表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうか、この世界を私たちに守らせてください。  作者: 華蘭蕉
Act four <第四幕> Dandelion──花言葉は別離
170/370

プロローグ 入軍試験8

「そんなこと言って、あくまでも攻撃にはその特異能力エゴは使わない気でしょ?」


 すいは顔に流れる汗を拭いながら、私の方を向く。


 瞬間、彼女は私の周りに地面に埋め込み囲むように弾丸を転移させる。


 これは前回、紅葉もみじと翠が闘った時にした、自動操縦の機関銃マシンガンで行った集中砲火と同じ手順。


 まともに対処すれば大怪我をする……!


 急ぎ踏み込み、『速度累加アクセラレーション』で転移される前に囲まれた場所から抜け出す。


 翠は本気で私を倒そうとしてる……だけど、この攻撃に『僻遠斬撃リモートインパクト』を使ってしまえば、彼女だけでなくこの施設まで破壊してしまう。どうするべきか……


 機関銃マシンガンは姿を現すがすぐには起動しない。迷いと出現した機関銃マシンガンに気を取られていたか、一瞬目を離してしまい翠の姿を見失う。


 転移……⁉︎ こんな連続で特異兵仗アイデンの制約を破る事なんて無い筈……一体何処へ……?


「はい、捕まえた!」


 後ろに現れた彼女に身体を触れられ再び、機関銃マシンガンが円状に並ぶ中心部へと転移させられた。


「⁉︎」


 何が起きた……?


 反応が遅れ、地面に叩きつけられると共に機関銃マシンガンが作動を始める。このままでは1秒も経たないうちに毎秒百発以上の乱射を全方向から浴びせられるだろう。


「『速度累加アクセラレーション』ーー思考加速フロー


 思考加速フローーーそれは書いて文字の通り、脳内の思考に必要な為のあらゆる物質の伝達スピードを加速させることによって"思考スピードの加速"を行う『速度累加アクセラレーション』の応用技。これを使っている最中は全ての動きがおおよそ50分の1程ゆっくりに見え、この場における状況確認、状況を変化させる作戦を闘いの最中する技だ。


 しかし、数々のデメリットも存在する。一つ目は使用中は数ある感覚器官が暴走することによって実際に観測出来る筈の物が少し歪んで見える事。この副作用によって使用後は戦闘中には致命的な隙に繋がる猛烈な頭痛が襲う。そして二つ目は通常の『速度累加アクセラレーション』より身体への疲弊度が大きい事。


 この二つののデメリットは一瞬程度なら身体には現れない程度になる為、先程私が周囲の光を加速させ翠の弾を打ち返した時のような判断ができる。


 だが、一瞬程度では現段階を覆す状況になり得ない。その為、機関銃マシンガンの弾が私に着弾するまでの間、この『思考加速フロー』を使う……!


 ちなみに、筒美流奥義の中でも対人術を極めている紅葉もみじや『知能向上インテリジェンスインプルーブメント』の特異能力エゴを持っている踏陰ふみかげ一佐も似たような技をもう少し軽めのデメリットでする事が出来る。この差の理由は『速度累加アクセラレーション』とは違い、この二つはそれなりの努力を積んだからという理由や元々そういう特異能力エゴだからという理由でしか説明はできない。


『ーーさて、この状況で『僻遠斬撃リモートインパクト』を使えば確実に不味いことが起きる……


 それにさっきの転移、理屈は分からないけどさっきの翠の様子から考えるに特異兵仗アイデンの制約を破っていないだろう。もし、あの転移をされたら『僻遠斬撃リモートインパクト』でも仕留められない。なら、あの転移の仕組みを探るべきか……?


 いや、状況の打破の方が先だろう。だけど、『重力増加ナインポイントエイトオーバー』は数百発の弾に直接手で触れなければ発動しないーー』


 唐突に頭にガンと殴られたような痛みが走る。


『ーー痛いッ! 頭痛か……思った早い。これ以上『思考加速フロー』の使用は控えた方が良さそうだけど、状況を覆すにはアレをするしかない。それにアレなら幾ら転移されても対応可能だ。問題は制限時間ーー』


 体力とどれだけ銃弾を無視しながら捌けるかを計算する。


『ーーいけるッ!『速度累加アクセラレーション』ーー過負加速オーバーフローーー!』


 過負加速オーバーフローーー思考加速フローではついて来れない身体を神経系の伝達と全身の血流の加速により最大限まで『速度累加アクセラレーション』の利点を引き出す、現時点での切り札。


 だが使うのは泉沢いずみさわ先生と闘った時のように相手との実力差が大きすぎて後が無い時。使ってしまえば身体にかなりの負担をかける為、マッサージ……もとい調律をしなければ絶対安静にならなければいけないほどの特攻技である。


 いつも私の調律担当である紅葉が現在懲戒処分になっていて良かったと心の底から安心する。普段はそんな物使っていられない為、馬鹿みたいに耐久力の有る紅葉に対してのみ全力で加速させ代わりに闘わせていた。


 だけど、翠は私を殺そうとするほど本気で決着を付けたいと思ってる。なら先輩的には本気を見せてあげないと。


「ーーさてと、音じゃ追いつけないわよッ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ