幸せとは?
夏休みに入り、早二週間が経とうとしていた。
祐哉と美海は、美海が祐哉の家に泊まって殆ど毎日を同じ様に過ごしてるとか。
浩司と雨音は余り変わらずお互いの都合が合う日は一緒に居るとか。
そして、祐哉はまさかのミールの親に会いに行くと夏休み入ってからイギリスに行ってる。
充達以外はもう親公認のなので、充が一生懸命にお願いすれば多分、行けるだろう………………。
そんなこんなで俺はと言うと、
黙々とエアコンが効いた部屋で夏休みを宿題を終わらせていた。
いつもなら夏休み入って四日か五日で終わらせるのだが、今回は夏休み中に最高傑作のウェディングドレスを作ろうと毎日学校に通ってる。
学校と言えば、先生達も付き合って少し経ったけど、どうなったかな?
多分、油木先生の事だからどうしたら良いか分からなくて迷ってるかもしれないな。
「ふぅ。あ、今日の晩飯………めんどいから、素麺でいっか」
俺はそう思いちゃっちゃっと宿題を終わらせた。
「………無かった」
宿題を終わらせ、疲れたので休んでて、お腹が減ったから素麺を作ろとしたら何処にも無かった。
棚にも物は無し、冷蔵庫は栄養ドリンクとかスポーツドリンクぐらいしか無く………。
「えぇ。今は十八時三十五分か。まだ店は開いてるけど、うーん」
スマホで時間を確認して、今からスーパーに行って帰ってきたら十九時を過ぎるからそれから作るのもめんどい。
「そうだな。たまには外で外食するか」
俺はそう思い財布を持ってシャツとジーパンで行くのもなんなので薄手の羽織り物を着てから家を出た。
外は夕暮れでもう直ぐ日が落ちるぐらいでちらほらと人影も見える。
俺はアパートの階段を降りて、更に直ぐ行った所にある石段を降りて駅の方面に向かった。
俺は駅に着くと切符を買ってから改札口を通ってホームまで行き、数分すると金崎町に行ける電車が来たのでそれに乗って金崎町に向かった。
(あっちに行ったら家に顔でも出すか。こっちに来てから一度も帰ってないし)
そんなことを思い綾人は金崎町の駅に着いた。
「うーん。どうせなら家族誘って食べようかな」
綾人はお母さんに電話をかけこれから夕食どう?っと聞くとお母さんは直ぐに行くわ!っと答えて待ち合わせをすることになった。
「ふふふ。綾人が食事に誘ってくれる何て珍しいこともあるのね」
「まぁ、余り顔を見せないから、たまにはな」
綾人が誘ってくれて嬉しそうにしてるお母さんを見て綾人は誘って良かったと思い少し笑みを見せる。
父さんは現地集合で何やら知り合いの家族も居るとかで母さんと急いで向かってる。
行く場所は回転寿司。大人数で食べるなら、まぁ、打倒かなって思ってそこにした。
「あら! オルバーさん。こんばんわ」
「どうも、水鳥さん。親子水入らずの所にお邪魔して」
父さんの知り合いはどうやら、ガルボ・オルバーさんだったみたいだ。
ガルボさんは父さんの知り合いと言うか友達だ。
大学の時に会って意気投合して社会人になっても付き合いを止めて無いぐらい仲が良いみたいだ。
そして、何故か顔見知りの奴が二人居た。
充とミールだ。
まぁ、何と無くガルボさんがミールの父親かなって思ってたけど、本当に親子だったみたいだ。
俺が面識のあるのはガルボさんとその息子さんのランクさんしか会ってなくミールが家族だとは知らなかった。
「いや~! 娘がいきなり彼氏を連れて来るもんですから、驚きましたよ」
「あら! 良いですわね~! 家も早く連れて来て欲しいぐらいですよ!」
そんなことを言う母さんとは顔を合わせない様にしてそそくさに店に入って行った。
それに続き皆入ってきて充が俺の横まできた。
「充、許可は貰えたのか?」
「うん。まぁ、その、一応」
なんだ、その何かあったみたいな良い方は………。
ガルボさんはかなり良い人だから直ぐに許してくれそうだけど、この顔を見ると何かあったな。
そんなことを思ってると充が先に言ってきた。
「すげぇ怖かった。俺が対面に座ると威圧を飛ばして来てめっちゃヤバいっと思ったわ」
そんなにヤバかったのか充の体は震えていて凄いビクビクしてる。
それでも、許可を貰えたのだから相当頑張ったんだろう。
「はぁ。今日は俺の奢りなんだ。好きな様に食え」
「お、おう。ありがとうな」
そして、順番が来て呼ばれたので皆で行き。
流石に全員座れないので二つの席に別れて座り。
俺の方は充にミール、ガルボさんで、向かいの方には母さんと父さんにガルボさんの奥さんのカルナさんが楽しそうに話してる。
「なぁ、綾人君。ミールと充君は学校とかではどうかね?」
「え。あー。そうですね。二人は仲も良いので休み時間とかは一緒に居たりしてますよ」
「ふむ。そうか」
充の言う通りに威圧感が半端ない。
元々厳つい顔つきのガルボさんだから更に威圧が増してかなり怖い。
「なら、綾人君からして、彼、充君はどういう人物かね?」
そうガルボさんが言うと充はピタリっと体を止めて、ミールも同じ様に体を止めて冷や汗をかいていた。
まぁ、嘘をつくことも無いし正直に言おう。
「充は単刀直入に言えば良い奴です。部屋に篭りがちだった俺を外に連れ出して外で遊びに誘ってくれたり、俺の作る物を凄い褒めてくれたり、俺にとっては良い奴過ぎて、大事な友達です」
自分で言っててかなり恥ずかしいがここは友達の充ために少しでも良い奴だって知って貰わなければいけない。
「ふむ。なら、ミールはどうかね?」
「へ? ミールですか?」
俺は聞かれるのは充だけだと思ってたからいきなりでどう答えれば良いのか分からない。
「えっと、ミールは、明るく元気な子でしょうか!? はい! とっても元気な子ですね!」
もう、どう答えたら良いか分からないので取り敢えず元気な子っと答えておこう。
暫く疑いの目線を受けて冷や冷やしたが何とか納得して貰えた。
それから寿司を食べながら話したりして。
「綾人君。夏休みを開けたらこっちに来るから、宜しく頼む」
「へ? こっちに?………………それは、こっちに移住してくるってことですか?」
俺がそう聞くと頷くガルボさん。
マジか、でも唐突だな………。
「でも、いきなりどうしたんですか?」
「まぁ、息子のランクに社長を譲ったから、隠居生活をしようと思ってた所にミールが彼氏の充君を連れて来たからな。どうせ隠居するなら日本に住むかって話になってね」
「あー、だからランクは忙しくなるって言ってたのか」
ランクは二十歳だがあちらから呼び捨てで構わないっと言われたので俺はランクっと呼び捨てにする。
だが、お金持ちがやることは凄いな………。
ガルボさんは大きな企業の社長でお金の使い方も少し大胆だ。
「充君。君はとても良い子と友達になったんだね」
「え。あ、はい。綾人は最初は素っ気なかったですけど、接してる内に不器用な奴なんだって分かって、そしたら綾人が可愛く思えて、綾人は不器用だけど優しい奴ですから、俺も大好きになりました」
そう言ってくれる充。
今度はこっちが恥ずかしくなるじゃねーか。
俺がこうして人と話せる様になったのも半分以上はこいつのお陰で感謝もしてる。
ほんっと、良い友達を持てたな、俺は。
それから皆食べ終わり、今回は俺の奢りっと言ったが充も払うと言ってきて、多分少しでも良い所を見せたいんだと思い了承して半分ずつ出して払った。
「充君」
「は、はい」
充はガルボさんに呼ばれてまだ緊張してるのか体を少し震わせてる。
「こんな元気しか取り柄の無い娘だが、これからも宜しく頼む」
なんっと、ガルボさんは充に向かって頭を下げたのだ。
充は戸惑ってあたふたしており。
「あ、あののの! 頭を上げて下さい!?」
充の慌てた声を聞いてガルボさんは直ぐに頭を上げて、充はそれを見ると安心したのか「ふぅ」っと溜め息をついた。
「はい。絶対に幸せにしてみせます!」
「うむ。出来なかったら………………分かってるな?」
間合いがあってゾッとした充と何故か俺まで体をビクッとさせた。
「は、はい! 絶対に幸せにします!」
「うむ」
更新遅れて申し訳ありません。
多分、これからも不定期になってしまいますが応援お願いします。
これを呼んでくださってる方がいらっしゃるなら自分の投稿作品「甘え上手な間宮君」も読んでくださると嬉しいです。
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