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恋はもうしないと決めたのにまた俺は恋をする  作者: 南河原 候
第一章 綾人の償い
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お節介終

終業式前日。


「はぁ。出来た~」


何とか終業式の前には良くあるレースのふりふりが沢山付いたウェディングドレスは完成出来た。


出来栄えは悪い。自分で思うのにはかなり悪く思える。


所々のズレとかが結構目立ってるからまだまだっと実感させられた。


でも、これが今俺が作れる最高の作品なので、仕方ないっと思いこれを菖蒲先生に見せた。


「わぁ! 綺麗ね!」


菖蒲先生は嬉しそうにウェディングドレスを見ており、少し心が痛い。



「よし。着れましたね」


目の前には、元々綺麗な先生だったのもあるが、花嫁姿になると更に綺麗なったと思う。


「はぁ」


俺は思わず溜め息が出てしまった。


「え!? 何いまの溜め息!?似合ってなかった?」


「ご、ごめんなさい。違うんです。似合ってないのは俺の服の方です」


所々にやはり、ほつれてたり、ズレがあったりっと目立つからせっかくの綺麗な先生の姿が半減してしまう。


「そうですかね? 私は良いと思いますけど」


「大丈夫です。お世辞はいりません」


本当に駄作だったみたいで肩を落として溜め息をつく綾人。


それにどう答えたら良いか分からなく苦笑いをする菖蒲先生だった。



今日の所は菖蒲先生には帰って貰い、俺は少し直してから帰るっと言って部室にまた閉じこもった。


「う~~っす。綾人!」


浩司が片手にコンビニ袋を持って部室に入って来た。


「珍しいな。休みなのに雨音と居ないなんて」


今日は日曜日で、普通なら恋人が出掛けたりする日だと思うのに浩司は一人で部室に来ていた。


「それがなぁ、雨音にまた本が見つかって、暫く口を聞いてくれなくなった」


何と言うか、いつも通りの答えが返ってきた。


浩司が言う本は思春期の男子なら欲しいっと思うエッチな本で、浩司は良くそれを部屋に隠し持っており、それで雨音と良く喧嘩をしている。


「なんだ、まだ辞めてないのか。その内、飽きられて雨音に見捨てられるんじゃないか?」


「お前がそんな酷い事を言う奴だったのは思わなかったぞ!」


いや、逆ギレされても………………。


浩司は手で顔を隠す様にして、「うぅぅぅ」っと泣き出した。


と言うか、毎回思う。浩司が悪いと。

こいつ、それで喧嘩をしてるの多分、百行ってる様な気もするが、絶対それに近いぐらいは喧嘩してる。


それでも毎回仲直りしてるから仲は良いと思うけど、今回もさっさと仲直りしろっと言いたい。


「もう、捨てたらどうだ? そんなのは彼女が居ない奴が持ってるもんだ」


「お前ぇぇぇぇ! 俺がどれだけ苦労して手に入れたか分かってるのか!?」


「知らねーよ! 後なぁ! お前は彼女が居るんだから、そういうことは彼女にお願いしろよ!」


「たまにしてるわ! だがなぁ、エロ本は男の文化であり誇りでもある物だ」


いや、そんな物、男の文化と誇りにされても困るんだが………………。


俺は溜め息をついて、鞄をゴソゴソし始めた。


浩司は首を傾げ不思議そうに綾人を見ていた。


そして、綾人は鞄からある物を出して浩司に渡した。


「え。これって、遊園地のチケット?」

「そうだ。それやるから、仲直りして来い」


浩司の顔がぱぁぁぁっと明るくなり俺の手を握って、


「ありがとう! 綾人! なら、早速、雨音に謝って一緒に行ってくる!」


そう言って、行こうとした浩司の足が止まり、「どうした?」っと声をかけた。


「なぁ、これってお前が誰かと行く為に買った物だったりするか?」


「………」


ブチッと血管を浮かばせ、思い切り浩司を蹴り飛ばし部室を追い出したら思い切りドアを閉めた。


「たっく、あいつ。俺がそんな相手居ないぐらい知ってる癖に………まぁ、良いや」


俺は早く直したいウェディングドレスの前にある椅子に座り満足行くまで直し始めた。


         ☆

古河高校、西校舎にある音楽室に向かってあるくおっさんが居る。


おっさんっと言っても体育の先生なので体は鍛えられ筋肉質である。黒髪を短髪にしていて、顎にちゃんと剃ってない髭がある。


油木優太は音楽室に居る菖蒲和奏のもとに向かっている。


そして、音楽室の扉の前に立つ油木。


緊張で手が震え、一回深呼吸をしてから扉を勢い良く開けた。


そこには、ウェディングドレス姿の菖蒲が一人立っており、油木がそのまま入って行くと勝手に扉が閉まり、ピアノを弾く音が音楽室に響き渡り始めた。


(あいつ、ここまでハデにする必要あったのか?)


ここまでする綾人に呆れた顔をして。


「油木さん」


菖蒲から声が掛かり、油木は真剣な眼差し菖蒲を見る。


「あの、菖蒲先生。最初にお聞きしますが、俺で本当に良いんですか? 自分で言うのもなんですけど、俺に良い所なんて無いですよ」


「いえ。油木さんは良い人です。新人でここに入った私に気さくに話掛けてくれたり、困ってたら助けてくますし、何より油木さんは優しいじゃないですか」


きっぱり笑顔で言われるとこっぱ恥ずかしくなる。


油木は頭を手で少しかいて。


軽く深呼吸してから………。


「菖蒲和奏さん。こんな俺で良ければお願いします!」


頭を深々と下げて手を前に差し出す油木。


それを戸惑いもせず菖蒲は手を取り。


「はい! こちらも不束者ですが宜しくお願いします!」


菖蒲は頬を赤くして照れ臭そうにしており、油木も同様に頬を赤くして照れ臭そうにしていた。


それを扉越しに電化店で買ったロールピアノを地面に置いて少しだけ扉を開き中を見ると、


二人はキスをしていたので直ぐに扉をそっと閉めて、そこから退散をした。


         ☆


「ん。父さん?」


先生の所から退散して部室に戻って寛いでると父さんから電話が掛かってきたので出ると。


「やぁ! 愛しい息子よ! 元気かい! たまには………………」


俺は父さんからの電話を切り、溜め息をつく。


「はぁ。あの人は良い年して何であんなハイテンションなんだ」


そして、もう一度電話が掛かってきたので出ると。


「やぁ! 綾人。さっきは酷いじゃないか、いきなり切るなんて」


「はいはい。で、用件は?」


俺はもうこの父に呆れてる為にツッコミは入れずさっさと用件を聞いた。


「もう夏休みだろ? お前には青春をして貰いたい! 好きな女の子と友達を誘って旅行に行ってきなさい!」


「うん。ありがとう。父さん」


一応、お礼を言ってから電話を切った。


その後、旅行のチケットを家のポストに入れたから受けとる様にっと何ともお節介な父親だ。


まぁ、それでも俺にとっては良い父親だから悪くは言えないんだよな。


これを呼んでくださってる方がいらっしゃるなら自分の投稿作品「甘え上手な間宮君」も読んでくださると嬉しいです。


下にURLがあります。

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こちらも宜しくお願いします! 甘え上手な間宮君
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