の元となる物質』の受容体でもある『DAYN(ダイン)』が急激に増加すれば、気分が高揚したり、一種の感情に捉われる。だから、たとえ特異能力者エゴイストであっても感情生命体エスター化が進行してしまう……そういう事か? センセイ?」

「正解ぃ〜! そこの馬鹿と違ってエースちゃんは理解力が良いな」

「……凄い私馬鹿にされてるけど、言ってる事全然分かんないから何も言い返せない……」

「いやぁ……私も結構置いてけぼりよ? 紅葉ちゃん」


 オロオロとしながら話についていけない天照さんを遮り蘇芳ちゃんが喋る。


「ふん……伊達に11歳で一佐やってねぇよ」

「なるほど……特異能力エゴか……便利な物をお持ちなようで」

「……ほぅ……便利な物か……なら、隠し事をするのはそこまでにしておきなよセンセイ? ……あんたも特異能力者こっち側の人間だろ?」

「はっはぁ〜やり辛い相手だ。こりゃ隠し事はできないねぇ……」

「一々癇に触る喋り方をするなぁ……まだ何か隠したんだろ? こっちは部下達の命がかかってるんだ」

「そうきたか……でも俺様の詮索は今は無意味さ……話が進まないからなぁ……」

「それもそうか……」


 青磁先生と蘇芳ちゃんが何かバチバチと意味の無さそうな会話を繰り広げている。特に蘇芳ちゃんなんて今まで見たことのないような表情で、癖っ毛をピコピコと揺らしながら彼と喋っていた。


「さて本題に戻そうか。話の通じるやつがいると喋るのが楽しくて仕方ない。ついつい余計なことまで喋ってしまいそうになる」

「そこは同感だな……センセイ。それで、モミジはDRAG(ドラッグ)によって付着するであろうDAYN(ダイン)の位置を変える事ができる。それに、モミジには自身の身体でない部分が存在する……だから使っても1,2回なら感情生命体エスター化しないでも済むというわけか」

「あぁ……大体正解だ。理論上だとそうなるだろうな。前例が全くない事だから分からないが、試してみる価値は有ると思うぜ?」

「理解した。だが、もし何か起きたら……? 」

「そのためにお前らが立会人になって貰うんだよ」

「つまり、紅葉ちゃんが暴走しないように見張ってろって事ね! それなら私でもできるわよ!」


 天照さんが胸を張っていう。


「それで、相談なんだが……紅葉に使わせるDRAG(ドラッグ)は何が良いと思う?」

「というと……?」


 青磁先生の質問に天照さんは首を傾げる。


「紅葉には今、霧咲きりさき黄依きいふき衿華えりかDRAG(ドラッグ)を持たせ、特異能力エゴ獲得の為の条件も満たさせているしかしお前ら護衛軍幹部がいる状況なら……」

「なるほど、私達か……」

「それって……」


 つまり、彼女達のDRAG(ドラッグ)貰うという事……


「でもそれって私達とモミジで性行為をしろという事じゃない?」

「……は?」

「……えっーと、まぁ直接的に言えばそういう事だ」

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