85 アリスとポイズパッドの丸焼き
アリスはポイズンバットの丸焼きのことを知っていたようだった。
どこかで見たことがあるのだろうか?
もしかすると回収部隊がポイズンバットを回収して、アリスは王族だから調理されたの食べたことがあるのかもしれない。
「アリスはポイズンバットの丸焼きの事を知ってるのか?」
「違いますわ!最近、北の商業地区で、時々ポイズンバットの丸焼きが出されているの見かけることがあるんですの、でも1度も食べたことがなかったので、今日準備されているのを見た時、とてもびっくりしましたわ!」
アリスは疲れた表情をしていたが、ポイズンバットの丸焼きの話をしているときのアリスには、穏やかな笑顔が見えていた。
「実はね!師匠と北の商業地区に行ったとき、露店の商店が並んでいるでしょ。入り口のすぐ近くにおいちゃんて言うキルアントがいて、ポイズンバットの丸焼きを作ってくれたの!それがすっごくおいしかったから、アリスちゃんにもぜひ食べてもらいたいと思ったんだよ!」
ギィはとてもうれしそうにポイズンバットの丸焼きについての話をアリスにしていた。
そう言えば、ポイズパッドの丸焼きがあまりにもおいしすぎて、ギィは眠りながら食べていたな。
ギィが話しているのを見ながら、その時の事を思い出していた。
ただ、そのことは秘密にしておこうと思っていたが、気づかないうちに笑っていたようだった。
そんな自分をみて、アリスが声をかけてきた。
「師匠!ポイズンバットの丸焼きのことで何か面白い事でもあったんですの?笑顔になっていますわよ?」
アリスからそう言われて自分はいちどギィのほう向いてから返事をした。
「あぁ!ちょっとだけ面白いことがあったぞ。でもまぁアリスにはそんなに面白くないかもしれないなぁ」
アリスにはそう返事をした後、もう一度、ギィの方を向いた。
ギィは何で自分がギィの方を2度も向いたのかわからず不思議な顔をしていたが、その理由まではわかっていなかったようだった。
「ちょっとだけ面白いことってどんなことだったんですの?」
この話はもういいかなと思っていたら、アリスの方から聞いてきた。
話していいものかどうか少し迷ったが、別に何か問題があるわけではないので、アリスに話すことにした。
「実はアリスが繭化中だった時に、自分とギィでポイズンバットの丸焼きを食べたんだが、ギィはとてもおいしかったんだろう、眠りながらポイズンバットの丸焼きを食べてたんだよ。眠っているのに口だけ動いてるんだ。それを見ているとかなり面白くて、しばらく大笑いしていたんだよ。」
ギィは眠りながらのことだったので、そういうことを全く知らなかった。
「ちょっ!ちょっ!ちょっと待ってくださいっすよー!本当にそんなことあったんっすかぁ〜!そんな眠っていた時の事言われても困るっすよ!」
ギィは慌てて否定していた。
しかし、ギィの目の焦点が合っていなかったので、完全に否定することができなかったのだろう。
いくつか心当たりがあったのかもしれない。
「ギィちゃんは食いしん坊ですわね。ふふっ!本当にちょっと面白い話だったことがわかりましたわ!」
「もうアリスちゃんたら、いじわるなんだから」
ギィは軽く横を向いてすねていた。
「まぁ!長話もいいが、そろそろ食べないか。温かいうちに食べたほうがうまいだろう!」
「食べる!食べるっすよ!!」
ポイズパッドの丸焼きを食べる話になったとたん、ギィの機嫌はあっという間によくなっていた。
「そうですわね。いただきましょう!」
ポイズパッドの丸焼きを荷も運び用かごから出して、皆の前に置いた。
「師匠!このポイズパッドの丸焼きがテカっているんですけれど、これはもしかしてありみつではないですの?」
「そうだぞ!アリス!よくわかったな!」
「ありみつって、とっても貴重なんですのよ!それなのに、こんなに大量に使っているなんて、とても贅沢ですわねぇ!!」
最近は、ポイズパッドの丸焼きやコンサルさん所の焼き魚でありみつを使っている調理された料理を食べていたから、気が付かなかったけれど、やっぱりありみつは貴重なんだというのを再認識した。
「だからうまいんだぞ!さぁ!食べよう!」
ウインドカッターを包丁代わりにして、まず羽を切り分けた。
そして、あとは食べやすいように小分けしていった。
アリスはまず身の部分を口に入れた。
「まぁ!なんておいしいですの!ありみつの塗ってある部分がぱりぱりとして香ばしく、そして、その後に来るほのかな甘み、それからその甘味と肉汁とが一緒になり、うまみが上がった身をかみしめるともぉ~表現できないわぁああ!!とにかく、おいしいですわね」
アリスが切り分けた身を口に入れた瞬間、ギィも切り分けた身を食べていた。
ギィは何も言わずに無言で食べていた。
もちろん、切り分けた羽の部分は、しっかりを右手に握られていたのは言うまでもなかった。
その後は、ゆっくりと部位によって味が違うなとか、私はどこの部分が好きだとか、みんなで話をしながらゆっくりと舌鼓を打っていた。




