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どうか、この世界を私たちに守らせてください。  作者: 華蘭蕉
Act two 第二幕 恐怖と喪失。そして、憧れ。
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スキャーリィ編 5話 休息2

 そして、蘇芳すおうちゃんに話かけた。


「ふみふみ〜一緒にご飯食べよ?」

「ふみふみ言うなモミジ! つーか飯か、いいぞ、テルテルさんの奢りか?」

「てるてるさん⁉︎ 何その呼び方」

「ほら、天『照輝』でテルテル。ちょうど特異能力エゴも天気を操るテルテル坊主みたいで可愛い呼び方だろ?」


 すると、天照てんしょう大将補が目を輝かせて、蘇芳ちゃんに飛びつく。


「その呼び方採用! やっぱりふみふみちゃんは賢いなぁ〜!」

「やっやめろ! 頭を撫でるなっ! テルテルさんっ! 私は子供じゃなーい!」

「ほれほれ〜ここが良いんだろ〜ここが〜」

「くっくすぐったい!」


 すると此方に舐め回すような視線を感じた。そうあの男、ところかなめの視線だった。


「何? カナメ?」

「いやっ……あのさ、尊いなって観てただけなんですけどっ!」

「混ざりたいとか考えてた?」

「殺すぞ? カナメ?」


 あいつ、はぁはぁとかしてるし絶対尊いとか考えてないよあの人。


「おい……変態野郎」


 さっきどこかに行った筈の白夜くんが何故か所要の肩に手を置く。白夜くん、普段はダルイ系の人なのに凄くキレてる!


 この人、百合の間に入ろうとする男絶対に止めるマンだ!


「仲良く飯でも行こうか? せ ん ぱ い」

「待てっ! 僕は何もしてないだろっ! 観てただけじゃないかっ! 僕に男の趣味は無い! まさかトイレに連れ込んで何かする気かいっ⁉︎ エロ同人みたいに⁉︎」

「ブチ殺すぞワレ⁉︎」

「モラハラだぁぁぁっ!」


 所要はそのまま、白夜くんにレストランの方に連れて行かれた。白夜くんはやっぱりシスコンという性癖だけじゃなくて、百合も好きという性癖があったのか……


「今のは見なかった事にしようか!」

「さて、ご飯食べにいきましょう?」

「切り替え早っ!」

「カナメが関わるとみんなすぐ記憶から消したがるからなぁ〜」

「お塩撒いとこ」

衿華えりかぁ⁉︎ 先輩の事なんだと思ってるの⁉︎」

「悪霊退散っ!」


 衿華ちゃんが何故かポケットから出した塩をその辺に撒いているのを後目に私達は白夜くん達とは別のレストランに行った。


 レストランに着くとそこはお洒落な料理屋さんで、古き良き和風な感じの店だった。


「それじゃあ好きなの選んでね!」


 私達はメニュー表と睨めっこする様に眺める。一番安い和風ソースのハンバーグでも1500円はする。流石にこれは確認を取っておこうか。


「天照さん? 本当になんでもいいの?」

「いいわよ! あとこれから私のこと、てるてるさんって呼んで! 上司命令ね!」


 何という権力の使い方。酷い物を見た気がする。


「はっはい……てるてるさん」

「やっぱり気に入ったのかよ、年を考えろテルテルさん」

「今なんか言ったふみふみちゃん? 私まだ20代なんだけど」

「おばさんじゃねぇか! テルテルさん以外全員10代だぞ!」

「今全国の20代に喧嘩を売ったな⁉︎ よろしい……あとでたっぷり擽ってあげようではないか」


 すると建物の外の遠くからまたあの男の大声が聴こえてくる。


「聞いたかいっ⁉︎ 白夜くん⁉︎ あとで物凄いイチャイチャを見れるぞ」

「黙れぇええええ! 汚すんじゃねぇぇええええ!」


 地獄耳かよ。

 そしてみんなの空気が些か気まずくなった。


「……」

「……」

「おぅ……」

「お塩撒いとこ」

「衿華ちゃん⁉︎」


 店内に塩を撒こうとしている衿華ちゃんを必死に止めながら店員さんに料理を頼む。


「おっお客様……? お連れの方がその……随分とご乱心になってますけど大丈夫ですか?」

「あっ、はい……多分この娘はうん大丈夫な方です。それでえっと注文は……じゃっじゃあ私はこの和風ハンバーグで」

「んじゃ、紅葉のと一緒ので」

「遠慮しなくていいのよ? 私はこのうな重で」


 うな重の値段を見てみると2500円くらいしていた。一食でこんなに使うのは幾らお金が有り余っているからってもったいない気がする。


「いえいえ、流石にこれ以上高いのは申し訳なくて……」

「奢って貰える時に奢って貰った方がいいよ、モミジ? これが最後のご飯になるかもしれないし。んで、私の奴はお言葉に甘えてテルテルさんと同じうな重で」

「注文変えなくても大丈夫?」


 そう、てるてるさんに囁かれるともう一度メニュー表を見たくなり、その美味しそうな焼き加減が見事に映し出されている写真をみると思わず生唾を飲み込まずにはいられなかった。そして意外にも私より先に黄依ちゃんの方が折れた。


「じゃあ私もうな重で……」

「紅葉ちゃんは?」

「お願いします……」

「分かったわ! たんとお食べなさいっ!」


 少し恥ずかしがりながら店員さんに注文を付け直した。

 そろそろ衿華ちゃんに声をかける。


「おーい衿華ちゃーんー戻ってこーい」

「はっ⁉︎ あれ? どうしたの? 紅葉ちゃん、衿華の腕なんか掴んで」

「エリカ、自覚症状無いのかよ⁉︎ そうだ、何か注文しろー」

「みんなうな重だけど」


 すると、衿華ちゃんが目をパチクリさせながら顔を傾げていう。


「みんな炭水化物取るんですか?」

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