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どうか、この世界を私たちに守らせてください。  作者: 華蘭蕉
Act two 第二幕 恐怖と喪失。そして、憧れ。
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モノマネイド編 2話

 その死体人形の女性、白夜はくやさんのお母様は長い髪と美しいドレスをし虚ろな目で少し呟く。


絶対追跡アンコンディショナルチェイスーー」

水仙すいせん死喰い樹(タナトス)の腕が来るまで約五分だ。それ以内なら、母さんの身体は俺の特異能力エゴの支配できる。それまでにあの感情生命体エスターを捕らえるぞ」

「了解ですわ!」


 私が白夜さんの腕を取ると、私達はその人形に引っ張られるようにあの感情生命体エスターに追いつく事の出来る速度を出した。


「これなら、追いつきそうですわ!」

「追いつくには追いつくが大体5メートル以上は離れている。そして奴が止まらない限り、俺達は止まることが出来ない。つまり、奴が何処に行こうがそれを止める事は出来ない」

「えぇ、勿論理解していますわ! ですから、感情生命体エスターが一瞬でも止まり次第、私が特異能力エゴであいつを仕留めますわ」


 霧咲きりさきさんの形をした感情生命体エスターはその速度のまま病練の方へ走る。幸い、まだそこは護衛軍との直結している階であるから、その階層に入院しているのは護衛軍関係者のみ。しかし、階段を降りられたら……


「水仙、この距離から奴を爆発させられるか?」

「出来ますが、私達が巻き込まれてしまいますわ」

「……そうか。あの感情生命体エスター……何処へ向かっている?」

「そもそも何の感情で出来た感情生命体エスターですの? とりあえず、人の真似をするからモノマネエスターとでも呼びます?」

「水仙、母さんの特異能力エゴに引っ張られている間、暇だからって他事を考えている余裕は無いし、少し言いづらいぞ、その名前。せめてエスターのエスと同じ意味のイドから名前を取ってモノマネイドなんてどうだろうか?」

「ぐぬぬ、確かにそちらの方が言いやすいですわね。流石、白夜さん」


 白夜さんがまた私を半目になりながら見てきたので今出来る事を考えてみる。私が白夜さんの片腕を掴んでいるから、もう一つ……白夜さんのお父様の方は使えない状態。そして、私の特異能力エゴは使うのは危険。周りは人はいるが、誰も私達以外モノマネイドに追いつけない状況。なら、私達に追いつけそうな人に携帯で位置を伝えれば。


「携帯で筒美つつみさんを呼んでみますわ!」

「携帯持ってたのか……まぁいい使いな」


 ポケットから携帯を取り出し、電気を付け、筒美紅葉(もみじ)さんに電話をかける。


「もしもし⁉︎ 筒美さん」

「……あーもしもし、薔薇ばらちゃんどしたの? ラブコール?」

「じょっ冗談言ってる場合ではありませんわ! 今何処に居ますの?」

「えっと、病院の方だけど。なんかあったの?」

「丁度良いですわ! すぐに病院の5階の本部方面の方に来てください! 本部に突然、特異感情生命体エゴエスターが現れてパニックになってますのよ!」

「えっそれやばくない? 今そっちに向かう! 特異能力エゴは分かる?」

「おそらく、見た人の知人に変身する能力ですわ。衝動パルスらしきものを使っている気配はないですが、変身した相手の特異能力エゴすら使えますわ! 今は霧咲さんに化けて対処が不可能ですの!」

「ふむふむ、了解。一応まだ電話切らないでね。って事だから黄依きいちゃんも来て」


 筒美さんと同じ場所に霧咲さんもいた。少し気不味いですが、モノマネイドに追いつけるのは今のところ彼女か筒美さんしか居ない。丁度良かった。


 モノマネイドの方を見ると病室に入っていくのが見えた。


「水仙、あの病室って」

「えぇ、天照てんしょうてる大将補佐の部屋ですわよね。筒美さん、聞こえます? その感情生命体エスターは天照大将補佐の部屋に入って行きましたわ!」

「りょーかい、てるてるさんの部屋ね。すぐ行く」


 私達も病室に入る。するとそこには若くかなり鍛えている男性が立っており、その人同じくらいの歳の妊婦……天照大将補佐がベットの上で頭を起こしていた。


「久しぶりね、あなた。本部に帰るなんて連絡してたかしら?」

「……」


 二人は向かいあって話していた。もう一人の彼は……今は朝鮮の案件を片付けていて、日本に居ない筈の浅葱あさぎ旅団長。この状況、不味いですわ!


「あら、貴方達は今年入った機関生の子達。お見舞いかしら?」


 天照大将補佐が此方を向く。


「天照大将補! その団長は偽物で感情生命体エスターです! 気を付けて下さい!」

「……なるほどね。通りでこんな所にあの人が。見た目は完全にあの人ね。ぬか喜びしちゃったわ」


 今度は浅葱旅団長の姿をしたモノマネイドが物凄い量のERG(エルグ)を放出する。が、それを上回る量の覇気が天照大将補佐から出る。


「あの人の特異能力エゴはそんなもんじゃ無いわよ? 私の夫を舐めているのかしら?」


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