87 アリスに勝てない!
「アリスちゃん!今の攻撃の仕方はずるいよぉ!」
ギィはずっと考えてきた作戦が全く使えなくて、混乱していた。
しかし、何かを言わずにはおれなかったのだろう。
筋の通らないことを言っていた。
「ギィ!アリスはずるくはないぞ!」
ギィもわかっていることだろうと思っていたが、一応間違っていることを言っているので注意しておいた。
「そんなのわかってるもん! だけど・・・だけど・・・アリスちゃん!もちろんこれで終わりじゃないよね!」
ギィの大きな目はウルウルとなっていた。
今にも涙があふれたしそうだったか、涙を流すのを我慢しているようだった。
「ええ!ギィちゃん!何回でもいいですわよ!」
「最初の魔法は知らなかったから簡単に当たったけど、次は絶対に避けてやるからね!」
「ギィ!アリス!2回戦目を始めるぞ!いいか!」
「次は勝つっす!」
「いつでもいいですわよ」
「・・・・・始め!」
ギィはアリスの魔法を警戒しながら、ゆっくりと歩き出し始めた。
ギィとしてはいつでも避けてやる気持ちでいたのだろう。
アリス先ほどと変わらず落ち着いた状態で、麻痺弾をいつでも発射できるようにしていた。
ギィは右側へゆっくりと歩きながら、急加速をするつもりなんだろう。
アリスの動きを食い入るように見ていた。
ギィはいつ動き始めるのだろうかと思って見ていると、ギィの体が一瞬沈んだように見えた。
急加速をするためには、わずかでも助走がいるのだろう。
さぁ次はアリスに攻撃を当てることができるだろうか!?
パシュゥッ!
パシュゥッ!
パシュゥッ!
「えっ!えぇぇぇぇぇぇーーーーーーーー!?」
ギィは連続して飛んでくるアリスの麻痺弾を食って、声を上げることしかできなかった。
アリスはギィの頭が沈みこむのを見逃さなかった。
そして連続して発射された麻痺弾は、一瞬にして、ギィの動きを止めてしまった。
アリスは2度目も同じくゆっくりとギィのところまで歩いてゆき、ギィを抱えて、壁の近くまで進んだ。
そして、ギィの背中を壁に向かってポイッ!
あえなくアリスの2勝目が確定した。
「アリスちゃん!何それ!ちょっと全然戦いになってないじゃん!」
ギィはひっくり返ったまま、麻痺で動けないため口だけで攻撃(口撃)していた。
「ギィちゃん!ギィちゃんのスピードが武器なように、私の麻痺弾は私の武器なのですわ!よろしいかしら!!」
そう言われると、ギィは反論することなく黙ってしまった。
ちょっとギィがかわいそうになってきたが、先々アリスと同じような攻撃を食らう可能性があり、もしも、その時は完全に倒されてしまう。
今は模擬戦だからいいが、それを考えると少し寒気がした。
「アリスちゃん!もう終わりじゃないよね!!」
ギィは頼み込むように、アリスに次の模擬戦を申し込んでいた。
「ええ、いいですわ!ギィちゃん!何回でもよろしくてよ!」
アリスは少し余裕があるように見えた。
2勝したため、勝ち越したからだろうか。
そんな風にも見えた。
「ギィ!アリス!3回戦目を始めるぞ!いいか!」
ギィの麻痺状態が解除された後、住処の洞窟に生息している緑エノキを食べて、少し休憩をした。
ギィもアリスもお互いに対したダメージも食らっていなかったので、余力は十分あった。
「・・・・・始め!」
ギィは次はどういった作戦で来るのだろうか、少し楽しみに思いながら開始の声をかけた。
自分が開始の声を上げるや否やギィは高速移動を始めていた。
そうか!始まってから動くと予備動作でばれてしまうから、開始前に予備動作をして動けばいいんだ。
ギィも考えたな!
これなら、少しはいけるかもと思っていた。
パシュゥッ!
パシュゥッ!
パシュゥッ!
アリスは少し体をずらしただけで、ギィに麻痺弾を命中させていた。
開始前にギィが予備動作である体を沈み込ませていたのを見ていたので、開始と同時に高速移動をするよを読まれていたようだった。
「はぁぁぁあああ!!これもだめだったぁ~~!」
ギィは今回も同じように運ばれて、壁に向かってポイッされていた。




