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88 アリスに攻撃チャンス!?

 ギィはその後も、前に行ってみたり、後ろに行ってみたり、ジャンプしてみたりと色々考え付くままに方法を変えて対応していた。


 しかし、どれもアリスに先読みされて麻痺弾の餌食となっていた。


「はにゃぁぁ~。アリスちゃんに勝てないよぉ~。師匠ぉぉおお!」


「ギィがんばれ!アリスもしよかったらギィに簡単なアドバイスをしてもいいか?」


「私もこれで終わりとは思っていませんから、いいですわよ!師匠」


 ギィは自分からアドバイスをもらえるといって目を輝かせていた。


「ギィ!すまないがアドバイスといっても、それが適切かどうかわからない。ただ、何度も見ていて感じた感想と思ってもらった方がいいかもしれない・・・が、それでもいいか?」


 ギィは少し残念そうな表情をしたが、今はどんなことでも必要だと考えなおしたように自分の方を向いた。


「師匠!今は何でもいいっす。色々と試せることがあれば、試したいっす!なので、お願いしやっす」


 ギィはいつもと変わらずまっすぐで素直なところがしっかりと現れていた。


「ギィ!一つ聞きたいんだが、動き出すときにアリスの事を見ているのか?」


「えっ!アリスちゃんの事っすか?見てないっすよ。移動する先を決めて、そこにまっすぐに進むだけっす。」


 ギィはアリスの事を何も見ていなかった。


 それは2戦目から感じていたのだった。


 ギィの反応速度と身体能力であれば、アリスの動きを見ることで、麻痺弾の射線を読むこともできそうな気がしていた。


 きっと、アリスもそのことに気が付いているようだった。


「今日は時間も大分遅くなっている。だから、次が本日最後の模擬戦とする」


「そんなぁ、師匠!・・・って、そういえば、ポイズンバットの討伐の時間ですね」


「そうだ!だから、ギィ次はしっかりとアリスの動きを見てから、動いてみるんだ。頑張れよ!!」


 ギィは最後の模擬戦という言葉を聴いた後、さみしそうな顔をしたが、最後を意識した瞬間何か戦闘モードのようなスイッチが入った気がした。


 やる気とは違う張りつめた緊張感のようなものだった。


「ギィ!アリス!本日最後の模擬戦を行う。準備はいいか?」


「次は勝つっす!!」


「次も麻痺弾の餌食ですわ!!」


 アリスも強気の発言をしていたが、ギィの緊張感が伝わっているようだった。


 アリスもギィと同じく張りつめた緊張感をまとっているようだった。


 もしかすると、次は直接攻撃もあるかもしれないな。


「・・・・・始め!」


 自分の始めの言葉を聴いて、ギィは3回目と同じようにしゃがんでいた。


 そして、アリスは変わらずに麻痺弾を発射した。


 ギィはしゃがんでいたので、やっぱりまだ無理だったかなと思った。


 すると、ギィはアリスの発射するタイミングに合わせて体を起こした。


 そして、射線を凝視しているギィがいた。


 ギィは今までと違って、アリスの発射を待っていたのだ。


 そして、射線を読み、右へ軽くワンステップをして、アリスの麻痺弾をよけていた。


 よけられたアリスを見ると、悔しさよりも何か一瞬ほほ笑んでいるようにも見えた。


 そして、最初の麻痺弾の攻撃をかわしたギィはそのままアリスを凝視したまま移動を続けていた。


 アリスも続けて、数発の麻痺弾を発射していたけれど、ギィはどれもかわしていた。


 そして、ギィは麻痺弾の連射の後の隙をついて、アリスに近づいていた。


「アリスちゃん!もらったー!」


 ギィは右手の爪攻撃をアリスにくらわせようとしていた。


「ギィちゃん!惜しかったですわ!!」


 アリスはそうギィに伝えながら、後方へジャンプをして、同時に、麻痺弾を至近距離でギィに発射した。


 パシュゥッ!


「アリスちゃん!まだ動けるよぉおお!」


 ギィは大きく地面を蹴って、前方へジャンプをしながらアリスに攻撃を加えようとしていた。


 パシュゥッ!

 パシュゥッ!


 アリスはその攻撃を読んでいたように、空中のギィに連続で麻痺弾を発射していた。


 しかし、ギィの空中でのスピードは変わらないので、静止した状態で着地したアリスに直撃した。


「いでぇっ!」

「わちゃっ!」


 ギィがアリスに正面衝突した状態になっていた。


 アリスはダメージを受けていて、少しの間痛み我慢していた。


 アリスの前でひっくり返っているギィは少し嬉しそうにしていた。


「やったぁ!アリスちゃんにダメージを与えることが出来た。それに、麻痺弾も避けれたよぉぉおお!」


「ギィちゃん!勝負はこれからですわよ!」


 アリスは優しくギィに声をかけていた。


「師匠!模擬戦は明日もありますの!」


 アリスは明日の模擬戦の確認をしてきた。


「ああ!そのつもりだ。明日は楽しめそうだな!アリス!それにギィもよく頑張ったな!」


「はい!師匠!」


 ギィはひっくり返ったまま返事をしていた。


「やっと普通の戦いになりますわね」


 アリスも少し嬉しそうだった。


「一応、最後の勝負の決着は着けておきますわね」


 アリスはそういうと、ギィを抱えて、いつもと変わらずに壁見向かってポイッしていた。


「はにゃぁぁ~!アリスちゃん厳しいなぁ~!」


 ギィもアリスも最後は良い勝負が出来たと嬉しそうにしていた。


 その後、ポイズンバットの討伐をして、南の居住区に戻る間、ギィとアリスは会話をしていたが、勝負についての会話はしていなかった。


 アリスは助言をしないつもりだったんだろう。


 それに対して、ギィは時々ぶつぶつ口ずさんでいた。


 明日の勝負に関して、今日の反省をしていたようだった。


 ギィもアリスも充実した一日になっていたようだった。


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