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どうか、この世界を私たちに守らせてください。  作者: 華蘭蕉
Act two 第二幕 恐怖と喪失。そして、憧れ。
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スキャーリィ編 38話 第二戦3

「皆さん、少し離れていて下さいまし?」


 薔薇ばらちゃんの右手からバチバチという音がなり響く。


 私は最前線で、『痛覚支配ペインハッカー』による『衝動パトス』の浄化を行なっていたが危険を察知し、すぐに前線から離れた。


白夜はくやさん、『絶対追跡《アンコンディショナルチェイス』をお願いしますわッ!」

「あぁ……『死体人形マリオネットコープス』」


 白夜くんが持っていた鞄を空中投げると鞄が開き、彼の顔にに似た女性のリアルな人形が出てくる。


「おはよう……母さん。さぁ、俺らを運んでくれ」


 白夜くんが薔薇ちゃんの手を取ると、人形は一人でに喋り動き出し、海上に覗かせている『恐怖スキャーリィ』の頭部へ狙いを定める。


「ーー『死体追跡アンコンディショナルチェイス』」


 瞬間、二人と一体は『恐怖スキャーリィ』へ目にも見えない速さで近づく。


「?txen☆si#tahw/『scimanyd&diulf』ーーydob#ym☆dnefedーーretaw」


 彼女達の攻撃に警戒した『恐怖スキャーリィ』は瞬時に氷を割り、海から水の壁で身体を覆う。


「白夜さんッここで充分ですわよッ! 巻き込まれないように速く戻って下さいまし!」

「あぁ! 霧咲きりさきの場所に標的を変えるぞ母さん」


 薔薇ちゃんが手を離すと瞬く間に白夜くんは霧咲さんの元に飛んでいく。


 次の瞬間『恐怖スキャーリィ』の身体を包んでいた水が全て一瞬にして無くなった。


「⁉deneppah#tahw」

「わざわざ火力を上げるのに協力して頂いて、ありがとうございますわ」


 雷のような電撃によって分解された空気が空に漂う薔薇ちゃんによって操られ激しい気流を起こし、それが『恐怖スキャーリィ』を包み込む。


「私の友人を殺した罪、樹に吊るされながら後悔するといいですわッ!」


 そして、それは喩えるならば轟裂と言わんばかりの爆発


「 『水素爆発ハイドロゲンエクスプロージョン』ーー雷轟電撃エレクロリシスッ!」


 周囲100メートルを巻き込んだ大爆発だった。


 鼓膜が破れそうな程の轟音が周りに響き渡り、爆発が起きた一部の空間が歪んでしまいそうな程空気が揺れ、煙を立てる。


 私は高速で走り、落ちてくる薔薇ちゃんを衝撃を和らげながらキャッチする。


「ありがとうございますわ! 筒美さん、お陰で少しスッキリしましたわ!」

「スッキリとかそういうレベルもう超えてるでしょ」


 しかし、やはりまだ『恐怖スキャーリィ』の気配が消えていない。


「……まだ気配が残ってますわね、煙のせいでうまく見えませんわ」

「どれくらいの感触だった?」

「おそらく木っ端微塵にはなっている筈ですわよ。通常の感情生命体エスターなら絶対に再生できないくらいには」

「……なるほど。なら、気配が消えない理由は一つだね」

「えぇ……」


 天照てんしょうさんの特異能力エゴにより、風が起こされて煙が吹き飛ばされる。


 そこには木っ端微塵になった筈の全身が徐々に回復し、縦横約40メートルほどの肉の塊になった『恐怖スキャーリィ』がいた。


「木っ端微塵に吹き飛ばしても再生する再生力がある……というか、思った以上に巨大でしたわね」

「こんなデカさじゃあ、たとえ致死でも細胞が残って『死喰い樹(タナトス)の腕』が来る前に回復してしまう……厄介だね」


 私は薔薇ちゃんを『恐怖スキャーリィ』から離れた場所に降ろし、ふみふみちゃんとところかなめがいる中衛地点に行く。


「薔薇ちゃんはしばらく休んでて! 多分後一回くらい薔薇ちゃんの特異能力エゴがいる時がくるから!」

「わかりましたわ!」


 そう、どうしても今の状況では『恐怖スキャーリィ』を『死喰い(タナトス)の樹』を使い死に追いやる事はその前に回復されてしまう為できない。


 そして、『死喰い(タナトス)の樹」に頼らず、火力で押し切り肉体をこの世から消す事によって殺す事も身体がデカすぎる為、再生する細胞がどこかに漏れが出てしまって不可能だ。


「ふみふみちゃん……ッ! やっぱりダメみたい!」

「あぁそうみたいだな」


 ふみふみちゃんがあほ毛をピコピコと揺らしながら、顎に手を置き考えている。


「だがら、センセイが言っていた攻略法を試すしかないな」

「うん、そうだね。今、てるてるさんと黄依きいちゃんと所要が必死に足止めしてる。そのうちにそれをやる事をみんなに伝えないと」

「了解。だが、この攻略法はお前の命の危険がかかってくるのは分かってるよな?」


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