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恋はもうしないと決めたのにまた俺は恋をする  作者: 南河原 候
第一章 綾人の償い
3/14

受験

今日は受験日。


「はぁ。ヤバい緊張して来た」


「大丈夫だろ。それより俺はどうかな~」

「大丈夫ですよ。みっちゃんは頑張りましたから」


「俺も大丈夫かな? 綾人~最後に少し教えてくれ~」

「私が教えてあげるわよ?」


充とミールが綾人の右側におり、左側に浩司と雨音で後ろに腕を組んだ祐哉と美海が居る。


綾人は何故ここに全員居るのか分からなく混乱をしていた。


「は? 何でお前らがここに?」


「ん? 言ってなかったか? 俺達全員、お前と同じ所だぞ? 受けるの」


「はあ?」


初めて聞いたぞ、そんなこと………。


「ん? でも、ミールは無理だろ? 留学生だし」


「大丈夫ですよ! そこはもう織り込み済みですから!」


自信満々に言うミールに不思議そうにしてる綾人に横から説明してくれたのは充だった。


「一回帰ってもう一回手続きしてから、こっち来るみたいだぞ」


「そんなこと出来るのか?」


俺はそこら辺に詳しく無いので良く分からないが受けれるってことは出来るんだよな?


「さぁ? ミールは出来るって言ってたが」


二人でミールを見ると首を傾げ不思議そうにこっちを見てるだけだった。


「なぁ、綾人。何で私立古河(ふるかわ)高校にしたんだ?」


「理由か。まぁ、一人暮らししてみたいのもあるけど………………いや、それしか無いな」


私立古河学校は家から五駅ぐらい離れた場所にあって、そっちに父さんが経営してるアパートがあるからそこで一人暮らしをしてみるかってなって、それ以外そこを選んだ理由が無い。


「マジか。そこに何かあるかと思ってたわ」


「まぁ、高校選びなんてそんなもんだろ。と言うか、お前はどうなんだよ?」


「ん? 俺は綾人が行くっておばさんから聞いたから俺もそこにした!」

「私はみっちゃんが行くと言ったのでそこにしました!」


お前らこそ、どうでも良い理由じゃねーか。


「ねぇ!」っと言って手を繋ぎイチャイチャしようとしてたので足を早め先に行き。


私立古河学校。

特に有名所は無し。五年前に出来た新設校で、平均値も普通で綾人達の平均値なら簡単に入れる学校である。


「おぉ、新しい! それに大きな!」


「そりゃな。五年前に出来た学校だし。充、お前はAとBの教室はどっちで受けるんだ?」


「俺はBだけど? 綾人は?」


「よし。俺はAだ。じゃあな!」


やっとあのバカップルから解放されると思うと気が楽になる。


っと思っていた俺がバカだった。


「お、綾人と同じ所か。宜しくな!」


祐哉と美海に、浩司が俺と同じ教室で、よりによって充達よりたちが悪い。


祐哉と美海は本当に相思相愛で、見た目も殆ど同じで偽物だがそれなりに高い指輪をお互いに付けている。


そして、イチャつきはあの二人よりもウザったい。


「祐哉、一緒に頑張ろうね!」

「おう!」


そしてキスをする二人はここが教室内だって分かっているのか。


この二人は良くキスをしたりと何時もお互いの愛を確め合ってるとでも言うのか、本当に見ていて腹立たしい。


多分、今受験に来てる生徒で彼女を持ってない男子はかなり妬むだろう。


俺の友達の彼女達は皆、レベルが高く人気もある人達だから、そんな人とキスをする祐哉は男子から妬まれるだろう。


いや、もう妬まれて死ねっと言いたい。


席に座り、席は自由らしいので浩司は俺の横に来て、祐哉と美海は前の席で手を握って見つめ合ってる。


「あいつら、ほんっとラブラブだよな~」


「それをお前が言うな。お前だって雨音とイチャつきまくってるじゃねーか」


浩司は「おう!」っと元気良く返事をして試験が始まるまでずっと浩司に美海の素晴らしいさを聞かされ続けた。



試験が始まると教室内静かになり、鉛筆が机に当たる音しか無く試験は順調に進んだ。


          ☆


「はぁ。綾人~試験どうだった?」


「ん。それなりにだ」


試験が終わると皆でファミレスに来て試験テストの反省会みたいなのをやっている。


だが、半分、いや、一人以外恋人同士なのでイチャイチャしてるだけの時間だが。


「あ、そうだ! 綾人! テスト結果が返ってきたら、点数勝負しようぜ!」


「お前が俺に勝てるとでも?」


「やってみないと………………」


充は今までしてきたテスト勝負を鮮明に思い出す。


「………すまん。今回は無しで」


「分かった」


ず~~~んっと頭を落として、落ち込む充を横からミールが励ます言葉を掛けた。


「大丈夫ですよ! みっちゃんなら何時か必ず勝てます!」

「ミール! そうだよな、何時かは綾人に勝てるよな!」


ミールが励ます言葉を掛け、充がそれを聞いて元気になるのを繰り返して行く内に隣でそれを聞かされてる綾人はイラッとして来て。


「やっぱり、俺帰るわ」


「えぇ~。綾人帰るのか~」


「別にイチャイチャしてても放って置けば良いのに」


横でイチャつかれ、目の前でイチャつかれれば誰だって嫌気が差してくるもの。


「今日は買いたい物があるから、帰るだけだ」


それが無くても直ぐに帰るつもりだったけど。


俺は席を立って千円そこに置いてからファミレスを出ていった。


「わぁ! 綾人太っ腹!」


「あいつ、今どれだけ小遣い持ってるんだ。俺なんて直ぐに使っちまうのに」


皆も綾人が置いてってくれたドリンクバー代でお金を支払いファミレスを出ていった。


          ☆


「ただいまって、誰も居ないんだけどな」


綾人が来たのは新しく住むアパートで、リビングに寝室、風呂にキッチン、トイレ、クローゼットが付いた部屋で高校生が住むのにはかなり豪勢な部屋だ。


綾人は受験が終わってからこっちに住む事にして、冷蔵庫やテレビとかは綾人の母がここに来てもう設置をしてくれている。


帰りに買ってきた食材を冷蔵庫に入れる物は入れて、足りない物があったらまた明日買いに行けば良いと思い、取り敢えず部屋の片付けを進めた。


「うーん。思ったより物が少ないな」


持ってきた物を片付けても余り部屋は埋らずに済んだが少し寂しい様な気もする。


綾人が持ってきたのは部屋にあった本棚や小物を作る為の道具、これまで作った物とかが入ったケース、後は日常で必要な物とかでこれと言って嵩張る(かさばる)物が無く部屋は綺麗なままだ。


段ボールを畳み今度の回収の日に捨てようと部屋の片隅に置いた。


後、綾人がやる事と言ったら、小物作りや勉強ぐらいで他にやる事が無い。


「………………ふむ。何か適当に作るか」


小物を作る為の道具を出して机の上に置き。


綾人は服やアクセサリーとかを主に作っており、今から作るのはアクセサリーの方だ。


誰も使わないで作ってもしょうもないが、作るのが好きなので作る事に程孔傾蓋は無い。


「………………はぁ」


綾人はアクセサリーを作りながら何故あの時、告白を続けたのだろうと考えていた。


していた理由は充達を見返したかっただけで、その為に女の子に告白してたとか………………、俺ってサイテーだな。


今さらそんな事を思う俺もどうかしてるけど、充達が彼女とイチャついて良いなとか羨ましいっと妬んだ事が始まりで、浩司とか充に「お前も早く見つけろよ!」っと言われ、そんな簡単に見つかったらこっちも苦労してない。


それで、ムキになった俺が「だったら! 受験までに彼女作って来てやるよ!」っと言ってしまい、あの時の自分を殴りたい気分だ。


だけど、もし告白が了承されたら、勿論、その子に尽くすし、愛するつもりだった。


だけど、今考えるとあの時に受けて貰わなくて良かったと思う。


俺は多分、彼女が出来てもどうしたら良いか分からなく距離を置いてしまい、結局別れてたと思う。


そう考えるとあの時の告白が全部フラれて良かったと思う。

その代わり心に大きく傷をおったけど。


「まさか、全部断られる何て思っても無かったからな~」


少しだけ期待をしていた。こんな俺でも「良いよ」って言ってくれる女の子が居るかもしれないと。


でも、俺はとある事を聞いた。


淫乱チャラ男って名称が付いてることを聞いてしまった。


それからは期待はしなかった、いや、期待をしていたから続けたのかもしれない。今になってはどうでも良いことだけど。


これからは、もうそんな事はしない。人と恋人になる事もしない。


だって、五十回以上フラれてて、理由が見返したい、自慢したかっただけの俺が恋をするなんて烏滸(おこ)がましい。



これからは、なるべく一人で居よう。

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