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83 師匠は人気者!?

文字数少なくてすいません。

 アリスは自分の考えている師匠の姿と今師匠が言った言葉の違いに一致を見出せずにいた。


 アリスはやっぱりもう一度確認する必要があると考えた。


「今、師匠が人気ものであると言いましたの?」


「あぁ!そう言ったが何か変か?」


 アリスの中の師匠は、信頼のおけるリーダー的な印象であったが見た目的な種族の違いから、少し畏怖を覚えるところもあった。


 そんな師匠が、キルアントのトレイダーや子供たちの多い北の商業地区で人気が出るとはどうしても思いつかなかった。


「いいえ!そんなことはないですわ。でも、どんなふうに人気者なのですの?」


 アリスは自分が人気ものといった事をあまり信じていないようだったので、ギィと一緒に行った連結荷物運びの事や、キルアントの子供たちを乗せて北の商業地区を練り歩いたことを細かく説明した。


「私が繭化している間に、そんなことがあっていたのですの。キルアントの子供たちは早くに兵士としての任に就きますのよ、そのため、小さいころから親の手伝いをすることが多いですの。ですから師匠の上に乗って、いつもと違う景色で北の商業地区をまわると、とても楽しかったに違いないですわ!・・・・少し乗ってみてもいいかもしれませんわ!・・・」


 アリスの目が少し好奇心を持っているような気がしたが、本人がそれ以上に何かを言うこともなかった。


「ギィちゃんはあんな感じなので、すぐにキルアント族に打ち解けることが出来ましたわ。ですが、師匠までキルアント族になじむことが出来たのは、私もとてもうれしく思いますの。ありがとうございます。」


 自分が兵士以外のキルアント族と敬意ではなく、仲良くなってくれていることにアリスはとても嬉しそうだった。


 そんなアリスを見ていると、種族の女王という立場を踏まえているようにも思えた。


「私が繭化している間の話が少し聞くことが出来て、楽しかったですわ。ですが、少し疲れましたの。また、しばらく、休ませていただいてもいいかしら。師匠!」


「すまない、アリス。話が長くなりすぎたな。ゆっくり休んでくれ。」


「失礼しますわ、師匠!」


 アリスはゆっくりと繭の中に入って行った。



 ※     ※     ※



 アリスの弱体化の次の日


 アリスは朝早くから訓練をしていた。


 ギィとの模擬戦まであと1日なので、しっかりと今の体に慣れておく必要があった。


 弱体化から1日で、アリスの体は、バレットアントの赤紫色になっていた。


 バレットアント本来の能力を発揮するためには、2日~3日はかかる。


 しかし、アリスはそれを約1日で出来るだけ近づけるようにしようと思っていた。


「ギィちゃんとはすでに1敗しているので、次は負けられないわ。それに、秘策もあるから・・・」


 アリスはギィちゃんとの模擬戦に必ず勝つ気でいた。


 アリスとギィはお互いにスピードをもって相手をかく乱し、隙をついて1撃を打ち込むスタイルだった。


 それゆえ、模擬戦でアリスが勝つためには、ギィをかく乱して隙をついていかないといけなかった。



 本日のアリスは弱体化が終わっているので、直線ではレッドキルアントの頃よりもスピードは出ていた。


 しかし、方向転換や左右に方向を変えての移動はうまくできなかった。


 自分の意識と移動する時の動作にギャップがあったのだ。


 そのギャップを踏まえて移動出来るようになるために、アリスは前後・左右の往復をずっと繰り返していた。








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