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93 猛スピードのギィ!

 頭を下げたので、律義に開始の礼をしているのかなぁと暢気に考えていた。


 それならと自分も頭を下げようとして、目を離した瞬間、そこにギィの姿はなかった。


 ギィは頭を下げているのではなくて、高速移動の為の予備動作だったのだ。


 やばい!居場所を見失ってしまった!


 自分は3番目の瞳を見開いて、ギィの場所を必死で探した。


 すると右側から猛スピードでやってくるのに気がついた。


 ギィの姿に気が付いたが、間に合わない!


 スピードは早く、今から回避するのは到底無理だった。


 自分の防御力とHPから、ダメージはわずかだろうと考えて、攻撃に備えた。


 ギィはスピードに乗った右手の爪攻撃を全力で叩きつけてきた、しかも爪を振り抜く際に、その勢いを使って方向転換まで行っていた。


 自分はギィが爪を振り抜いた先に、向かっていくだろうと想像していたら、ギィは尻尾を使って、攻撃を加えるだけでなく、方向転換まで行っていた。


 アリスとの戦いで、手と尻尾を使って方向転換や勢いをつけると言った攻撃の方法をいきなり応用してきていた。


 ギィの初撃を食らったので、どれくらいのダメージを受けたのか確認してみたが、自分の防御力の高さから予想通りそれほどのダメージにはなっていなかった。


 そもそも、最初に出されたギィの攻撃は自分が目を離したことで、ギィの所在を見失ったせいだったが、ある程度の距離さえあれば、原因の所在を見失う事はない。


 初撃の時はそう考えていた。


 しかし、その後も、ギィの早すぎるスピードに、体がついていくことができなかった。


 アリスはよくこのスピードに対応していたんだと思うと、その動体視力の良さに、今更ながら驚いた。


 ギィの場所を把握して、ギィの方を向いたときにはすでに、攻撃態勢に入っていて先ほどと同じように攻撃を受けていた。


 なんだ、なんだ!ギィの動きが速すぎるぞ。


 ギィの動きは3番目の瞳で把握できているので、迎撃しようとしてギィの方を向いたが、体を向けた瞬間には攻撃を食らっていた。


 それだけでなく、ギィの動きが少しづつ早くなっているような気がした。


 その後、連続して攻撃を受けるうちに、方向転換すら間に合わなくなっていた。


 やっぱり、ギィは今の攻撃スタイルになれてきて、体の使い方がうまくなってきていた。


 単発で受ける分には問題はないが、立て続けに続くとダメージも加算していった。


 このまま迎撃する対応方法はまずい!


 そう感じたため、攻撃を受けた瞬間ギィとは反対側にジャンプして距離をとって体制を整えないといけないと思った。


 そうして距離をとったはずが、ギィはその動きに反応していた。


 自分が着地した瞬間にまた連続攻撃が始まったのだ。


 ギィのスピードがありすぎるため、方向転換をする間に反対側に回り込まれてしまう。


 しかも、手と尻尾を使って方向転換もどんどん自由自在に行えるようになってきている。


 このまま、だと、自分が受けるダメージもばかにならない。


 方向転換ばかり行うことを考えても意味がない!


 方向転換が間に合わないなら、方向転換をするのをやめればいい!


 自分はそう考えることにした。


 今は方向転換が間に合わず、ギィからの攻撃を受け放題だった。


 今のままだと、そのうちダメージを頭部に受けてしまうのではないか?


 そして、それはまずいと考え、鎌首を上げて対応していた。


 そこで、多少のリスクがあるとしても、頭部の位置を下げることで、体から尻尾までの長さを延長させることにした。


 延長して伸びた分を攻撃を受けた後のギィの進行方向に対して尻尾を仕込んでみた。


 猛スピードで突撃してくるギィの攻撃は、手の爪による攻撃と尻尾による攻撃の二段階の打撃だった。


 しかも、尻尾による攻撃は方向転換後の加速を生み出していた。


 しかし、地面を使っての方向転換と較べて、打撃後の方向転換ではさすがに自由度は低かった。


 そのため、自分も打撃後の進行方向はある程度読めるようになってきていた。


 だから、自分も方向転換をやめ、ギィの方向転換に意識を集中した。


 自分の右前方からギィがまっすぐ向かってきていたので、攻撃を次に移動する先は右後方とある程度の予測がついていた。


 そこで、尻尾を右後方にセットして、ギィの攻撃を待った。


 急に方向転換をやめた自分に対して、ギィが一瞬慌てたように見えたが、方向転換先を調整できるはずもなく、打撃を受けたと同時に、予想した位置にセットしておいた尻尾を持ち上げた。


 自分の予想は見事的中した。


 持ち上げた尻尾にギィは見事に足を引っかけてしまっていた。


 ギィはいきなり出てきた、わっかに足が引っかかり、そのままもつれて前方に転がりだした。


 猛スピードで進んでいたので、その転がり方も激しく、転がりながら壁に撃突していた。


 ギィは直前で方向転換をして、アリスと戦った時のようにジャンプで戻ってくるかと思っていたら、壁にあたる衝撃が強すぎたみたいで、気絶していた。


「しっ!師匠の勝利ですわ。」



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